# GLOBAL COMPASS --- ## ブログ - [日本と世界をつなぐウェブメディア『GLOBAL COMPASS』オープンのご挨拶](https://gc.novarca.jp/blog/20250630-medhia-opening/): 2005年、中国メインランドからの訪日観... - [急回復のインバウンド。 そのトレンドと予想、そして世界市場を語るウェブセミナー潜入レポ](https://gc.novarca.jp/blog/20250425-inbound-0325seminar/): 2024年、日本のインバウンドは大きく回... - [インバウンドの現在と未来について語るセミナー「インバウンドとグローバルマーケティングのこれから〜国境の先に、新常識を〜」レポート](https://gc.novarca.jp/blog/20241129-inbound-seminar/): 2024年9月25日、東京都千代田区にあ... - [2024年ダブルイレブン​ オープンデータと​ クチコミ分析から見た​ 戦況概要​](https://gc.novarca.jp/blog/20241205-2024w11/): 歴史上「最長」の2024年W11(ダブル... - [2024年国慶節 中国訪日観光 クチコミレポート](https://gc.novarca.jp/blog/20241205-inbaund-2024guoqing/): 中国の大型連休「国慶節」(10月1日)。... - [中国の主力消費者たる「早八人」たちの メイクトレンドとは?](https://gc.novarca.jp/blog/20240610-chinamake-research-2/): 素顔メイクが広がりつつある中国のメイクト... - [新型コロナウイルス後の中国 メイクアップトレンドはどう変わる?](https://gc.novarca.jp/blog/20240531-chinamake-research/): 歌は世につれ世は歌につれ... などとい... - [日本円レートの急変動 小紅書クチコミから見る中国消費者の反応とインバウンド](https://gc.novarca.jp/blog/20240525-inbound-red/): 2024年に入り中国からの観光客も徐々に... - [3年間で変わるニーズ、変わる「爆買い」 中国SNSから見る中国訪日観光客の「ショッピングニーズ」とは?](https://gc.novarca.jp/blog/20240422-inbound-trend/): 2023年に新型コロナ関連の入国手続きが... - [【インバウンド】プレイバック2019 コロナ前、中国消費者は日本でどこへ行き何を買っていたのか](https://gc.novarca.jp/blog/20230217-inbound-trendviewer/): 【インバウンドウェビナーのお知らせ】 中... - [【column】どうなるインバウンド、どうなる中国市場 ~年末年始の大転換を整理する~](https://gc.novarca.jp/blog/20230106-chinamarketing-inbound/): 2022年の年末(11月末から12月)か... - [【column】隠れた中国スキンケアブランドをクチコミ分析~中国機能性スキンケア市場に挑むには](https://gc.novarca.jp/blog/20221216-chinacosme-quadha/): 中国のスキンケア市場は成長とともに進化を... - [【考察】最大商戦に何が起こったのか?2022年ダブルイレブンを振り返る](https://gc.novarca.jp/blog/20221118-w11-customer/): 2022年も最大商戦であるダブルイレブン... - [【column】マタニティコスメの根底は「植物派」 注目のローカルブランドをクチコミチェック](https://gc.novarca.jp/blog/20221104-cosme-maternity-2-html/): 前回紹介した中国におけるマタニティコスメ... - [【Topics】前半戦が終わったダブルイレブンの状況は?また新たなマーケティングレギュレーションも](https://gc.novarca.jp/blog/20221104-w11-livecommerce/): 中国最大の商戦・ダブルイレブンも前半戦の... - [【column】妊婦さんも世代交代。変わる意識の中で成長する中国マタニティコスメ](https://gc.novarca.jp/blog/20221021-cosme-maternity/): 減少傾向にあるという中国の出生人口。 し... - [【Topics】最大商戦のスタート。気になるライブコマース市場は?](https://gc.novarca.jp/blog/20221021-w11-livecommerce/): 2022年もついに中国最大の商戦期に突入... - [【column】マーケティングストーリー構築に必須 いま、中国の若者の急成長トレンドスポーツとは?](https://gc.novarca.jp/blog/20221007-chinatrend-frisbee/): 中国のトレンドの変化は日本のそれよりも速... - [李佳琦電撃復帰!! ダブルイレブンは?ライブコマースは?](https://gc.novarca.jp/blog/20221003-chinamarketing-live/): 9月20日、中国のEC、ライブコマース業... - [【column】課題や事件で変わりつつある中国ライブマーケティング市場](https://gc.novarca.jp/blog/20220826-marketing-kol/): 昨年末ごろから中国のライブを中心とするマ... - [【mini column】中国スキンケアの新潮流?よりシンプルなケアへ](https://gc.novarca.jp/blog/20220812-trend-skincare/): 常に念入りなスキンケアを行う中国の消費者... - [【mini column】中国高級アイス炎上事件をクチコミ分析で見る。中国消費者の思考とは](https://gc.novarca.jp/blog/20220729-sns-icecream/): いまや世界の消費材ブランドにとって最も恐... - [【column】618の注目ブランドをクチコミ分析~メイクアップ編](https://gc.novarca.jp/blog/20220715-chinacosme-timage/): 中国のトレンドの移り変わりは早い。 特に... - [【column】618の注目ブランドをクチコミ分析~スキンケア編](https://gc.novarca.jp/blog/20220715-chinacosme-proya/): 1ヶ月ほど前に過ぎた618商戦。 202... - [【column】消えたトップライバー。 中国ライブコマース、そしてマーケティングはどう変わる?](https://gc.novarca.jp/blog/20220701-ec-618-2/): すでに中国におけるEC商戦の中心はライブ... - [【column】静かに終わった618 その結果はいかに。コスメ業界を見る](https://gc.novarca.jp/blog/20220701-ec-618-1/): 中国の小売業界では上半期の山場が終了した... - [【column】人気番組で急拡大!周辺商品までも広がる中国キャンプブーム](https://gc.novarca.jp/blog/20220617-chinatravel-camp/): 中国の旅が変わっている。 日本でも広がっ... - [【column】「ガッチリ系」メイクから「素顔」メイクへ。2022年の中国は透明な輝きがトレンドに](https://gc.novarca.jp/blog/20220603-makeup-natural/): 「中国の女性は、がっちりメイク」という認... - [【column】オミクロン株の蔓延が観光にマイナス影響。新しいスタイルの旅を楽しむ姿も。](https://gc.novarca.jp/blog/20220520-51-travel/): 上海では新型コロナウイルスの影響で事実上... - [【column】新機能、新消費者で拡大する中国UVケア市場をクチコミ分析](https://gc.novarca.jp/blog/20220506-chian-sunscreen/): ゴールデンウイークも終了し、日本ではこれ... - [【mini column】中国ドリンク業界で起るコラボ合戦。注目のコラボは?](https://gc.novarca.jp/blog/20220422-column-drinkcollaboration/): 2022年春、中国のドリンク市場が盛り上... - [【mini column】中国のヘアスタイル、流行のスタートは「動画」。同時に「韓流」の兆候も?](https://gc.novarca.jp/blog/20220422-column-hairstyle/): 中国のオシャレ度はまさに日進月歩である。... - [【mini column】流行と流行り 中国コーヒーブームから消費の変化を考える](https://gc.novarca.jp/blog/20220408-coffee-consumption/): 中国の消費は拡大をしているが、常に「成長... - [【column】分かれた明暗  中国ブランドにおける韓国コスメを考える](https://gc.novarca.jp/blog/20220325-cosme-korea/): 中国コスメ市場で韓国ブランドが光を失いつ... - [【mini column】李佳琦が消えた? 羅永浩も後方へ? 中国のライブ、ライバーの行きつく先とは?](https://gc.novarca.jp/blog/20220325-live-commerce/): 3. 8婦人節においては、各ブランドの主... - [【速報】2022年の中国消費者権益の日 ライブコマースにおける消費者権益保護に施策も](https://gc.novarca.jp/blog/20220315-315-customer/): 2021年にはライブコマースの管理法案が... - [【市場分析】2022年中国のスキンケアは「オイル」で決まり! 新しいトレンドをSNSで見る](https://gc.novarca.jp/blog/20220311-skincare-oil/): スキンケア意識の高い中国の消費者。そのス... - [【市場分析】2022年中国スキンケア界の新トレンド 機能性スキンケアで日本の商機はいかに](https://gc.novarca.jp/blog/20220225-skincare-trend/): 中国の化粧品業界で「功效型护肤」というス... - [【クチコミ分析】 中国消費者スキンケアニーズの変化は? クチコミ分析定点観測で見えてくるトレンド](https://gc.novarca.jp/blog/20220210-skincare-research/): 新型コロナウイルスからの立ち直り、そして... - [【インバウンド】 訪日リピーターアンケート Afterコロナの日本観光ニーズはいかに?](https://gc.novarca.jp/blog/20220128-inbound-research/): 日本の街角から訪日中国観光客の姿が消えて... - [【mini column】大物の消えたライブコマース市場、その今後は?](https://gc.novarca.jp/blog/20220128-ec-livecommerce/): 中国の生活の中で「ライブコマースから購入... - [【Special Interview】 中国参入商品をソーシャル分析で選定 ヘルスケア領域の中国戦略を加速](https://gc.novarca.jp/blog/20220114-research-kobayashi/): 拡大を続けている中国の消費市場。その拡大... - [【column】2021年中国若者女性から注目されたブランドは? 小紅書人気ブランドランキング](https://gc.novarca.jp/blog/20220114-red-ranking/): 2022年がスタート。 相変わらず新型コ... - [【column】変化の2021年。大型商戦では何が起こったのか?](https://gc.novarca.jp/blog/20211224-ec-festival2021/): 2021年も中国では恒例の商戦が展開され... - [【column】2021年を新たな法規制の面から振り返ろう](https://gc.novarca.jp/blog/20211217-2021-regulation/): 2021年もあとわずか。新型コロナ禍にお... - [【column】2021年ダブルイレブン、クチコミ上でのライブコマースの状況は?](https://gc.novarca.jp/blog/20211210-w11-report5/): すでに商戦の花形となっているのが「ライブ... - [【column】2021年ダブルイレブンを戸惑いつつクチコミで見る―ライト版―](https://gc.novarca.jp/blog/20211203-w11-report4/): トレンドExpressでは現在、2021... - [【Special Interview】インサイトドリブンの商品開発を実現 「中国ファースト」が切り開く化粧品市場の未来 ―株式会社コーセー](https://gc.novarca.jp/blog/20211126-research-kose/): 世界でも第2位の化粧品市場となっている中... - [【mini column】2021年ダブルイレブン。ライブコマースに見る多くの思惑](https://gc.novarca.jp/blog/20211126-w11-report-3/): 中国における商戦の花形といえば「ライブコ... - [【column】2021年ダブルイレブンは中国エコ消費の転換期たりえるか?](https://gc.novarca.jp/blog/20211126-w11-carbonneutral/): 2021年3月、『中国トレンドExpre... - [【ダブルイレブン分析】 2021年の人気ブランドの変化はいかに](https://gc.novarca.jp/blog/20211119-w11-report-2/): これまでとの全く異なる雰囲気を醸し出して... - [5400億元を突破との報道も 静かに過ぎた異例のダブルイレブン](https://gc.novarca.jp/blog/20211112-w11-report-1/): 2021年のダブルイレブンが終了した。そ... - [冬場の唇ケアの頼れる見方に リップクリームブランドをクチコミ分析](https://gc.novarca.jp/blog/20011112-china-lipcream-2/): 寒さが増し、乾燥度合いも高まる中国の冬。... - [【mini column】中国で国民的番組を通じて訴えられる「グリーン社会」~2021年ダブルイレブン前夜祭から](https://gc.novarca.jp/blog/20211111-w11-minicolumn/): 2021年のダブルイレブンが最終日を迎え... - [2021年ダブルイレブン前半戦終了 その成果は?](https://gc.novarca.jp/blog/20211105-2021w11-1/): 早いもので、すでに11月3日を過ぎ、ダブ... - [乾燥の季節到来 中国消費者の唇を乾燥から守るには?](https://gc.novarca.jp/blog/20011105-china-lipcream-1/): すでに冬の足音が聞こえる11月。日本でも... - [【中国Z世代ライフスタイル】 ダサいスポーツ用品からファッションアイテムへ クチコミで見る中国国産スポーツブランド](https://gc.novarca.jp/blog/20211029-genez-sportsshoes-4/): 前回、NikeおよびAdidasの国際的... - [【中国Z世代ライフスタイル】 批判にもさらされた2大スポーツブランドのクチコミはいかに?](https://gc.novarca.jp/blog/20211022-genez-sportsshoes-3/): 中国でZ世代を中心に加熱するスニーカーブ... - [【column】 転換する中国EC、SNS環境の中で何が求められるのか](https://gc.novarca.jp/blog/20211022-sns-column/): 今年も中国における最大の商戦「ダブルイレ... - [見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポートVol.3](https://gc.novarca.jp/blog/20211015-seminar-kanebo-3/): 多くの視聴者が注目した中国マーケティング... - [【中国Z世代ライフスタイル】 中国スニーカーブームをクチコミ分析で見てみる](https://gc.novarca.jp/blog/20211015-genez-sportsshoes-2/): 中国で突如巻き起こったスニーカー転売事件... - [【中国Z世代ライフスタイル】 足元オシャレが奏でる狂奏曲~中国スニーカーブルース](https://gc.novarca.jp/blog/20211008-genez-sportsshoes-1/): 常に数多くのものがブームとなり、そのたび... - [Z世代に人気の老舗カラーコンタクトブランド 日本のかわいいイメージで消費者を惹きつける](https://gc.novarca.jp/blog/20211001-eye-colorcontact-4/): 中国Z世代を中心に高まっている美瞳カラコ... - [見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポート Vol.2](https://gc.novarca.jp/blog/20210922-seminar-kanebo-2/): 大好評となったカネボウ中国の宮下董事の登... - [見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポート Vol.1](https://gc.novarca.jp/blog/20210917-seminar-kanebo-1/): 市場の重要性は認知されていても、なかなか... - [中国カラコン市場における「完美日記」か? 注目の新鋭ブランドをクチコミ調査](https://gc.novarca.jp/blog/20210917-eye-colorcontact-3/): 中国のZ世代におけるファッションアイテム... - [中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場~クチコミから見る中国カラーコンタクトニーズ](https://gc.novarca.jp/blog/20210910-eye-colorcontact-2/): 2021年に入って一気に人気と資本が増大... - [中国でヒットを生み出す商品開発の心得とは? 「Fujiko」ブランド生みの親・和田佳奈氏が語る消費者ベースの思考](https://gc.novarca.jp/blog/20210903-seminar-kanarabo/): 中国市場開拓においてはもちろんマーケティ... - [中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場に資本も注目](https://gc.novarca.jp/blog/20210903-eye-colorcontact-1/): 新型コロナウイルス蔓延以降、世界中で欠か... - [コロナ禍でも衰えない訪日旅行への関心も予断を許さない現状が](https://gc.novarca.jp/blog/20210827-summer-vacation-3-inbound/): 中国国内で高まる国内旅行ニーズ。注目を集... - 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comにおいても昨年越えが発表さ... - [Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol.1](https://gc.novarca.jp/blog/20210702-china-menscosme-1/): 中国ではアイドル文化が花開いており、特に... - [【抖音分析】Vol.2 2021年618商戦における抖音のポジションとは?](https://gc.novarca.jp/blog/20210625-douyin-mark-3/): やや例年とは異なる雰囲気を醸し出していた... - [2021年618商戦終了 メイクアップブランドに気になる動き](https://gc.novarca.jp/blog/20210625-618-report-1/): 2021年は日本でも関連報道がされた61... - [中国Z世代「美白」「クリーンビューティ」に続く 新しい勢力「アーリーアンチエイジング」とは?Vol.2~クチコミ分析から読む~](https://gc.novarca.jp/blog/20210618-chinacosme-earlyantiaging-2/): 中国消費者の新たな爆買い聖地「海南島」で... - [【column】618大型商戦に潜むファンマーケティング争奪戦 大型商戦の新たな戦略は?](https://gc.novarca.jp/blog/20210618-chinamarketing-column/): 上期最大商戦の618も佳境に入っている。... - [【mini column】改めて考える中国の「3人っ子政策」と今後のベビマタ市場](https://gc.novarca.jp/blog/20210611-chinababy-column/): 2021年6月1日から「夫婦1組につき3... - [【抖音分析】Vol1.0 抖音と抖音マーケティングを基礎から考える](https://gc.novarca.jp/blog/20210604-douyin-mark-2/): 2021年の中国商戦期も本格的にスタート... - [中国Z世代「美白」「クリーンビューティ」に続く 中国コスメの新しい勢力「アーリーアンチエイジング」とは?](https://gc.novarca.jp/blog/20210528-chinacosme-earlyantiaging-1/): 中国のアフターコロナトレンドとして、化粧... - [【column】中国のマーケティングセオリーのこれからを考える](https://gc.novarca.jp/blog/20210528-chinamarketing-column/): コロナ禍から回復を見せている中国市場は、... - [上半期の山場618始まる 2021年の見どころは?](https://gc.novarca.jp/blog/20210528-618-1/): 2021年も「618」が始まった。 中国... - [食べる美容に消費者は何を求める? 中国SNSクチコミ分析で見てみよう](https://gc.novarca.jp/blog/20210521-china-beautysupple-2/): 内側からの美を追求しようとする中国の女性... - [内面から美しく 中国で広がる「食べる」美容市場](https://gc.novarca.jp/blog/20210514-china-beautysupple-1/): 美しくありたい。 そう思うのは洋の東西、... - [【抖音分析】Vol.0 中国はTikTokでショッピング 抖音ECは中国EC市場改革者となれるのか?](https://gc.novarca.jp/blog/20210514-douyin-mark-0/): 若者を中心に世界的な「中毒」を巻き起こし... - [オフライン消費から新たな旅行モデルまで 2021年の労働節を見る](https://gc.novarca.jp/blog/20210507-51-travel/): 2021年も5月1日の労働節、メーデー休... - [運動、漢方 中国の不眠症状解消法のあれやこれ](https://gc.novarca.jp/blog/20210428-china-sleep-3/): 眠れない、眠れないと嘆いていても問題の解... - [ライブマーケティングも新しいレギュレーション 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2005年、中国メインランドからの訪日観光ビザ解禁に伴うインバウンド(当時は訪日観光という呼び方でしたが)が本格的に始まってから20年。 2025年現在、日本には世界各国から数多くの観光客が日本を訪れるようになっています。 しかしこの道のりは平たんなものではありませんでした。 最大の訪日者数を誇っている中国メインランドとの間には政治的要素によって往来が途絶えてしまったこともありました。 その「雪解け」直後、日本を席巻したのが、同じく中国メインランドからの観光客。 2014年、2015年に「爆買い」という言葉を生み出した彼らの消費意欲は、当時の日本人を驚かせるものであり、一気に「インバウンドビジネス」が発展しいくきっかけを生みだしました。 『GLOBAL COMPASS』の前身である『中国トレンドExpress』はそんな中、インバウンド市場取り込みを目指す日系企業に、中国SNSビッグデータを解析し、そのニーズを伝え、的確なマーケティング活動のサポートをするという役割をもって誕生しました。 訪日観光客数の増加と共に、『中国トレンドExpress』はPDFからWEB版へと進化し、絶えず中国の情報をお伝えしてきました。 2020年からは新型コロナウイルスの世界的蔓延によるインバウンド消失。 2023年には処理水問題による日中関係の再度の悪化などを経験してまいりましたが、そうした大きな環境も変わり、中国メインランドからも、そしてその他の国からも多くの観光客が戻ってくるようになっています。 そして2025年。 インバウンドにおいて中国メインランドは依然として重要な市場でありつつ、同時にそれ以外の国々からの訪日が増加を見せています。 日本を訪れた国々の消費者は、ここで日本の社会に触れ、日本の文化を体験し、そして日本の誇る商品と出会っていきます。 これは日本企業が世界へと飛び立つまたとない好機に他なりません。 そうした環境の中、これまでの中国メインランドにフォーカスする体制では、世界を目指す日本企業のより広いニーズにお応えすることはできないと判断。 東アジア、ASEANなどを視野に入れた世界規模で消費者情報をお届けするメディア『GLOBAL COMPASS』として生まれ変わることとなりました。 この名前に込めたのは単なるインバウンドビジネスの情報源となるだけではなく、日本企業がインバウンドを通じ、越境ECなどのツールを用いてより広い世界へと飛び立つ「アウトバウンド」へと駒を進めるための重要な基点となる事、運営会社・株式会社NOVARCAの掲げるvision「国境の先に、新常識を」を体現するメディアとなることを目指してのものです。 まだまだ世界を語るには未熟なメディアではありますが、皆様と共に日本と世界をつなげる懸け橋となれるよう努力、邁進していく所存です。 ぜひ変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。 旧中国トレンドExpress 編集長 森下智史 --- ### 急回復のインバウンド。 そのトレンドと予想、そして世界市場を語るウェブセミナー潜入レポ - Published: 2025-04-24 - Modified: 2025-04-24 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20250425-inbound-0325seminar/ - カテゴリ: インバウンド - タグ: インバウンド, セミナー, 特集-中国インバウンド最前線 2024年、日本のインバウンドは大きく回復した。訪日外国人数3,686万9900人。コロナ前である2019年を大きく上回り、その総消費額も8兆1,395億円と史上最高となった。 なかでも中国大陸からの訪日客数は急速に回復し、その観光消費力をも見せつけた。 しかし、思わぬ回復にそのチャンスをよりよく生かせずに終わっている企業も多い。 中国を中心とした海外への進出支援をしている株式会社NOVARCAがこうした企業に向け3月25日、「インバウンドツーリズムの最新トレンド2025年の大胆予測とオールバウンド戦略事例を徹底解説」と題したウェブセミナーを開催。 インバウンドの現状整理と分析から今後の予想、そして同社が提唱している日本企業が海外市場を取り込む仕組み「オールバウンド戦略」について熱く語った。 今回は150名以上が視聴する盛況イベントとなった同セミナーのポイントを紹介しよう。 <開催日> 2025年3月25日(火) <講師> 株式会社NOVARCA 代表取締役CEO 濵野智成 <視聴者数> 約150名 2024年のインバウンド市場~コロナ前との相違点とは ウェブセミナーでは冒頭、2024年のインバウンドの状況が振り返られた。 画面上にはJNTOが発表しているデータから訪日客数の多い国・地域をピックアップした資料が示される。 これを見ると、中国大陸(香港・台湾両地区を除く)が急速に回復しているのが見える。それを上回る状況を見せているのが韓国となっており、さらに台湾地区や香港地区という東アジア圏が続いている。 同時にわずかずつではありながら、フィリピンやベトナム、タイなどのASEANエリア、オーストラリアのオセアニアエリアの上昇が見て取れる。 ただ、こうした状況をNOVARCAでは月単位で見ているが「韓国、中国本土、そして台湾地区、香港地区、アメリカ、で主要10か国の約 80%を占めている。この図式は2019 年の 2 月からほぼ変わらない」と濵野社長は説明する。 自然、インバウンド対策も中国本土・台湾地区・香港地区・韓国などの東アジアを中心に展開されていくわけで、「それにアメリカと、今後ASEANがダークホース化してくる」と濵野社長は強調する。 「爆買いは終わった?」。新たなインバウンド消費の在り方の片鱗 インバウンドに対して期待されるのが消費、いわゆる「爆買い」である。 コロナ前には中国大陸からの訪日大量買いなどが盛んにメディアによって報道され、「爆買い」自体も流行語ともなった。 しかし新型コロナウイルスの世界的な蔓延によって一気に消失。 今回のインバウンド復活においてはこの「爆買い」の復活も一つの焦点である。 投影されたスライドをもとに濵野社長は「中国がナンバーワンで、21%のシェアを誇って(約1. 7兆円)、続いて台湾地区で1兆円、13. 4%、続いて韓国、米国、香港となっている」と現状を報告。 消費においても前述のように東アジア(中華圏と韓国)中心という図式は変わっていないようだ。 だが問題はその中身である。 中国大陸からの訪日客による消費、爆買い国としてはダントツでナンバーワンとなっているのがやはり中国大陸であるが、「19 年と比較すると中国からの化粧品購入額は約 3 分の 1 くらいの消費額となっている」(濵野社長)と指摘する。 その要因として挙げられるのが以下の4点だ。 新型コロナによって越境での販売チャネルが増えた結果、中国にいても手に入るようになっている 中国における市中免税の展開によって商品によっては日本より安く買えてしまう  嗜好品として成熟した結果、旅行消費の対象ではなくなっている  中国ブランドの台頭によるブランドリプレイス ただデータを見ると、それでも中国大陸からの訪日者の5割以上は化粧品を購入している。それはなぜなのか。 濵野社長は「日本でしか買えない限定観・特別感」だと説明する。 例えば欧米化粧品ブランドの日本市場における「日本国内限定版」などの動きだったり、日本市場独自で行われるIPコラボなどの「日本限定」だ。 こうした「日本国内でしか購入できない商品ゆえに訪日時に購入する」という訪日客の明確な購入理由が出来上がるのである。 また中国大陸の消費比率においては2024年で「アパレル消費」が伸びているというデータもあり、同時に医薬品に関しては台湾の購入金額大きいといったデータもある。 こうしたデータをもとにターゲット国を決めていくというのも必要だろう。 -ウェブセミナーの動画視聴に関してはこちらから- 2025年のインバウンドは~リピート率とニーズの細分化 では2025年、残り9カ月はどうなるか。 「訪日数は大きく上回ると予測」と濵野社長。 「万博もありで欧米系がやや若干増加するのでは。アメリカとかオーストラリアにおける民芸品とか化粧品などの購入の増加が期待される」としながらも「訪日消費額もランキングでは、中国がダントツトップを走るだろう」と語る。 しかし、注目すべきはリピート率だ。 例えば中国だと、初回比率は減っているものの、まだまだ初回比率の絶対数は多い。「人口におけるポテンシャルを物語っている」(濵野社長)。 一方で、韓国あるいは台湾地区、そして香港地区では、やはりリピート率がどんどん高まっている。そのため「コト消費」への消費傾向が強かったり、シーズンの分散的旅行といったりするものを好む傾向が強い。 このリピート客は我々がイメージする訪日観光とは異なることが多い。 その理由は以下の点だ。 初回ユーザーの方は、SNS 上に溢れているデータから二次的に情報を収集する、もしくはOTAなどの意見を聞きながら旅の意思決定をしていくため、ゴールデンルートであったり、みんなが買うような商品というものを買っていくという傾向が強い。 一方で、リピートユーザーはニッチ消費とかニッチ旅行ということで、より通な旅行している方々が多かったりする。 この状況に対し「こういった切り分けをしながら、インバウンドマーケティングを取り組んでいく必要がある」と濵野社長は力を込めて語る。 上記のように初回訪日が多い中国においても、リピーターが徐々にふえつつある。 こうしたリピーターと初めての訪日とは動機が全く違うというトレンドあるため、「訪日回数のセグメントターゲットというのも重要なポイントでありしっかりとデータとして押さえていく内容」(濵野社長)なのである。 そしてダークホースの存在だ。 ダークホース的存在を濵野社長は「 4 つの国でセグメントしているが、 1 つがタイ、そしてベトナム。最近フィリピンが上がってきているのと、オーストラリアも大きなポテンシャルを持っている」と感想を語る。 その背景にあるのは「買い物消費比率」である、「30%を超えてくると買い物消費が大きい印象」(濵野社長)であることから、その数値を追いかけていくのも重要だろう。 同時に広大な国土を持つ中国本土も、北京、上海、広州、深圳の1線都市からより地方の都市である2線、3線級都市からの増加が見込まれる。 こうした層は、いわゆる初回訪日であるケースも多くそのニーズ把握も必要となるだろう。 -ウェブセミナーの動画視聴に関してはこちらから- NOVARCAの「オールバウンド」とは。日本でも海外でもなく、世界で収益を上げる方法 拡大が見込まれるインバウンド消費だが「インバウンド・アウトバウンドと切り分けて考えていては市場開拓は上手くいかない」と濵野社長の言葉は厳しい。 そうした中、NOVARCAが提唱し続けているのが「オールバウンド」である。 オールバウンドとは何か? それについて濵野社長は「多くの会社でインバウンドは国内営業部や国内事業部、越境ECはEC 事業部やTR 事業部、一般貿易は海外事業部や国際事業部が行っているが、それぞれが縦割りになってしまい、分断されているという状況がある。これをしっかりとプロジェクト化していく、もしくはワンチーム化していくことがオールバウンド体制への第一歩」と語る。 -オールバウンドの概念についてはこちらからウェブセミナーの動画視聴を- つまりインバウンド(訪日向け)とアウトバウンド(越境EC)で同一商品を売りながら、セクションが異なるために情報共有ができていなかったり、カニバリズムが起こったり、逆にそれを恐れて施策が打てないというケースが多くある。 そうしたことが起こらないよう、まずは日本と対象国、双方を視野に納めて、情報連携を密にしながら収益を得る点を見出す。インバウンド・アウトバウンドのモデルを合わせた組織全体で収益を上げる方法なのである。 その理由を「日本がショールーム化している」と濵野社長。 日本に来ている消費者に対して、実際の商品体験や広告など、どういう接点を持ってサービスを適用するか。その評価によって国外での消費者が増えていくというサイクルを創り出すのが理想なのだ。 そのなかでは「ショールム化されているのがインバウンド。そこに力を注ぐのはGLOBAL戦略の推進とニヤリーイコール」(濵野社長)となる。 事実インバウンドがきっかけで火が付いた商品も多い。 そこからアウトバウンド体制を造り上げれば、インバウンド経由からアウトバウンドで収益を得ることができる。 その組織が一体化できていれば、まさに「会社一丸となって利益向上を実現できる」わけである。 新キーパーソン「KOS」の動きにも注目 最後に、このオールバウンド体制で注目をしておきたい存在が「KOS」であると濵野社長は説明する。 濵野社長は「KOSとはキーオピニオンセラーと我々は呼んでいる」と語る。 KOLはウェブマーケティングにおいて存在感あるものの、やはり広告費をもらってプロモーションしているという傾向が強く、消費者心理を考えると消費に結びつくまでに複数のプロセスを経るのが一般的。 それにたいしてKOSは商品を自分で調達して販売する存在。いわば自身で在庫リスクをおっているため、商品を正しく売り続けるためにより公正な情報発信をする。 「そのためにより信頼性が高い」(濵野社長)のである。 このKOSをうまく活用すること、例えば、在日KOSの方々にポップアップ会場に来てもらう、もしくは百貨店の常設店舗に来てもらうことで、そこでクチコミを発信してもらうことで購入、来店の促進をしていくという点においては従来のKOLなどとは変わらない。 違いはそのあとである。 ブランド企業、主に越境 EC のハンドリングをしていくわけだが、 KOL の中では店舗を持ってるケースもあるため、NV社にそのハンドリングも委託しながら、この KOS(KOLでも店舗を持つケースも含まれる)によって越境ECのチャネルを広げ、ターゲット消費国の消費者への販売を加速していくもののである。 1時間程度のウェブセミナーであったが、KOSに関しての事例も語られ、濃密な時間となった。 ウェブセミナーの最後には、「予算が限られている中、アウトバウンドも視野に入れつつこのキーオピニオンセラーなどを活性化させ、そこで得た収益を、しっかりとインバウンドに還元させていくようなコストアロケーションというのも重要」と濵野氏は強く語り、ウェブセミナーは締めくくられた。 単純に「日本に来た人へ売っていく」だけのインバウンド施策ではなく、よりグローバルな視点の中で「インバウンドをどう活用するのか」。そこが商機の分れ目となる時代へと入ったのである。 本ウェブセミナーでは上記について実際の企業例を含めて詳しく語られた。ウェブセミナーの動画視聴に関してはこちらから。 --- ### インバウンドの現在と未来について語るセミナー「インバウンドとグローバルマーケティングのこれから〜国境の先に、新常識を〜」レポート - Published: 2024-11-29 - Modified: 2024-11-29 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20241129-inbound-seminar/ - カテゴリ: インバウンド - タグ: インバウンド, セミナー, マーケティング, 越境EC 2024年9月25日、東京都千代田区にあるグロービス経営大学院 東京校にて、NOVARCA主催のセミナー「インバウンドとグローバルマーケティングのこれから〜国境の先に、新常識を〜」を開催しました。この記事では、セミナーの内容をほぼ全編ご紹介。当日来られた方も、来られなかった方も、インバウンド業界の現在と未来について考えてみませんか? <モデレーター> 株式会社NOVARCA 濱野智成 代表取締役社長CEO <登壇者> 花王株式会社 野原聡氏 ヘルス&ビューティー事業部⾨ ヘアケア第1事業部 ブランドマネージャー DX推進リーダー 資生堂ジャパン株式会社 谷川有加氏 Transform戦略推進部 部⻑ 大正製薬株式会社 宍戸正臣氏 マーケティング本部⻑ 株式会社三越伊勢丹 近藤詔太⽒ 取締役執⾏役員 営業本部 伊勢丹新宿本店⻑ 登壇者のご紹介 濱野 まずはそれぞれ自己紹介をお願いします。 花王株式会社 野原聡氏 ヘルス&ビューティー事業部⾨ ヘアケア第1事業部 ブランドマネージャー DX推進リーダー 野原 花王の野原と申します。今、シャンプーなどのヘアケア製品や、お風呂で使うインバス製品の事業責任者をしております。普段は日本人向けマーケティングを担当しております。 実はその前に中国花王に駐在しておりまして、その頃からどうやって日本発の商品を中国で売っていくかということに取り組んで参りました。現在も国内のマーケティングをやりつつ、インバウンドに向けたチャレンジをやらせていただいております。 資生堂ジャパン株式会社 谷川有加氏 Transform戦略推進部 部⻑ 谷川 資生堂ジャパンの谷川と申します。日本事業のTransform戦略推進部で、事業戦略や事業企画を担当する責任者を務めております。2024年7月にツーリストマーケティングチームを発足しまして、そこからインバウンドに深く関わらせていただいております。 大正製薬株式会社 宍戸正臣氏 マーケティング本部⻑ 宍戸 大正製薬はあまりこういう場に出ることがない秘密主義な会社なんですが、濱野社長とのこれまでのご縁もあり、濱野社長の顔を立てて登壇させていただきました(笑)。 私はマーケティング本部で責任者をやっているんですけど、とにかく国内のマーケターがゼロサム思考過ぎると考えています。国内の需要が伸びないから競争戦略を取ろうと。だから新製品を出したら競合より少し安く売ってみませんかと。馬鹿なことを言うなと。日本のマーケターは絶対ポジティブサムにならないといけません。その際、どこに機会を見出すのかというのが責任者として決める必要があり、バジェットをアロケーションするわけです。 そういう意味では、インバウンドはマーケターをポジティブサムに切り替える、ものすごいチャンスだと思っています。 株式会社三越伊勢丹 近藤詔太⽒ 取締役執⾏役員 営業本部 伊勢丹新宿本店⻑ 近藤 現在、伊勢丹新宿店の店長をやらせていただいております。本日はマーケティングに携わる方が多くいらっしゃると思いますが、私はそういうことに携わったことがほとんどありません。入社30年目になりますが、そのうち25年間は百貨店で紳士服を担当しておりました。 ですので、今日どんな質問が来るのかドキドキしています。一方で、コロナ禍が明けてインバウンドの売上は伸びていますし、課題もいろいろありますので、自分も気付きが得られるのではないかと楽しみにしております。 株式会社NOVARCA 濱野智成 代表取締役社長CEO 株式会社NOVARCA 笹川剛志 執行役員 ブランドサクセス本部長 インバウンド市場の最新状況 10か国・地域の2024年8月までの訪日観光客数推移 濱野 まずはインバウンドの最新事情について、私からお話させていただきます。2024年8月、中国が韓国を抜きまして、グッと伸びてきているという状況です。 10か国・地域の訪日客数の比率 訪日客数では、韓国、中国、台湾、香港、アメリカの5エリアで90%を占めています。これはファクトデータなので、インバウンドでどこをターゲットにするかというと、まずはこの5エリアが重要になってきます。 またASEANもすごく伸びております。8月はベトナムがグッと伸びているということも観測されております。総じて、アジアおよびアメリカはとても大事なターゲットになってくると思います。 10か国・地域の訪日消費金額とその比率 消費額でも、同じく5エリアで80%を占めているという状況です。インバウンドを見ていく上ではこの5エリアはとても重要ですが、私は次のダークホースはどこなのかということを見ております。意外とベトナムやタイ、シンガポール、フィリピンあたりが伸び始めている状況であるということは、しっかりと捉えていいのではないかと思います。 小紅書「訪日ショッピング」クチコミ数の推移と2024年Q2訪日消費状況 このデータは、左は口コミのビッグデータ、右は在日外国人の費目別旅行消費額となります。消費額のなかでも、買い物と買い物以外に切り分けていくことが大切で、その観点で見ていくと、中国は消費総額が4,420億円に対して、2,200億円と約半分近くが買い物に使われているという特徴がございます。 一方で、同じく消費金額が大きいアメリカを見てみますと、消費総額2,781億円に対して買い物が433億円で、約20%くらいということになります。1,200億円が宿泊費に使われていたり、飲食代に600億円が使われているということで、買い物よりもそちらのシェアのほうが大きい。買い物を目的とされているのはアジア方面となり、メーカー様にとっては今後大事になってきます。 中国大陸における訪日観光の潜在性と航空便回復状況 今後の伸びしろですが、パスポート人口やビザの解禁状況みたいなことを鑑みると、やはり中国が大きいということが言えると思います。 小紅書における「訪日目的地」投稿と「訪日ショッピング」投稿の件数推移 最近よくモノ消費かコト消費かと言われますが、中国のショッピング需要と目的地需要の口コミビッグデータを解析したところ、絶対件数ではまだ買い物のほうが大きいことがわかります。 これは⼩紅書という中国のInstagramのようなSNSのデータです。訪日観光と目的地に関する口コミ投稿が8月ベースで7,800件、買い物に関する投稿というものが8月ベースで1万2,000件と、かなり差があります。すなわち、買い物のシェアのほうが大きいということになります。 コト消費に流れていっているからモノ消費がなくなるということではなく、モノ消費もどんどん伸びています。ただし、コト消費に比重が置かれてきているトレンドがあるというのは事実なので、モノを買っていただくためには、きちんと消費"体験"を演じていかないと、モノが買われなくなってくるという現象が起こっています。 (さらに... ) --- ### 2024年ダブルイレブン​ オープンデータと​ クチコミ分析から見た​ 戦況概要​ - Published: 2024-11-15 - Modified: 2024-11-15 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20241205-2024w11/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: 人気ブランド, 注目ニュース, 越境EC 歴史上「最長」の2024年W11(ダブルイレブン)。 SNSプラットフォームの勢力図の変化や、政府補助政策の影響、消費者心理の変化などが大きく反映された2024年のW11。この記事では、スキンケア市場の動向、主要ブランドの戦況、さらにはライブコマースの成長について、ビッグデータやクチコミ分析を通じて2024年のW11がどのように進化したのか、詳しく掘り下げていく。 2024年W11総括 抖音の商戦PRが急増。同時に行政のW11後押しも (さらに... ) --- ### 2024年国慶節 中国訪日観光 クチコミレポート - Published: 2024-10-10 - Modified: 2024-10-10 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20241205-inbaund-2024guoqing/ - カテゴリ: インバウンド, 中国(台湾エリア、香港エリア含む) - タグ: インバウンド, クチコミ分析, 中国, 中国(台湾エリア、香港エリア含む), 特集-中国インバウンド最前線 中国の大型連休「国慶節」(10月1日)。 2023年は中国国内が処理水問題に沸いた直後ということもあり雰囲気的には「訪日自粛ムード」であったが、それに比して2024年は堂々と訪日観光を楽しめた環境であったと推測される。 その中で中国SNS(RED)の口コミをもとに、2024年の国慶節における訪日旅行の動向をレポート形式で紐解いていく。 2024年国慶節観光概況 国慶節前、高まる観光ニーズ 2024年の国慶節、海外では中国経済の低迷が注目されており、その消費動向を占ううえでも注目されているイベントであった。 中国の公的メディアやOTA(旅行予約サイト)などの発表によると、9月時点から国慶節の旅行ニーズが盛況である旨は多く伝えられていた。 こうした報道によると国内旅行の人気も高く、「四川省成都市」をはじめ、「北京市」、「上海市」などの大都市、「陝西省西安市」、「湖南省長沙市」など活力のある都市が人気になっている。 また海外旅行も人気だが、ほぼすべてのOTAから「日本旅行がもっとも人気」との発表がなされており、「タイ」、「韓国」、「マレーシア」などのアジア圏内と共に海外旅行の人気を牽引している様子が見える。 https://news. e23. cn/guonei/2024-09-24/2024092400264. html 2024年国慶節の観光状況は 実際にその国慶節における消費が10月8日に発表されている。それによると観光に出かけた人数は延べ7. 65億人と2019年のコロナ前に比べて10. 2%増加を見せている。旅行消費においては総額で約7000億元。こちらも2019年比で7. 9%の増加と発表されている。 海外に向けての動きとしては期間中の出入国者数はのべ1309. 8万人で、2023年同期間の25%増を見せた。コロナ脱却後の海外出国ブームが続いている様子である。 国内旅行では各地の賑わいが報じられ、ややオーバーツーリズムの様子も報じられている。 (さらに... ) --- ### 中国の主力消費者たる「早八人」たちの メイクトレンドとは? - Published: 2024-06-10 - Modified: 2024-06-10 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20240610-chinamake-research-2/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: クチコミ分析, コスメ, 中国, 人気ブランド, 人気商品, 社会トレンド分析 素顔メイクが広がりつつある中国のメイクトレンド。 それを牽引しているのが「早八」と呼ばれる層である。 言われてしばらく経つ言葉ではあるが、今、その存在感をコスメ業界でも強めている風潮が所々に見られている。 今回は前回の素顔メイクトレンド隆興につづいて、それを牽引している中国の「早八」と言われる消費者を中心に、そのニーズを見て行こう。 ▼前回の記事 新型コロナウイルス後の中国 メイクアップトレンドはどう変わる? 早八人(早八党)とは? 中国の素顔メイクトレンドを見るために、中国の重要なワード「早八人(もしくは早八党)」について理解しておこう。 同ワードはすでに2022年前後にはネット上に登場しているキーワードで、当初の意味としては「早朝8時の第一限目に間に合わせる女子大生」といったニュアンスだった。 つまり朝早く飛び起きて、急いで投稿する人たちという意味である。 それが徐々に大人になり、就職するようになるとそこに朝出勤する人たちも含まれる。 特に北京や上海などの大都市では、ホワイトカラーの多くは「鎮郷結合部」と呼ばれる郊外に住むことが多く、都市中心部に出るまでに時間がかかる。 そのためにどうしても早く起きて家を出ねばならない。 子供がいればそこに子供の登校の送り迎えが加わるため、朝はとにかくバタバタする。 そうした生活を送っている女性たち、ということである。 小紅書における「早八人(早八党含む)」のクチコミワードを見てみよう。 【表】小紅書における2023年「早八人(早八党含む)」のクチコミワード 出所:株式会社NOVARCA調べ 【表】小紅書における2024年Q1「早八人(早八党含む)」のクチコミワード 出所:株式会社NOVARCA調べ 見てわかるように、主力は通勤族、学生たちである。 そして「素顔」というワードが2023年通年、2024年Q1でも上位に見え、素顔メイクを牽引しているのが見える。 理由は至極明晰で、朝短時間でパッとメイクをして外出する必要があるためである。 そしてそのメイクでは「口紅」、「アイライナー」に混じって「ベースメイク」が上位に見える。 ほぼスッピンに近い状態のメイクであるからこそ、ファンデーションなどの肌を美しく見せるメイクは非常に重要である。 一部の業界では「2024年はベースメイクの年になる」などと言われるゆえんである。 ちなみに「早八人」たちは大学生からホワイトカラー層で、いうなればメイクトレンドに敏感で、新しい流行を作り出す世代。 小紅書でも、このキーワードの投稿が増加しているのが見える。 【グラフ】小紅書における「早八人(早八党含む)」のクチコミ投稿件数推移 出所:株式会社NOVARCA調べ 2020年以降、新型コロナによる巣ごもり生活。その転換後はフルコロナと登校、出社の機会はなかったが、社会の正常化と共に「早八」たちの活動も増え、彼女たちをターゲットにしたマーケティングも活性化していると考えられる。 そのため、今後も「早八」たちの気持ちを理解する必要が生じるだろう。 (さらに... ) --- ### 新型コロナウイルス後の中国 メイクアップトレンドはどう変わる? - Published: 2024-05-31 - Modified: 2024-05-31 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20240531-chinamake-research/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: コスメ, マーケティング, 中国, 社会トレンド分析, 越境EC 歌は世につれ世は歌につれ... などというのは昭和歌謡の定番文句だが、時代と共に変わるもののひとつに「女性のメイクトレンド」というものがある。 特に猛スピードで変わり続ける中国では、メイクトレンドの移り変わりも早く、消費者たちも敏感。常に情報アンテナを立てて生活している。 株式会社NOVARCAでは中国版Instagram「小紅書(RED)」のクチコミ分析ノウハウを用いて、2023年そして2024年の第1四半期のメイクスタイルのクチコミ分析を試みた。 中国のメイクトレンドを小紅書クチコミから考える。 日本でも「華流メイク」などという言葉や、中国メイクアップブランドの代表格「完美日記(PerfectDiary)」、「花西子(Florasis)」の日本進出などによって、中国のメイクも一部で受け入れられ始めている。 そんな中国のメイクトレンド、今回調査したキーワードと期間は以下の通りである <キーワード>  妆容|妆容风格 网红妆  素颜妆  早八人妆容  日系妆容  韩系妆容 <期間> 2023年1月~2024年4月 その中でも日本でよく知られたのは「網紅(ワンホン)メイク」だろう。 今は中国では日常に溶け込んでいる「種草」や「ライブコマース」を牽引したKOLたちのメイクアップのスタイル。 それが今、どうなっているのかが気になるところ。 まず小紅書上における「メイクスタイル」に関する投稿だが、2023年1年間で約530万件もの投稿件数を誇っている。 数値を見ると、やはり新型コロナの蔓延が終了した2023年3月以降増加を続け、2024年4月の時点では1ヶ月で80万件が投稿されている。 【グラフ】小紅書「メイクスタイル」投稿件数の推移 出所:株式会社NOVARCA調べ 2月に下落が見えるのはその月が春節に当たり、KOLなどの専門発信者たちが春節休暇などで発信をしなかったりというのが影響している。 そのかわり春節後の3月、特に3月8日の「3. 8婦女節」のキャンペーンなどで急増しているわけである。 ではどんなことがつぶやかれていたのか、キーワードランキングを見てみよう。 (さらに... ) --- ### 日本円レートの急変動 小紅書クチコミから見る中国消費者の反応とインバウンド - Published: 2024-05-27 - Modified: 2024-05-27 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20240525-inbound-red/ - カテゴリ: インバウンド - タグ: インバウンド, クチコミ分析, 特集-中国インバウンド最前線, 社会トレンド 2024年に入り中国からの観光客も徐々に増加中、2024年4月に至っては50万人を超え、月単位では2019年の7割を超えた。中国からのインバウンドにおいていろいろと話題は絶えないが、4月に至って大きな話題を呼んだのが「日本円レート」の急落である。 相対的には人民元の価値が上がったわけであるし、海外からの観光客にとっては喜ばしいことのはずなのだが、中国版Instagram「小紅書(RED)」のクチコミからは悲喜こもごもの様子が見える。 株式会社NOVARCAが毎月発行している「インバウンド月次クチコミレポート」から中国SNSから見える日本円レート変化の反応を見てみよう。 クチコミから見る4月までの訪日観光 まず2024年4月までの訪日観光に関するクチコミ件数を簡単に振り返ってみよう。 【グラフ】中国人訪日観光客の推移 出所:JNTOの発表をもとに株式会社NOVARCAにて作成 2月の春節というインバウンドシーズンは過ぎたものの、「日本観光」に関す投稿は増加を続けており、4月には7万7000件に達した。この件数は処理水問題によって日本が大きな批判を浴びた2023年8月の7万件を上回る件数となっている。 内容を大別すると1つは「日本観光へ行きたい人」の情報収集、「行った」人の心得やショッピング共有、またKOLやKOCの日本商品や日本観光スポットのPRなど、多様なものが多い。人肉代購(ハンドキャリー代購)の投稿も相変わらず多い。 また4月には清明節の連休があった。 春節は1週間から有休なども併せて10日ほど取るためにヨーロッパや中東などに出かける消費者も多いが、清明節などは3日から4日程度であるため、海外旅行でも東南アジアなどの近隣が多い。 そのなかに、2024年はようやく日本が加わっている。 日本旅行ブームの中で訪れた日本円レートの暴落 日本円と米ドルのレート変動と小紅書における日本円レートに関する投稿数を比較してみた。 【グラフ】2024年4月の小紅書「日本円×レート」投稿件数と「円-ドルレート」の推移 出所:株式会社NOVARCA調べ これを見るとやはり日本円の値下がりと共に投稿件数が大きくなっている。 そして、4月末に1ドル160円に近付き、まさに最安値をつけようとしている際に、小紅書上のクチコミもMAXに達している。 (さらに... ) --- ### 3年間で変わるニーズ、変わる「爆買い」 中国SNSから見る中国訪日観光客の「ショッピングニーズ」とは? - Published: 2024-04-22 - Modified: 2024-04-22 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20240422-inbound-trend/ - カテゴリ: インバウンド, 中国(台湾エリア、香港エリア含む) - タグ: インバウンド, マーケティング, 中国, 中国(台湾エリア、香港エリア含む) 2023年に新型コロナ関連の入国手続きが変わり、インバウンドが再開となった日本。すでに多くの外国人が訪れ始め「インバウンド復活」を感じさせている。 しかし、いまひとつ物足りなさを感じるのはコロナ前には最大の人数と消費金額を誇った中国からの入国者数だ。 特にインバウンド復活による「爆買い」を期待する声は大きい。 では実際に爆買いは復活するのか? コロナ前ではなく、「今の中国消費者」のニーズを中国SNSから拾ってみると、コロナ前とは異なる、新たな訪日観光ニーズが見えてくる。 今回は本格的な「戻り」を感じさせた春節期のクチコミから見てみよう。 波乱はあったものの中国消費者の日本旅行ニーズは高い まず、気になる中国人訪日観光客の戻りである。 こちらはJNTOの公的数値を見て行こう。 【グラフ】2023年1月から2024年3月までの中国(メインランド)訪日観光客数推移 出所:JNTOの定期発表をもとに株式会社NOVARCAにて作成 これを見ると、2024年2月の春節シーズンには2019年同月比で60%まで回復、それが終了した3月に至っても2019年比で60%を保ち続けていることが見て取れる。 「わずか6割」ともいえるが、1年前に比べると極めて短期間で急拡大していることがわかる。 さらに2023年8月には訪日団体旅行の取り扱いが解禁されたにもかかわらず、「処理水問題」が発生し、訪日観光をしにくい状況が生まれた(株式会社NOVARCA『日本の処理水海洋放出に関する中国SNS定点観測報告』参照)。 にも拘わらず、これだけの数の消費者が日本を訪れている。 さらに2024年4月7日報道においても「清明節短期休暇」の旅行、大手旅行代理店である「飛猪(Fliggy)」は人気目的地のひとつとして日本を上げている(https://www. ebrun. com/20240407/545425. shtml)。 日中間にはいろいろにはあったが、中国消費者にとっては3年たってもやはり日本は「行きたい」、「行きやすい」人気スポットなのである。 日本にとってはありがたい話だろう。 このあたりのニーズは、先日株式会社NOVARCAが行ったインバウンドセミナーで述べられているので参考にしていただきたい。 (さらに... ) --- ### 【インバウンド】プレイバック2019 コロナ前、中国消費者は日本でどこへ行き何を買っていたのか - Published: 2023-02-17 - Modified: 2023-02-17 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20230217-inbound-trendviewer/ - カテゴリ: インバウンド, 中国(台湾エリア、香港エリア含む) - タグ: インバウンド, マーケティング, 中国, 中国(台湾エリア、香港エリア含む), 人気商品, 特集-中国インバウンド最前線 【インバウンドウェビナーのお知らせ】 中国インバウンド復活に向けた先行的打ち手とは? 〜トレンド予測と需要開発に向けて〜 回復が見込まれる中国からの訪日観光。 それに向けて日本企業は何をすべきか? 現状の整理・把握と独自調査をもとに、 株式会社NOVARCAの濵野代表が新たなインバウンドについて語ります。 お申し込みはこちら 期待されるインバウンドの復活。 現時点では中国からの訪日観光客の明確な戻りはないが、一部、マルチビザを取得している消費者などの入国がある様子である。 さらに1月26日には日本で新型コロナウイルスの感染症レベルを「2類」から季節性インフルエンザなどと同等の「5類」への引き下げ方針が発表される。 またさらに「2月中に水際対策の緩和」との報道がなされるなど、2023年に入ってから、大きな変化が続いている。 しかし中国からの訪日観光客が途絶えて3年。そのころを知る人たちの記憶も薄らいでいる。またビジネスの現場においても社内のインバウンドチームが休眠状態に入り、スタッフも各他部門に分散されたりといった事も耳にする。インバウンドの知見を新たに思い起こす必要性に駆られているのである。 そこで今回はかつて株式会社NOVARCA(旧トレンドExpress)が提供していたクチコミデータバンクから、2019年当時の人気スポットと人気商品を振り返ってみよう。 春節データから見る中国消費者の観光状況 2023年1月30日、中国国家移民管理局制作法規司の林勇司長が、2023年春節シーズンの出入国状況を発表した。 それによると1月21日から27日までのいわゆる春節シーズンにおいて、全国移民管理機構ではのべ287. 7万人の出入国を確認したとしており、前年の春節シーズンの120. 5%に達しているとしている。 そのうち、出国者数はのべ144. 3万人としているが、そのうち74. 1万人が中国大陸内に戸籍を有している者。つまりは何らかの目的で海外へ出かけた中国消費者と考えられる。 目的地として最も多かったのがマカオで、のべ49. 8万人。次いで多かったのが香港10. 4万と、2つの特別行政区への移動が多かったとしている。 こうした中国での出入国状況、旅行予約アプリ上でもデータとして現れている様子である。 旅行アプリ大手の同程旅行のデータでは2023年春節シーズンにおける出国チケット予約件数は前年比の258%。また中国への入国チケットは同じく632%。海外のホテル予約件数も前年の177%に達した。 また最大手である携程(C-Trip)でも国際エアチケットは昨年の4倍以上に増えており、その人気の目的地はバンコク、シンガポール、クアラルンプール、チェンマイ、マニラ、バリ島などとなっている。 ただ残念ながら、人気渡航先に日本は入っていない。 周知のとおり、日本が比較的厳格な水際対策を実施しており、中国消費者はそのわずらわしさを避けていると考えられる(中国国内に設置されている大使館、領事館ではビザの取り扱いを開始している)。 中国では2月6日から海外向け団体旅行の取り扱いが解禁となったが、その中にも日本は含まれていない。 とはいえ、日本政府は1月27日に「5月8日から感染症レベルを現在の2類から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げる」と発表。 さらには冒頭で述べたように「2月中に水際対策も緩和する」という方向性が日本メディアによって報道された。 これらの日本の動きは中国の報道でも取り上げられ、日本への観光開始への期待が高まっている状況。 すでに小紅書(RED)などを見ると、現地旅行社や日本国内のランドオペレーターなどが日本の花見観光などを紹介する投稿が増えており、3月末の花見シーズンごろには徐々に日本への観光目的での渡航が始まるのではという予感を与えている。 ただ、日本でも騒がれた「日本で島を購入した中国人女性初上陸」のニュースに見るように、5年ビザや経営・投資ビザを所有できる富裕層以上の消費者層は、徐々に往来が始まっており、訪日インバウンドは水面下ではすでに始まっていると考えていい。 2019年、中国消費者はどこへ行っていたのか こうして徐々にではあるが戻りつつある、もしくは復調が期待される中国からの訪日観光。 しかし、3年という年月で中国消費者が何を求め、どこへ行っていたのかを知る日本企業のスタッフも少なくなってしまっている。 (さらに... ) --- ### 【column】どうなるインバウンド、どうなる中国市場 ~年末年始の大転換を整理する~ - Published: 2023-01-06 - Modified: 2023-01-06 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20230106-chinamarketing-inbound/ - カテゴリ: インバウンド, 中国(台湾エリア、香港エリア含む) - タグ: インバウンド, 中国, 中国(台湾エリア、香港エリア含む), 人気スポット, 人気商品 2022年の年末(11月末から12月)から2023年の年始は世界の耳目が中国の一挙手一投足に集中した時期だったと言えるだろう。 約3年の長きにわたって継続してきた「ゼロコロナ(動態清零)」から、一気に事実上の「Withコロナ」へと急展開。 その動きには外で見ていた我々だけではなく、中国国民も戸惑い、混乱を見せていた。 そしてさらに12月末には中国への入国、出国の条件が緩和。 わずか1ヶ月程度の期間に一気に中国社会が大きく変わっていったのである。 もちろん中国からのインバウンド回復への期待も高まるが、その体制を整えるためにも2023年の始まりの段階で、中国で何が起こったのか、一度頭を整理しておこう。 コロナ政策の急転換とその混乱を整理する 始まりは急激だった。 中国政府はこれまで陽性診断を受けた場合はすぐに隔離、付近の封鎖と周辺住民すべてにPCR検査が行われてきたが、2022年12月5日ごろから「新型コロナウイルスのオミクロン株は毒性が弱まった」として、エリア単位での住民全員のPCR検査や健康コード、移動コードなどの施策を次々に撤廃。 陽性患者に対しても「在宅療養で治癒する」として、隔離も行わないこととなった。 事実上のウィズコロナへの転換であった。 その派生で起ったのがオミクロン株の蔓延と風邪薬パニックである。 それが日本でも報道された日本の風邪薬や解熱薬の爆買いという現象として波及したわけである。 特にこれまでのゼロコロナ政策による陽性者隔離によって、身近に陽性経験者がおらず、その治療方法なども知らされていなかった消費者が多くいたことが、国民の不安を煽り、薬の買い占めに様な状況が起こってしまった。 筆者もオミクロン株発症の経験がある者として、12月は中国の友人などに発症時の症状やその対応、注意点などを教えて過ごすこととなった。 『中国トレンドExpress』では、こうした中国の方針転換と風邪薬、解熱薬パニックの状況に関しては別途分析、レポートという形で提供する予定であるが、そうした騒動も継続中ではあるが、発症から治癒した消費者の増加(中国のネット上では「陽康」と呼ばれる)によって、徐々に落ち着きを見せている。 一定レベルで中国が門戸を開放する下地が、緩やかながら整ったのである。 そして発表された「海外」への道 国国家衛生健康委員会は2022年12月27夜、2023年1月8日から新型コロナウイルスの呼び名を従来の「型冠状病毒肺炎」から「新型冠状病毒感染」へと改め、その伝染病レベルを最上級の「甲类伝染病」から「乙类」に下げると発表。 それによって従来の最高レベルでの伝染病対策は必要なくなり、ワンランク下げた管理へと移行。 それに伴い中国入国における集中隔離が必要なくなったとの発表が、国の防疫部門からなされ、1月8日から入国に際して、48時間以内のPCR検査の結果が陰性であれば、入国時の隔離が無くなる。 また陰性証明に関しても固定の様式が廃止され、医療機関の検査結果であれば認められる状況となる。 同時に国家衛生健康委員会は26日深夜、新型コロナ伝染病階級を下げたことに伴い、「中国国民の旅行目的での海外渡航を徐々に回復させる」との発表があった模様。 (これまでは「必要がない限り出国しない」という方針) 国家移民局も1月8日以降、中国国民の出国旅行、知人訪問に関する一般パスポート申請の受理を再開すると発表しました。 また香港、澳門地区への通行証なども再開し、一般的な人の来往を回復させていく模様 これらの施策によって、約3年間続いていた中国のゼロコロナによる出入国制限は緩和され、中国消費者の観光目的での海外出国、また海外在住者の中国入国の障壁がほぼなくなったわけである。 (さらに... ) --- ### 【column】隠れた中国スキンケアブランドをクチコミ分析~中国機能性スキンケア市場に挑むには - Published: 2022-12-16 - Modified: 2022-12-16 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20221216-chinacosme-quadha/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: コスメ, コスメトレンド, マーケティング, 中国, 社会トレンド 中国のスキンケア市場は成長とともに進化を続けている。そして同時に、中国の消費者も成熟の度合いを増してきている。 そうした市場において、企業は何が必要なのか。どういったマーケティングを行うべきなのか。 そのヒントを、2022年の中国スキンケア市場において、ビッグネームの影で着実に成長してきた中国ブランドを分析するところから見て行きたい。 隠れたダークホースブランド「QUADHA」 先のダブルイレブンにおいて、コスメ領域で中国ブランドが引き続き存在感を見せている。 2021年ごろまでは、主にメイクアップブランドが台頭し、618やダブルイレブンT-Mall売上上位に中国ブランドが複数登場していた。 だが、2022年に入り欧米系の巻き返しや、リーディングと見られていた「完美日記(PerfectDiary)」が“息切れ”を起こすなど、持久力の弱さという欠点を見せてしまった。 結果、「花西子」は上位にい続けるものの、それに続くブランドが育たず、欧米系にランキングを占められる状況に陥っている。 しかし変わって注目されているのがスキンケアである。敏感肌市場を押さえた「WINONA」、618で急躍進したアンチエイジング化粧品の「PROYA」は、2022年のダブルイレブンでもトップ10入りを果たし、徐々にそのランキングを上げている。 さらに、このランキング外でも注目の中国国産スキンケアブランドが伸長を見せている。 それが「QUADHA(中国名:夸迪)」である。 同ブランドは2014年に成立したスキンケアブランドで、主にヒアルロン酸を成分とした機能性スキンケアとして展開している。 特徴的なのが主力商品。化粧水や乳液といったボトルタイプのスキンケアではなく、1回使い切りタイプの小さな容器が30本ワンセットなどで販売されているという点である。 もちろん、商品のラインナップでは「肌のハリ」や「ニキビ予防」といった、目的別の機能を備えた商品が開発されており、消費者は自身の肌状態に合わせて商品を選ぶことができるようになっている。 また注目しておきたいのは、同ブランドの運営企業である「華熙生物科技」。 2000年にバイオテクノロジー企業として成立、主にヒアルロン酸の研究に注力し、2007年には世界でも有数のヒアルロン酸企業に成長している(同社ホームページより)。 現在はスキンケア商品だけで「潤百顔」や「QUADHA」をはじめとして、13ものブランドを開発、展開。 さらには医療領域や医療美容、機能性食品をも開発しているという、ヒアルロン酸応用研究・開発における国内トップクラスの企業である。 同ブランドは一部では「値段が若干高め」という声もあるが、中国有数のヒアルロン酸研究の成果を詰め込んで開発されたブランドという事ができる。 (さらに... ) --- ### 【考察】最大商戦に何が起こったのか?2022年ダブルイレブンを振り返る - Published: 2022-11-18 - Modified: 2022-11-18 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20221118-w11-customer/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング 2022年も最大商戦であるダブルイレブンが終了した。しかしその様相は、大きな変化があった前年を超えるほどの変化、調整がなされる状況であった。 公的発表の少ない状況の中で、中国の専門メディアで報道されている内容を拾い集めながら、2022年のダブルイレブンの状況を予測してみた。 2022年のダブルイレブンを振り返る 2022年のダブルイレブンは昨年に引き続き異例だった。 毎年、11月10日の夜には最大手のアリババが、複数のテレビ局やオンライン動画サイトと連携して「ダブルイレブン前夜祭」を開催。 中国だけではなく、世界のトップクラスのスターが結集し、さも日本の年末イベントの様な大型番組を放送していたのだが、2022年に関しては開催されずに、昨年に増して静かなダブルイレブンとなった。 また2022年のダブルイレブンにおいて「GMVの発表はしない」との公式発表があったのも異例であった。 結果T-Mallは「稳中向好,交易规模与去年持平(安定しながらも好調。交易規模は昨年とほぼ同じ)」とだけ発表しており、昨年の5403億元と同規模、もしくは増加があったとしても微増と考えられ、5400~5600億元程度ではなかったかと予想される。 ちなみに、星図数据は独自のビッグデータ解析を用いて、10月31日20:00-11月11日23:59におけるすべてのプラットホーム(総合EC、ライブコマース、社区団購、新型EC)総合のGMVを1兆1154億元(昨対比13,7%増)と予想。 そのうち、T-Mall、JD. comを含む総合ECプラットホームでは9340億元、昨対比2. 9%増の微増と見ており、トップは変わらずT-Mallであったとされている。 また注目のライブコマースにおいては総合金額で1814億元を売り上げ、プラットホームにおいては抖音が点淘(Taobao Live)を抜いて首位に立ったと分析をしている。 中国の消費動向でもっとも注目されるのがコロナの影響である。ゼロコロナ政策のもと、厳しい行動制限が行われ、それによって経済が停滞、消費も滞るのではないかとの予測が出ていた。 今回は明確なGMVが発表されなかったことで、日本のメディアも含め実際よりも消費の停滞(GMVの下落)を予測する声も大きい。 中国国家郵政局の発表によると11月11日当日の取り扱い小包量が5. 52億個、昨年比で20%以上も下落したことから、中国国内においても消費の下落を予測する声もある。 仮説にすぎないが中国におけるコロナは一定の影響を与えたと考えられるが、T-Mallの「昨年と同レベル」というのはある程度納得のいく数字であると考える。 経済的に影響の少ない富裕層にとっては海外旅行などができなかったことによる、いわゆる「リベンジ消費」が発生し、ハイエンド商材に関する消費が発生した可能性が高い。 また経済的な影響を受けた消費者にとっては、ダブルイレブンはもっとも安く生活必需品を購入する機会でもあり、それによる「買いだめ消費」もGMVの底支えをする結果となったのではないかと思われる。 もしそうした状況であるのであれば、おそらく年末~春節にかけての商戦は消費が伸び悩むのではなかろうか。 (さらに... ) --- ### 【column】マタニティコスメの根底は「植物派」 注目のローカルブランドをクチコミチェック - Published: 2022-11-04 - Modified: 2022-11-04 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20221104-cosme-maternity-2-html/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: インバウンド, ヘルスケア, マーケティング, マーケティング分析, 人気カテゴリ, 越境EC 前回紹介した中国におけるマタニティコスメ市場。 世代交代の中で中国のマタニティ層でも「今まで同じくきれいなままでいたい」というニーズが広がり、これまでは避けられていた妊娠期におけるお化粧という習慣が広がりつつある。 そのなかでリーディングカンパニーとも見られるブランドも登場していることが、クチコミ調査から浮かんできた。 今回は今、中国のマタニティ層が注目するコスメブランドをクチコミ分析してみよう。 ▼前回はこちら 【column】妊婦さんも世代交代。変わる意識の中で成長する中国マタニティコスメ マタニティコスメとコスメ業界で分化が進む「成分党」と「植物派」 本題に入る前に中国のコスメ業界の特徴を振り返ってみよう。 中国におけるコスメや食品の判断基準が「成分」となってきていることは、業界ではすでに常識となっている。 いわゆる「成分党」と呼ばれる消費者群である。 その状況を漠然と「中国消費者は成分を気にする」という認識でいないだろうか。 しかし近年、中国消費者の消費を見てみるとその成分党が、内部で複数の「派閥」に分かれていることに気が付く。 そしてその派閥が、前回紹介したマタニティコスメにも非常に大きく影響していると考えられる。 成分党内で主流となっている「派閥」が、「良い成分を使う」というグループである。 例えばヒアルロン酸やアミノ酸など、有名で人気の高い成分が思い浮かぶ。日本の企業が思い浮かべる中国の成分党に最も近いグループだろう。 もう一つが「草本派」という派閥である。 草本とは、日本で言う漢方。すなわち中国伝統医学をベースに処方された化粧品を使うというグループのこと。 漢方は2000年代初期まであまり顧みられてこなかった(西洋医学中心だった)が、近年は再評価が進み、自然の薬剤に基づき、効果がありながら副作用が少ない薬剤として認知されており、一部の若者は食事にも取り入れている。 燕の巣を用いた商品が美容・健康サプリとして高い人気を誇っている点からも、広く浸透していると言えるだろう。 ▼関連記事 中国女性のスキンケアは「食」 若者にも浸透する「養生」とは? そしてもう一つ注目しておきたいのが「植物派」である。 これは体に悪影響を及ぼさないように科学的成分を避け、より植物由来の成分を使用した化粧品を愛用する派閥であり、上記の「草本派」と共通点が多いが、必ずしも中国伝統にこだわらず、海外で注目されている植物由来の化粧品を積極的に試していくという派閥である。 さらに、こうした「草本派」や「植物派」等が、微妙に合わさって生まれているのが、中国式クリーン・ビューティという派閥である。 敢えて「中国式」と付けたのは、日本を含む海外のクリーン・ビューティとは、若干の相違があり、中国では主に「皮膚に悪影響をもたらさない、自然派化粧品(無添加化粧品)」という認識が強いためだ。 ▼参考記事 世界に広がるクリーン・ビューティ 中国ではどのように消費されるのか? こうした「草本派」および「植物派」などの影響に基づいて、中国のマタニティコスメが形成されているわけであり、植物由来、クリーン・ビューティなどをうたった商品にとっては重要な消費者層となっている。 植物派マタニティ層にじわじわ広がる中国ブランド 前回、妊娠期間におけるコスメ、スキンケア、メイクアップについてWeibo簡易分析を行なったが、その中のコスメ全般およびメイクアップにおいて名前が挙がったのが「植物主義(PLANT’ISM)」というブランドである。 (さらに... ) --- ### 【Topics】前半戦が終わったダブルイレブンの状況は?また新たなマーケティングレギュレーションも - Published: 2022-11-04 - Modified: 2022-11-04 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20221104-w11-livecommerce/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング, 法規制 中国最大の商戦・ダブルイレブンも前半戦の山場を越えた。昨年以降、いろいろな変化が訪れているこの商戦だが、まずは速報値で現状を把握しておこう。 また、10月の末には中国市場におけるマーケティング活動に関して重要な発表がなされている。 相変わらず動きを見せている中国マーケティングから気になる2トピックスを見てみよう。 ダブルイレブン前半戦終了。現状把握と見どころは? 中国最大商戦であるダブルイレブンが山場の一つを越えた。 11月1日で予約期が終了し、これから11日までの商戦期間はあるが、売上の大半が集中する予約期を越えたことで、おおよその状況が見えてきたのではないだろうか。 中国のECを含めた小売動向を伝えるメディア「億邦動力(ebrun. com)」では、Nintのデータを基に、2022年10月24日20:00から30日24:00までのT-Mallにおける人気ブランドランキングを公表している。 ▼参考記事 天猫双11预售成绩出炉:美妆六品牌破10亿 家电品类显增 スキンケアにおいては、やはりLoreal、Lancome、Estee Lauderの3トップは相変わらず、中国系ではWinona、PROYA、日本勢では資生堂が618に引き続いてランクインしている。 メイクアップでは欧米勢の巻き返しが強く、YSL、M. A. C、Estee Lauderが上位に。中国系のリーディングブランドであった「完美日記(PerfectDiary)」はランキング外に下がっている様子である。 注目されたのはメンズアパレル、レディスアパレルで大きな位置を占めていたUNIQLOが順位を下げている点である。 上海などではオフライン店舗の閉店などが伝えられている同ブランドではあるが、同時に抖音電商に出店するなど、新たなチャネルの開拓にも積極的。 ダブルイレブン終了時の状況が気になるところである。 また気になると言えば、ライブコマース市場の行方である。 今年はライブコマース市場に動きがあった。 李佳琦の復帰ももちろんだが、トップライバーがTaobao Liveと抖音ライブをかけ持つという状況。 同時に、WeChatの「視頻号(ショートビデオアカウント)」においてもダブルイレブン参入があり、実質的にはTaobao Live、抖音ライブ、快手ライブ、そしてWeChatライブの四つ巴のライブコマースが展開されていることになっている。 前回述べたように、単純にライバーとプラットホームをセットにして考える次代から、掛け合わせで考える次代へ。 さらにプラットホームの複雑化によって、戦術的には極めて複雑化していると言えるだろう。 中国での代言人活用管理をより強めるレギュレーション 中国では10月31日、市場監督管理総局を含む『有名人・アイドルの広告代言の規範化のより一歩促進に関する意見』が出された。 <全文はこちら> 『市场监管总局、中央网信办、文化和旅游部、广电总局、银保监会、证监会、国家电影局 关于进一步规范明星广告代言活动的指导意见』 同「意見」は近年、代言人広告における違法行為、虚偽広告、不良情報の拡散、トラフィック重視、不行跡アイドルの起用などが増えているとし、より一歩の管理監督を必要とするという判断のもと出されたものである。 注意点としては、この『意見』の対象となる「明星」と呼ばれる存在には「著名人」、「芸能人(アイドル)」のほか「網絡紅人(いわゆるKOL、インフルエンサー、トップライバー)」が含まれるという点である。 以前のレギュレーションでも、ライバーは広告法における代言人と見なすという一文が見られ、ライバーに対してもアイドルの代言人同様に規制の対象となることが改めて強調された形だ。 その概要を意訳すると、以下のようになる。 1.代言人はより規範ある広告宣伝、情報発信を心がける。国の威信を傷つける、綱紀良俗を犯さない、差別などを助長しない、拝金・奢侈・愉楽至上的概念を散布しない 2.代言人は商品に関する正しい知識を把握し、また企業の資質についても確認し、商品の説明書と台本などを照らし合わせるなど、消費者の権益保護に努める。 3.禁止されている商品やサービス(タバコ、塾、医薬品、保健食品など)の代言はしない。 4.企業は代言人に対して正しい商品情報を提供しなければいけない。 5.企業は代言人として起用する芸能人・アイドル・KOLなどに関して、不行跡がないかなどの状況を確認したうえで起用を決めなければならない。 6.10歳未満の子供を代言人に起用してはいけない 7.メディア(プラットホーム)は投稿されている広告を適時管理監督しなくてはいけない。 8.ライブに関しても同様。特に不行跡を犯したライバーなどがバラエティ番組に参加するなどの形を変えた広告活動も注意すること。 9.芸能人・KOLに対しては、その活動中に商品などが登場し推薦する言動があった場合は原則として「代言人活動」と見なす(ただし、勝手に名前を使われた場合は含まない)。 10.代言人活動を行う場合は必ずその商品やサービスを実際に使用していなくてはならず、日常生活において一定以上の使用が分かるようにしなくてはならない。 などである。 特に日本企業が注意すべきは、「代言人の素行」に対しても確認義務が求められるという点であるだろう。 これまでも、企業側の誇大広告や虚偽広告に関しては代言人も責任を負うようになっていたが、企業側も代言人として起用しているアイドル、ライバーの素行に対して一定の保証をしていなければいけなくなる。 また虚偽広告などで罰則を受けた人物は、その処分から3年間は代言人起用をすることができないと定められており、起用するライバーの過去の状況を確認しなければいけなくなる。 単純に「このライバーはアサイン可能です」という単純な判断ではなく、どういったライバーなのか、過去に何をやっているのか、どういった言動があったのかなど、より注意深く判断する必要があるだろう。 --- ### 【column】妊婦さんも世代交代。変わる意識の中で成長する中国マタニティコスメ - Published: 2022-10-21 - Modified: 2022-10-21 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20221021-cosme-maternity/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: インバウンド, ヘルスケア, マーケティング, マーケティング分析, 人気カテゴリ, 越境EC 減少傾向にあるという中国の出生人口。 しかし、それでも年間1000万人近くの子供が産まれており、同時に同数の「妊婦さん」が存在していることになる。 その母親たちも新たな世代へと入りつつあり、世代交代、そして社会の変化に伴ってその思考が大きく変化。結果として新たな市場を形成しつつある。 その代表が、妊婦さんたちのお化粧、マタニティコスメである。 今回は100億元市場ともいわれるマタニティコスメ市場をクチコミから見て行こう。 競争に打ち勝てるより健康的な子供を産むためのこだわり もともと中国では「出産」に対するこだわりが根強く残っている。 「適齢期になったら結婚」、「結婚したら子供」という、伝統的な意識が強いお国柄ではあるのだが、出産に関しては非常に多くの注意事項があった。 そこには数年前まで実施されていた「計画生育(一人っ子政策)」という抑制政策、そして「優生優育」という、より健康な子供を産むべきという国の方針も影響していた。 さらに、日本でも広く知られている「高考(大学統一入試)」に代表される、学歴・偏差値社会がある。 過度な競争を生き抜くためにも、「より優秀な、健康的な子供を出産する」ことが求められていたのである。 そのため、中国消費者は妊娠、出産に関して時には過敏ともとれるような対応を取ってきた。 例えば、結婚し第一子を考えている夫婦は、その時点から飲食に気を使い始める。 特に女性はより健康な子供を産むために「色のついた飲み物」や「カフェイン」を絶ち、不純物を摂取しないように心がける。 また、事前から葉酸サプリなどの接種を始めるケースも多いようである。 もちろん男性側も、半年前ぐらいから禁煙を始めたり、アルコールの接種を控えたりと体調には気を使い始める。時には男性向けの「健康な精子を育むサプリ」などもSNS上に流れている。 とにかく、胎児に悪影響を与えるためのリスクをできる限り排除していくのである。 そこにはもちろんコスメ商品も含まれる。 肌につける化粧品にまで気を使い、特に色素などを含んだカラーメイク、時にはスキンケアまでを控える傾向があった。 化学物質などが肌を通じて妊婦、もしくは妊娠準備期の女性の体内に入り、その結果、胎児に悪影響を与えることを危惧しているのである。 化粧品購入時にECや百貨店などで「妊婦が使っても大丈夫か?」などと確認するケースも」依然として存在している。 そのため、妊娠期には選りすぐった商品で、簡単なスキンケアにとどめ、メイクを避けるのが常識であった。 クチコミから見る新世代における新たな「妊娠期の過ごし方」 しかし、そうした傾向も変化が訪れている。 いわゆる80年代後半から90年代生まれという、新世代が母親になる中で「美しさを保った妊婦さんに」という意識が強まっているのである。 そこで注目されているのはマタニティコスメという領域である。 トレンドExpressではその消費者意識を知るため、妊娠期におけるコスメに関するクチコミについてWeiboの簡易分析を行った。 (さらに... ) --- ### 【Topics】最大商戦のスタート。気になるライブコマース市場は? - Published: 2022-10-21 - Modified: 2022-10-21 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20221021-w11-livecommerce/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング 2022年もついに中国最大の商戦期に突入。どのブランドもマーケティング合戦を繰り広げているが、今年もその帰趨を制する者は「直播(ライブ)」と目されている。 そしてそのライブ業界において、さっそく大きな動きがあった。 今回はその中国ライブコマースの状況を占めるトピックスを2つほどまとめてみた。 抖音のトップライバーが相次いで「Taobao Live」へ まず業界が注目したのが10月18日にメディアによって流れた「羅永浩」とTaobao Liveの戦略提携のニュースである。 同氏はこれまで抖音のトップライバーとして、抖音ライブを牽引してきた人物であり、2021年における抖音ライブGMVも50億元と予想されるなど、非常に強い影響力を持ったライバーであった。 その同氏のTaobao Liveは、ライバーとライブプラットホームが密接に結びついていた中にあって「移籍」との受け止められ方もあったようだ。 しかし、メディア報道などを見る限り、羅永浩氏は抖音でのライブアカウントも同時に運営すると発表しており、2つのプラットホームをかけ持つ形での活動が展開されると予想される。 さらに抖音Liveのトップライバーのニュースは羅氏だけに止まらなかった。 なんと「俞敏洪」も同じくTaobao Liveでの活動を始めるとの情報が流れたのである。 兪敏洪氏と言えば、2022年の618で一躍脚光を浴びた抖音のライブコマースアカウント「東方甄選」を運営する「新東方集団」のトップである。 同アカウントは、学習塾運営を行う新東方集団が、「学びながら商品を紹介する」という新しいライブコマース手法によって注目を集め、6月以降、一気に抖音ライブのトップの座を得ていたアカウントである。 その兪氏も羅氏と同じくTaobao Liveとの提携を行った。 もちろん羅氏同様、抖音のアカウントは残したままである。 こうした変化の背景にはまずTaobao Live側が抱えている課題がある。 これまでライブコマースの業界でほぼトップを走ってきたTaobao Liveではあるが、悩みも存在していた。 それは相次ぐカリスマライバーの消失、そして行政のライブコマースレギュレーション強化による性質の変化である。 前者においては2021年まで李佳琦と薇婭、そして雪梨などのカリスマライバーを抱え、注目度においてもGMVにおいても業界トップを走ってきたTaobao Live。 しかしそのうち、薇婭と雪梨が脱税スキャンダルによって活動を停止。さらに「不行跡のあった人物のメディアへの出演禁止」という行政の方針によって、彼女たちの復帰は絶望的になっている。 唯一残った李佳琦も618期間に「機材の故障」を理由にライブ活動を休止。先日、突如の復帰を果たしているが、絶えず引退のウワサも流れている。 こうした状況下において、タレントライバーを補充する必要がTaobao Liveにおいても迫られていたのである。 同時に相次いでEC、ライブコマースに関する国の規制が出されたことも大きい。 李佳琦の復帰ライブに見えるように、以前のように消費者の購買意欲を「煽り」、衝動的な消費を導く手法は、行政、消費者双方から忌避されるようになってきている。 そのためライブプラットホームも、単純な「売り子」としてのライバーではなく、知名度やコンテンツ力など、販売力以外の能力・素質に長けたライバーを育てなければならなくなったわけである。 またライバーにとっては、自身の活躍の場が広がるのは願ってもないこととなるだろう。 今後は、こうしたトップライバーが自由にプラットホームを行き来できるような状況へと発展することが予想される。 そのため、これまでのように「プラットホームAの〇〇氏とプラットホームBの△△氏、どちらがいいか?」という単純な比較ではなく、ライバー×プラットホームという、より幅広い選択肢の中から裁量と思われる組み合わせを選んでかなければならなくなるだろう。 商戦前、市場監督の眼も強化されるライブコマース さて、商戦期で最も気を付けなければなら意のが「レギュレーション」違反である。 特に近年はライブコマースの法制化が進んでいることから、ライブ回数の急増する商戦期前はその規制遵守に対して厳しい対応がとられることがある。 すでにその兆候は見られ、罰金刑が課せられているケースも報道されている。 今回、罰金を科せられたのは上海清争落网鱼文化传媒有限公司(現在は上海籽播文化传媒有限公司)で、罰金の原因となったのは「ライブコマース中において消費者に誤解を与え、競合商品を批判し、かつ虚偽の内容を発信した」容疑によるもの。 上海市市場監督管理総局より処分が言い渡された模様である。 本件は2021年10月20日の同社運営によるライブコマースにおいて“珀莱雅羽感防晒”を紹介した際に資生堂の名前を出したり、larocheposayの紹介の際にメイベリンの名前を出し、またLancomeの紹介時にロレアルの名前を出して対象ブランドを低く評価するなどのセリフが見られた。 こうした行為が名前を出した競合ブランドの評価を不当に下げた(貶めた)と見なされ、『中華人民共和国反不正当競争法』に抵触、さらにそうした評価が真実に基づかない、いわゆる虚偽情報を発し、結果として消費者に誤解を与えたと判断されたのである。 こうした案件は中国ライブコマース上で頻発している様子で、商戦を通じて関連の法令順守、処分の厳格化が行われると見込まれる。 トップライバーは、そうした法律への配慮も行われているが、ミドル以下のライバーを行う際には、そうしたライバーの言動に関するコントロールもブランド側が気を配る必要に迫られそうである。 --- ### 【column】マーケティングストーリー構築に必須 いま、中国の若者の急成長トレンドスポーツとは? - Published: 2022-10-07 - Modified: 2022-10-07 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20221007-chinatrend-frisbee/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: マーケティング, 中国, 社会トレンド, 社会トレンド分析 中国のトレンドの変化は日本のそれよりも速い。高速で変わっていく、というのは中国事業に携わる者であれば常識である。 しかし、近年さらにそのスピード感が増している感がある。 つい先日、「中国におけるキャンプブーム」について語った記憶がある(【column】人気番組で急拡大!周辺商品までも広がる中国キャンプブーム)が、そこからさらに新たなトレンドが中国を席巻している。 今回はいま中国で熱く燃え上がっているスポーツに目を向けつつ、こうした情報をどのように生かすのか考えてみたい。 中国で謎の爆増を果たした「フリスビー熱」 中国でこの夏、にわかに注目を集めたスポーツが「フリスビー(フライングディスク)」。プラスチックなどで作られた円盤を投げ合う、あのスポーツである。 このフリスビーが、2022年、急に「トレンド」スポーツとして注目されているのである。 トレンドExpressでは、まずはこの突如として起こったフリスビー熱の状況を把握するべく、Weiboのクチコミ分析を試みた。 まずはフリスビーを意味する「飛盤」の直近1年間の月次件数推移である。 【グラフ】「飛盤」月次クチコミ件数推移 出所:トレンドExpress これを見ると、実は2022年2月まで平均で月5,000件程度の関連書き込みが行われており、フリスビーが全く行われていなかったわけではないことが分かる。 件数から見れば、パッと出のブランドより多いほどである。 つまりコロナ禍においても、中国では一定のプレーヤーがいたことになる。 それが急激に伸びているのが6月、7月。 気候も良くなり、また各地のロックダウンも緩和の動きを見せてきたことで、屋外での活動が活発化した時期である。 ちなみにOceanEngine社による『2022抖音用户潮流生活洞察』というレポートにおいても、5月から7月にかけて検索数、関連動画数、再生回数が急激に増加している点が紹介されている。特に7月の関連動画回数は5億回を超えているとされているほどである。 この時期は同じくキャンプなどの屋外活動も増えた時期で、中国におけるゼロコロナ政策による外出制限、ロックダウンによる「引きこもり生活」のストレスを発散させるように、多くの消費者が屋外へと向かっていった時期である。 その中でフリスビーに注目が集まった背景としては、有名アイドルが各種スポーツに挑戦する『極限挑戦』というネット番組で紹介されたこともあるが、そもそもフリスビー自体は「専用の場所を必要としない」、「特に特殊な訓練を受ける必要がない」、かつ「運動量が多く、運動不足解消やダイエット効果が期待できる」という面が注目されたようである。 (さらに... ) --- ### 李佳琦電撃復帰!! ダブルイレブンは?ライブコマースは? - Published: 2022-10-03 - Modified: 2022-10-03 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20221003-chinamarketing-live/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: マーケティング, 中国, 注目ニュース 9月20日、中国のEC、ライブコマース業界がざわめいた。 姿を消してから109日。突然、かつてのカリスマKOL「李佳琦」がライブコマースを実施、業界復帰を果たしたのである。 今回はダブルイレブン直前に起こったこの大きな変化について考えてみたい。 ▼関連記事 【column】課題や事件で変わりつつある中国ライブマーケティング市場 電撃復帰を果たした李佳琦 実は業界では李佳琦復帰の噂は数回にわたって囁かれていた。 9月の中旬ごろにも「復帰」の文字が業界関連情報メディアに見え、「9月23日の夜に復帰」という具体的な日時を添えて報道、WeChatメディアなどでも転載されていた。 そうした噂が立ち上る中、彼は「予定」より早く、まさに電撃復帰を行ったのである。しかも、彼のWeiboオフィシャルアカウントでもライブ告知がなされておらず、また“失踪”の原因も不明確のままであったために、ゲリラ的な復帰のような印象をもたらした。 (注:現在は更新が再開されている) このライブに小売りやEC情報のメディアも視聴しながらの報道を行った様子で、「開始10分でのべ300万人の視聴」といった数字がネット上に登場。 その数字も、「30分でのべ500万人」、「1時間で2100万人」と時間を追うごとに増え続け、最終的には約2時間のライブコマースで6350万人が視聴したと報じられた。 また復帰ライブで彼が紹介したのはNIVEA、Vinda、悦目心情、babycare、QuadHA、Curél、花西子、Crest、EBISU、L’ORÉAL、VidalSassoon、finoといった、中国および海外のブランドで、錚々たる銘柄が並んでいる。 こうしたブランドが、彼の復帰をあらかじめ知っていたか否かに関しては明らかではないが、事前に全く情報が流れなかったことを考えれば、復帰直前になっての通知、対応であったのではないかと予想される。 結果としては紹介された26の商品のうち、18の商品がこのライブで売り切れ状態となった。一部のメディアではその販売状況などから、そのライブコマースによるGMVを概算で1. 2億元程度だったのではと予想している。 いずれにせよ、6000万人、1億元以上という大きな効果を上げたと言えるだろう。 (さらに... ) --- ### 【column】課題や事件で変わりつつある中国ライブマーケティング市場 - Published: 2022-08-26 - Modified: 2022-08-26 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220826-marketing-kol/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: マーケティング, 中国 昨年末ごろから中国のライブを中心とするマーケティング環境が大きく変わりつつある。これまで当てにしていたライバーも、一線から姿を消してしまい、マーケティング計画が大きな変更を求められたという企業も少なくない。 そうした荒波の中、中国におけるライブを中心とするマーケティングはどのような状況にあるのだろうか。 直近の中国の報道などを集め状況把握を試みた。 ▼関連記事 【column】消えたトップライバー。 中国ライブコマース、そしてマーケティングはどう変わる? カリスマライバー時代の終焉 2022年8月現在、中国には圧倒的な影響力を持つ「カリスマ」と呼ばれるマーケティングキャラクターが不在である。 かつて中国においては「李佳琦」と「薇婭」の両名がまさに他を寄せ付けない圧倒的な存在感を示していた。 商戦期に至っては、双方ともに数十億元のGMVをたたき出し、また2人がいったん紹介すると同商品は「李佳琦同款」や「薇婭同款」といった文句でEC上の人気商品となっていったものであった。 しかし、2021年末に薇婭が脱税容疑で活動を休止。そして2022年の618シーズンには李佳琦が公式な理由不明のまま姿を消した。 業界No. 3の「雪梨」も、薇婭のすぐ後に同じく脱税の問題で姿を消しており、ライブを含めた「KOL業界」において、アイドル的存在がすべて不在となってしまった。 しかも中国行政ではライブなどのレギュレーションで「不行跡のあった人物、道徳的な問題のある人物のライブを禁止」とのお達しが出ているため、上記のような「問題を起こした」ライバーの復帰は難しい状況になってしまっている。 さらには抖音においてもトップライバーであった「羅永浩」も一線を退くことを表明し、快手において人気ライバーだった「辛巴」も同じくライブ活動から離れるという状況になっている。 これらの状況から、中国ではかつてのようなカリスマライバーを使った「大々的な」ライブマーケティングは事実上姿を消し、ブランドは以前に比べれば「細々と」、小型のライバーや自社独自のライブ活動を展開している状況にある。 女優のライブコマースが刑事事件に発展 多くの課題は存在しているものの、依然としてマーケティングや販売活動においても重要な位置づけをされているライブであるが、8月に入ってライブコマース上で衆目を集める事件が起こってしまった。 (さらに... ) --- ### 【mini column】中国スキンケアの新潮流?よりシンプルなケアへ - Published: 2022-08-12 - Modified: 2022-08-12 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220812-trend-skincare/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: コスメ, マーケティング, 中国, 社会トレンド分析 常に念入りなスキンケアを行う中国の消費者。しかし、そのスキンケアの手法が徐々に変わりつつある。 メイクアップにおいても、ガッチリ系のメイクから、より素顔の美しさを引き立たせるメイクも浸透しつつあるが、スキンケアにおいてもかつての「良いものをより多く使う」ケアから、「必要なものに集中する」ケアが広がりを見せている。 今回は今、中国のコスメ業界に広がる新しいスキンケアのトレンドをクチコミ簡易分析を含めてみてみよう。 ▼関連記事 【column】「ガッチリ系」メイクから「素顔」メイクへ。2022年の中国は透明な輝きがトレンドに 徐々に広がる「精簡スキンケア」とは? 現在、Weiboや小紅書で注目されているスキンケアキーワードが「精簡」である。 「精」とは肌質に合った化粧品や肌へのダメージの少ない化粧品を選択して使用すること。 「簡」とはスキンケアのステップをより簡略化、シンプルなものにするということである。 この精簡スキンケアという考え方自体は、2019年の末ごろにKOLである「駱王宇」が、「不必要な化粧品を取り除いて、スキンケアのコストを乳液、クリーム、UVケアに集中させる」ことを述べたのが最初と言われている。 その後、その考え方に皮膚科の医師ブロガーなどが賛同し、徐々に「精簡スキンケア」の考え方が浸透。 現在では小紅書にも11万件もの関連投稿がなされており、多くの投稿が「精簡スキンケア」の手法、「実はこの化粧品は必要なかった」、「精簡スキンケアで使える化粧品ブランド」など、知識やノウハウを紹介するものである。 具体的にはこれまで一般的だった「洗顔、化粧水、リペア、エッセンス、乳液、アイクリーム/フェイスクリーム、UVクリーム」という7つのステップを「洗顔、保湿、UVケア」の3つに集約させるというが主流であるようだ。 これまでの中国では、成分党を含めて「より効果のあるもの」、「肌にいい成分」を多く肌に取り込むために、それぞれの効果の高い化粧品をそろえ、使っていくというものが主流だった。 しかし、この精簡スキンケアではこれまでの化粧品から「必要・不要」を分け、「不要なものは使わない」という逆方向のケアによって肌を整えようというのである。 (さらに... ) --- ### 【mini column】中国高級アイス炎上事件をクチコミ分析で見る。中国消費者の思考とは - Published: 2022-07-29 - Modified: 2022-07-29 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220729-sns-icecream/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: クチコミ分析, 注目ニュース, 社会トレンド, 社会トレンド分析 いまや世界の消費材ブランドにとって最も恐れるのが「炎上」という騒動だろう。日本はもちろんながら、日本以上のSNS社会となっている中国では、ひとたび炎上すれば「国も動く」ことにもなりかねない。 それ故、細心の注意を払いつつの消費者コミュニケーションが求められる。しかし、どんなに注意しても「炎上」は起こってしまう物。 今回は2022年6月から7月にかけて中国で起ったあるブランドの炎上事件を、クチコミ分析を含めながら見つめ、中国における消費者コミュニケーションのポイントを探ってみよう。 炎上したのは新鋭アイスブランド 今回「炎上」というやや不名誉な形で注目を集めたのは「鐘薛高」というアイスブランドである。 この「鐘薛高」は2018年上海で成立した、歴史としては4年程度の新しいブランドである。 そのブランドが大手乳業ブランドや欧米系のアイスブランドを押しのけて一躍人気となったのは、小紅書などのSNSでKOLなどを広く活用し、「おしゃれ」、「トレンド感」を広範囲に打ち出したためである。 特にSNS映えを求めるZ世代の若者たちがその独特な形状、味のレパートリーに興味を示し、人気に。 1個10数元から高いものでは60元を超えるという、市販アイスの中では高めの価格設定も好意的に受け取られ、「中国のハーゲンダッツ」や「アイスクリームのエルメス」といったハイエンドアイスブランドとして浸透していったのである。 しかし今回の炎上では、その高級路線が火に油を注いでしまった部分がある。 まずは事件のおおまかな経緯を見てみよう。 <事件の経緯> 2022年6月25日、同ブランドのアイスが「室温31℃で1時間放置しても溶けない」という投稿が中国のSNSに投稿され、その成分の安全性に疑問が投げかけられた(室温31℃で溶けないのは、何か有害な化学物質を混ぜてあるのでは?という疑念) 7月2日、同投稿を官製メディアである『彭拜新聞』が報道。その内容が一気にWeiboのホットワードとなる。 同日、鐘薛高は「国の基準に基づいており品質には問題ない」旨、公式アカウントで発表(カラギナンの影響と説明)。 7月5日ごろから同アイスを「ライターで焼いてみる」や「ガスバーナーで焙る」といった動画が多く投稿され、いずれも「溶けずに黒く焦げるだけで溶けない」との表現がなされる。 現在は上海市当局が同商品の品質(成分)を調査中。 以上のように、最初はSNS投稿、それが大手メディアで報道されることで一気の火が付き、一種の社会問題としてSNS上で多くのネガティブ投稿を生んだことにつながった。 (さらに... ) --- ### 【column】618の注目ブランドをクチコミ分析~メイクアップ編 - Published: 2022-07-15 - Modified: 2022-07-15 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220715-chinacosme-timage/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: 618, クチコミ分析, コスメ, 人気ブランド分析 中国のトレンドの移り変わりは早い。 特にメイクアップの業界において、中国ブランドは急激に躍進するものの、突然その勢いを失うことも多い。 実は2022年の618でもそんな動きが垣間見える。 これまで市場で輝いていたブランドの光が弱まるとともに、新たなブランドが一気に存在感を見せる。 今回は2022年618商戦で登場した新たな中国メイクブランドをクチコミ調査してみた。 欧米勢に割って入った急成長の中国メイクブランド 2022年T-Mall618のメイクアップブランドランキングを見てみると、やや意外な点が見て取れる。 【表】2022年618商戦T-Mallコスメブランドランキング 出所:Nint任拓 メイクアップのランキングにおいてもトップ10のうち、7ブランドを海外勢が占めた。 注目の中国ブランドは3ブランドが入ったが、かつて中国メイクのけん引役であった「PERFECT DIARY(完美日記)」が姿を消している。 同ブランドは「私域流量(Private Traffic)」やライブコマースの大量投下など、現在一般化しているマーケティング手法を大々的に行い、一気にスターダムに駆け上がったブランドだが、ここにきてやや“息切れ”を起こしている様子である。 中国メイクアップブランドでは「花西子」が3位に、「COLORKEY」が10位と上位に食い込んではいるが、昨年のダブルイレブン以降、欧米勢に押されている印象が強い。 そんななか代わってトップ10に躍り込んだ中国メイクアップブランドがある。 「TIMAGE彩棠」である。 同ブランド、急にT-Mallランキングに姿を見せているが、情報は決して多くはない。 そこで、少しでも状況を知るべく、Weiboによる簡易分析を試みた。 創始者自らがブランディングに寄与する「TIMAGE」 同ブランドは2012年にアイライナーを売り出し、2014年に商標登録を行った中国国内ブランドである(http://www. caitangtimage. com/)。 (さらに... ) --- ### 【column】618の注目ブランドをクチコミ分析~スキンケア編 - Published: 2022-07-14 - Modified: 2022-07-14 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220715-chinacosme-proya/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: 618, クチコミ分析, コスメ, 人気ブランド分析 1ヶ月ほど前に過ぎた618商戦。 2022年の618におけるT-Mallスキンケアの動きを見てみると、意外なブランドが上位に進出していた。 そのブランドは、いったいどのような背景を持つブランドなのか。 今回は618の急躍進で注目を集めた中国スキンケアブランドを、トレンドExpressのクチコミ簡易分析をもって見てみよう。 大手外資ブランドの中に食い込んだ中国ローカルブランド これまでとは異なる雰囲気の中で終わった2022年の618。 そのコスメブランドは下の表に見えるように、多くが欧米系ブランドが占める状況にあった。 【表】2022年618商戦T-Mallコスメブランドランキング 出所:Nint 任拓 スキンケアブランドは「LOREAL」、「Estee Lauder」、「LANCOME」といった大手欧米系ブランドが盤石の状態。日本勢からは資生堂も安定のトップ10入りを果たしている。 その中で注目すべきがローカルブランド勢の動きである。 「WINONA(微諾娜)」は敏感肌用のスキンケアブランドとして、618だけでなくダブルイレブンにおいてもトップ10の常連ブランドとなっている。 そのWINONAだけでなく、資生堂やLA MERを押さえて5位に入ったのが「PROYA(珀莱雅)」というブランドである。 中国にいると時折みかけるブランドではあったが、WINONAほどの人気はない印象のブランドであった。 しかし2021年末にトレンドExpressが行ったアンケート(対象:18歳以上~49歳以下の一線から三線以下の都市の住む女性2,000人)では、実に20%余りの回答者が、同ブランドの商品を使用していると回答している(参考:本調査ではEstee Lauderが最も高く55%)。 そのユーザー比率を年齢と都市別に見てみると、幅広い都市かつ年齢層に使用されている様ではあるが、二線都市の20代および三線都市以下の40代の回答率が若干高く、主に地方都市に浸透している傾向がみられるブランドである。 【表】「現在使っているスキンケア品のブランド(MA)」の「PROYA」選択状況 出所:トレンドExpress調べ そうした背景を頭に入れつつ、今回は同ブランドのWeiboクチコミ簡易分析を試みた。 躍進した「PROYA(珀莱雅)」を簡易クチコミ分析 PROYAは2003年、浙江省杭州市を拠点として生まれた中国ローカルブランドである。 ブランド名は「Pure(純潔)」、「Resource(資源)、「Ocean (海洋)」、「Young(若さ)」、「Aesthetics(美学)」より取られており、深海スキンケア研究をベースに生み出された商品というのが特徴である。 (さらに... ) --- ### 【column】消えたトップライバー。 中国ライブコマース、そしてマーケティングはどう変わる? - Published: 2022-07-01 - Modified: 2022-07-01 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220701-ec-618-2/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: 618, マーケティング, マーケティング分析, 法規制 すでに中国におけるEC商戦の中心はライブコマースが担っていると言っていい。 中国のECデータシンクタンクである星図数据では618の成果分析において、5月31日20時から6月18日24時までのデータにおいても、ライブプラットホームによるGMVは1445億元と大きな数字を見せている。 しかし618期間中にはそのライブコマース業界に激震、混乱を生んだ。 618以降、中国のライブコマース、そしてマーケティング活動はどのように変わるのか、改めて振り返ってみたい。 618序盤に起こったライブコマースの波乱 すでに説明する必要もない話だが、2022年の618におけるライブコマースは、大きな波乱が起こってしまった。 中国のライブコマースにおける「独強」であり、トップライバーとして注目されていた李佳琦が、ライブコマースから姿を消したことである。 618がスタートした5月26日、2022年618商戦初日となったこの日のライブにおいては、のべ閲覧者数が1. 5億人に達し、本商戦でも彼がどこまでGMVを伸ばすのかなど、注目が集まった。 しかし6月3日、突如ライブを中断。 その後に自身のWeibo公式アカウントから「機材の故障による中断」との説明がなされたが、その日から618シーズンを通し、本日に至るまで彼のライブコマースは配信されていない。 明確な理由説明はなかったため、中国国内におけるメディアでは「李佳琦消失」とのみ報道され、消費者同様一様に困惑の色で染まった。 混乱したのは現場である。 なぜなら、李佳琦のライブは6月3日以降、618商戦期を通じて予定されていたためである。 未配信のブランドなどに対しては一定の補償・返金などがあったと聞いているが、李佳琦の有する莫大なトラフィックに期待して売り上げ計画を立てていた企業は、目算が大きく狂う結果となった。 李佳琦がライブコマースから姿を消した理由については、薇婭などと違って、「機器の故障」以外のオフィシャルな説明はない。 日本や海外のメディアは、その日にちおよび、彼が中断直前に「タンクの形をしたケーキ」を持っていたことから、1989年6月4日の天安門事件と結び付けてのことではと予想され、報道されている。 とすると、しばらくは李佳琦のライブコマース復活は望めないと考えられる。 ライブコマース業界は、2021年以降、激震が続いている。 2021年末の段階で、業界No2であった薇婭、そしてNo3であった雪梨が、ともに脱税によって処罰を受け、そのために実質的なライバー業引退となっている。 さらに抖音においてトップライバーとなっていた羅永浩も一線を退くことを宣言。ライブコマースの場には姿を見せなくなった。 まさに今のライブコマース業界には「スター不在」の状況となってしまったのである。 (さらに... ) --- ### 【column】静かに終わった618 その結果はいかに。コスメ業界を見る - Published: 2022-07-01 - Modified: 2022-07-01 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220701-ec-618-1/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: 618, コスメ, マーケティング 中国の小売業界では上半期の山場が終了した。 直前まで最大の消費都市である上海が事実上のロックダウンにあったり、ライブコマースに関して大きな話題があった商戦だったが、ライブコマースに関しては別項に譲り、公開されているデータから冷静に2022年618の様子をみてみよう。 昨年越えとなったJD. comのGMV 上半期最大のEC商戦618は、すでに日本でも広く報道されているように、JD. comが3793億元を売り上げた(T-MallはGMV未発表)。 昨年を超えた数値となったがその伸び率は10. 3%と、これまで20%台後半から30%台であったものが、急ブレーキをかけたような印象を受けた。 【グラフ】618商戦におけるJD. comのGMV推移 出所:JD. comの公式発表を基に中国トレンドExpressにて作成 実際に、中国でも“零清(静かな)”という表現で語られるように、2022年の618は熱狂感は乏しく、盛り上がりに欠けた様子であった。 やはり直前の6月1日まで中国最大の経済都市である上海が長期のロックダウンに見舞われ、それによる消費の落ち込みはもちろんのこと、海外からの輸入の窓口となっていた同都市の封鎖は、商品を中国に入れるための物流網まで止めてしまった。 日本のニュースでも上海港に入れずに立ち往生する輸送船の状況が報じられたが、まさに商品はあっても物が流れないという状況に陥ってしまったことが大きい。 それでも前年割れとならなかったのは一部の新消費が持ちこたえを見せたからではと考えられる。 例えば直前のキャンプ人気によるキャンプグッズ、また同時に上海のロックダウン状況がSNSに乗って伝えられたことによる保存が効く食品などの買い込み、またロックダウンに備えて調理器具などを買い求める消費者も多かった(ノンオイルのエアフライヤーが注目商品となっている)。 つまりは嗜好品などの購入よりも、実際に必要とされる、もしくは必要性が見込める商品の売上が底支えをしたというのが、今回の618だったと考えられる。 T-Mallコスメ業界の売上ランキング。急伸長のブランドも こうした中で、日本の企業がどうしても気になってしまうのが、中国における化粧品業界の動向である。 (さらに... ) --- ### 【column】人気番組で急拡大!周辺商品までも広がる中国キャンプブーム - Published: 2022-06-17 - Modified: 2022-06-17 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220617-chinatravel-camp/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: マーケティング, 中国, 社会トレンド 中国の旅が変わっている。 日本でも広がっているキャンプが、中国でも急激にその人気を高めているのである。特に2022年5月は中国でキャンプへの関心が一気に高まった時期となっている。 そんな中国のキャンプブームを、トレンドExpressのクチコミ簡易分析を含めながら見ていく事としよう。 中国キャンプ市場、2025年には1兆元(20兆円)越えの市場に? 中国でキャンプが急速に人気を集めている。 中国のシンクタンク・艾媒諮詢の調査によると、中国におけるキャンプの中核的市場規模は2014年の時点では100億元程度であったものが、2021年には747. 5億元に拡大。そしてさらに2025年には2483. 2億元に達し、その周辺商品などの市場を合わせると、同年にはキャンプ関連市場で1兆4400億元に達すると予想している。 こうした中国の旅の変化、特に「キャンプ」人気に関して、中国トレンドExpressでは2021年から注目し、主に労働節の分析で追いかけてきた。 ▼関連記事 オフライン消費から新たな旅行モデルまで 2021年の労働節を見る 【column】オミクロン株の蔓延が観光にマイナス影響。新しいスタイルの旅を楽しむ姿も。 それがどうやら2022年に入り本格的な人気を見せ始めている様である。 トレンドExpressではこうした動きを把握すべく、「露営(キャンプ)」というワードでWeiboのクチコミ簡易調査を行った。 クチコミ件数の月次数推移を見てみると、2021年の6月から10月という非常に気候の良い時期にかけてクチコミ件数が徐々に上昇を見せている。 冬場、クチコミ件数は減少に入るが2022年2月以降、急速な伸びを見せている。 【グラフ】Weibo「露営(キャンプ)」クチコミ月次件数の推移 出所:Trend Express China調べ 特に4月5月は爆発的な伸びを見せているが、それには理由がある。 中国動画サイト「愛奇芸(アイチーイー)」で、キャンプをテーマとしたリアルバラエティ番組が制作、5月に配信されたのである。 同番組は「一起露営吧」、つまり「キャンプへ行こう」。まさにキャンプをメインにしたもの。さらには若者世代に人気のアイドルである陳偉霆、黄雅莉、王子異、楊迪に加え、ゲストとして王源も出演。 毎回、ゲームなどをこなしつつ、キャンプをしながら料理や興味のある話題について語りあうという内容になっている。 こうした番組が作られること、さらにその配信時期に一気にクチコミ件数が伸びていることから見れば、もちろん番組出演のアイドルファンによる投稿もあるのだろうが、そうしたものを通じてキャンプというものがZ世代に浸透してきていると見ることができるだろう。 Weibo投稿のポジネガ比率を見てみると、ポジティブの占める割合はおよそ23. 5%と比較的高く、ネガティブも3%余りに抑えられている。 【グラフ】Weibo「露営」クチコミのポジネガ比率 出所:Trend Express China調べ こうした点から見ても、キャンプが中国消費者に浸透してきているといえるだろう。 (さらに... ) --- ### 【column】「ガッチリ系」メイクから「素顔」メイクへ。2022年の中国は透明な輝きがトレンドに - Published: 2022-06-03 - Modified: 2022-06-03 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220603-makeup-natural/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: インバウンド, コスメ, マーケティング, 中国, 越境EC 「中国の女性は、がっちりメイク」という認識が、2022年に入り覆されようとしている。 今、中国を席巻しているのは「素顔美人」。より淡いイメージのメイクが注目を集めているのである。 「素顔系」メイクはどのように中国で受け入れられているのか。中国ではやりの「素顔系」メイクとはどういったものなのか。 今回は中国で拡大している素顔でより輝くためのメイクトレンドをクチコミ簡易分析で探った。 「チャイボーグメイク」が過去のものへ。広がる「白湯メイク」 中国女性のメイクトレンドが注目されたのは2019年から昨年ごろだっただろうか。 「チャイボーグメイク」といったキーワードで中国のメイク手法や中国国産メイクブランドがユーチューバーによって取り上げられ、日本のファッション雑誌などで注目された。 やがてそれは中国メイクブランドの日本進出といった現象も生み出している。 そのころの、いわゆるチャイボーグメイク(筆者的にはあまり誉め言葉に聞こえないのだが... )といえば、全体的に色が「濃い」、はっきりとしたメイクを指していたと記憶している。 皮膚の質感が見えなくなるほどベースメイクを施し、「強い目元」を見せる明瞭なアイライナー、アイシャドウ。 また鼻梁もはっきりさせ、立体感のあるファンデーションなどの使い方。そして、口元も明るく目立たせる色合いの口紅を使っていた。 どちらかといえば欧米風の顔立ちに見えるようなメイクアップであったのである。 しかし、移ろいの早い中国ではそのトレンドは若干「過去のもの」となりつつある。 最近、中国の若い女性を中心にはやり始めたのが「白開水メイク」というキーワードである。 この「白開水」とは、日本語で言う「白湯」のこと。 つまり「白湯のように透明で、あっさりとしたメイク」という意味。 特徴としては、透明度のある白い肌(ファンデーション)にナチュラルな眉毛。 やや淡いイメージのアイメイク。場合によっては目の周りも薄ピンクのアイシャドーなどで淡く彩る者も見られる。 口紅の色も真っ赤ではなく、ぼかした薄いピンクが好まれる様子。 このメイクが本格的に火が付いたのは、中国の若手女優として人気の「鞠婧褘」のメイクが、あまりに可憐でかわいらしいと話題になったこと。 ほんの少し前に、日本でも「中国で中森明菜が人気」といった報道のされ方をした「易砕感メイク」の発展版ともいえるだろう。 すでに中国版Instagramである小紅書(RED)には1万を超える「白開水メイク」のノウハウなどのノートが投稿されるなど、中国SNSを中心に中国が集まっている様である。 まさに「ナチュラル感」を求めたメイクで、かつてのチャイボーグメイクとは対を成すものといっていいだろう。 急拡大する「白湯メイク」をクチコミ分析。何が見える? トレンドExpressでは、その現在中国で注目されている「白開水メイク」の状況を知るべく、ウェイボー上のクチコミ簡易分析を行った。 (さらに... ) --- ### 【column】オミクロン株の蔓延が観光にマイナス影響。新しいスタイルの旅を楽しむ姿も。 - Published: 2022-05-20 - Modified: 2022-05-20 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220520-51-travel/ - カテゴリ: インバウンド - タグ: インバウンド, ヘルスケア, 注目ニュース 上海では新型コロナウイルスの影響で事実上のロックダウン。その状況もすでに40日を超え、長期戦に突入している。 上海の状況は、中国国内の消費者にも再び「新型コロナウイルスの恐怖」を植え付けているかのように見え、それが労働節の観光データとなって現れているのではと想像される。 今回は、そうした労働節の観光状況を、すでに公開されているデータを再確認しつつ俯瞰し、新たな旅ニーズ、そして今後のインバウンドなども考えてみたい。 オミクロン株と封鎖への懸念で観光データも減少傾向 2022年5月4日に中国文化観光部門から発表された2022年労働節の国内観光数値だが、国内旅行者人数はのべ1. 6億人、国内旅行収入は646. 8億元となっている。 2021年は5日間で観光に出かけた延べ人数は2. 3億人、全国の国内観光収入は1132. 3億元、2020年は1. 15億人、国内観光収入も475. 6億元であった。 そこから見ると、コロナ期においては2021年でいったんの復調をみせたものの、2022年は人数においては前年比で30%程度の減少。旅行収入においては約43%の減少と、減退感を見せている。 新型コロナに見舞われる前である2019年の休暇は4日間であったが、旅行人数1. 95億人、旅行収入1176. 7億元であったことを考えると、2021年にリベンジ観光ともいえるようにコロナ前を上回った人数も、2022年は減少してしまっている。 中国国内の観光業界も苦しい状況に置かれているといえるだろう。 やはり中国国内におけるオミクロン株の蔓延、特に上海における事実上のロックダウン、その長期化が影響しているといえるだろう。 実際には、中国各地で街や居住区(小区)レベルでの封鎖が行われており、新型コロナウイルスの影響は比較的深刻である。 そうした中、万が一自身が行った観光地が封鎖されてしまったら、または旅行に出かけている間に自分の家のあるエリアが封鎖されてしまったら... 。そんな懸念が中国消費者の心中にあったのではないかと予想される。 コロナ禍においての新たな旅ニーズ「キャンプ」がより人気に とはいうものの、労働節は中国でも春節、国慶節と並ぶ重要な長期休暇である。 その休暇を楽しみたい、という思いはどの消費者にもあったようだ。 しかしながら普通の旅行は前述のようなリスクが高い。そうした中で、中国では2021年に引き続いてある旅モデルが急速に注目されている。 (さらに... ) --- ### 【column】新機能、新消費者で拡大する中国UVケア市場をクチコミ分析 - Published: 2022-05-06 - Modified: 2022-05-06 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220506-chian-sunscreen/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: クチコミ分析, 中国, 人気ブランド, 人気ブランド分析, 人気商品 ゴールデンウイークも終了し、日本ではこれから梅雨、そして夏へと季節が動いていく時期。その季節、夏前の準備として必要なのがUV対策、すなわち「日焼け止め」である。 中国でも日焼け止めは、特に女性たちにとっての一大事。毎年、あの手この手のUVケアで夏の紫外線を乗り切っているのである。 そんな中国消費者の「日焼け止めニーズ」、2022年の様子をクチコミ分析を見ながらら考えてみよう。 志向の高まり、新規参入で拡大する中国UVケア市場 中国の消費者は紫外線対策には非常に敏感である。 一つには、特に女性の美的感覚がいまだに保守的であり、「白い肌」を貴ぶ価値観が、いまだ色濃く残っており、年齢に関わらずそれは普遍的な価値観として残っている。 スキンケア化粧品業界において、日本や海外では神経質になる「美白」というキーワードも、中国においてはニーズが高く、広く使用されているゆえんでもある。 さらに紫外線が将来的な「シミ」、「そばかす」などの原因となるという意識も強く、そのために若年層からの紫外線対策も一般化している。 もう一つには健康志向という点も挙げられるだろう。 紫外線→日焼け→皮膚がんの確立が上がる、という認識を持ち、強く意識する層も存在している。 そのため、単純なオシャレ、「美白維持」のためのUVケアだけではなく、自身の健康対策としてUVケアに注意を払うという一面もあるようだ。 そんな、中国のUVケア市場の規模、古いデータではあるが2019年で70億元~100億元規模といわれている。 幅が大きいのは調査機関によってその金額の差があるため。日焼け止めそのものに加え、日傘、サングラスなど多岐にわたり、また消費者の認識(雨傘を日傘としても使用したり)の幅も広いため、調査が難しいためと予想される。 【グラフ】中国のUVケア市場の市場規模推移予測(単位:億元) ただ、これも保守的な数字という考え方もあるようで、中国の一部のメディアではこれまでの市場成長が加速傾向にあることから、2024年には224億元という規模にまで発展するものと予測する報道も現れている。 市場加速の要因となっているのは、UVケア(日焼け止め)市場の拡大を見越して、新たなプレーヤーが参入していることが上げられる。 例えば中国国産メイクアップブランドの代表格としても知られる「花西子」でも、UVケア化粧品をラインナップに加えている。 これまでは欧米系、日系などの化粧品・日用品ブランドが広く展開していた業界ではあるが、近年の中国コスメブランドの成長に伴い、プレーヤーも増加。それが市場拡大に寄与しているものと思われる。 もう一つの要因に関しては後述したいと思うが、主に消費層の拡大である。 これまでは「若い女性」がメインターゲットであり、最も大きな市場であった。 それは現在においても変わらないが、近年は性別、また年齢層に広がりを見せている。つまりは新たな消費層が市場全体を拡大に導いている、という点であろう。 さらに、UVケア自体に新たなニーズが生まれているという部分も見受けられる。 単純に「紫外線から皮膚を守る」というニーズ意外に、「プラスα」の機能を求める声が現れ始めているのである。 そうした新たなニーズをSNSクチコミ簡易分析から探ってみよう。 (さらに... ) --- ### 【mini column】中国ドリンク業界で起るコラボ合戦。注目のコラボは? - Published: 2022-04-21 - Modified: 2022-04-21 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220422-column-drinkcollaboration/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: マーケティング, マーケティング分析, 中国, 人気商品 2022年春、中国のドリンク市場が盛り上がりを見せている。 その盛り上がりとは「コラボレーション」。 より多くの消費者の心をつかみ、自社のファンを獲得するため、中国のドリンクブランドがコラボ戦略を展開しているのである。 今回はその中からSNS上で話題となったコラボ戦略を2件ご紹介。同時に何が話題となるのか、その裏側も考察してみたい。 日本人アーティストとのコラボで注目のティーブランド 中国の若者を中心に広がっているのがオシャレなティードリンクである。 日本では中国発のティードリンクというとタピオカミルクティーを想像するが、中国で最初のオシャレティードリンクといえばスチームチーズティーで、それにより成功した代表的ブランドが「HEY TEA(中国名:喜茶)」である。 この中国オシャレティードリンクの牽引役ともいえる同ブランドがタイアップしたのはなんと日本人デザイナーであった。 それが「藤原ヒロシ(Hiroshi Fujiwara)」 日本のファッション・デザイナーでありミュージシャン。 ヒップホップのストリートカルチャーをハイファッション・芸術と融合させたスタイルが人気を博し、裏原宿系ブームのカリスマであり、世界中のファッション関係者からも「キング・オブ・ストリート」と称される人物である。 喜茶は2022年4月8日から、同氏が主宰する「FRAGMENT DESIGN」とのコラボレーションで、特別パッケージ商品を開発、売り出した。 (さらに... ) --- ### 【mini column】中国のヘアスタイル、流行のスタートは「動画」。同時に「韓流」の兆候も? - Published: 2022-04-21 - Modified: 2022-04-21 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220422-column-hairstyle/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: クチコミ分析, コスメ, ファッショントレンド, マーケティング分析, 中国 中国のオシャレ度はまさに日進月歩である。 もちろんスキンケアやメイクアップなどのコスメももちろんながら、ヘアスタイルにも非常に強いこだわりを見せつつある。 今回はこうしたヘアスタイルに関してのクチコミを見ながら、どのようにヘアスタイルを選んでいるのかを調べてみよう。 オシャレの多様化の中でヘアスタイルにこだわりも 中国の女性も男性もオシャレになっている。 特に北京や上海の大都市では、男女の別なくオシャレ度が上がっている。というよりは、オシャレがこなれてきているというべきだろうか。 それと同時に95後世代とも呼ばれる「Z世代」の台頭が、中国のオシャレをより多様に、豊かにしている様にも感じられる。 自分の個性をより強く表現しようとしているZ世代たちは、メイクアップやアパレルファッションというものと同様に自身の髪も、自身のステイタスを示すものとして思い思いに楽しんでいる。 2020年に中国トレンドExpressでは「セルフヘアカラー」を特集した。 その際にも中国のSNS上で数多くのセルフヘアカラー剤や染め方に関するクチコミが数多くみられ、その色もブラウンからレッド、パープル、ブルー系、アッシュなどと極めて多様なカラーリングを見せていた。 ▼関連記事 輝きを増す中国消費者 個性をより引き立たせるセルフヘアカラー市場 中国セルフヘアカラー市場 人気の髪色は? ヘアカラー後の髪をどう守る? 染めた後の中国ヘアケアニーズとは そうした中でより個性を表現するのが髪型である。 メイクの世界ではすでに目元を強調したメイク(日本では「チャイボーグメイク」などと言われた)ものから、きめ細かなファンデーションをベースとしたナチュラルメイクなど、個性化が進んできている。 そうなると、そのメイクに合わせた髪型というのも、より注目され、かつ多様化していくと考えられる。 ヘアスタイル情報は「動画」?クチコミから見るヘアスタイル市場 こうした中国のヘアスタイルニーズに対し、今回トレンドExpressではウェイボー上で中国語のヘアスタイルを意味する「髪型」というキーワードのクチコミを収集、分析を行った。 その結果、直近の12か月間(2021年4月から2022年3月まで)、月平均で13万5000件ものクチコミがなされている。 趨勢としては2021年に比べて若干の落ち着きは見られているものの、現在の中国消費者にとってヘアスタイルは関心の高い話題となっているという事ができるだろう。 【グラフ】Weibo「ヘアスタイル」クチコミの月次推移 出所:Trend Express China調べ 興味深いのは、そのクチコミの頻出キーワードである。 クチコミの中身を見てみると、「ヘアスタイリスト」や「スタイリング」といったキーワードよりも、「動画」というキーワードが上位、しかも2番目に多いワードとなっていることが見て取れる。 (さらに... ) --- ### 【mini column】流行と流行り 中国コーヒーブームから消費の変化を考える - Published: 2022-04-08 - Modified: 2022-04-08 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220408-coffee-consumption/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: クチコミ分析, 中国, 社会トレンド, 社会トレンド分析 中国の消費は拡大をしているが、常に「成長」も続けている。 単純な量的、もしくはネームバリューに頼った消費から、消費者が自分の好みや必要に応じた商品を選び、かつそれを深めていくという消費である。 それを考えるものとして、今年2月の新店オープンによる中国コーヒー消費から中国消費者の消費嗜好の変化について考えてみよう。 世界の人気コーヒーブランドが中国発進出 2022年2月25日、上海市で長蛇の列ができた。 最長で6時間待ちといわれる規模の行列である。 それは中国最初となる「ブルーボトルコーヒー(中国名:藍瓶珈琲)上海一号店」のオープン。つまり、カフェでコーヒーを飲むために6時間並んだわけである。 実は上海は中国におけるカフェ激戦区である。 中国の第一財経のデータでは市内にあるカフェの店舗数は2021年1月時点で約7,000軒、2022年に入ってからの一部報道では8,000件を超えているともいわれている。 そこに世界でも人気のカフェブランドが進出したのである。 ▼2018年ごろの中国コーヒー事情はこちら 宮田将士の上海だより(5)中国コーヒー事情 その模様は多く若い女性に支持を得ているSNS・小紅書(RED)でも紹介されている。 長蛇の列を動画で撮影し、 また中には「スターバックスのコーヒーを飲みながら順番を待つ」という姿も見られたという情報もあり、やや複雑な人気の模様がうかがい知れる。 (さらに... ) --- ### 【column】分かれた明暗  中国ブランドにおける韓国コスメを考える - Published: 2022-03-25 - Modified: 2022-03-25 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220325-cosme-korea/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: クチコミ分析, コスメ, マーケティング分析, 人気ブランド 中国コスメ市場で韓国ブランドが光を失いつつある。少なくとも、一部のブランドは規模を縮小、もしくは中国市場からの撤退を行いつつある。 かつては「日本ブランドに先んじている」、「日本ブランドも韓国ブランドの戦略に学ぶべきだ」といった声が聞かれたほどであったが、かつて中国市場で一世を風靡した韓国系ブランドから、中国の消費者たちが離れようとしているのである。 こうした現象は中国SNS上のクチコミにはどのように現れているのだろうか。今回はトレンドExpressのクチコミ簡易分析から、中国市場における韓国ブランドの“明暗”について考えてみたいと思う。 日本ブランドを上回るインパクトを誇った韓流コスメ 中国コスメ市場において韓国コスメは巧みにそのシェアを確保していた。 特に中国で「韓流」と呼ばれる韓国コンテンツの流行とともに中国市場で拡大し、主に80年後世代を中心に浸透していった。 もちろんその背景には韓国が自国コンテンツと家電やコスメ等の自国ブランドをセットにしての海外展開を行うという国家戦略もあった。 しかし、その韓国ブランドが中国市場でそのシェアを徐々にあるという報道が、2022年に入ってから盛んに流されるようになっている。 その状況を知るべく、トレンドExpressでは、韓国コスメのウェイボーにおけるクチコミ簡易分析を実施した。 まず韓国コスメを意味する「韓粧」というキーワードの直近1年間の動きを月次件数で見てみよう。 【グラフ】Weibo「韓粧」クチコミ件数推移 出所:Trend Express China調べ 1年前である2021年3月時点で3,200件程度が確認できたが、同年5月、すなわち618商戦シーズンを境に急激に数を減らしていることが見て取れる。 直近、2022年2月時点では500件余りと、1年間で1/6程度にまで減少している。 もっとも顕著であったのは韓国コスメブランド「Innisfree」。 同ブランドは2021年で中国国内200店舗以上の実体店を閉店、その規模を縮小している。 そのWeiboにおけるクチコミ件数推移も見てみよう。 【グラフ】Weibo「Innisfree」クチコミキーワードの推移 出所:Trend Express China調べ 2021年3月には5万5,000件と一定規模のクチコミ件数が見られたが、7月から一気に減少を始め、今年2月には3,155件と、1/10以下にまで減少している。 同ブランドと同じくアモーレパシフィック系列の高級ブランド「HERA」のクチコミも、Innisfreeと同様の傾向がみられる。 【グラフ】Weibo「HERA」クチコミキーワードの推移 出所:Trend Express China調べ 昨年7月には1万件近いクチコミがあったが、現在は1,000件余りと振るわず、中国市場における実体店の閉店を進めている。 (さらに... ) --- ### 【mini column】李佳琦が消えた? 羅永浩も後方へ? 中国のライブ、ライバーの行きつく先とは? - Published: 2022-03-25 - Modified: 2022-03-25 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220325-live-commerce/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: マーケティング, マーケティング分析, 中国, 法規制 3. 8婦人節においては、各ブランドの主戦場ともなったライブコマース。しかし、3月15日の消費者権益デーにおいて直接名指しをされた「悪質ライブコマース問題」。 すでに中国の消費者にも中国市場で事業を展開するブランドにとっても欠くことのできないものになったライブコマースだが、2022年の3月にはまた僅かな変化が見えてきている。 今回はそうした変化から、中国におけるライブコマース、そしてライバーの方向を考えてみたい。 巨大なGMVを誇るものの、その動きに注目 2月27日8時から始まった「天猫38女王節」の予約スタートにおいて、中国で“No. 1”KOLとなった李佳琦はライブコマースで279の商品を紹介。のべ7000万人の視聴者を集め、GMV28億元を記録した。 昨年には「TOP2」すなわち彼と薇婭、それぞれが3月1日~3日までの3日間で7億元という記録を作っていたが、2022年はそれを大きく上回った。 まさに中国ライブコマース業界における「一強」体制を作り上げた印象である。 しかし、一部からは若干首をひねる印象が聞かれた。 李佳琦や薇婭などのカリスマ級KOLはライブコマースにおいて複数名の「助播(アシスタントライバー)」をつけるのが一般的であった。 しかし、メインは李佳琦や薇婭であり、アシスタントはあくまでも横にいて補佐をするというのが主な形式であった。 しかし、2022年3月8日の李佳琦のライブにおいては、李佳琦自身が商品を行う時間が明らかに減少し、代わってアシスタントが商品紹介を行う時間が長くなったというのである。 ここで多くの憶測を生んでいる。 その際たるものが、李佳琦が徐々に一線を退き、プロデュース業へと移行、彼自身がMCN的な立場になるのではという憶測である。 そのプロデュースを行う相手というのが現在の助播(アシスタントライバー)たちであるという。 (さらに... ) --- ### 【速報】2022年の中国消費者権益の日 ライブコマースにおける消費者権益保護に施策も - Published: 2022-03-15 - Modified: 2022-03-15 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220315-315-customer/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: マーケティング分析, 中国, 注目ニュース 2021年にはライブコマースの管理法案が発表され、中国マーケティング業界にも少なからぬ緊張感を与えた3月15日の「消費者権益の日」。それから1年経った2022年の同日イベントはいかなる問題が指摘されたのだろうか? 2022年中国におけるCCTV「315晩会」から中国マーケティングに関連するトピックスをピックアップしてみよう。 中国で拡大する「ライブ」に含まれる問題を指摘 1991年から始まった中国の消費者権益保護のための特別番組「315晩会」。そこで指摘されるテーマはそれぞれの時代背景を反映している。 2022年の同番組は現在、中国国内ですでに生活に書くことのできないものとなった「ライブ」から始まった。 指摘にあったのは「娯楽ライブ」。 簡単に言えば男性ユーザーが美女ライバーとコミュニケーションをする目的で使用されるライブである。 番組で取材した企業では「ライバーとファン、一対一型のコミュニケーション」を標榜している。 しかしその実態は、カメラの前に立つ女性こそ本物だが、そのファンたちとWeChatなどでコミュニケーションを取るのは雇われた男性たち。 こうした男性スタッフは、ライバーのふりをしてファンたちと甘い会話を行い、ライブ時の「プレゼント」つまり投げ銭をねだるのである。 その金額は1回で3000元から1万8000元という高価なものまで。 男性スタッフたちは慣れたもので、ライバーの写真とセクシー写真を合成して送ったり、思わせぶりな言葉を送信するなどして、ファンの心をつかみ投げ銭を煽る。 その金額に応じて男性スタッフたちはインセンティブを獲得できるというものである。 中国における初期のライブサービスであり、「まだあったのか」と思うのだが、315まで取り上げられるとなると、かなりの規模になっていると考えられる。 表現は悪いが付け込まれる「スケベ心」があったという点で被害者に同情する気も薄れるのだが、ライブに隠れた状態でのファン(消費者)コミュニケーション、衝動的消費の誘発という点で見れば摘発も止むを得ないと言えるだろう。 人気を集めた宝石ライブコマースに隠された事実 もう一つ取り上げられた問題はやはりライブコマースである。 (さらに... ) --- ### 【市場分析】2022年中国のスキンケアは「オイル」で決まり! 新しいトレンドをSNSで見る - Published: 2022-03-11 - Modified: 2022-03-11 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220311-skincare-oil/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: クチコミ分析, コスメ, コスメトレンド, 中国, 人気ブランド スキンケア意識の高い中国の消費者。そのスキンケア手法も常に変化をしている。 2022年に入っても昨年とは異なるスキンケアトレンドが中国のメディアで取りざたされている。 それは「オイル・スキンケア」。 今回は中国のSNSをチェックしながら見えてきた、2022年に新トレンドとなりそうな中国のスキンケア手法を見てみよう。 常に生まれるスキンケアトレンド。最新の注目ワードは? 毎年のように新しいトレンドが現れてくる中国のコスメ業界。 スキンケアに関しても、2019年ごろから「成分党」と呼ばれる消費層が成長、ヒアルロン酸やアミノ酸、ニコチンアミドなどの成分が一躍脚光を浴びた。 簡単に言えば、以前は「商品ブランド」に頼っていた中国の消費者も、より細かく、そして科学的なスキンケア効果を求めつつある。 すなわち「スキンケアのこだわり化」である。 そんなスキンケアで2022年に注目しておきたいのが「以油養膚」というキーワードである。 この「油」とは、中国語では「精油」とよばれるが、ようは「エッセンシャルオイル」のこと。 「以油養膚」とは中国で乾燥肌に悩む女性が多い中国にあって、エッセンシャルオイルを利用して皮膚の上にオイルの幕を作ることで、適度な保湿効果を得ようという、「オイル・スキンケア」なのである。 「小紅書(RED)」でも「以油養膚」で検索をかけると、トータルで3万件を超えるノート(投稿)が確認できた。 こうした投稿を見ていると、一口に「以油養膚」とはいうものの、その具体的な内容(手法)も実に奥が深いことに気づかされる。 ある投稿では、温めたタオルで顔の表面を蒸してからエッセンシャルオイルを塗り、マッサージする手法。 また別の投稿では、化粧水を浸したフェイスマスクを顔に貼り、その上からエッセンシャルオイルを加える方法など様々である。 ただいずれにせよ、エッセンシャルオイルを活用して、皮膚の状態を保つもしくは改善するために、中国の消費者があの手この手を尽くしていることをうかがい知ることができる。 (さらに... ) --- ### 【市場分析】2022年中国スキンケア界の新トレンド 機能性スキンケアで日本の商機はいかに - Published: 2022-02-25 - Modified: 2022-02-25 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220225-skincare-trend/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: クチコミ分析, コスメ, コスメトレンド, 中国, 人気ブランド 中国の化粧品業界で「功效型护肤」というスキンケアを指すキーワードが注目されている。 その指すところは「肌の悩みを改善するための機能を有し、その成分を含んだスキンケア化粧品」という事である。 日本とは異なり、医療と化粧品の間に明確な壁を設けている中国にあって、この新トレンドはその両者の間に存在しうる新たなセグメントとして注目されている。 今回は中国国内の産業レポートとクチコミ分析からそのトレンドの概要を追いかけてみよう。 新たに登場したスキンケアのセグメント そもそも「功效型护肤」を日本では何と呼べばよいのだろうか? ここでは便宜上「機能性スキンケア」という日本語訳をし、この記事でもそれで通すこととする。 冒頭でも述べたように、特定の肌悩みに対応した機能を有するスキンケア化粧品である。 中国では日本と異なり「化粧品」と「薬品」が厳しく分けられている。 化粧品業界においてもOTCまたはサプリメント業界においても、それぞれの広告訴求に厳しい制限が設けられていることは、日本の同業界でも広く知られている。 ただ、近年は消費者の肌悩みが多様化しており、そうしたニーズ沿って新たな化粧品が生まれている。 現在は化粧品業界において「非特殊用途化粧品(一般化粧品)」と「特殊用途化粧品(美白やシミ除去などの機能を有する化粧品)」という新たな分け方が生まれ、消費変化に対応している。 そうした中、今回紹介する「機能性スキンケア」は、既存のセグメントにまたがりながら、「敏感肌」を代表とする「何かしらの機能・効能を有する成分が豊かな」化粧品とされている。 法整備においても2021年5月から『化妆品功效宣称评价规范』に従い、エビデンスがあり当局の許可があれば、その機能を訴求することが可能となっており、2022年1月1日より新たに申請が正式に開始されている。 中国のシンクタンク艾瑞諮詢では『2021年中国功效型护肤品行业研究报告』というレポートを発行している。 その調べでは、機能性スキンケアが誕生したばかりの2016年には74. 2億元(約1340億円)程度であったが、年間で30%程度の成長を続け、2019年に急成長。2021年には概算で352. 3億元(約6363億元)、2023年までに589. 7億(約1兆円)規模にまで拡大すると予想している。 【グラフ】「機能性スキンケア」市場規模の推移と予測(単位:億元) 出所:2021年中国功效型护肤品行业研究报告 2019年ごろは、中国消費者においていわゆる成分党が登場し、躍進した時期であることから、機能性スキンケアニーズの背景に成分党の存在があることは間違いなさそうである。 クチコミで見る機能性スキンケア市場 ではクチコミにはこうしたトレンドはどのように反映されているのだろうか。中国トレンドExpress編集部ではWeiboの簡易クチコミ分析を実施した。 その結果をみると、2021年は前年よりも倍近い件数が確認できた。 【グラフ】「功效型护肤品」年間クチコミ件数 出所:Trend Express China調べ (さらに... ) --- ### 【クチコミ分析】 中国消費者スキンケアニーズの変化は? クチコミ分析定点観測で見えてくるトレンド - Published: 2022-02-10 - Modified: 2022-02-10 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220210-skincare-research/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: クチコミ分析, コスメ, 中国, 人気ブランド分析 新型コロナウイルスからの立ち直り、そして新たな消費ニーズの誕生などから世界的な注目を集めている中国の消費市場。 特に日本ブランドを含めた世界のブランドおよび中国国産ブランドがしのぎを削っているのがスキンケア市場である。 ではこうしたスキンケア市場で、消費者のニーズにはどういった変化があったのだろうか? 今回は中国消費者の視点に立って、クチコミデータから中国のスキンケア市場のニーズ変化を見てみたい。 拡大するスキンケア市場規模。クチコミ件数も増加傾向 中国における化粧品市場、そしてスキンケア市場は成長が見込まれている。 2020年10月に中国のシンクタンクである中商産業研究院の調べでは、2020年の中国スキンケア市場の規模は2444. 1億元。2023年には3200億元余り、2025年には4000億元に迫る勢いがあると分析している。 【グラフ】中国のスキンケア市場規模の予測推移(単位:億元) 出所:中商産業研究院調べ 株式会社トレンドExpressでは、Weibo上で「スキンケア」を意味する「护肤」キーワードがどのように発信されているかを知るために、クチコミ簡易分析を行った。 期間は2020年1月~12月、そして2021年1月から12月を比較させてみることとした。 まずクチコミの総数を比較してみると2020年は約290万件、2021年は340万件余りと、約19%の増加がみられている。 【グラフ】2020年と2021年の「スキンケア」クチコミ総数の比較 出所:Trend Express China またそれを月次で見てみると、一定の起伏はあるが2020年年初から2021年にかけて徐々に伸びて行っているのが見て取れる。 【グラフ】2020年1月から2021年12月までの「スキンケア」クチコミ件数推移 出所:Trend Express China また、それぞれの月を比べてみると、2020年はコロナの外出規制などが緩和されつつあった2月から3月かけて急激に伸びを見せており、その後は落ち着きを見せている。 特にこの2か月は2021年を単月では上回る勢いを見せており、コロナ禍における肌の悩みや3月8日の国際婦人デー商戦における、いわゆる「リベンジ消費」の影響がみられる。 (さらに... ) --- ### 【インバウンド】 訪日リピーターアンケート Afterコロナの日本観光ニーズはいかに? - Published: 2022-01-28 - Modified: 2022-01-28 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220128-inbound-research/ - カテゴリ: インバウンド, 中国(台湾エリア、香港エリア含む) - タグ: インバウンド, 中国, 中国(台湾エリア、香港エリア含む) 日本の街角から訪日中国観光客の姿が消えてから2年ほどが経過している。 この期間、中国消費者において日本への観光旅行への興味はどのように変化しているだろうか? トレンドExpressでは2021年12月に、訪日リピーターに向けて訪日観光の興味関心についてのアンケート調査を実施した(プレスリリースはこちら)。 そこには変わらない訪日観光への興味、そして変わりつつある訪日ニーズの姿が見られた。今回はその調査から一部を抜き出して見て行くことにしよう。 強い訪日意欲。その旅先には 今回紹介するのは、トレンドExpressが依然としてコロナ禍にある中で中国消費者の訪日意欲、日本における消費意欲の状況を知ることを目的として、ウェブアンケート方式による調査を行った結果である。 同調査においては、対象者の訪日経験の有無を優先し、直近3年間において毎年最低1回は日本を訪れていることを条件に設定。また訪日消費においては男性より女性の比重が高いことから女性に絞り実施をしたものである。 対象者居住都市の選出基準にあたっては、より消費力のある対象者に設定するために、中国国家統計局発表の「2020年都市部住民1人当たりの消費支出ランキングTOP10」の都市を選出している(参考:https://www. afpbb. com/articles/-/3328252)。 ※以降の円グラフは単一回答項目、棒グラフはすべて複数回項目。 【調査項目】 ◆サンプル数:600人 ◆訪日経験:2017年~2019年の期間、毎年訪日旅行をしていた ◆性別:女性 ◆年齢:20代~40代 ◆居住都市:以下の10都市 ・上海市 ・北京市 ・広州市 ・杭州市 ・天津市 ・蘇州市 ・福州市 ・青島市 ・長沙市 ・重慶市 年齢層と属性(婚姻状況)を調査した。年齢でいえば20代後半から30代前半がボリュームゾーンとなっている。日本に観光・ショッピングに来ることを考えれば、一定の収入が必要であり、それを満たす世代、かつアクティブに活動する世代が多くなるためである。今後はいわゆるZ世代もこの年齢層に入り、訪日観光の主力へと移っていくことになるだろう。 あなたの年齢について、あてはまるものを選択ください。 本調査では「直近3年間で毎年日本を訪問していた」消費者を対象としていたために全員に訪日経験がある。その頻度は基本的に「1年に1回程度」だが、「半年に1回」、「3か月に1回」という消費者も約20%弱存在している。 コロナ前(2017年~2019年まで)、日本旅行にどのくらいの頻度で行っていましたか? 訪日目的としては観光目的のほか、ビジネス目的また日本在住の友人訪問という目的といったものが多く、かつて「メディカルツーリズム」として注目された日本での治療・健康診断を目的とした訪日も12%程度存在していた。 コロナ前(2017年~2019年まで)日本を訪問する主な目的は? こうした消費者にとって、海外旅行が行けるようになった場合、その渡航先としての日本はどのような位置づけになっているのだろうか。 訪日旅行の優先度について、あなたの気持ちに近いものをお選びください。 「最も優先度が高い」、「トップ3に入る」が大多数を占めた。対象が訪日観光のリピーターであることも影響しているが、そうしたリピーターでも訪日観光への熱意は冷めていないことを示している。 (さらに... ) --- ### 【mini column】大物の消えたライブコマース市場、その今後は? - Published: 2022-01-28 - Modified: 2022-01-28 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220128-ec-livecommerce/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: マーケティング, 中国 中国の生活の中で「ライブコマースから購入する」という消費行動は、すでに浸透している。商品を生産、販売する企業の側から見れば、「ライブコマース」は、落とすことのできない販売チャネルとなっている。 しかし2021年、こうしたライブコマースに対して政府が明確なレギュレーションを設定し始めたばかりか、年末に至っては業界を揺るがせる大きな事件も発生。ライブコマースという場が徐々に変化を求められる状況に至っている。 それでは、この2022年はライブコマースがどのような状況に置かれ、企業は何を求められるのか、現在ある状況をまとめながら予想してみることにしよう。 相次いだ「大物」ライバーの摘発。「業界のクリーンアップ」? 2021年12月20日、中国マーケティング業界において大きな事件が起こった。 2大カリスマKOLの1人であり、中国におけるライブコマースを牽引していた薇婭の脱税が発覚し、追加徴税など合わせて13億元余りの支払いを科せられたのである。 彼女は既に李佳琦と並ぶライブコマースにおけるトップライバーであり、商戦期には億人単位の消費者がそのライブを視聴。GMVも数十億元レベルという驚異の数値をたたき出していた。 その商品も、化粧品に止まらず調味料、アパレル・アクセサリー、果てはなぜか「ロケット」などという巨大なものまで、商品としてライブコマースで販売してきた。 それと同時に、注目を集める人物として有名テレビ番組の取材を受けたり、バラエティ番組にも出演したり、また日本でも中国ライブコマースを紹介する記事の際に必ずと登場していた人物でもあった。 しかし現在は、ライブコマースどころか、すべての公的な場への露出が無くなっている状況である。 さらに言えば、その1ヶ月ほど前の11月には点淘(Taobao Live)No. 3の「雪梨」、そしてNo. 8の「林珊珊」も同様に脱税容疑で罰金・追加徴税を科されており、ともにライブコマースを停止したままである。 一部の日本のメディアは安易に「富裕層の締め付け」といった論調が見えたが、必ずしも正しいとは言えない。 そもそも、中国のライブコマースは2017年ごろから徐々に注目を集め、2019年の618そしてコロナ禍の在宅生活を経て一気に拡大した市場。 その規模は艾媒諮詢の調査によれば2021年で1兆元を超えるまでになっているが、いかんせん、未成熟の市場で、業界のレギュレーションを含め従事者の職業道徳意識もいきわたっておらず、2020年のW11でもライバーがデータ不正を告発するなどの問題が注目されてきた。 中国ライブコマース市場規模の推移(単位:億元) 出所:艾媒諮詢調べ 中国行政としては、その管理監督の強化、市場のクリーニングが必要な状態だったのである。 それもあって2021年の315(消費者権益の日)以降、ライブコマースに特化したレギュレーションが出され、その監督を強化していた。 また薇婭個人においては、中国でよくあるように複数の企業を登録し、それらに自身のギャランティを振り分けることによって「節税」を行ってきたのだが、事業の拡大によってそれが巨大な額となったことで行政の注意を引いたという一面もある。 (さらに... ) --- ### 【Special Interview】 中国参入商品をソーシャル分析で選定 ヘルスケア領域の中国戦略を加速 - Published: 2022-01-14 - Modified: 2022-01-14 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220114-research-kobayashi/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: セミナー, ヘルスケア, マーケティング, 中国, 人気ブランド分析 拡大を続けている中国の消費市場。その拡大に伴って中国消費者の生活ニーズも多様化、より細かなニーズが生まれている。 そうした中国の消費者に向けて「あったらいいな」を提供しているのが小林製薬株式会社であり、中国のSNSデータを活用して、より細分化されている中国消費市場への参入戦略を実践している。 今回は同社ヘルスケア事業部マーケティング部の紀本慎一郎部長に、中国市場参入におけるソーシャルビッグデータの活用について話を聞いた。 <Guest> 紀本慎一郎 小林製薬株式会社 ヘルスケア事業部マーケティング部長 大学卒業後、花王に入社。営業を経験した後、中国でヘアケア、日本に戻りスキンケアのブランドマーケティングに15年間携わる。その後小林製薬に入社、上海に6年間駐在し、小林製薬(中国)有限公司の董事長として、営業、マーケティングなど全社の経営を行う。昨年1月に日本に帰任し、現在ヘルスケア事業部にて医薬品、食品を中心にマーケティング活動に従事。 <Interviewer> 濵野智成 株式会社トレンドExpress 代表取締役社長 大学卒業後、世界有数のコンサルティングファームであるデロイト・トーマツ・グループに入社。120社以上への経営コンサルティング支援を行い、グループ最年少のシニアマネージャーとして東京支社長、事業開発本部長を歴任。 株式会社ホットリンクに参画後、COO(最高執行責任者)としてグローバル事業、経営企画、事業開発、戦略人事、コーポレート部門を統括。新規事業として立ち上げた株式会社トレンドExpressをカーブアウト型で分社化して代表取締役社長に就任。累計資金調達12. 8億円を先導し、クロスボーダービジネスの先駆者として東京と上海をベースに活動中。 時間のかかる市場参入を加速させるSNS分析 濵野 中国歴も10年を超える紀本さんとのお付き合いは、紀本さんが小林製薬中国現地法人の董事長だったころ、上市商品や育成商品の成長プロジェクトで始まりましたね。 紀本 そうですね。まずは何が中国でニーズがありそうかを調査していただいて、商品を決めてから、そのブランドコミュニケーションを取り組んでいただきました。 もうそれから3年以上経っているんですね、ついこの前の事かと(笑)。 濵野 中国現地法人や貴社の取り組むオールバウンドプロジェクトでご一緒させていただいていますが、今回のヘルスケア領域でのソーシャル分析にはどういった期待を抱いていただいたのかをお聞かせいただけますか? 紀本 私が担当しているヘルスケア商品は、日用品と違って中国の導入に非常に時間がかかります。 申請して、許可を取る。商品によっては臨床試験が必要、そのままの処方では中国に持っていけないために処方を変える必要もあったりと、非常に手間暇、時間もお金もかかります。 そのために「どの商品を中国に導入するか」を考える際には、市場状況、競合状況、今後の将来性といったマーケタビリティを踏まえて検討してゆく必要があります。 しかしインバウンドやアウトバウンドではまだ火がついていない商品に関しては、市場データがあるようでいて無い。 それで、どの商品にしていくのかの選定基準のために調査をお願いしたというのが背景です。 市場に関してはリアル店舗もECもありますが、それぞれの市場が知りたい。 さらに市場規模だけではなく、そのクチコミの件数や中身も知りたい。 どのようなターゲットの消費者が買われているのか、今後その市場が伸びそうなのか、成熟市場なのかというのも知りたい、と言うことで市場規模だけではなく、クチコミの定量的側面と定性的な側面で分析をお願いしました。 濵野 確か比較的長い期間の経年でお出ししましたよね、3か年ぐらいだったと。 紀本 そうですね。過去3年のデータと、今後その市場が伸びるかどうか、 5 年後の市場予測も合わせて出していただきました。 また競合品も中国国産品なのか、海外品なのか、彼らがどんな訴求をやっているかといったことも調べたことで、弊社が戦えそうな環境かどうか、といったことも判断ができました。 そういう意味ではかなり充実したデータが取れたと感じています。 (さらに... ) --- ### 【column】2021年中国若者女性から注目されたブランドは? 小紅書人気ブランドランキング - Published: 2022-01-14 - Modified: 2022-01-14 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20220114-red-ranking/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: クチコミ分析, 中国, 人気ブランド, 人気ブランド分析 2022年がスタート。 相変わらず新型コロナウイルスの影響下にあるとはいえ、いまだその消費力に多くの期待が向けられている中国市場。特にZ世代を中心とする若者への消費訴求は中国市場攻略においても非常に重要となっている。 そこで上手に活用したいのが「小紅書(RED)」である。 トレンドExpressでは自社のクチコミ分析ノウハウを用いて2020年、2021年の小紅書投稿で言及が多かっブランドをピックアップ、ランキング化を行った。 2022年最初はその様子を見てみることとしよう。 増加するクチコミ件数。2021年で投稿されたブランドは? ご存知のように小紅書(RED)は、自身が購入したり使用して好感を得た商品を紹介、情報を共有する場であり、企業側から見れば消費者に自身の商品への興味を植え付ける「種草」の場である。 自然、この場で言及される数が多ければ多いほど、より多くの消費者の目に触れることになり、商品に興味を持てもらえる可能性が高い。 またユーザーは20代の女性が中心であることから、小紅書(RED)の投稿件数とは、いわば若い女性たちからの人気のバロメーターなのである。 【グラフ】小紅書(RED)ユーザーの男女比 出所:『小红书内容营销数据洞察白皮书』   【グラフ】小紅書(RED)ユーザーの年齢比率 出所:『小红书内容营销数据洞察白皮书』 トレンドExpressではその小紅書(RED)で言及されたブランド名を、自社のクチコミ分析ノウハウを用いて収集、件数ごとのランキングトップ30を作製した。 収集期間は下記の通り 2020年:2019年12月1日~2020年11月30日 2021年:2020年12月1日~2021年11月30日 まず、1年間のブランドに言及された小紅書(RED)クチコミ件数の総数を比べてみると、2020年分は340万件余りであったのに対して、2021年分は1,000万件を超えているのが見て取れる。 【グラフ】言及ブランド名トップ30の合計クチコミ数   出所:Trend Express China調べ これは世界的なコロナ禍にあっても成長を続ける中国市場に対して、世界各国のブランドが注目、マーケティング活動を活発化させたこと、またそれに対抗する形で新鋭の中国国産ブランドが成長し、クチコミマーケティングを含めたSNSマーケティングに資本と投下していったこと、これらの状況から消費者もより多くの商品を体験しその結果を投稿していく環境にあったことなど、複数の要素が絡み合った結果と言えるだろう。 裏を返せば、それだけ小紅書(RED)内における話題作りでも競争が激化しているともいえるだろう。 (さらに... ) --- ### 【column】変化の2021年。大型商戦では何が起こったのか? - Published: 2021-12-24 - Modified: 2021-12-24 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211224-ec-festival2021/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: 618, マーケティング, 人気ブランド 2021年も中国では恒例の商戦が展開され、多くの商品が消費者の元へと届けられた。 ブランド側としては1年が終わり、肩の荷が下りたところだろうが、2021年の商戦ではやはり多くの変化が起きていた。こうした変化を無視して2022年を迎えることはできない。 2021年最後の週に、もう一度この1年間における中国の2大商戦を振り返り、中国消費市場の変化を考えてみよう。 自社経済圏構築へ動き始めた618商戦 2021年618は、JD. comのオーダー金額が3,438億元と、W11越えとはならなかったが、2020年の2,692億元を上回る成果を達成している。 【グラフ】JD. comの618オーダー金額の推移(単位:億元) 出所:公式発表をもとに作成 また、注目の抖音に関してはライブコマースにおいて、期間中に配信されたライブの総時間が2852万時間に達した事、累計で372億人が視聴し、1000万元以上のGMVを獲得したライブスペースが153あったことが公式に発表されている。 抖音の商戦本格参入は2021年618が初となっている。 そのため、この抖音小店の活用に関しても、多くのブランドがテストランであったり、参加せず様子見を行っている状況が続いている。 売り上げ上位に来ているブランドもまだローカルブランドが多い印象となっているのは、そのためである。 2021年の618時点では、抖音自体が抱える膨大なトラフィックのなかで、公式アカウントの開設などによって情報発信を続け、環境を整えることで、抖音小店を非常に効果的に活用できるように考えられる。 商戦の最終目的を売り上げではなく、会員の獲得という動きを中国の業界メディアなどが紹介している。 会員化(ファン化)した後の消費者は、1回の消費金額も消費回数も、非会員よりも高まり、長期的に見ればより高い経済効果を生み出すというのである。 中国国内のメーカーにとって、618のような大型商戦は単純に安く売る場、というよりも、自社の会員ユーザーを獲得するための場という認識が広がっていると考えられる。 ▼2021年618商戦関連記事はこちら 【column】618大型商戦に潜むファンマーケティング争奪戦 大型商戦の新たな戦略は? 2021年618商戦終了 メイクアップブランドに気になる動き 2021年618商戦 クチコミ分析から何が見える? クチコミから見える2021年618商戦 ライブライブコマース戦争の状況は?   (さらに... ) --- ### 【column】2021年を新たな法規制の面から振り返ろう - Published: 2021-12-16 - Modified: 2021-12-16 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211217-2021-regulation/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: マーケティング, 中国, 法規制 2021年もあとわずか。新型コロナ禍においては2年目の年も暮れようとしている。 その2021年を振り返ってみれば、とにかく「オンライン取引」、「オンラインマーケティング」の管理レギュレーションに対応を迫られた1年であったように感じる。 間もなくやってくる2022年を着実に乗り越えるためには、こうした中国の規制やマーケティングに関連する社会動向を理解しておく必要がある。 2022年への準備を進める意味で、もう一度それらの規定や事件を振り返ってみよう。 上半期に出されたECプラットホーム、そしてライブ管理規定 日本でも多く報道されているように、中国では2020年末ごろからEC、SNSを問わず大手プラットホームに対し、厳しい措置を行ってきた。 その記憶に残る事件としては、独占禁止法違反によってEC最大手であるアリババが、日本円で3000億円もの巨額罰金を科せられたことだろう。 ▼関連記事 中国独禁法でアリババに3000億円強の罰金 今後のEC商戦に与える影響は? アリババが処分を受けた容疑は「二者択一の強要」であり、カギとなったのは、「アリババが市場の支配的地位にあったか否か」と「それを背景にした不当な要求である二者択一を強要したか」であった。 TaobaoやT-Mallに集まる消費者はネットの世界でいえば巨大な「Traffic」の塊である。 しかしその会員の管理、データ、さらにデータを基にしたマーケティングサービスなどはアリババが一手に引き受けており、店側としては店舗にお客を誘導したり、見つけてもらうためにはアリババのサービスを使用しなければならず、そのための一定の費用をアリババに支払う必要がある。 もしそれを断れば、店舗は開けても宣伝もしてもらえず、検索でも引っかからない... といった状況が生まれる。 さらに商戦期、特にダブルイレブンにおいては「最安値(他店より安い)」、「他のプラットホームのキャンペーンに参加しない」などの条件が求められ、それに応じないとつまはじきにされてしまう。 大量に訪れるであろうTrafficを分けてもらえなくなってしまうのである。 特にライブコマースの時代、TaobaoLiveからもたらされるTraffic、すなわち客量は膨大な量なのだが、店側としてはその源泉をアリババグループが握っていた。 それが「支配的な地位を有しており、その権力を利用した」と見なされたのである。 もちろんこの措置は、処分発表の直前、3月15日に出された『網絡交易監督管理弁法』の見せしめ的意味合いもあっただろう。 (さらに... ) --- ### 【column】2021年ダブルイレブン、クチコミ上でのライブコマースの状況は? - Published: 2021-12-10 - Modified: 2021-12-10 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211210-w11-report5/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング すでに商戦の花形となっているのが「ライブコマース」。2021年のダブルイレブンでも、KOLを活用したものや旗艦店発信のものなど、数多くのライブコマースが展開された。こうしたライブコマースはどのようにクチコミに反映させられているのだろうか? Weiboのクチコミから、2021年W11のライブの状況を見てみることにしよう。 ▼関連記事 【column】2021年ダブルイレブンを戸惑いつつクチコミで見る―ライト版― 主力はT-Mall、JD. comとなるライブの戦場 Weiboにおける「W11×ライブ」のクチコミ調査の結果を見てみる。 【グラフ】「W11×ライブ」での言及プラットホーム 出所:Trend Express China調べ クチコミ件数の順に見てみると、やはりT-MallおよびTaobaoがもっとも多く、それに京東が続く形になっていることが見て取れ、クチコミ上でも2大プラットホームが依然として高い割合を占めていることが分かる。 消費者から見ても、T-Mall、Taobao、JD. comに関しては別格扱い。商品を購入する場として認知、活用されている様である。 それに比べて抖音は拼多多に次ぐものの、まだ若干低い値になっている。 ▼関連記事 【mini column】2021年ダブルイレブン。ライブコマースに見る多くの思惑 やはり「EC」機能という面で、商戦期には若干不利な状況にあるといえるだろう。 ただし、抖音自体は「興趣電商(インタレストEC)」という新たなEC概念を打ち出していること、また上述のように抖音をT-Mall、JD. comに次ぐプラットホームとしてそのキャンペーンに参加するメーカーが増えていることなどを鑑みると、今後の伸びしろは期待できる。 ▼関連記事 【抖音分析】Vol. 0 中国はTikTokでショッピング 抖音ECは中国EC市場改革者となれるのか? 増える「ライブコマース購入」投稿。主力は10代へ ではWeiboにおけるW11ライブに関するクチコミ、その中身を見てみよう。 (さらに... ) --- ### 【column】2021年ダブルイレブンを戸惑いつつクチコミで見る―ライト版― - Published: 2021-12-03 - Modified: 2021-12-03 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211203-w11-report4/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング トレンドExpressでは現在、2021年のダブルイレブンをクチコミ分析から見てみるという恒例の『ダブルイレブン振り返りレポート』2021年版を作成中である。 今回は作成中レポートから一部をピックアップしてお届けしたいのだが、2021年はクチコミでも例年とは異なる状況が現れており、現在鋭意精査中である。 そのため、今回はあくまでも「現時点での分析から見える傾向」として読んでいただきたい。 ダブルイレブン全体を通したクチコミに異変? 2021年のダブルイレブンは、異例尽くしであった。 「前夜祭」における名物であるカウントダウンはなく、取引総額の速報もない。ただ粛々と過ぎ去る11月11日を、筆者は過ごしていた。 ▼関連記事 5400億元を突破との報道も 静かに過ぎた異例のダブルイレブン こうしたダブルイレブンの状況を知るべく、トレンドExpressが2020年から作っているのが『ダブルイレブン振り返りレポート』であり、ダブルイレブンに関連したクチコミ分析から当年のダブルイレブンを客観的に見て行くものである。 今年もその制作を進めており、「ダブルイレブン」、「ダブルイレブン×買った」、「ダブルイレブン×ライブ」、「ダブルイレブン×ライブ×買った」といったキーワードで、中国SNSにおけるダブルイレブンの状況を調べている。 ※期間は2021年10月20日~11月19日 まず驚いたのが「ダブルイレブン」全体を示すキーワードの少なさである。 現在、実数は再度精査中であるためいったんここでの公開は控えるが、新型コロナ後のリベンジ消費に沸き立った2020年と比べると大きくその数を減らす模様である。 その背景にあるのはダブルイレブンシーズン中、市場監督管理局などの行政からメディアを通じて「理性消費」というメッセージが多く発信されている。 これは消費者保護の観点から、メーカーによるやや恣意的な価格操作(商戦前に価格を上げ、それを下げて見せるような行為)を禁止する注意事項も含まれており、消費者には購入にあたって衝動的な判断を戒める こうした点から、ダブルイレブン商戦全体として、過度に消費を扇動するようなメッセージ、マーケティングを自粛する動きがあったのではないかと予想される。 では、クチコミをしたペルソナを簡単に見てみよう 【グラフ】Weibo2021年と2020年「W11」クチコミ投稿者の年齢比率対比 出所:Trend Express China調べ これを見ると、メインとなっているのは30代で2020年より大きく伸びている。また注目したいのは10代の比率が高まっている。 それに反して40代および50代は減少、特に50代以上の比率は大きく下がっている。 (さらに... ) --- ### 【Special Interview】インサイトドリブンの商品開発を実現 「中国ファースト」が切り開く化粧品市場の未来 ―株式会社コーセー - Published: 2021-11-26 - Modified: 2021-11-26 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211126-research-kose/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: コスメ, セミナー, マーケティング, 中国, 人気ブランド分析 世界でも第2位の化粧品市場となっている中国。その市場を求めて世界から強大なプレーヤーが集まり、市場競争も激化している。 そうした中国市場に対して、株式会社コーセーはSNSインサイト分析を活用しつつ、「中国ファースト」の志向で商品開発を進めている。 今回は、新商品を中国先行で発売した同社の堀田昌宏取締役に「中国ファースト」志向の背景とインサイト分析の活用について話を伺った。 <Guest> 堀田昌宏 株式会社コーセー 取締役 商品開発部長 大学卒業後、株式会社コーセー入社。企画部・商品開発部など長年マーケティング本部企画開発部門に携わる。コーセー企画部課長・ブランド開発室長を歴任し、その後10年間は国際事業部の海外商品部長・国際運営部長として東アジア・東南アジアを中心に広くインド、欧米エリアを担当。またトラベルリテール事業責任者も兼任し、日本・中華圏の免税ビジネスの基盤構築を実現した。 2017年-2019年春まで高絲化粧品有限公司(中国現地法人)総経理として上海に着任。飛躍的に実績を拡大し中国マーケティングを積極的に展開した。2019年から執行役員 商品開発部部長として、経営テーマとなる”モノづくり改革”に着手し、グローバルマーケティングを推進。2021年6月、取締役に就任。 <Interviewer> 濵野智成 株式会社トレンドExpress 代表取締役社長 大学卒業後、世界有数のコンサルティングファームであるデロイト・トーマツ・グループに入社。120社以上への経営コンサルティング支援を行い、グループ最年少のシニアマネージャーとして東京支社長、事業開発本部長を歴任。 株式会社ホットリンクに参画後、COO(最高執行責任者)としてグローバル事業、経営企画、事業開発、戦略人事、コーポレート部門を統括。新規事業として立ち上げた株式会社トレンドExpressをカーブアウト型で分社化して代表取締役社長に就任。累計資金調達12. 8億円を先導し、クロスボーダービジネスの先駆者として東京と上海をベースに活動中。 インサイトドリブンの消費者分析と商品開発を実現 濵野 本日はよろしくお願いします。そもそもお付き合いのきっかけは、堀田さんが上海にいらっしゃる時期にトレンドExpressに関するメディアの記事をご覧になってからだったと記憶しています。 堀田 そうですね。私が中国法人の総経理時代に、貴社がメディアに取り上げられていて、興味をもってお話しさせていただいた、というのがきっかけでした。 濵野 そうした中で弊社ともお付き合いが始まったわけですが、そもそも堀田さんがソーシャルインサイト分析に興味を持たれたきっかけはどういったものだったのでしょうか? 堀田 コーセー中国に総経理として赴任していた時、ちょうどコスメデコルテが中国市場で成長しており、日本国内でもインバウンド、いわゆるトラベルリテールを含めて、中国事業全体が成長している時期でした。 コーセーが中国市場に進出して30年という節目の時期で、これからを見据えてより解像度を上げて中国市場や中国消費者と向き合いたいと思っていました。 しかし、従来ある定量、定性調査というやり方では生の声が聞こえてこない懸念もありました。 同時に特に私自身が中国に住んでいる中で見たのは、情報の受発信がWeiboやWeChat、REDなどのSNSやオンラインを中心とする社会。 「こうしたSNS上のつぶやきの内容、それをどのようにつぶやいているのかを分析できると面白い」と感じ、そういったSNS分析を通じた消費者調査ができるところを探そうということになったわけです。 ただ当時、SNSインサイト分析を得意とする会社がなく、さらに日本の企業で、日本語で日本人経営者にプレゼンテーションできる企業というのはトレンドExpressさんぐらいだったと記憶しています。 濵野 そうして実施頂いたSNS分析ですが、実施してみてのご感想や得られたものなどを聞かせいただけますか? 堀田 収穫としては「雪肌精」、「コスメデコルテ」などに対して、中国の消費者が抱くイメージが具体的に見えてきたことですね。 特に、クチコミの「ポジティブ」、「ネガティブ」の内容を具体的に、かつ体系的に把握できたこと、消費者のインサイトが深く理解できたことが良かったと思っています。 従来の調査では「いいこと」は比較的容易に入ってきますが、それに加えて「悪い評価」も一対になって入って来たことは、自社ブランドを正しく分析するうえでも有益でした。 そこから、「雪肌精」や「コスメデコルテ」の中国戦略に大きなヒントが得られました。 「SNSインサイト調査でブランドのポジションがより深く把握できた」と語る堀田取締役 濵野 その後、堀田さんは日本に帰任されて商品開発部長に着任されます。その後も中国市場、そして弊社とのお付き合いは続いているのですが、中国市場を重要視されるのはどういった理由によるものなのでしょうか? 堀田 そうですね、2019年春に日本に帰任となったのですが、国際事業部として仕事をしていた2009年ごろから中国とは付き合いがありました。 特に中国の消費マインド、化粧嗜好の変化には大変興味があったのですが、それを商品開発でも生かしていこうと考えたのです。 商品開発部に着任し「中期3か年計画」を立てた際にマーケティング戦略の中心になるのは、やはり日本・中国・アメリカの3か国だと考えました。 特にグローバルで化粧品市場を見た時、美容液はそのスキンケア市場の約30%と、最も巨大な市場であり、ライバルが多い市場です。 それでいて、中国の女性は美容液が大好き。「美容液」から始める、効果の高い「美容液」を選ぶというニーズも強くあります。 そうした経緯で、研究開発プロジェクトを掲げ、新しい市場をどう考えるかというプロジェクトを2019年から開始、今回「雪肌精 クリアウェルネス V セラム」という商品をその成果の第1弾として世に送り出すことになりました。 これはトレンドExpressさんの協力をいただきながら中国市場を中心に調査・分析を行ない開発した商品で、2021年10月に中国で発売となりました。日本での発売は同年12月なので、中国先行での発売となります。 中国市場先行で大きくプロモーションを打って発売していくのは、この商品が初めてです。 中国先行発売となった「雪肌精 クリアウェルネス V セラム」 この「雪肌精 クリアウェルネス V セラム」は自然由来87%の商品。 そこには、中国の今の消費者は「自然由来」というポイントに日本人以上にこだわりが強いという背景があります。 「地球の恵みと潤いのしずく」というのがテーマなのですが、このテーマに中国消費者も反応していますし、商品に対しての反応も良いと聞いています。 「中国ファースト」での商品開発を具現化 濵野 中国先行発売というのは非常に興味深いお話です。「雪肌精 クリアウェルネス V セラム」が生まれた背景をもう少し教えてください。 (さらに... ) --- ### 【mini column】2021年ダブルイレブン。ライブコマースに見る多くの思惑 - Published: 2021-11-26 - Modified: 2021-11-26 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211126-w11-report-3/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング 中国における商戦の花形といえば「ライブコマース」。特に李佳琦や薇婭といった人気KOLを活用してのライブコマースに加え、新たなプラットホームである抖音、快手なども注目が集まっている。 2021年のダブルイレブンでも華やかなライブコマースが盛り上がりながら、その中にまた形容のしがたい変化のようなものが感じ取れる。 そんな変化の片りんを可能な限りまとめてみた。 ブランド側も注力度合いアップの抖音ライブ ライブに関して公式に発表を行っているのは抖音(Douyin)である。 抖音小店という独自のEC機能と「興趣電商(インタレストEC)」と呼ばれる、ユーザー嗜好解析とその解析を基にした商品を組み合わせる新たなECモデルを組み立てた抖音。 同アプリはダブルイレブン「好物節」と題して、10月27日から11月11までの期間でキャンペーンを展開している。 10月27日から11月11日までに行われたライブコマースの総時間は2546万時間と発表されている。 単純に16日間で割っても、1日平均159. 1万時間のライブが行われた計算になる。 ややバカバカしい話だが、2546万時間という事は、日数でいえば106万日。年で計算すると、ざっと2900年余りとなる。 総視聴者数はのべ395億人なので、総人口を70億人として計算すると、地球5個分余りとなる。 そのうち、もっともGMVを稼いだライブは1回のライブで1. 5億元以上(時間数未公開)とされている。 具体的な金額は不明ながら、もっとも売れ行きの商品群となったのは「アパレル・バッグ・シューズ類」だったが、2020年との比較した際の伸び率では「家電」、「ベビマタ」類が突出した結果となった。 もちろんコスメ類も安定した伸びを見せており、スキンケアおよびメイクアップでは以下のようなブランドが人気を集め、売上を伸ばしている。 【表】抖音ダブルイレブン好物節コスメ部門ランキング 出所:突发!抖音电商打出300张王牌!(億邦動力) T-MallやJD. comほどの規模はないものの、 こうした背景にあるのは、メーカー側の意識変化がある。 もちろん諸々の理由からキャンペーン時におけるプラットホーム側のメーカーに対する「二者択一」の強要が禁止され、複数のチャネルに対して労力をかけられるようになっている。 その中で注目されていたのが、抖音と快手、2つのショート動画アプリであり、そのライブコマース機能である。 中国の小売専門メディア・億邦動力がダブルイレブン前に行った調査で、各メーカーが注力するプラットホームについてアンケートを行っているが、その結果に如実に表れている。 【グラフ】メーカーの注力プラットホーム(ダブルイレブン前) 出所:『2021品牌企業双11大促洞察報告』(ebrun) これを見るとT-Mallは微減を見せ、JD. comは着実に前年度同様をキープ、そして抖音および快手への注力度合いが大きく増えているのが見て取れる。 ダブルイレブンに参加する企業側も、またそれを楽しみにしている消費者も、ライブコマース、特に抖音や快手などの新たなプラットホームに期待を寄せていたようである。 (さらに... ) --- ### 【column】2021年ダブルイレブンは中国エコ消費の転換期たりえるか? - Published: 2021-11-26 - Modified: 2021-11-26 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211126-w11-carbonneutral/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング, 社会トレンド 2021年3月、『中国トレンドExpress』上で、中国のサステナブル消費について述べた記事を公開した。その際、筆者は「中国においては、世界的な意識におけるサステナブル、エコと消費との間に一定の距離がある」と述べた。 しかし、年末に至って少しずつその大環境が変わり始めているかもしれない、そんな気配が見えてきた。 それが2021年ダブルイレブンである。 どうしても交易額やブランドランキング、ライブコマースの行方が気になるが、今回は少しダブルイレブンと中国の環境意識の側面からクチコミ分析を使ってみてみよう。 ▼参考記事 中国サステナブル回顧録 世界のトレンドとなったSDGsと中国 例年を超える環境関連のクチコミ投稿 ダブルイレブンにおける「ローカーボン」や「グリーン」、「環境保護」というメッセージがどれだけ広がっており、かつ例年と異なっているかを知るために、トレンドExpressのクチコミ分析ノウハウを利用した簡易分析を試みた。 対象となるSNSはWeibo、期間は2019年、2020年、2021年各年の10月1日から11月15日まで。取得したキーワードは以下の5種類である。 「ダブルイレブン×環保」 「ダブルイレブン×ローカーボン」 「ダブルイレブン×グリーン」 「ダブルイレブン×SDGs」 「ダブルイレブン×公益」 いずれも、ダブルイレブンと環境などに影響しているキーワードをピックアップしたけである。 まずは2021年のダブルイレブンで、どのくらいクチコミがなされたのかを確認してみよう。 【グラフ】2021年ダブルイレブン環境関連のキーワードクチコミ数 出所:Trend Express China調べ 2021年のダブルイレブンで訴えられたキーワードとしては「緑色(グリーン)」、そして「環保(環境保護)」である。 こうしたストレートな表現は、環境問題に対してあまり知識のない世代や消費者に対しても刺さりやすく、上海などの部分的大都市で行なわれているゴミの分別条例などと相まって、親近感を以て受け入れられやすいと考えられる。 続いてそれを2019年および2020年の総数と比べてみると、中国消費業界における新たなキーワードが浮かび上がってくる。 【グラフ】3年間のダブルイレブンと環境キーワードの数 出所:Trend Express China調べ これを見ると、例年のダブルイレブンでは常に「環境保護」そして「グリーン」というキーワードは常に述べられている。 つまりは、ダブルイレブンにおいて直近3年間では一貫して「環境保護」に関するメッセージが発せられていた、という事になるだろう。 ただ2020年は主力が「新型コロナウイルスの克服」、「Afterコロナ」へ向かったためか、環境関連のメッセージは若干下火になっているのが分かる。 そして2021年だが、「公益」というキーワードは前年並みだが、それ以外は前2年間を上回っていることが見て取れる。 増加率が高いものとしては「環保」、「緑色」、そして「低碳(ローカーボン)」である。 特に「ローカーボン」に関しては前年79件という件数から一気に1457件。実に18倍のクチコミ件数に急増したことが見て取れる。 まさに「ローカーボン」提唱元年ともいうべき出来事と言えるだろう。 マーケティングメッセージとして発信された「ローカーボン」 ここからはクチコミを「ローカーボン」に集中して見てみよう。まずは、期間中にどのようにクチコミがされていったかである。 (さらに... ) --- ### 【ダブルイレブン分析】 2021年の人気ブランドの変化はいかに - Published: 2021-11-19 - Modified: 2021-11-19 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211119-w11-report-2/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング, 人気ブランド これまでとの全く異なる雰囲気を醸し出していた2021年のダブルイレブン。それでも、T-Mallのオーダー総額は5403億元と、前年比8%の増加を見せた。 では、大手ブランドの成果はどうだったのだろうか? 公開されているブランドランキングの状況から、2021年のダブルイレブンを振り返ってみよう。 ▼2021年ダブルイレブン速報はこちら 【mini column】中国で国民的番組を通じて訴えられる「グリーン社会」~2021年ダブルイレブン前夜祭から 5400億元を突破との報道も 静かに過ぎた異例のダブルイレブン T-Mallの一極化崩れる?ささやかれた分散化の行方は まずは2021年ダブルイレブンの数字を確認してみよう。 【グラフ】ダブルイレブンT-MallとJD. comの取引総額の推移(単位:億元) 出所:T-MallおよびJD. comの公式発表を基に作成 最終的な結果としてはT-Mallで「5403億元」と昨年比で約8%の増加となった。それに比してライバルであるJD. comは取引総額「3491億元」とT-Mallよりもだいぶ少ないが、前年比としては28. 6%の増加が見えている。 T-Mallは2020年、2期制度を導入したことで一気に取引総額を伸ばしたが、その分2021年は成長を鈍化させている。 それに対しJD. comは20%台後半の成長を維持し続けていることになる。 その背景には2020年末から始まっている、中国ECプラットフォーマーに対する独禁法規制、特に商戦期における二者択一強制の禁止があるのではと推測される。 この二者択一の禁止によってブランドはT-Mall以外のプラットフォームにおいてもダブルイレブンのキャンペーンを行うことができ、また消費者は複数のプラットフォームから自身の好みや割引度合いなどを基に選択して購入することができるようになる。 中国のブランド、小売動向を観察するメディア「中国品牌」では、2019年以降のダブルイレブンの取引総額全体に対するプラットフォームの割合を、星図数据などのデータから概算で算出している。 【グラフ】ダブルイレブン総取引額におけるプラットフォーム比率 出所:“双十一”交卷 还疯狂吗 これを見ると、T-Mallの市場占有率は2019年には65%を超えていたのに対して、2021年は57. 8%へと減少している。 それに対してライバルJD. comは17. 2%から27. 1%と一気に増加を見せている。こうした取引総額比率から見てみると、やはり徐々にT-Mall一強の状況が変化していると見ることができる。 (さらに... ) --- ### 5400億元を突破との報道も 静かに過ぎた異例のダブルイレブン - Published: 2021-11-12 - Modified: 2021-11-12 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211112-w11-report-1/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, 中国, 社会トレンド 2021年のダブルイレブンが終了した。その様相は例年とは全く違う物であり、Afterコロナにおける最初のダブルイレブンとなった2020年とは異なる意味で印象に残る商戦となった。 前夜祭こそ例年通り開催されたが、カウントダウンもなく、またT-Mallの広報が発表する「戦報」、すなわちオーダー金額推移の公開もなされないまま、またT-MallのWeibo公式アカウントを見ていても「君はもう買ったか?」といった消費を煽るメッセージもなされず、まさに“粛々と過ぎた”11月11日であった。 その様子や背景の分析などは、日本のニュースやワイドショーなどで取り上げられ、「政府の政策方針を広く汲んだもの」と見解がほぼ統一されているが、中国側のデータ専門家や小売専門メディアからはいつもと異なる雰囲気に戸惑いの様子が見て取れた。 気になるオーダー金額であるが、日本時間12日午前1:36分現在、WeiboのT-Mallおよび広報のアカウントからは正式な金額発表はなされていない。 しかし中国の主にEC動向専門媒体である億邦動力(ebrun. com)では、2021年T-Mallの累計GMVを「5,403億元」と報じている(5403亿!天猫双十一GMV有了!)。 これが確かであれば2021年のダブルイレブンも前年の記録を刷新し、静かな中でも商戦としては好調、また異なる次元に到達して終わったといえるだろう。 【グラフ】暦年のダブルイレブンGMV推移(単位:億元) 出所:2017年~2020年はT-Mallの公式発表、2021年は上記メディアの報道を基に作成 T-Mallからの公式発表が無い(遅れている)のは、アリババが事前および前夜祭で打ち出した理由「消費を煽るオーダー金額ではなく、環境に配慮した、エコロジーな商戦を目指す」といった公益性を重要視し、それを徹底させているためであろうと推察される。 またJD. comは12日0:00過ぎに速報値として累計「3,491億元」との発表がなされている。 注目するのが、その金額とともに「物流チェーンにおける二酸化炭素が2. 6万トンの削減」や包装リサイクル使用が述べ1135万回に達したことなど、ここでも環境に配慮しているメッセージがなされていた。 11日が中国共産党の重要会議最終日と重なったという点においても、いろいろと考察をなされるダブルイレブンとなったが、同時に中国における商戦の戦略的意義、中国市場での今後の戦い方を改めて考えさせる商戦となったといえるだろう。 中国トレンドExpressでは例年通り、2021年もダブルイレブンに関した情報を可能な限り収集し、分析を行っていく予定。 記事化をお待ちいただきたい。 ダブルイレブン、中国消費動向に関する情報はこちらより「中国トレンドExpress」無料アカウントへお申し込みください。 --- ### 冬場の唇ケアの頼れる見方に リップクリームブランドをクチコミ分析 - Published: 2021-11-12 - Modified: 2021-11-12 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20011112-china-lipcream-2/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: クチコミ分析, 中国, 人気ブランド分析, 人気商品 寒さが増し、乾燥度合いも高まる中国の冬。その気候の中、市場で主たるリップクリームブランドはどのような評価を消費者から得ているのだろうか。 今回は中国でも一般的で、日本にもなじみの深い4つのブランドのリップクリームについて簡易分析を試みた。 ▼前回の記事は 乾燥の季節到来 中国消費者の唇を乾燥から守るには? クチコミ急上昇のブランドも 人気ブランドのクチコミ件数比較 今回、中国でも一般的に認知されている欧米ブランドとして「メンソレータム」、「ヴァセリン」、そして日系において「ナリス」、「DHC」の2ブランド、合計4ブランドを対象に簡易クチコミ分析を行った。 まずはクチコミ件数の月次推移から見ていこう。 【グラフ】リップクリーム4ブランドの月次クチコミ件数の推移 出所:Trend Express China調べ これを見ると、ヴァセリンが圧倒的な件数を見せている。 「メンソレータムリップクリーム」は12カ月で平均150件程度だが、「ヴァセリンリップクリーム」は平均値を見ても3,200件ものクチコミがなされている。 これは前回の「リップクリーム」のクチコミ分析でも述べたように、中国語の「凡士林」はブランドとしての「ヴァセリン」と、リップクリームの成分として用いられている素材「ワセリン」が混同して用いられている傾向が見える。 そのため、「凡士林」での検索で双方がヒットし、混ざった数値となって表れている。 ブランド価値として見るためには、もう一歩踏み込んだ分析が必要となる。 日系で見ると「DHC」が平均100件弱とメンソレータムと近い件数となっている。 それに比して「ナリス」は2021年7月まではほぼクチコミがなされていない。しかし、2021年8月に入り一気に200件のクチコミがなされている。 (さらに... ) --- ### 【mini column】中国で国民的番組を通じて訴えられる「グリーン社会」~2021年ダブルイレブン前夜祭から - Published: 2021-11-11 - Modified: 2021-11-11 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211111-w11-minicolumn/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, 中国, 社会トレンド 2021年のダブルイレブンが最終日を迎えようとしている。 この日、どうしても見てしまうものがある。 既に春節年越しの『春節聯歓晩会』と同レベルの年間行事になっているダブルイレブン前夜祭番組『天猫双11全球狂歓夜』である。 ダブルイレブンというと、もちろんそのオーダー金額が世の中をにぎわせるが、今回は「消費者に対するメッセージ」という視点で同番組を見てみた。 2020年から前後半の二期制度に移行してから、10日の夜から11日に日付が変わるタイミングへの盛り上がりは意味合いが薄れ、さらに動画サイトで翌日以降も視聴が可能になっている。 それでもこの番組を「つい」見てしまうのは、ダブルイレブンという商戦がすでに中国消費者に深く浸透しており、それに伴い同番組も国民的番組になりつつあるからという一面があり、それ故に「見ておかないと」という義務感を生じさせるいくつかの理由があるのである。 ひとつには登場するゲストアーティストは、まさに今を時めく人気のトップでいるケースが多く、その領域を問わず多くのブランドが「代言人」として起用している人物が多いのである。 今年の番組トップを務めた易烊千玺、そしてゲスト出演した周冬雨、张韶涵、林允など、代言人やSNSマーケティングにおける提携芸能人として名前が挙がる人物ばかりである。 もちろんこうした代言活動とダブルイレブンという商戦が結び付けられていることは言うまでもないが、いわば中国消費者の目を引くアーティストが集められる。 中国市場で効果的なブランディング活動を行うためのパートナー探しとして把握しておいたほうが良い存在。そうした視点では同番組の視聴は非常に有益であろう。 歌唱のあとインタビューを受ける周冬雨 ちなみにではあるが、同時にこうした中国Z世代にも知名度を高いアーティスト(華晨宇など)を起用することで、商戦への参与度が多世代よりもやや低いZ世代を取り込もうという狙いも透けて見える。 もう一つは、同番組が国民的な番組であるからこそであろうが、そこに国レベルで推し進める政策のタネのようなものが埋め込まれており、場合によってはそれが新たな消費の潮流となりえるからである。 今回でいえば「環境保護」や「ローカーボン」が美しい生活を作るというメッセージであり、非常に強くそれが打ち出されていた感がある。 ご存知のように中国は2060年までに「実質的なCO2排出ゼロ」を目指すというカーボンニュートラル目標を掲げており、それに向けての環境改善への取り組み、法整備などが進められようとしている。 そうした国の動きを受けてだろう、22:00ごろには中国の二酸化炭素排出への努力、「健全な環境こそ未来への最大の贈り物」とのメッセージを伝えるばかりか、番組の最後には出演するアーティストすべてが環境への配慮を消費者に向けて訴えている。 すでにコスメの領域ではより「使用者に優しい」という意味合いが強い「CleanBeauty」が広がり、同時に動物実験の廃止などが行われており、徐々に環境問題と商業行為が結びつきを見せつつある。 もちろん番組ではオリンピック選手や国潮ブームなどを通じて、中国の発展、強大化を称える一幕もあったが、番組最後のメッセージを合わせてみると、「環境に対する配慮ができること」と、中国がこれまで求めてきた「発展した中国、強くなった中国のあるべき姿」とを結びつけ、環境保護活動が大国たる中国のなすべきことと考える雰囲気を漂わせていた。 今後は番組最後のメッセージにもあったように「緑色時尚(グリーンファッション)」など、環境保護と消費がより深く結びつき、新たなグリーンビジネスを生み出せるかに注目が集まる。 中国消費動向に関する情報はこちらより「中国トレンドExpress」無料アカウントへお申し込みください。 --- ### 2021年ダブルイレブン前半戦終了 その成果は? - Published: 2021-11-05 - Modified: 2021-11-05 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211105-2021w11-1/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: ダブルイレブン, マーケティング 早いもので、すでに11月3日を過ぎ、ダブルイレブンも前半戦を終了し、後半戦に移行している。 ここで中間の状況として、一部のリサーチ会社が見ている2021年ダブルイレブンの状況を確認しておこう。 プラットホームの勢力図は変わらず。W11前半戦 この前半戦、中国のECデータ分析シンクタンクである星図数据では、前半戦の全ECプラットホームの売上を「3,162億元」と分析している。 そのうちの55%がT-Mall、37%をJD. com、その他のプラットホームが8%と、T-Mall優勢の状態にあるとしている。 【グラフ】2021年ダブルイレブン前半戦各ECプラットホーム総売上状況 出所:星図数据 プラットホームの独占禁止法監督強化によって、消費者の分散化も予想されているが、現時点ではドラスティックな変化は起きておらず、T-Mallが全体の過半数を占め、それをJD. comが負う形は、商戦期においては大きく変わることはないと考えらえる。 コスメ領域速報。Estee Lauder強しも、メイクブランドに見どころも 同じく中国のECの販売データを観測しているECdatawayはメディア「億邦動力(ebrun. com)」と共同で、ダブルイレブン上半期のブランド売上ランキングを公表している。 ここではT-Mallにおけるスキンケアとメイクアップのランキングを見てみよう(11月1日時点)。 【図】T-Mall W11スキンケアブランドランキング 出所:天猫双11爆发期正式开始 “尾款人”涌入天猫! 【図】T-Mall W11メイクアップブランドランキング 出所:天猫双11爆发期正式开始 “尾款人”涌入天猫! これを見ると、Estee Lauderが双方で1位を獲得しており、中国コスメ界におけるトップブランドとしての地位を堅固なものとしている。 スキンケアにおいてはEstee Lauder、LOREAL、LANCOMEのトップ3ブランドは変わらず、それをThe history of Whoo、Shiseido、そして国産のWINONAが追いかける形が展開されている。 またメイクアップではEstee Lauderに次いでYSL、GIORGIO ARMANIと欧米系のトップブランドが占めている。 気になるのは国産勢。完美日記(PerfectDiary)、花西子に続いてColorkeyが10位に入っており、同ブランドが中国国産ブランドにおける第3勢力となっていることを示している。 618ではハローキティとのコラボ商品で話題となったColorkeyだが、このダブルイレブンは同じく日本のコンテンツ「ポケットモンスター」との「ピカチュウ」コラボ商品を押し出し、618に続く成果を狙っている。 注目は日本の資生堂傘下のブランドCPB。 スキンケアに強みを持っている印象のあるブランドであるが、今回はメイクアップセグメントでじりじりと上位に食い込んでいる。 物量にまさる欧米系、中国国産系に挟まれる形になっている同ブランドだが、後半どのように勝ち残っているかに注目しておきたい。 そのほか、レディースアパレルおよびインナーのブランドで若干気になる動きがあり、前者では新鋭ブランドのITIB、後者も国産新鋭ブランドのubrasがこれまで人気だった日本のUNIQLOを抑え込んでいる様子が見て取れる。 プラットホーム全体としてももちろんだが、こうした新領域の国産ブランドにも注目しておきたい。 中国の人気ブランドや消費者動向を深く詳しく知りたい方はこちらまでお問い合わせを。 --- ### 乾燥の季節到来 中国消費者の唇を乾燥から守るには? - Published: 2021-11-05 - Modified: 2021-11-05 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20011105-china-lipcream-1/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: クチコミ分析, 中国, 人気商品, 社会トレンド分析 すでに冬の足音が聞こえる11月。日本でも中国でも乾燥の季節が到来している。この季節で気になるのは肌だけではなく、唇の乾燥である。 唇を彩る口紅でも感想などを気にする傾向がある中国の消費者だが、直接的な唇の乾燥対策としとしてはどういったものを気にしているのだろうか。 中国でもこの季節に本格化するリップクリームのニーズをクチコミ分析してみた。 唇の乾燥ニーズから見える「成分党」の影響 トレンドExpressでは自社の中国SNSクチコミ分析ノウハウを用いた簡易分析で、中国のリップクリームに関連するニーズの調査分析を行った。 対象としたSNSはWeibo、クチコミ収集の期間は2020年10月から2021年9月の1年間である。 まずはやや広く「乾燥×嘴唇(くちびる)」、また「嘴唇護理(くちびるケア)」というキーワードで得られた頻出ワードをチェックしてみよう。 【表】「乾燥×嘴唇」、また「嘴唇護理」頻出キーワード上位30 出所:Trend Express China調べ これを見ると、唇の乾燥対策としてはもちろんリップクリーム(リップスティック)などが有効と思われているが、そもそもの改善、ケアとしては「天然のビタミンE」が良いと しかし同時に「角質除去」というワードが、それらより上位に上がっている。 中国消費者が唇ケアに求めるものとして、単純に乾燥による不快感だけでなく、見た目。潤いとハリのある唇=かわいい、キレイという印象を求めてもいると考えられる。 ウェイボーでも「角質除去」とともに「去唇紋(唇のシワを取る)」といった言葉も見える。 キーワードでも通常のリップクリームだけではなく、潤い機能をそなえ、かつ色合いをよく見せる「リップカラー」「グロス」などもキーワードとして上位に上がっており、唇の“見た目”へのこだわりが垣間見える。 また「ココナッツオイル」や「ミネラルオイル」、「蜜蝋」といった、素材に関するクチコミが見られ、いわゆる「成分党」と呼ばれる製品の素材に対するこだわりが見えている。 こうした消費者には商品の訴求の際は機能だけではなく、その使用している素材とメリットなどをロジカルに説明する必要があると考えられる。 (さらに... ) --- ### 【中国Z世代ライフスタイル】 ダサいスポーツ用品からファッションアイテムへ クチコミで見る中国国産スポーツブランド - Published: 2021-10-29 - Modified: 2021-10-29 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211029-genez-sportsshoes-4/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: 中国, 人気ブランド, 人気商品, 社会トレンド分析 前回、NikeおよびAdidasの国際的2大スポーツブランドのスニーカーに関するクチコミをチェックしてきたが、中国市場においてその2ブランドの牙城を脅かす存在となっているのが中国国産のスポーツブランドである。 いずれも老舗ブランドながら、現在はブランドイメージを大きく変化させ、Z世代に浸透している。 今回は代表的な中国国産スポーツブランドのスニーカーをクチコミ簡易分析し、そのニーズを考えていこう。 ▼前回までの記事 【中国Z世代ライフスタイル】 足元オシャレが奏でる狂奏曲~中国スニーカーブルース 【中国Z世代ライフスタイル】 中国スニーカーブームをクチコミ分析で見てみる 【中国Z世代ライフスタイル】 批判にもさらされた2大スポーツブランドのクチコミはいかに? 好印象比率が国際的大手ブランドを圧倒 中国国産のスポーツブランドからは「李寧(Lining)」、「安踏(Anta)」、の2ブランドをピックアップした。 李寧(Lining)は中国における「体操王子」とうたわれたオリンピアン・李寧が1990年に立ち上げたスポーツブランドであり「中国版Nike」というポジションを得ている。 創始者の李寧自身、中国スポーツ界最初のスター選手であり、2008年に行われた北京オリンピックの聖火点灯者としても知られている。 安踏(Anta)はそれより若干遅く、1991年に福建省に靴メーカーとして立ち上げられ、1994年ごろからブランドとして「安踏(Anta)」を展開し始めた。 日本の伊藤忠商事とも事業提携をするなど、日本ともゆかりのあるスポーツブランドである。 1年間のクチコミ件数をNike、Adidasの2ブランドを含めて比べてみよう。以下は直近1年間におけるそれぞれのブランド名×スニーカーで得られたクチコミ件数総数である。 【グラフ】直近1年間の各スポーツブランドのスニーカーに関するクチコミ件数比較 出所:Trend Express China調べ やはりこれを見ると国際ブランドが上位を占めており、国産ブランドは件数の面で海外ブランドの後塵を拝すことになっている。 【グラフ】各スポーツブランドの月次クチコミ件数推移 出所:Trend Express China調べ 月次のクチコミ件数に関してみてると、Nike、Adidasは月平均で900~1,000.それに対して李寧(Lining)、安踏(Anta)ともに平均500~1,000件弱程度で推移しており、若干の開きがある。 2021年3月に李寧(Lining)や安踏(Anta)のクチコミ件数の増加し、国際ブランドに匹敵する件数に達しているが、それはこれまでに述べた「炒鞋」に関する報道によるものであると推測される。 では、国産ブランドは世界の2大ブランドに太刀打ちできないのかというと、別の視点見ること実は中国国内において優位に立っている部分があることに気づかされる。 それはクチコミのポジネガ比率である。 【グラフ】各ブランドスニーカーのポジネガ比率の比較 出所:Trend Express China調べ これを見ると、ポジネガ比率という意味では、国産2大ブランドはポジティブが20%を超え、李寧(Lining)に関しては30%にせまる勢いを見せている。 それに比してNikeはブランドのポジティブ比率としては高いものの、13%余りに留まっており、李寧(Lining)の半分以下の比率になっている。 つまり国産ブランドは、クチコミ件数という点では国際ブランドに引けを取っているが、その中身、ポジネガの印象から見ると、国際ブランドを大きく上回っており、クチコミをしている消費者の内、多くの支持を得ていることになる。 その背景にあるのは、Z世代を中心とした若いSNS世代が、ブランド名だけではなく個性、見た目重視へと変化している中で、デザイン性が劣ると思われていた国産ブランドも海外ブランドのコピー的存在から独自のデザイン発展を遂げ、同時に巻き起こった「国潮」、「国貨」ブームに乗ることができた点が大きいと考えられる。 李寧(Lining)や安踏(Anta)の、主にデザイン面の発展に対しては中国でも驚きを感じる消費者も少なくない。 やや年配世代から見れば「ずいぶんとカッコよくなった」という印象を持つであろう。 中国における近年の国内ブランドの声調に関しては、単純に「中国産だから」、「国内産が(行政面の)後押しを受けているから」といった短絡的判断ではなく、国産ブランドそれぞれの企業努力に関しても詳しく分析、参考にしていく必要があるだろう。 (さらに... ) --- ### 【中国Z世代ライフスタイル】 批判にもさらされた2大スポーツブランドのクチコミはいかに? - Published: 2021-10-22 - Modified: 2021-10-22 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211022-genez-sportsshoes-3/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: インバウンド, クチコミ分析, ファッショントレンド, 中国, 人気ブランド分析, 越境EC 中国でZ世代を中心に加熱するスニーカーブーム。 そのスニーカー市場において中国を含めた世界を牽引しているのが世界の2大スポーツブランドのNikeとAdidasである。 両ブランドは2021年3月に政治的な影響を受け、特に前者への批判が高まったが、その結果はクチコミにどのように影響したのだろうか? トレンドExpressのクチコミ簡易分析機能を用いて両ブランドの状況を見てみた。 ▼前回までの記事はこちら 【中国Z世代ライフスタイル】 足元オシャレが奏でる狂奏曲~中国スニーカーブルース 【中国Z世代ライフスタイル】 中国スニーカーブームをクチコミ分析で見てみる 新疆綿問題の渦中にあった2大ブランド。クチコミ状の影響は? すでにスポーツブランドと言えばNike、Adidasの2ブランドがまず上がる。 中国でもそれは同様で、この2ブランドが市場を牽引しているような状態である。特に中国のZ世代はストリートカジュアルとしてのスポーツファッションを好む傾向が強く、Adidasなどはシューズだけではなく、スポーツウェアもファッションとして受け入れられている。 しかし2021年3月、この2ブランドは中国市場において逆風に晒された。 「新疆綿問題」である。 同問題に際し、両ブランドともに本社のコメントとして新疆ウイグル自治区の綿を使用しないことを明言。それによって新疆の綿生産に強制労働は存在しないとする中国国内においてはネットなどを中心に多くの批判を受けている。 では、クチコミで見てみるとかの事件はどのように影響しているだろうか。それを知るためにWeibo上のクチコミを調べる簡易分析を試みた。 まずは両ブランドのクチコミ件数を月次で見てみよう。 【グラフ】Nike、Adidasの月次クチコミ件数の推移 出所:Trend Express China調べ これを見ると、まずAdidasが2020年9月に新商品プロモーションなどを行った関係でクチコミ件数が一時的に伸びている。 その年のダブルイレブンにおいては両ブランドともT-Mallのスポーツブランド分野で上位を占めており、国潮ブームに沸く中国国内でも変わらない人気の強さを見せている。 その後、両ブランドとも安定した件数で推移しているが、2021年3月に急上昇しているのが見て取れる。 これはまさに「新疆綿」問題でアパレル業界におけるH&M、スポーツブランドではNike、Adidasが批判にさらされた一件である。 これを見ると2021年3月の、中国国内での報道や外交発言が増加した時期に関してはクチコミ件数が急激に増加しているのが見て取れる。 しかし4月に入ると件数は一気に「通常状態」に近しい件数にまで戻っており、データ上で見ると両ブランドに対する批判は一過性のものであったように見受けられる。 その裏付けとして、両ブランドのクチコミのポジネガ比率を見てみる。 (さらに... ) --- ### 【column】 転換する中国EC、SNS環境の中で何が求められるのか - Published: 2021-10-22 - Modified: 2021-10-22 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211022-sns-column/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: マーケティング, マーケティング分析, 中国 今年も中国における最大の商戦「ダブルイレブン」がスタートした。昨年は新型コロナウイルス後の消費動向を見る意味でも重要な商戦だったが、今年は異なる意味でその結果が注目されている。 今回は2021年ダブルイレブンのオープニング状況を把握しつつ、今、中国のマーケティング業界が置かれている状況をもう一度見つめなおしてみよう。 相変わらずの盛り上がり? 2021年ダブルイレブン初日。 2021年のダブルイレブン、T-Mall、Taobao は前年同様、深夜ではなく20:00に予約期がスタート。 その直前から2大KOLの李佳琦および薇婭もライブコマースを展開。翌朝まで、大量の商品を紹介、販売していった。 数字をチェックすると、李佳琦は合計12時間26分のライブコマースで439種類の商品を販売、そのオーダー金額は115億元余りに達した。 またライバルである薇婭は合計14時間28分のライブコマースにおいて499種類の商品を販売し、約85億元のオーダーを受注している。 2人合計で200億元を超えるオーダーを初日で獲得したこととなり、ライブコマースおよび2人のカリスマKOLの健在ぶりをアピールするまでになっている。 また注目されるのは抖音における商戦の行方であろう。 今年5月には「興趣電商(インタレストEC)」という概念を提唱し、自社のEC機能である抖音小店を強化。 さらには越境による抖音小店も展開を始めるなど存在感を増しており、今商戦の結果にも注目されている。 2021年に入り変わりゆくEC、SNS環境 さて、今年のダブルイレブンにおける注目ポイントは、プラットホームの壁が徐々に薄まっていることである。 それはECにおけるプラットホームだけでなく、SNSや決裁アプリのプラットホーム間でのコンテンツ共有の道も開かれつつあるという点である。 その一例がTaobaoにおけるWeChat Payの導入である。 Taobaoは独自の決裁システムである「支付宝(Ali Pay)」を有している。 そのライバルであったのはビジネス上でもアリババのライバルであるテンセントの微信支付(WeChat Pay)。 Taobaoはアリババグループであるため、買い物は自然に支付宝を使用するようになっていた。そこにライバルの決済システムが使用できるようになったのである。 壁が打ち払われたのは支払いだけではなく、情報も、である。 そもそもアリババグループとテンセントグループはライバル同士。そのため、Taobaoの商品情報をWeChatで共有する場合などは、「直接開く」という事ができず、いったんTaobaoアプリを立ち上げURLをコピーしなければ商品情報を見ることができなかった。 しかし2021年9月、政府当局はそうした壁を取り払うように指示。ついにアリババとテンセントとの間の壁にメスが入る形となった。 これによって、ユーザーはTaobaoで見つけたり買ったりした商品を、より気軽にWeChatで友人に共有できるようになったのである。 同時に、同様の「壁破り」は長年争ってきたWeChatと抖音の間でも行われようとしている。 これまで抖音コンテンツの直接的共有を拒んできたWeChatだったが、その壁が取り払われることによって、抖音は元来のトラフィックに加え、クローズで入り込めなかったWeChatのトラフィックにまで進入することになり、コンテンツのさらなる拡散性が見込めるのである。 プラットホームの壁崩壊で何が起こるのか こうしたEC、SNSプラットホームにおける各種「障壁」の緩和。中国市場に向けたビジネスを展開する我々には、何が得られ、何が求められるようになってくるのだろうか? まずマーケティングという領域においては、確実に情報の拡散性は上がる。 これまでプラットホームによって区切られていたコンテンツが、その壁を乗り越えて共有できるようになるのであれば、これまで届きにくかったエリアまでコンテンツを届かせることができるようになる。 それは認知拡大といった点で大きなメリットとなるだろう。 もう一つが、個々のプロモーションに対して広告効果が見やすくなるといった点も考えられる。 これまでは、ECプラットホームとSNSの間には、前述のTaobaoとWeChatのような企業間の暗黙のルールがあり、連結の可不可といった現象が付きまとっていた。 しかしコンテンツが自由に連携されるようになり、かつプラットホームの垣根を越えて刈り取り先(EC店舗)へ誘導可能となると、そのプロモーションが本当に効果があったのか測定がしやすくなる。 簡単に言えば、ROIが図りやすくなるのである。 ただ、注意点も存在する。 それは消費者の情報取得・共有行動、つまりカスタマージャーニーの複雑化が予想される点である。特に複数のプラットホームを同時に視野に収めての戦略策定が必要になるということである。 かつては「認知はプラットホームAで」、「理解促進はプラットホームBで」、そして「刈り取りはBからCに遷移させる」とコマ切れ状態で設定することで対応してきた。 しかし、垣根が取り払われればプラットホームごとにコンテンツを作戦を立てていくのではなく、「中国の情報環境すべてに対応できる」戦略を立てることが必要になるのである。 予算策定においても、SNSプラットホームごとに設定しているケースが多かったが、もしコンテンツの垣根が無くなることになれば、販促費・マーケティングプロモーション費という区切りではなく「中国におけるビジネス全体費」として考える必要が出てくるだろう。 (その分、投下した施策が刈り取りにつながりやすく、前述のようにROIがより明確になる) これらの状況へと自体が変遷した場合、中国消費者の行動理解がより重要になってくるのは言うまでもない。ある意味では、より「中国力」が試される時代へと突入しようとしているともいえる。 もちろん現段階ではプラットホーム間の壁は完全に取り払われたわけではないが、現在の政府の施策を見る限り、撤廃への動きが進むと予想される。 その準備のためにも、今回の商戦をしっかりと見て、そして分析しておきたいところである。 昨年(2020年)の618、ダブルイレブンなどの商戦情報を含めた中国マーケティング環境は 『2020年中国マーケティング総振り返りレポート』 をご参照ください。 --- ### 見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポートVol.3 - Published: 2021-10-15 - Modified: 2021-10-15 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211015-seminar-kanebo-3/ - カテゴリ: クチコミ分析 - タグ: クチコミ分析, セミナー, 中国 多くの視聴者が注目した中国マーケティング最前線で戦うビジネスマンが登壇した9月のウェビナー。視聴者からは自社の課題と照らし合わせてを、率直な疑問、相談が発せられた。人気ウェビナー記事化3回目の今回は、当ウェビナーで交わされた視聴者とのQ&Aを一部だけ紹介しよう。 <登壇者> 宮下 和也 Profile 佳麗宝化粧品(中国)有限公司 董事 事業統括本部統括本部長 兼)花王中国投資公司 化粧品事業部市場本部長 96年:花王入社 家庭品(パーソナルケア)事業本部 ※スキンケア~ヘアケアの各ブランド戦略を担当 09年:KCMK(販売戦略部門)・化粧品担当 ※日本国内の化粧品販売MKを担当 12年:ソフィーナ事業部 ブランドマネジャー 20年:佳麗宝化粧品(中国)有限公司(カネボウ中国) 董事 事業統括本部統括本部長 兼)花王中国投資公司 化粧品事業部市場本部長 <モデレーター> 濱野 智成 Profile トレンドExpress代表取締役社長 大学卒業後、世界有数のコンサルティングファームであるデロイト・トーマツ・グループに入社。120社以上への経営コンサルティング支援を行い、グループ最年少のシニアマネージャーとして東京支社長、事業開発本部長を歴任。株式会社ホットリンクに参画後、COO(最高執行責任者)としてグローバル事業、経営企画、事業開発、戦略人事、コーポレート部門を統括。新規事業として立ち上げた株式会社トレンドExpressをカーブアウト型で分社化して代表取締役社長に就任。累計資金調達12. 8億円を先導し、クロスボーダービジネスの先駆者として東京と上海をベースに活動中。 ▼前回までの記事は 見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポートVol. 1 見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポートVol. 2 必要な情報を商品開発に素早く落とし込む術とは? Q:データから見えてきた情報をコミュニケーションや販促などのマーケティング施策に生かすことは可能かと思いますが、変化が速い中国市場において、時間を要する商品(開発)戦略への落し込みはどのようにされていますか? 宮下 例えばTMICのデータであるとか、また以前は調査をすると設計から実装して、それを集計してまとめるまで一定の期間かかっていましたが、今はデジタル化やプラットフォーマーと共同によって、かなり早く上がってくるということができています。 商品開発の時間短縮という意味では、そういう仕組みを活用しています。 ただ、様々な決済スピードを上げる事と、しっかりとした品質の担保する事は、一部で トレードオフの関係にある場合もあります。デジタルを活用する事で時間短縮できる部分もあれば、まだまだ時間が掛かってしまう部分もあります。 濵野 私も結構プロジェクトのなかでこのご質問のようなケースに居合わせたことがあります。商品開発は足が長いので、2、3 年後どう読み込むのかといった話は、結構大事なテーマかなと思います。 そうした中でいうと「欧米で流行っているものが中国に来る」といったことは一定レベルであるかなと。 例えばSDGsのようなものがひとつ。今欧米の方が確実に先行していると思いますが、今後中国でも流行してくる可能性もあるような気がしています。 それ以外では現在中国の一線都市で流行ったものが二、三という風に流れていくもの。さらに、今後はその逆流、つまり地方都市で流行ったものが一線都市に逆流してくるといった可能性もあります。 すなわちエリアというセグメントでトレンドの発祥が中国でどのように伝播しているのかというとのがあると思います。 また年代感というか、例えば20代で流行ったものっていうのは、30代、40代に普及しうるのかなど、今流行っているものがどこに行きそうなのかを見ていくというのは商品開発分析をする時には大事な切り口のひとつかなと思っています。 あとはカテゴリーですね。 中でも商品分析の中で、当該カテゴリーの市場のインサイトがどうなっているのかということがすごく大事かなと思っています。 価格競争に陥りがちな中国マーケティング。それを避ける方法は? Q:中国ローカルブランドが確実にシェアを伸ばしてきている中、販促競争もこれまで以上に激しくなっているように感じますが、販促費にも限界がある中で消耗戦にならない為に今後すべき対策、ライブコマース等も含め価格を下げずに売上を上げる為に実施していることがあれば、ご教示いただきたいです。 宮下 皆さん、日々同じようなことを悩まれているんですね(苦笑)。 確かにローカル企業が低価格な形で入ってくるということで、競争が激しくなり、こちらも価格競争という形になっている一方で、化粧品の業界においては、特に新型コロナを経て、昨年ぐらいから世界的に行き場を失ったマネーやリソースみたいなものが、ほとんど中国に流れて来ています。 結果としてプレステージ ブランドがマスブランドの領域に入ってくるという、日本のマスブランドとしては両ばさみの状態となっており、確かに競争も激しくなっています。 具体的な競争の激しくなり方としては、投資に対してのトラフィック、例えばECの場合いわゆる ROI がものすごく低下してきます。なので、結果的に投資に対してのそのトラフィックが減っている以上、着実に GMV、セルアウトを上げていくには、コンバージョンを上げていくか、客単価を上げるしかなくなります。 そのコンバージョンを上げていくという点においては、やっぱり質を一個一個上げていくこと、量的なマーケティングの計算式もすごく発達しているし、数学的世界も非常に精緻化されているんですけど、例えば直播(ライブコマース)を例にとって見ても、もしかしたらある人にはどのブランドも同じようなライブコマース映像に見えるかもしれない。 「ライブコマースを一回やる」という場合、その内容自体は「一回は一回」、同じかもしれないんですけど、その一個一個の在り方あり方や質を改善していかないと価格競争にだけ埋没して行きますし、それこそおっしゃる通り消耗戦になっていくと思います。 (さらに... ) --- ### 【中国Z世代ライフスタイル】 中国スニーカーブームをクチコミ分析で見てみる - Published: 2021-10-15 - Modified: 2021-10-15 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211015-genez-sportsshoes-2/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: インバウンド, クチコミ分析, ファッショントレンド, 中国, 社会トレンド分析, 越境EC 中国で突如巻き起こったスニーカー転売事件。 では、そもそも中国消費者はスニーカーにどういった印象、ニーズを持っているのだろうか? 今回はトレンドExpressの持つクチコミ分析ノウハウを用いて、スニーカーそのもののニーズを簡易分析してみた。 ▼前回の記事 【中国Z世代ライフスタイル】 足元オシャレが奏でる狂奏曲~中国スニーカーブルース スポーツファッション業界でも重きをなしているスニーカー そもそも、中国においてスポーツファッションは急速に成長している。 ユーロモニターと中国のシンクタンク・前瞻諮詢の調査によると、スポーツファッション全体の市場規模は2007年の790億元から2019年には3,166億元と、12年間で4倍の伸びを見せていることが分かる。 【グラフ】中国スポーツファッション市場規模の推移(単位:億元) 出所:ユーロモニター・前瞻諮詢 特に2019年以降は中国国内のスポーツブランドである「李寧(Lining)」や「安踏(Anta)」などもZ世代の嗜好に合わせてデザインチェンジを図っており、スポーツファッション市場を底上げ。 単純なスポーツブランドから、カジュアルファッションのアイテムとして流行を見せている。 さらには一線都市などでは抖音の流行によってストリートファッションの拡大もあり、よりカジュアルファッションとしてのスポーツブランドが浸透しており、スポーツファッション自体の継続した拡大が見込まれている。 そのうちのスニーカー、スポーツシューズ市場の拡大を感じさせるのが下のグラフである。 【グラフ】スポーツファッション市場におけるアパレル類とシューズの比率推移 出所:出所:ユーロモニター・前瞻諮詢 これはスポーツファッションの市場規模におけるアパレル類とシューズの比率を示したものである。その数値を見ると2013年、2014年ごろまではウェアなどのアパレル類が半数以上を占めていたが、徐々にシューズが伸び、2015年には逆転。 その後はシューズ類が6割近い比率に達していることが見て取れる。 上記のスポーツファッションの市場規模と単純に掛け合わせると、スニーカーの市場規模は2019年には1800億元程度になっていると考えられる。 つまりスポーツファッション業界自体がスニーカーを中心に回っているのである。 クチコミ分析から見るスニーカーニーズは? トレンドExpressでは自社の中国SNSクチコミ分析のノウハウを利用し、Weibo上で中国のスニーカーに関するクチコミを簡易分析を実施した。 期間は2020年8月から2021年9月の1年間である。 その結果が下の図である。 【グラフ】「運動靴(スポーツシューズ・スニーカーなど)に関するクチコミ件数推移 出所:TrendExpress China調べ これを見ると、2021年2月、3月からクチコミ件数が上昇しているのが見て取れる。 3月は政治問題にも発展した中国国産コットンの使用をめぐって、欧米大手ブランドが中国の消費者からの批判にさらされた時期である。 そして5月ごろは中国で徐々に若者世代をターゲットにした「炒鞋」が問題視され始めたころで、スニーカーのクチコミが上がっている。 (さらに... ) --- ### 【中国Z世代ライフスタイル】 足元オシャレが奏でる狂奏曲~中国スニーカーブルース - Published: 2021-10-08 - Modified: 2021-10-08 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211008-genez-sportsshoes-1/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: インバウンド, ファッショントレンド, 中国, 社会トレンド分析, 越境EC 常に数多くのものがブームとなり、そのたびにネットで話題となる中国のZ世代消費。現在も、その消費から社会的な課題として見られているアイテムがある。 それは「スニーカー」。 中国のZ世代を中心とした若者世代では突如、スニーカーへの興味関心が増加。それに伴い、人気モデルなどが投機の対象となるほどの騒ぎを見せている。 今月は中国で巻き起こっている「スニーカー騒動」を見ながら、中国Z世代の消費嗜好を考えてみよう。 小売価格の40倍も! 加熱する「靴炒め」 中国でスニーカーへの投資が過熱している。 といっても、スニーカーブランドへの出資ではなく、一般消費者が高額を出してスニーカーを買い求めているという現象が、中国で起こっているのである。 この現象はこれまで起こった投機ブームに沿って「炒鞋」と呼ばれている。「炒」は元来、料理の「炒め物」の意味合いだが、高温で焙ってその「熱量を上げる」といった意味合いで、値上がりを目的とした投資に使われる。 もっとも有名なものは「炒房(不動産投資)」である 日本では1990年代半ばに、ナイキ社の「エアマックス」が大流行し、それを穿いている人からその靴をはぎ取るという暴力事件にまで発展したことがあった。 中国ではこうした暴力事件こそ起こっていないが、「炒鞋」の呼び名にふさわしく、転売によって当初の小売価格の数倍から数十倍の価格で取引されるという異様な現象として登場している。 すでに2021年9月下旬にはこの「炒鞋」が「小売価格1599元のスニーカーが約7万元に」といった見出しで中国国内メディアにも取り上げられている。 実に40倍もの価格上昇である。 いったい誰が買っているのかといえば「95後」、いわゆるZ世代の若者たちなのである。 そもそも現在の若者たちの間ではストリートファッションが人気である。 背景にあるのは抖音(Douyin)などのショート動画アプリで、軽快なラップミュージックやストリートダンスなどは、若者たちにとってファッショナブルなトレンドとして定着。そうした動画に映し出されるストリートカジュアルもまた、人気を高めていった。 そのなかで注目されたのが、イケてる若者の足元を飾るスニーカーである。 デザイン性にも優れ、特に「自身の個性を表現する」若者にとって、オシャレなスニーカーは必須アイテムとなっていた。 さらにそこに限定デザインモデルなど、より希少性の高い商品が登場することで、熱狂し、それを手に入れようと躍起になるのである。 Z世代を狙い撃ちにしたECプラットホームがスニーカー投資を生んだ この「炒鞋」の渦中にあるのがスマホ用アプリ「得物」である。 (さらに... ) --- ### Z世代に人気の老舗カラーコンタクトブランド 日本のかわいいイメージで消費者を惹きつける - Published: 2021-10-01 - Modified: 2021-10-01 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20211001-eye-colorcontact-4/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: インバウンド, クチコミ分析, コスメ, ファッショントレンド, 中国, 人気カテゴリ, 人気ブランド分析 中国Z世代を中心に高まっている美瞳カラコンニーズ。そしてそのニーズの高まりに呼応するように集まる資本。 今まさに勢いに乗っての市場形成がなされる中で、「老舗」と言ってもよいブランドが存在している。 2008年に登場していた「4iNLOOK」がそれである。 今回は同じくWeiboのクチコミ調査から、この中国カラーコンタクトレンズ業界における老舗ブランドを探ってみよう。 ▼前回の記事はこちら 中国カラコン市場における「完美日記」か? 注目の新鋭ブランドをクチコミ調査 中国カラコン業界の老舗はニューリテールモデルが人気 4iNLOOKは2008年に設立されたコンタクトレンズ、なかでもカラーコンタクトレンズの販売を行う企業。 前回紹介したMoodyが2018年設立だったことを考えれば「老舗」と言っていい企業。2020年ダブルイレブンではGMV1億元を突破、美瞳コンタクトレンズではトップを獲得しているブランドである。 その伸び率は、2019年比で300%を超えており、昨年下半期から徐々に高まったカラーコンタクト人気に見事に乗り、成長を果たしたのである。 こうした好調を背景に2021年2月に1億元のラウンドB+の資金調達を行い、合計調達金額も4億元に達した。 今後の動きが注目されるブランドである。 同ブランドの特徴はオンライン―オフライン一体型の、やや古い言い方をすればニューリテールモデルの販売を展開しているという点である。 ただ、同社はカラーコンタクトレンズメーカーとして、というよりは「小売店」、カラーコンタクトレンズに特化したセレクトショップとしての印象が強いのはそのためだ。 大型ショッピングモールにオフラインショップを展開し、実際に消費者が商品を確認して購入するスタイルで展開しているのである。 店内には大手コンタクトレンズブランドの洗浄液なども売られているほか、販売されているカラーコンタクトレンズも、統一されたブランドではない。 そのため実質的には複数のコンタクトレンズメーカーから商品を調達し、販売しているOEM商品のセレクトショップに近しい業態といえるだろう。 その店舗数はコロナの影響を受けつつも拡大を続けており、同ブランドの拠点のある上海を中心とした一線・新一線都市に400店舗程度を展開しているといわれている。 消費者側としては非常に複数のコンタクトレンズから、実際に数多くの商品の中から店頭では直接手に取って選べることが人気のひとつにもなっている。 オンラインでも充実しており、自社ホームページはもちろんのこと、T-Mallでも旗艦店を設置し、ECでのカラーコンタクトレンズ販売を行っている。 ただ、オフラインの店頭とオンラインショップでは商品に若干の違いがあり、消費者は自身に合ったスタイルで、自分に合った商品を選ぶことができるのである。 クチコミ簡易分析で見る4iNLOOK 中国トレンドExpressでは先のMoody同様、同ブランドに対してもWeiboによるクチコミ簡易分析を行っている。 (さらに... ) --- ### 見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポート Vol.2 - Published: 2021-09-22 - Modified: 2021-09-22 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210922-seminar-kanebo-2/ - カテゴリ: クチコミ分析 - タグ: クチコミ分析, セミナー, 中国 大好評となったカネボウ中国の宮下董事の登壇によるウェブセミナー『見えない中国市場を「見える化」 データ分析による課題解決実践法!』。前回は中国のデータをめぐる環境に関する話で盛り上がっていた。 今回はいよいよカネボウ中国においてデータ分析をどのように行っているのか、そして中国ならではの事象や手法について深堀りを進めていった。 <登壇者> 宮下 和也 Profile 佳麗宝化粧品(中国)有限公司 董事 事業統括本部統括本部長 兼)花王中国投資公司 化粧品事業部市場本部長 96年:花王入社 家庭品(パーソナルケア)事業本部 ※スキンケア~ヘアケアの各ブランド戦略を担当 09年:KCMK(販売戦略部門)・化粧品担当 ※日本国内の化粧品販売MKを担当 12年:ソフィーナ事業部 ブランドマネジャー 20年:佳麗宝化粧品(中国)有限公司(カネボウ中国) 董事 事業統括本部統括本部長 兼)花王中国投資公司 化粧品事業部市場本部長 <モデレーター> 濱野 智成 Profile トレンドExpress代表取締役社長 大学卒業後、世界有数のコンサルティングファームであるデロイト・トーマツ・グループに入社。120社以上への経営コンサルティング支援を行い、グループ最年少のシニアマネージャーとして東京支社長、事業開発本部長を歴任。株式会社ホットリンクに参画後、COO(最高執行責任者)としてグローバル事業、経営企画、事業開発、戦略人事、コーポレート部門を統括。新規事業として立ち上げた株式会社トレンドExpressをカーブアウト型で分社化して代表取締役社長に就任。累計資金調達12. 8億円を先導し、クロスボーダービジネスの先駆者として東京と上海をベースに活動中。 ▼前回分の記事は 見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポート Vol. 1 データの「なぜ」を突き詰めることで、見える中国市場理解 データを集めることで徐々に可視化されていく中国市場。しかし、それをより正しく把握していくためには中国の社会的背景への理解が不可欠だ。カネボウ中国ではデータに対して「なぜ」をぶつけることで理解を深めている。 濵野 私もカネボウの皆様とお仕事をしていると、ドリルダウンを繰り返して「本当に消費者はそう思っているのか?」、「なんでそう思っているのか?」という定性的なアプローチみたいなところを突き詰めているように思います。 「あ、そうなんだ」で終わらないところが、こちらも本当にいつも勉強させていただいているポイントかなと。 特に面白い取り組みが「データ分析のレポートって、一人で見るものじゃない」というところで、皆さんのこだわりかなと思っているのですが、そうした取り組み事例を少しご紹介いただけますでしょうか。 宮下 現在トレンドExpressさんと共同で行なわせていただいている分析もそうですね。 やっぱりこの中国で、まあ自分も日本人としてこっちに来ているので、分析から出てくる言葉(キーワード)の意味が分からないといけない。 ただそれはここで生活して、ここで生きてきた人間からしてみたら「(その場合であれば、)至極当然、その言葉が出てくる」、「腑に落ちた言葉である」といったことも結構ありますね。 逆にそれを対話・会話のテーマに上げることで、「本質的に何がその背後にあるのか」ということを解釈・理解することができます。さらには、今の現象としてこういう言葉が出てきたものの、我々が行きたい場所が別の方向にあった場合、「どういう風にそちらの方向に向けて行けばいいのか」、「どういう活動をしていけば、こういうことがもっと増えるか」も話し合うことができます。 例えば「UV(日焼け止め)」の話をしていた時に、中国では独自の習慣として「軍事訓練」というキーワードが必ず出てくるんです。 知らないと「なぜそこで軍事訓練なの?」という話になりますが、コミュニケーションをしていくと、中国では、中学生ぐらいから軍事訓練に行く機会があるんです。そこで初めて UV を使う機会がある。そこで初めて自分の目で商品やブランドで触れる場ができる。 こういった、自分としては知らないことだと気づくきっかけにもなるし、それを膨らませて、具体的な施策の内容に言及したり、発展したりといったことはよくあります。 濵野 そうですよね。ありがとうございます。 そこまでの消費者分析を毎月行っている日本企業は結構稀かなと思っております。 ただ、毎月見た方が絶対にそのモニタリングの精度は上がっていくと思いますし、その中でPDCAが早まっていくこともあると思います。 また中国のトレンドは早いので、中期で見る、もしくは毎月見ていくことで、その市場の変化をいち早く捉えるというのが市場競争力にもなってくると思います。 その中でも「このキーワードが上がってきたのはなんで」っていうところですね。 私もよく感じているのが、例えば中国の方にとっては当たり前だから、スルーしちゃうポイントがあったり、逆に日本人だと全然それが消費者インサイトとは思えず見逃してしまう部分もあったりします。したがって、ブランドのチームの日本人メンバーと中国の方々と、またその分析を実際に手がけた弊社メンバーと一緒に、「机を囲んで」と言ったら変ですけども、それぞれで「消費者インサイトがどういうものなのか」という本質を探っていくといったことが重要ですね。 さらにOA というか、そのオピニオンをしっかりと捉えていくことも、定性的データへのアプローチ方法として大事かなと思っています。 (さらに... ) --- ### 見えない中国を見える化するデータ分析とは? 中国データを語るウェブセミナーリポート Vol.1 - Published: 2021-09-17 - Modified: 2021-09-17 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210917-seminar-kanebo-1/ - カテゴリ: クチコミ分析 - タグ: クチコミ分析, セミナー, 中国 市場の重要性は認知されていても、なかなか見えづらいのが中国の市場であり消費者。それでも各種データを集めてとにかく分析しているのが現状ながら、そうしたデータをどのように扱えばよいのだろうか? 2021年9月、そんな「中国のデータ分析」を語るウェブセミナーが開催された。 株式会社トレンドExpressの『見えない中国市場を「見える化」 データ分析による課題解決実践法!』である。 当日は中国市場の最前線で中国のデータを基にしたマーケティング活動を展開されている佳麗宝化粧品(中国)有限公司(カネボウ中国)の宮下和也董事が登壇し、自らの体験を紹介。 100名以上が視聴した注目のセミナーをレポートしていこう。 <登壇者> 宮下 和也 Profile 佳麗宝化粧品(中国)有限公司 董事 事業統括本部統括本部長 兼)花王中国投資公司 化粧品事業部市場本部長 96年 花王入社 家庭品(パーソナルケア)事業本部 ※スキンケア~ヘアケアの各ブランド戦略を担当 09年 KCMK(販売戦略部門)・化粧品担当 ※日本国内の化粧品販売MKを担当 12年 ソフィーナ事業部 ブランドマネジャー 20年 佳麗宝化粧品(中国)有限公司 董事 事業統括本部統括本部長 兼)花王中国投資公司 化粧品事業部市場本部長   <モデレーター> 濱野 智成 Profile トレンドExpress代表取締役社長 大学卒業後、世界有数のコンサルティングファームであるデロイト・トーマツ・グループに入社。 120社以上への経営コンサルティング支援を行い、グループ最年少のシニアマネージャーとして東京支社長、事業開発本部長を歴任。 株式会社ホットリンクに参画後、COO(最高執行責任者)としてグローバル事業、経営企画、事業開発、戦略人事、コーポレート部門を統括。 新規事業として立ち上げた株式会社トレンドExpressをカーブアウト型で分社化して代表取締役社長に就任。 累計資金調達12. 8億円を先導し、クロスボーダービジネスの先駆者として東京と上海をベースに活動中。 中国は市場データの宝の山? しかし見られる範囲に限界も かたやブランドの中国市場マーケッターとして、かたやデータをベースにした市場開拓サポート提供者として、日々中国のデータにふれ中国市場と向かい合っている2人の話は、中国のデータ環境についてから始まった。 濵野 私たちの共通の話題として、中国市場と日本市場でやっぱりそのデータセットが違うよねっていうのがあるかなと思っております。その市場におけるデータセットの違いを把握して、どんなデータを収集して行くべきなのか?宮下様が中国に行かれてから実践されている内容も含めて、お話しいただけますでしょうか。 宮下 私は2020年の春、初めて中国に赴任しました。 赴任前から「中国はいろんな分野のデジタルシフトが一気に進んでいて、データ量が非常に豊富だから、マーケティングやる上では、宝の山だよ」っていうようなことを聞きながら来たんです 確かに受けた実感としては、データは本当に豊富で、怖いくらいいろんなものがつながっているというところは確かにあります。 生活していても電話番号1つでインフラがすべて繋がっている。僕が自転車に乗るのも、携帯を使えば、その辺にあるシェア自転車を借りてどこまででも行ける。 そういうことも含めて非常に便利だし、すべてが繋がっていて、生活行動パターンが購買データとすべて結びついている強さというのがあり、取ろうと思えばそうしたデータも取れる、非常に凄い国だなというのは思いました。 ただ実際に仕事の中で、そのデータを使いこなしていく上で、データ量は非常に豊富なのですが、それぞれのプラットホームの内側で閉じちゃってるといいますか、それらを俯瞰できる、プラットホーム間をまたいだデータというのは無いんですね。 「化粧品市場って、はたしてどのぐらいの規模があるのか」、「それぞれのチャネルでどのぐらい規模やシェアがあるのか」といった、自分たちのポジショニングを見たりする時に使いたいような、つながったデータという点では、まだ欠けていると感じています。 濵野 確かに、個別のデータは出てくるんですが、全体像を網羅したデータという物にはなかなかお目にかかれませんよね。特に化粧品市場も幅が広いですから。 宮下 はい、中国市場というのは非常に範囲が広いです。化粧品で例えれば、その国内の事業と越境事業と TR(トラベルリテール)、つまり 免税の事業といったものが絡み合って市場が形成されています。 ところが、それぞれを俯瞰した市場全体を把握したデータというのが意外と存在しない。全体を俯瞰したという意味では、まだ整っていないところがあります。 なので、弊社ではそういったものを自分なりに発想して、いろいろなデータを組み合わせながら使っていくというようなことをしています。 「量的」、「質的」という言葉で説明しますと、その「量的」な分析ツールだとか、手法というのは相当発達しているんです。 例えば、どのぐらいのコストを投入したら、どのくらいのトラフィックを得られて、どのぐらいのコンバージョンから、どのぐらいの GMVつまり セルアウトが期待できるかということが、もう計算式にかかって出てくるんです。 しかし徐々に市場も飽和してきています。そういう飽和してきたときは、今度「質」が問われてくるんですけど、なかなかこの「質的」なレベルのデータ解析といった部分はまだまだこれから発展の余地があるということを、仕事をして行くなかで実感しています。 (さらに... ) --- ### 中国カラコン市場における「完美日記」か? 注目の新鋭ブランドをクチコミ調査 - Published: 2021-09-17 - Modified: 2021-09-17 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210917-eye-colorcontact-3/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: インバウンド, クチコミ分析, コスメ, ファッショントレンド, 中国, 人気カテゴリ, 人気ブランド分析 中国のZ世代におけるファッションアイテムとなっている美瞳カラーコンタクト。その市場は現在、大きく変わりつつある。 その変化の代表的なものが、新鋭ブランドの台頭である。 今回は資金調達を行い、一気にマーケ活動を活発化させている注目の美瞳ブランドをクチコミ分析してみた。 tool:Weibo 期間:2020年8月~2021年7月 ▼前回までの記事は 中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場に資本も注目 中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場~クチコミから見る中国カラーコンタクトニーズ 資金調達でマーケティング活動を急拡大 現在、中国のコンタクトレンズ市場でその動静が注目されているのがブランド「Moody」である。 前回の「美瞳」のクチコミ調査でも名前が挙がっていたが、Z世代を中心に人気を集めている新鋭ブランドである。 同ブランドは成立こそ2019年と3年目の若い会社である。 しかし、2020年6月にはエンジェルおよびラウンドAで6,000万元を調達。さらに2021年3月にはラウンドBおよびB+で3. 8億元を一気に調達し、本格的にマーケティング活動を強化している様子である。 Weiboのクチコミ簡易分析にもその様子が見えている。以下のグラフは同ブランドのクチコミ件数の月次推移である。 【グラフ】Moodyのクチコミ件数推移 出所:Trend Express China調べ これを見ると2020年は2,000件弱程度。ダブルイレブン時にはそれが3,000件を超えるレベルになっている。 しかし2021年3月のラウンドBの資金調達が終了した時点から、クチコミ件数は徐々に上向きに向いており、2021年6月に入ると618商戦もあり、一気に3万件を超えるまでに急拡大していることが見て取れる。 おそらくは資金調達を果たした同ブランドは、その資金をマーケティング(主にSNS、オンラインなど)に一気に投下し、その活動を活発化させたものと考えられている。 調達した資金を一気にマーケティング領域および商品開発に投下し、市場を抑えにかかるというのは、コスメ業界における「完美日記(PerfectDiary)」以降、中国の新鋭ブランドの常套手段となっている。 また出資側も、ブランドがこうした動きをし、市場を押さえていくことでリターンを期待できるといった思惑もある。 徐々に大きな利益が望める投資案件が減りつつあるといわれている中国で、こうした新市場への投資はベンチャーキャピタルなどの機関投資家にとっては注目を集めており、新鋭ブランドが育ちやすい環境にあるといえるだろう。 Moodyもこうした潤沢な資金を基に、次々にマーケティング施策を打ち始めているのである。 クチコミのポジティブ・ネガティブ比率を見てみると、「美瞳」全体では15%近くをポジティブなクチコミが占めているが、Moodyでは5. 2%と若干低い値になっている。 【グラフ】「美瞳」と「Moody」クチコミのポジ・ネガ比率 出所:Trend Express China調べ その分ネガティブ比率は低い値に抑えられているが、大部分が「ニュートラル」となっている。 つまりは、消費者としては大々的なマーケティングを始めた同ブランドの商品を「よいかどうか」冷静に見ている状態と考えることができる。 今後は、こうしたニュートラル層を体験やその共有によって「ポジティブ化できるか」という部分が課題であり、同ブランドの今後のマーケティングの中心となっていくように思われる。 T-Mallにおける同ブランド旗艦店 (さらに... ) --- ### 中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場~クチコミから見る中国カラーコンタクトニーズ - Published: 2021-09-10 - Modified: 2021-09-10 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210910-eye-colorcontact-2/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: インバウンド, クチコミ分析, コスメ, ファッショントレンド, 中国, 人気カテゴリ, 人気ブランド分析 2021年に入って一気に人気と資本が増大しているのが中国の美瞳、カラーコンタクトレンズ市場。すでに中国のメディアもその動向を追いかけており、新鋭ブランドへの投資も活発化している。 では、中国の消費者はこの美瞳カラーコンタクトレンズという市場にどのようなニーズを持っているのだろうか? トレンドExpressのクチコミ簡易分析の結果を見ながら、消費者のニーズを探ってみよう。 ▼前回の記事はこちら 中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場に資本も注目 手軽なオシャレで大学生にも。拡大するカラーコンタクトを支える消費者とは 前回見てきたように、Weiboの「美瞳」に関するクチコミでも、2021年を境に大きく投稿数が増加しているのが見て取れる。 ちなみに中国では「美瞳」というと単純に「美しい瞳」という意味と同時に、それを演出する「カラーコンタクト(美瞳隠形眼鏡)」としてもつかわれることがあり、特に後者の用法が近年は一般的になっている。 【グラフ】「美瞳」に関する月次クチコミ件数推移 出所:Trend Express China調べ これを見ても、中国の美瞳カラーコンタクト市場の伸びは目を見張るものがある。 この消費の中核を成しているのはもちろんZ世代といわれる、1995年以降に生まれた若者たちである。 さらにこの美瞳カラーコンタクト市場において大きな比率を占めるのは、「学生党」すなわち、大学生たちである。 中国では「メイク入門」は大学生から。それまでは親や教師が目を光らせており、自由にメイクやオシャレを楽しむ余裕は日本ほど多くはない。 それが大学に合格、入学を果たした時点で一気に解放されるのであるため、多くの大学生は待ちに待ったオシャレへと突き進むのである。 さらに昨今は小紅書(RED)や抖音などのSNSが膨大な量のオシャレ情報を発信している。アイドルもこうしたSNS上に公式アカウントを有し、情報発信を欠かさない。こうしたSNS上で発信されるオシャレ情報、特に人気アイドルが身に付けているものと同モデルの商品は、いわゆる「同款」と呼ばれ、Taobao上でも人気商品となる。 それが、この美瞳、カラーコンタクト市場でも発生しているのである。 小紅書(RED)上でも「学生党のためのカラコン入門」といった動画投稿が多くみられ、大学生をターゲットとに商品の比較や付け方、注意点をレクチャーされている。 さらに前回述べたように、中国の近眼率は高い。 子供のころから勉強の毎日を送り、かつゲームの普及、タブレット端末やスマホ画面の浸透など、近視をもたらす要因は増しているといっていい。 高校生までは眼鏡で過ごしていた女子も、大学に入れば上記のようにオシャレに目覚め、コンタクトレンズをつけ始める。 しかし、普通にコンタクトレンズでは自分自身の個性を生かせないし、面白くない。 (さらに... ) --- ### 中国でヒットを生み出す商品開発の心得とは? 「Fujiko」ブランド生みの親・和田佳奈氏が語る消費者ベースの思考 - Published: 2021-09-03 - Modified: 2021-09-03 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210903-seminar-kanarabo/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: コスメ, セミナー, 中国, 人気商品 中国市場開拓においてはもちろんマーケティング活動も重要だが、その商品が中国消費者のニーズに根差したものでなければならない。 トレンドExpressでは6月2日、そんな中国に向けた商品開発をテーマにしたウェブセミナーを開催。「Fujiko Ponpon Powder」など、中国市場でのヒット商品を展開している株式会社かならぼの和田佳奈社長を招き、その商品開発の考え方から手法から、今後中国市場に投入するための消費者理解についての話を聞いた。 中国向け商品開発セミナー第2弾として開催された同セミナーの模様をピックアップしてリポート。 <モデレーター> 濵野 智成 株式会社トレンドExpress 代表取締役社長 大学卒業後、世界有数のコンサルティングファームであるデロイト・トーマツ・グループに入社。120社以上への経営コンサルティング支援を行い、グループ最年少のシニアマネージャーとして東京支社長、事業開発本部長を歴任。株式会社ホットリンクに参画後、COO(最高執行責任者)としてグローバル事業、経営企画、事業開発、戦略人事、コーポレート部門を統括。新規事業として立ち上げた株式会社トレンドExpressをカーブアウト型で分社化して代表取締役社長に就任。累計資金調達12. 8億円を先導し、クロスボーダービジネスの先駆者として東京と上海をベースに活動中。 --- ### 中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場に資本も注目 - Published: 2021-09-03 - Modified: 2021-09-03 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210903-eye-colorcontact-1/ - カテゴリ: クチコミ分析, 人気ブランド分析 - タグ: インバウンド, クチコミ分析, コスメ, ファッショントレンド, 中国, 人気カテゴリ, 人気ブランド分析 新型コロナウイルス蔓延以降、世界中で欠かせなくなった生活必需品が「マスク」。一部の国ではワクチンの浸透などからマスク着用の解禁が始まっているが、それでも日本はもちろん多くの国で奨励されている。 そうしたマスク環境の中で注目されているのが「目元のオシャレ」だ。 一部ではアイシャドウやアイライナーなど、目元を飾るメイクアップの売れ行きが伸びていたという現象もあったが、現在、中国では「瞳」を彩るアイテムが若者、そして資本家からの熱視線を浴びているという。 9月は中国で高まる「瞳のオシャレ」を、クチコミ分析などを用いつつ眺めていくことにしよう。 市場は徐々に拡大傾向 人気ブランドの参入も 中国では今、「美瞳(mei tong)」ニーズがZ世代を中心に高まっている。 美瞳とは読んで字のごとく、「瞳」を美しく見せること。すなわち瞳の色を変えたり、大きく見せたりするカラーコンタクトレンズの事。 現在中国ではカラーコンタクトレンズ市場が消費者、投資家双方からの注目を集めている。 人気を示す現象の1つが、日本の中国事業界隈でもよく知られた「完美日記(PerfectDiary)」のカラーコンタクトレンズ市場への本格参入だろう。 すでに中国国産メイクアップブランドとしてその地位を確たるものとした同ブランドが、ついなるターゲットとして選んだのがカラーコンタクトレンズ市場だったというのは、決して思い付きなどではなく、そのニーズを読んだものだったと考えられる。 市場全体を俯瞰できるデータは決して多くは無いのだが、わずかに中国のシンクタンク智研諮詢が美瞳市場の市場規模および予測値を算出している。 【グラフ】美瞳市場の市場規模とその予測値の推移(単位:億元) 出所:智研諮詢(https://www. chyxx. com/industry/202011/907789. html) このデータによると2015年には約7億元余りであった美瞳市場も、少しずつ成長を続け、2020年には17. 5億元、さらに2026年ごろには約35億元にまで達するとの予想がなされている。 コンタクトレンズには1日用から1ヶ月、半年、1年用などの違いがあるが、平均単価としては100~200元程度である。 その単価の商品で年間17億元は、比較的多くの数が流通していると考えることができる。そしてそれは年々増加傾向にあるのである。 資本が集まる中国美瞳カラコン市場 今年2月には中国国内の設立わずか3年程度のスタートアップMoodyが「ラウンドB」および「B+」、総額3. 8億元の資金調達を行っている。 同ブランドの天猫旗艦店を見てみると「人気断貨王(売り切れ王)」というキャッチコピーとともに、非常に異なる商品シリーズ、かつシリーズごと複数の色を持ったカラーコンタクトレンズが並んでおり、Z世代が求める「より自身に合った色」を選ぶことが可能となっている。 コンタクトレンズだけでなく「ヒアルロン酸入り保湿点眼液」など、目の渇きに悩む女性向けケア商品なども販売されており、まさに「瞳の総合ケア」というメッセージを発信している。 (さらに... ) --- ### コロナ禍でも衰えない訪日旅行への関心も予断を許さない現状が - Published: 2021-08-27 - Modified: 2021-08-27 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210827-summer-vacation-3-inbound/ - カテゴリ: インバウンド - タグ: インバウンド, 中国, 人気スポット 中国国内で高まる国内旅行ニーズ。注目を集める海南島。 そこで高まるのが「インバウンドは復活するのか?」だ。 コロナ禍で出国観光がままならない中、中国消費者たちは日本への旅行をどのようにとらえているのだろうか。 トレンドExpressの簡易クチコミ分析を使って訪日旅行に関するクチコミを探ってみた。 年間クチコミ件数は国内旅行に匹敵する訪日旅行 早いもので日本の街角から訪日旅行客の姿が消えてすでに1年以上が経過している。 2020年の春節までは、数多くの中国消費者が日本、それも東京や大阪のゴールデンルートのみならず、各地の観光スポットに出現していた。 2019年には959万人という中国消費者が日本を旅し、そしてショッピングを楽しんでいたのである。 しかしそれも2020年には急転。インバウンドビジネスも、長い雌伏の時が続いている。 トレンドExpressでは、将来のインバウンド需要を予測すべく、国内旅行、海外旅行、訪日旅行および海南島旅行に関するクチコミ簡易分析を行った。 期間は2020年7月から2021年6月の直近1年間で、SNS「微博(ウェイボ)」のクチコミを取得した。 まず、国内・海外旅行および訪日旅行に関するクチコミ総数の比較を見てみよう。 【グラフ】直近1年間の国内旅行、海外旅行、訪日旅行クチコミ件数比較 出所:Trend Express China調べ これを見ると最も多かったのが「国内旅行」のキーワードで7万8000件余りに達しており、国内旅行に対する関心度の高さが見える。 特に国内旅行ではこれまで見てきたように若者を中心に、自動車旅行に加え校外でのキャンプニーズなどの新たな旅の楽しみ方も増えており、国内旅行を盛り上げている。 翻って「海外旅行」では年間を通しても1万件に満たなかった。 新型コロナウイルスによって各国が門を閉ざし、中国も自国の帰国者へ対する厳しい隔離政策を取ったことで、海外への渡航は事実上不可能になっている。 そのためクチコミにおいても海外旅行に関するクチコミが激減しているのである。 ただ興味深いのは「訪日旅行」のキーワードのクチコミ件数が約6万6000件に達しており、国内旅行ほどではないが、極めて大きな数値に達している点である。 各クチコミのポジティブ・ネガティブ比率を見ても、訪日旅行に関するポジティブクチコミは全体の15. 4%と高い値を示している(国内旅行は10. 3%。海外旅行は15. 4%)。 【グラフ】国内旅行、海外旅行、訪日旅行クチコミのポジネガ比率比較 出所:Trend Express China調べ やはりコロナ禍においても中国消費者の日本への旅行はポジティブな期待値が高い事が見て取れる。 (さらに... ) --- ### 中国コロナ禍の夏休み 注目の海南島を最新レポートから読み解く - Published: 2021-08-20 - Modified: 2021-08-20 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210820-summer-vacation-2-hainan/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: インバウンド, 中国, 人気スポット, 社会トレンド分析 2020年は中国の観光、トラベルリテール業界に非常に大きな事件が2つあった。1つはもちろん新型コロナウイルスであり、観光業界に深刻なダメージを与えた。 しかし、全く逆の盛り上がりを与えたのがもう1つの事件。 すなわち「海南島離島免税制度」の拡大である。 免税上限の増額、品目の増加などの要素で、中国国内の新型コロナウイルス抑え込みが見えてから一気に火が付いた。 今回は中国の観光、トラベルリテールにおける注目ワード「海南島」を、トレンドExpress社の最新レポートをベースに見ていこう。 ▼前回の記事 コロナ禍の夏休み 中国の旅行ニーズをクチコミから見る ▼今回活用している『魅惑の海南島白書』に関してはこちらから 海南島大ブームをもたらした離島免税政策拡大 まずは2020年にわかに注目を集めた海南島の離島免税制度をおさらいしておこう。 離島免税制度自体は2011年から施行された、中国国内でも空港などと同様に免税でショッピングを楽しめるというものである。 海南島(海南省)の三亜市などには免税店が作られ、観光で訪れた消費者向けに免税の海外ブランド商品の販売などが行われていたが、その範囲が2020年7月から大きく拡大された。 免税対象金額を、1人年間3万元に設定したものを10万元に引き上げ、また対象となる商品も38品目から45品目へと拡大。これによってスマートフォンなどの通信機器も免税対象となった。 さらに、免税の条件となっている「単価8000元まで」との規定も撤廃され、高額商品も免税対象とされたのである。 そして起こったのは、中国消費者において「海南島観光ブーム」が到来した。 もちろん、新型コロナウイルスの影響で海外旅行ができないという背景もあるが、とにかく「海南島で免税ショッピング」が一躍トレンド入りを果たした。 トレンドExpressが販売している独自調査レポート『魅惑の海南島白書』ではオープンデータから、海南島離島免税制度拡大以降の観光状況を以下のようにまとめている。 【グラフ】海南島訪問人数及び観光総額※(2020年6月~2021年5月) 出所:『魅惑の海南島白書』(トレンドExpress)より抜粋 2020年6月には旅行者数延べ396万人程度であったものが、7月以降増加を始め、国慶節・春節の2大観光シーズンを経て、2021年5月には延べ720万人台で推移している。 1年足らずで実に倍近い伸びである。 月ごとの観光総額(一定時期において該当エリアが観光客に提供する製品・サービスの合計売上)も、離島免税拡大前の6月は47億元だったものが、2021年5月には145. 14億元と3倍以上の伸びを見せている。 さらにこの数字を並べてみると、2021年に入って延べ人数は観光シーズンよりも落ち着きを見せているが、観光総額においてはシーズン中に近い金額を維持しており、1人当たりの消費単価が増えていることが予想できる。 まさに2015年ごろに起こった「爆買い」が、海南島に場所を変えて再現されているのである。 続いて『魅惑の海南島白書』から、クチコミ分析部分をピックアップして見てみよう。 (さらに... ) --- ### コロナ禍の夏休み 中国の旅行ニーズをクチコミから見る - Published: 2021-08-06 - Modified: 2021-08-06 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210806-summer-vacation-1/ - カテゴリ: インバウンド - タグ: インバウンド, 中国, 人気スポット 中国消費者の新たな爆買い聖地「海南島」で何が起こっているのか。 トレンドExpressの独自レポート「魅惑の海南島白書」 詳細はこちらから 8月。夏真っ盛りであり、世界共通のバケーションシーズンである。 もちろん中国でも同様である。 しかしながら、2020年から夏の過ごし方が一変した。新型コロナウイルスによって、移動範囲がそれ以前に比べて大きく縮小した。 現在でもその状況は続いているが、中国国内の観光と海外旅行への関心事についてクチコミ調査を中心に見ていこう。 2020年国慶節からの本回復、高い中国国内旅行への関心 トレンドExpressではWeiboにおける「国内旅行」、「海外旅行」、「海南島旅行」、「海南島免税ショッピング」、そして「訪日旅行」、それぞれのクチコミ簡易調査を実施した。期間は2020年7月から2021年6月までの1年間である。 その中で「国内旅行」と「海外旅行」に関するクチコミ件数は、以下のような推移を見せている。 【グラフ】「国内旅行」・「海外旅行」クチコミ件数推移 出所:TrendExpress China調べ まず「国内旅行」に関しては2020年7月以降、月平均で6,500件程度のクチコミ件数が見える。 ただし、2020年では本来高まるべき7月、8月のクチコミ件数は思ったよりも多くなく、9月および10月に集中している。 9月に9,345件 、10月には16,675件と一気に突出しているのは、やはり外出規制に対するリベンジ観光によるものが大きいと予想される。 中国では比較的早い段階で2020年の新型コロナウイルスの影響が薄まってきたが、観光業としての復活は10月の国慶節シーズンだったことが見て取れる。 それと対照的なのが「海外旅行」に関するクチコミ件数である。 1年間を通じて1万件未満、月平均でも790件程度しか見られない。 中国では比較的早い段階で日常生活が回復しつつあったが、日本を含めた海外では新型コロナウイルスが猛威を振るっており、どこも国を閉ざしていた。 同時に中国も蔓延がいったん下火になったものの、再度の蔓延、特に「海外からの流入」を極度に警戒していたため、中国消費者も海外に出かけたくても出かけられないという状況にあったことがクチコミ件数にも現れている。 クチコミのポジティブ・ネガティブの比較を見てみても、その状況が分かる。 【グラフ】「国内旅行」・「海外旅行」クチコミのポジ・ネガ比率比較 出所:TrendExpress China調べ 国内旅行に関してはポジティブワードが10%を占めているが、海外旅行に関しては7%程度と、国内旅行に比して低い値になっている。 これを見てみると、海外旅行に行けない分、国内旅行を楽しもうという意識が高まっているのかもしれない。 (さらに... ) --- ### Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol.4 ~メンズコスメ人気2ブランドをクチコミ分析~ - Published: 2021-07-30 - Modified: 2021-07-30 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210730-china-menscosme-4/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: クチコミ分析, コスメ, コスメトレンド, 中国, 人気ブランド, 社会トレンド 前回まで見たように、中国におけるメンズコスメはスキンケアを中心に、いろいろな社会の課題を含み間ながらも、徐々に拡大している様子が見て取れる。 そうした中、メンズスキンケアのクチコミ簡易分析において人気となったのがアルマーニ、そしてすでに中国のコスメ市場に浸透しているロレアルの名前が上げられていた。 今回はその2大ブランドにおけるメンズスキンケアについて、同じく簡易分析を実施。それぞれのブランドの違いを見ていこう。 ▼前回までの記事 Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol. 1 Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探る Vol. 2 クチコミ分析で見えるコスメ男子のジレンマ Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol. 3 ~クチコミから見えるコスメ男子急成長の兆し?~ アルマーニ、ロレアルの2大ブランドをクチコミ分析 前回、メンズスキンケアのWeiboのクチコミにおいて件数が多かったのがアルマーニとロレアルであった。 そこで、「アルマーニメンズスキンケア」および「ロレアルメンズスキンケア」のキーワードで、同じくWeiboによる簡易クチコミ分析を実施した。 アルマーニはハイエンド、ロレアルはどちらかいえば一般向け商品が多く、一概に競合として見ることはできないが、黎明期にある中国メンズコスメを代表するブランドとして見ていきたい。 まずは、月ごとに見たクチコミ件数の推移である。 【グラフ】アルマーニとロレアル、メンズスキンケアのクチコミ推移 出所:TrendExpress China調べ これを見ると、アルマーニは直近1年間で13万件、月平均でも1万件以上のクチコミを見ることができる。 それに対してロレアルは商戦期などの波はあるものの、年間でも5万3000件、月平均で4400件程度にとどまっており、アルマーニが大きく上回っていることが見て取れる。 Weiboのクチコミ上においては、アルマーニ人気が群を抜いている。この理由に関しては、後ほどキーワードの中身を見つつ、分析を加えてみよう。 続いて、両者のクチコミにおけるポジティブ・ネガティブの比率を見てみる。 【グラフ】アルマーニとロレアル、スキンケアクチコミのポジネガ比率 出所:TrendExpress China調べ こちらで見られるのは、クチコミ件数こそアルマーニがロレアルを上回っているが、ポジティブ度合いを見ると、逆転しておりロレアルは20%近くがポジティブなクチコミ内容となっている。 それに比してアルマーニは、ポジティブ、ネガティブともに少なく、「可もなく不可もない」クチコミが主流である。 こうした点から予想されるのは、アルマーニ側はクチコミは多いものの、「商品体験としては一般」、もしくは「実質的なユーザーが少ない可能性」が指摘される。 ただ同ブランドは世界でも有数のラグジュアリーブランドであり、商品そのものの質が低いとは考えにくい。 そうした疑問を考えながら、両者のクチコミの中身を見ていくことにしよう。 (さらに... ) --- ### Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol.3 ~クチコミから見えるコスメ男子急成長の兆し?~ - Published: 2021-07-16 - Modified: 2021-07-16 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210716-china-menscosme-3/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: コスメ, コスメトレンド, 中国, 社会トレンド 中国消費者の新たな爆買い聖地「海南島」で何が起こっているのか。 トレンドExpressの独自レポート「魅惑の海南島白書」 詳細はこちらから 中国の複雑な社会背景のなかでも、着実に市場を構築しつつある中国男子たちのメンズコスメ。 引き続いてトレンドExpressの持つクチコミ簡易分析の結果から中国メンズコスメの状況をとらえていく。 前回までは市場全体や男性が化粧をするという事に対する中国の印象を見てきたが、今回からは「化粧品」という商品に関しての印象から市場の特性を見てみよう。 ▼これまでの記事 Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol. 1 Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探る Vol. 2 クチコミ分析で見えるコスメ男子のジレンマ 求めるのは美白? メンズコスメ商品のクチコミ分析 「メンズコスメ」全般のクチコミ状況を見るべく、「男士化粧品(男性化粧品)」というキーワードでクチコミ調査を行った。 まずはポジティブ・ネガティブの印象である。 【グラフ】男性化粧品に対するポジネガ比率 出所:TrendExpress China調べ 男性が化粧(スキンケア含む)をすることには、ポジティブな印象が比較的多い分、ネガティブな印象もあった。 男性用化粧品に関しては、ポジティブな意見は少なくなっているものの、比率はネガティブよりも多く、またネガティブな印象も前回の「男性が化粧をすること」に比べれば低い値になっている。 こうした商品そのものに対しては、全体的にニュートラルな立場で見ていることが分かる。 ではその男性化粧品に関してつぶやかれているキーワードを見てみよう 【表】男性化粧品に関するクチコミキーワードランキング 出所:TrendExpress China調べ 商品やニーズで見られるのが「洗顔クリーム」で、最も手軽で身近な男性のケアというのが洗顔とみられる。 また「肌」や「オイルコントロール」というキーワードが見える。 男性にとって「顔の油」は共通した悩み。その悩みをコスメによって解決させようという意識が現れていると考えられる。 また興味深いのが、下位ではあるが「美白」に加えて「日焼け止め」、「コンシーラー」などの、肌を美しく、特に白く見せようという、女性のコスメニーズと同様の内容が見えることである。 中国では近年、男性アイドルが多く人気を集めており、まさにアイドルブーム到来といった状況にある。 その男性アイドルの多くがきめ細やかな、かつ透明度のある肌であることが多く、こうした男性像を理想として捉える傾向が影響している。 さらに人気のアイドル養成番組などで選ばれる男性アイドル予備軍も、韓流の影響を受けた白い透き通った肌を持つ男性が非常に多い。 小紅書(RED)でも「男士×美白」では2万件以上の投稿がなされていることが確認することができ、その美白のための手法も紹介されている。 今や、イケメンの条件として「美白」が上げられているわけである。 ただ、同時に「男らしい気質」というような、従来の「強さ」を求める伝統的な男性像もあり、こうした価値観の狭間に現代中国男子は立っていると思われる。 (さらに... ) --- ### 抖音オフィシャルアカウンティズム Vol.1:実施キャンペーンは欠かさず抖音へ! - Published: 2021-07-16 - Modified: 2021-07-16 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210716-douyin-column-1/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: コスメ, マーケティング, マーケティング分析, 中国 2021年618から正式に商戦参入を果たし、動画機能に加えたEC機能の強化で注目される抖音(Douyin)。 対中国市場マーケティングでも、非常に見逃せない存在になっている。 しかし、マーケティング活用とは言うものの、どのような投稿をしてよいのやら... と悩むブランド担当者も少なくない。 そこで、すでに抖音に公式アカウントを有しショート動画作品を投稿しているブランドをチェックし、その投稿傾向や人気の出た投稿を独自視点で分析してみよう。 抖音アカウント利用方法、最近のトレンドとは? 「抖音」と聞いた時にどんなイメージを持つだろうか?「Tiki Tok中国版」?「モール外のブランディング」? いや、抖音はTik Tok以上に進化を続けている。 2021年618商戦でも目玉になったのは抖音におけるEC機能。より「買うためのアプリ」として強化されたことだ。となると、企業もより“売り”へ繋げようと感じるもの。 そんな中、中国での抖音アカウント使用法は現状大きく2パターンとなっている。 実施した施策や通常投稿をメインで使うパターン IPコラボ実施、代言人起用、オフラインでの広告出稿、商品クリエイティブを抖音の通常投稿で情報発信し、プラスαでライブコマースを行い小店へ遷移させる使い方だ。これは抖音の従来の一般的な使い方として、多くの企業が取り組んできた方法である。 小店遷移のためのライブ配信をメインとしたパターン こちらのパターンの場合は通常投稿は控えめであり、もはや抖音を動画配信アプリとしてではなく、ECアプリとして利用している色合いが濃い。通常投稿も代言人などのカリスマの力を借りるのではなく、“物を売る“際の基礎となる「トーク力」で売り上げを作る方法である。 今回は、はじめての抖音アカウント運用でも真似がしやすい前者の従来の使い方を、colorkeyに倣って見てみよう。 今回の注目アカウント:colorkey フォロワー数:87. 1万 総「いいね」数:298. 7万 アカウント開設時期:2019年9月ごろ 動画投稿件数(作品数):233 ※いずれも2021年7月15日現在 今回ピックアップするブランドは「colorkey」と言うメイクアップブランドだ。 2018年に設立した比較的新しい中国ブランドであり、近年の中国コスメトレンドである発色の良さが特徴。 新鋭ブランドながら2021年の618商戦ではT-Mallのメイクアップブランドで売上4位に入るなど、その存在感をアピールしているブランドでもある。 ▼参考記事 2021年618商戦終了 メイクアップブランドに気になる動き とはいえ、「発色がいい」というだけなら、そのほかの国産ブランドと差別化がしにくい。しかし抖音の同ブランドアカウントを見ていると、colorkeyが一枚上手であるポイントを3つほど発見。 そのポイントを見ていこう。 IPコラボで「パケ買い」誘発。 同ブランドはドラえもん、ハローキティと言った中国人に人気なキャラクターを使っている。“数量限定”であるIPコラボ商品という要素が加わることにより、パケ買いを誘発させている。 もちろん「映える」パッケージによるオシャレな動画は、Z世代がメインユーザーである抖音とも相性がいいのである。 パワーのある代言人の起用 同ブランドが起用しているのが「世界で最も美しい顔100名」の上位にランクインしたことのある、迪麗熱巴(ディリロバ)。中国では知らない人はいないほど有名。それを抖音で絨毯爆撃式に大量投下することで、ファンでなくとも「colorkeyというブランドは迪麗熱巴を使っている」という認知を広げることにもなるのである。 派手な屋外広告の様子を抖音にリンク 同ブランドが力を入れているのが地下鉄の列車ジャック、広州タワーへの出稿、上海の外灘でドローンを使用した迪麗熱巴のバースデーイベントなど、盛大な野外広告。 ただ、“やりっぱなし”ではなく、そのイベントを抖音で投稿することにより、実物を見られなかった方や、地方在住の方などにも野外広告が伝わる仕組みになっている。 むしろこうした派手なオフラインイベント自体がオフィシャルアカウントだけでなく、一般ユーザーによる抖音拡散を狙ったものであるとも考えることができるだろう。 もちろん、この3点の広告出稿の仕方だけでなく、通常投稿で商品テクスチャーが伝わるよう重視したクリエイティブ投稿やライブ配信も常に行っており、小店への遷移も欠かさない。 発色がいい商品自体はありふれてしまうが、そこに上記のIPコラボ、代言人、野外広告など、実施したあらゆるプロモーションを抖音にて実施アピールをすることによって、colorkeyを好印象に、「買いたい!」という心を上手につつく抖音の使い方をしている。 まさに王道中の王道の使い方であり、お手本になるような使い方をしてくれているのがこのcolorkeyというわけだ。 まさに辞書のようなPRパターンを抑えつつ、それを抖音とリンクさせることでより効果を高めている。 抖音マーケティングの基本として押さえておきたいアカウントである。 --- ### Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探る Vol.2 クチコミ分析で見えるコスメ男子のジレンマ - Published: 2021-07-09 - Modified: 2021-07-09 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210709-china-menscosme-2/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: コスメ, コスメトレンド, マーケティング, 中国, 社会トレンド 中国で拡大を見せているメンズコスメ。テレビやネットを彩る男性アイドルたちを筆頭に、ジェンダーの枠にとらわれない、思い思いのオシャレを楽しむ男子も増えているといえる。 しかしそんな「メンズコスメ」をクチコミ調査にかけてみると、中国の「ジェンダー」をめぐる環境は、いまだ伝統的な価値基準から脱し切れていない... そんな様子が見て取れる。 今回はメンズコスメのクチコミ分析を通して見える、中国のコスメ男子たちの置かれた環境を分析してみよう。 ▼前回の記事は Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol. 1 安定したクチコミ件数。商戦、イベント期には急増 今回、トレンドExpressでは中国メンズコスメの状況を知るべく、Weibo簡易分析を行った。 Weiboの調査というと「小紅書のほうがそのトレンドを明確に知ることができるのでは?」という意見もある。 確かに体験共有型の小紅書(RED)では、メンズコスメの使用投稿や紹介投稿が多く、その仕様動向を知ることができる。 しかし、まず知るべきなのは世論である。 その消費対象者が社会的にどのような意見に晒されているかを知らなければ、その消費者の本当の悩みを知り、寄り添うことはできないのである。 さて、そんなWeibo上のメンズコスメ、まずは「男性化粧」というキーワードで、男性が化粧をすることの印象を調べてみた。 最初は月次クチコミ件数の推移である。 【グラフ】「男性化粧」に関する月次投稿件数推移(2020年5月~2021年4月) 出所:TrendExpress China調べ 男性が化粧をすることに関するクチコミは、月平均700~800件が投稿されており、安定した件数を示している。 特にイベントごとの多い年末・年度末にはクチコミ件数が伸びており、特に12月のクリスマスイベント、2月の春節イベントは、メイクをした男性芸能人が多く投稿されることもあり、クチコミ件数の上昇がみられる。 中でも12月、クリスマスシーズンが、クリスマスパーティにおける男性コスメ、メイクに関する投稿がなされており、ずば抜けて多くなっている。 また同時に「男性化粧品」での投稿件数を見たが、こちらは11月、そして2月の商戦シーズンに上昇がみられており、消費市場においてメンズコスメ商品も商戦に参入しており、訴求がなされているものと考えられる。 ポジティブ率は高いものの、保守的からの変革期 興味深いのは、「男性コスメ」に関するクチコミのポジティブ、ネガティブ、ニュートラルの別である。 【グラフ】「男性化粧」クチコミのポジ・ネガ比率 出所:TrendExpress China調べ 実際にはポジティブ率が13. 23%と比較的高く、すでに男性が化粧(スキンケア、メイクアップかは問わない)をすることに良い印象を持つ層が増えているのだと感じられる。 (さらに... ) --- ### クチコミから見える2021年618商戦 ライブライブコマース戦争の状況は? - Published: 2021-07-09 - Modified: 2021-07-09 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210709-618-report-3/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: 618, クチコミ分析, マーケティング 中国消費者の新たな爆買い聖地「海南島」で何が起こっているのか。 トレンドExpressの独自レポート「魅惑の海南島白書」 詳細はこちらから 2021年の618においてもマーケティングの重要要素としてライブコマースが展開されており、ライブはすでに中国の商戦には無くてはならい物として認知されている。 トレンドExpressでは、自社独自のクチコミ分析ノウハウを活用し、2021年618商戦におけるライブの状況を調査している。 今回はそのクチコミ分析に合わせ、すでに公開されている中国のデータを見ながら、2021年618商戦のライブ状況を俯瞰してみよう。 抖音、中国商戦テストランは? 2021年で台風の目ともいえたのが「興趣電商(興味EC)」を訴える抖音(Douyin)の新規参入である。 これまでは抖音のライブから天猫など外部のECプラットホームの遷移が可能であり、2020年の618では売り上げ拡大に大きな効果を上げていた。 しかし、2020年のW11前からそれが事実上遮断され、外部のECプラットホームに対して大きなインパクトを与えている。 抖音に関しては具体的な金額発表はないが、ライブコマースにおいて、期間中に配信されたライブの総時間が2852万時間に達した事、累計で372億人が視聴し、1000万元以上のGMVを獲得したライブスペースが153あったことが公式に発表されている。 さらに抖音では、自社のECシステムである「抖音小店」での売り上げ総合ランキングを公開。 「Apple(iPhone)」や「The history of Whoo」、「Huawei」などの有名ブランドが売り上げ上位に名前を連ねている。 既に知られているように、抖音の商戦本格参入は2021年618が初となっている。 そのため、この抖音小店の活用に関しても、多くのブランドがテストランであったり、参加せず様子見を行っている状況が依然としてある。 そのため、売り上げ上位に来ているブランドもまだローカルブランドが多い印象となっているのは、そのためである。 2021年の618の様子を見る限り、抖音自体が抱える膨大なトラフィックのなかで、公式アカウントの開設などによって情報発信を続け、環境を整えることで、抖音小店を非常に効果的に活用できるように考えられる。 今年のW11には参入企業も増えると予想される。 (さらに... ) --- ### 2021年618商戦 クチコミ分析から何が見える? - Published: 2021-07-02 - Modified: 2021-07-02 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210702-618-report-2/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: 618, クチコミ分析, マーケティング JD. comにおいても昨年越えが発表されている2021年の618。好調を伝えるブランドも数多くあるが、消費者たちはその商戦にどのような印象を抱いたのだろうか? 中国トレンドExpressでは2021年と前年の618商戦期間中(ともに5月25日から6月20日)のクチコミを収集。618商戦中のクチコミ上における人気ブランドなどを分析した。 今回はその中から618全体を俯瞰してみよう。 618クチコミ件数は増加傾向。年齢層も平常化へ まず618に関するクチコミ件数である。今回は単純に5月25日から6月20日の期間中に「618」というキーワードを含んだ投稿があった件数を収集した。 【グラフ】618に関するクチコミ件数 出所:数慧光商務諮詢(上海)有限公司 これを見ると2020年は300万件の投稿があったが、2021年は約315万件と5%ほどの件数増加がみられた。 昨年と比べて大きくはないが増加がみられており、618商戦全体としては前年並み、もしくはそれをやや超える盛り上がりを見せたと言っていいだろう。 2020年は新型コロナウイルスによる外出制限終了後の大型商戦とあって前年である2019年以上の盛り上がりを見せたが、商戦全体として2021年もその流れを継続した結果となった。 続いて、このクチコミを行っているユーザーを年齢で見てみよう。今回は昨年に比べて小さいながらも変化が見られた。 【グラフ】618クチコミの年齢分布 出所:数慧光商務諮詢(上海)有限公司 主力年齢層は2020年同様、「25歳から34歳」という世代、中国でいう80後世代後半および90後世代が中心となっている。 しかし全体における比率は2020年から微減を見せている。 それに代わって比率を伸ばしたのが19歳~24歳。すなわち本格的なZ世代となっている。 この世代はプラットホーム、多くのブランドがターゲットとしている消費層であり、国潮や国貨など、同世代向けのプロモーションやキャンペーン露出が2020年に比べても増えたことが要因として考えられる。 また興味深いのは35歳~50歳という世代のクチコミも増えている。 彼らは社会的には主役とされている世代であり、購入意欲・能力も高い世代であるが、2020年はコロナ禍によって経済的にも打撃を受けていた世代であり、その分「元気が無かった」といえる。 そうした視点で見れば、年齢分布も新型コロナから脱し、正常な状態に戻りつつあるといえるのかもしれない。 2020年に比べて落ち着きを見せている「買った」クチコミ 続いて「618×買った」のキーワードで、618でショッピングをしたことを投稿したクチコミ件数を調査した。 【グラフ】「618×買った」クチコミ件数 出所:数慧光商務諮詢(上海)有限公司 グラフを見ると、2020年は99000件余りであったのに対し、2021年は89000件と、約1万件の減少を見せている。 これまで公開されたプラットホームやブランドの618結果を見る限り、ともに昨年を上回ることが述べられている。そのため、売上そのものが下がったとは考えにくい。 一つの可能性としては、2020年は全国的に「脱新型コロナの影響」という社会的なキャンペーンが展開されており、また外出規制などの逼塞した第1四半期などを過ごしたリベンジ消費が多かったことで、購入後の「報告」投稿が増加したと考えられる。 そのため減少という事実はありながらも、ネガティブな要素としてではなく、現時点では中国市場自体が平常運転に戻っている(2020年はやはり特殊な1年であった)と考えることができる。 もちろんこれは敬意観察が必要なものであり、2022年の同商戦でどのように「買った」クチコミが変化するのかも見る必要がある。 では気になる「618×買った」とともに投稿されたブランドのランキングはどうなっているだろうか。 50位までを整理してみた。 【表】「618×買った」ブランドクチコミランキング 出所:数慧光商務諮詢(上海)有限公司 1位、2位は「ロレアル」と「エスティーローダー」が2020年と交代することになった。この両者はT-Mallのスキンケア商品でもトップ2を抑えているが、全体を見ても好成績であったことが想像される。 ちなみにロレアルグループの各ブランドは、それぞれの分野においてT-Mall、JD. comにおいて1位(海外ブランド1位)などの成績を収めており、2021年618を大成功で終えている。 スキンケアでも商戦開始からのスタートダッシュを見せており、世界最大級の化粧品ブランドとしての総力を挙げた様子が見て取れる。 スキンケア業界では今後もロレアル、エスティーローダー2強時代が続き、3位にどこが入るか、という戦いが繰り広げられそうだ。 また順位を大きく上げたのは韓国ブランド「The history of Whoo(后)」や「SULWHASOO(雪花秀)」である。 これらのブランドは2020年のダブルイレブンで売上を大きく上げており、その余勢を2021年につなぐという、理想的な流れを見せている。 また日本勢ではKOSEグループの「COSME DECORTE」が順位を上げている。 T-Mall618では一時期トップ10圏内に顔を見せたように勢いをつけている。商戦直前にはガラス工芸における世界のトップブランドであるBACCARATとのコラボ限定商品を中国で販売開始。 上海においてイメージキャラクターである女優・周迅を招いての豪華イベントを開催し、目を引いた。 こうした特別な動きと商戦向けのプロモーションが合わさり、順位を上げたものと考えられる。 興味深いのは、商戦前に政治問題に絡んでインターネットやSNSで批判を浴びていたNIKE、adidasの海外スポーツブランドであるが、安定の上位に姿を見せている。 こうした政治的な反応と「安売り商戦」は別という認識があったようである。 こうした傾向が見えるのも商戦期クチコミ分析の面白さであるといえるだろう。 次回は中国プロモーションの中核となっているライブの様子をクチコミから見てみよう。 ▼次回はこちら クチコミから見える2021年618商戦 ライブライブコマース戦争の状況は? --- ### Z世代男子がキレイに変化 中国メンズコスメニーズを探るVol.1 - Published: 2021-07-02 - Modified: 2021-07-02 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210702-china-menscosme-1/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: コスメ, コスメトレンド, マーケティング, 中国 中国ではアイドル文化が花開いており、特にオーディション番組も大ヒット。巨大なマーケットと化している。 その中で「最も大きな中国の変化」と思われるのが「キレイ系男子」の隆盛である。ひと昔前は経済能力向上に力を注いできた中国男子に何があったのか? オシャレに目覚めた中国男子たちによって拡大を見せるメンズコスメ市場を俯瞰してみよう。 消費市場における男性の立場を向上 拡大するメンズコスメ市場 中国では2019年ごろから男性向け化粧品、すなわちメンズコスメ市場が注目されている。 市場規模の推移を見てみると、全体では4000億元に達するといわれる中国化粧品市場においては、ごくわずかな比率であるものの、2020年には167. 2億元と少なからぬ規模にまで成長をしている。 【グラフ】中国メンズコスメの市場規模 この状況は、長く中国市場を観察している身としては、非常に深い興味を覚える。 筆者が上海で生活をしていた90年代末から2010年代半ば、まさに経済発展のさなかにあった中国では、女性のファッション、メイクセンスは向上を続け、現在では日本で中国コスメが輸入されるほどになっている。 それに比べて男性は そもそも「男性ファッション誌」というような、男性の見た目の参考になるようなメディアも少なく、ビジュアル系バンドや日本のアニメ程度しか参考になるものが無かった時期がある。 またその時期、男性に求められるのは経済力。 中でも不動産投資や自家用車などがステイタスとして認知されており、男性にとっての話題といえばもっぱらこの2つに加えて「起業」などがメインであった。 そのためアパレルなどのファッション消費において言えば、女性をターゲットにした女性経済のほうが注目、開発されてきており、男性市場はやや優先度が下げられていた。 2020年に中国の蘇寧金融研究所の発表した男性消費に関するレポートにおいては「消費市場において男性の価値は犬(ペット)より低いといわれていた」と、過去の状況を語っている。 それが近年、大きく変化しているのである。 抖音の運営元でもあるバイトダンス社のデータ研究企業「オーシャンエンジン(巨量算数)」では、2020年末のレポートで男性コスメへの関心向上を伝えている(『2020中国男士美粧洞察』)。 2020年第3四半期において、抖音の男性ユーザーのコスメ関連内容再生数は、スキンケアで前年同期比58%の増加。 さらにメイクアップにおいても12%増とプラス成長を見せており、抖音を活用する若い世代、いわゆるZ世代を中心に男性のコスメへの関心度合いが上昇している。 またQuestMobileの調査では2021年4月、コスメ系KOLをフォローしている男性月平均アクティブユーザーは1. 8億人。その25. 5%を25歳~35歳の若者世代が占めているとの発表もある。 つまり、明らかに男性が身だしなみとしてのコスメに注目している様子が見て取れるのである。 (さらに... ) --- ### 【抖音分析】Vol.2 2021年618商戦における抖音のポジションとは? - Published: 2021-06-25 - Modified: 2021-06-25 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210625-douyin-mark-3/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: 618, コスメ, マーケティング やや例年とは異なる雰囲気を醸し出していた2021年上半期最大のEC商戦618。その目玉の一つとなったのが抖音(Douyin)の正式参戦である。 ショート動画機能、ライブ機能を有し、膨大なトラフィックを稼ぐ同アプリの参戦は、T-MallやJD. comといった従来のECプラットホームのほか、その商戦に参加する企業(メーカー、ブラン)にも大きな影響を与えた。 今回は中国のメディアが618参加企業に行ったアンケート調査を基に、商戦と抖音の関係を見てみよう。 2021年618、期待を集めたプラットホームは? 中国でECや小売業を専門に取材、分析を行っているメディア「億邦動力(ebrun. com)」。そのシンクタンクである億邦智庫では2021年618商戦の直前、参加企業に対するアンケート調査を実施。企業視点で、どのプラットホームに注力しているかなどを調べ『2021品牌企業618大促洞察報告』というレポートを公開した。 そこから、2021年618参加企業の動きを知ることができる。 最初に聞かれたのは「企業がもっとも重要視しているプラットホームはどれか?」という点である。 特に今年は『網絡交易監督管理弁法』が施行され、プラットホームサイドは参加企業に「二者択一」を迫ることができなくなり、同時に価格決定権も出店企業のものと定められた。 企業にとっては複数のプラットホームで、自社主体のキャンペーンが行えるはずだが、現在のEC市場はプレーヤー数も増え、戦国時代に。 どのプラットホームにどのくらいの資本や精力を費やすかを考えなければならない。 その中で中国の企業が出した回答が以下のようになっている。 【グラフ】2021年618で最も重要と認識しているプラットホームは? 出所:2021品牌企業618大促洞察報告(億邦智庫) これを見ると、圧倒的な支持を集めているのがT-Mallである。 その母体であるアリババが独占禁止法違反によって処罰を受けているが、T-Mallは依然として中国EC業界においては最大手であり、昨年のダブルイレブンでも5000億元に迫る売り上げを挙げている。 膨大なユーザー数を有し、世界的なラグジュアリーブランを含む数多くのブランドが旗艦店を展開。その実力は圧倒的なものがある。 では次点をどこにするか、という問題がある。それを見ると通常、業界ナンバー2のJD. comが考えられるが、今回のアンケートを見てみると、抖音と並列しての2位であった。 すなわち、618の主戦場をT-Mall以外と考えた場合、「業界2位のJD. com」と「新興勢力の抖音」の間で悩む、という心理が見える。 もう一つ興味深いデータがある。 「有限の資本をどこに投下すべきと考えるか?」という問いに関する回答である。 【グラフ】資本に限りがある状況で優先的に注力するプラットホームは? 出所:2021品牌企業618大促洞察報告(億邦智庫) こちらにおいても最優先されるべきはT-Mallで過半数が選択をしている。 しかし、次いで優先的に投下されるのは業界2位のJD. comではなく、抖音が続いているのである。 (さらに... ) --- ### 2021年618商戦終了 メイクアップブランドに気になる動き - Published: 2021-06-25 - Modified: 2021-06-25 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210625-618-report-1/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: コスメ, コスメトレンド, マーケティング, 越境EC 2021年は日本でも関連報道がされた618商戦。徐々にではあるが、全体の成果に関する情報が出始めている。 今回はそれら公開されている情報から、2021年618の模様を見てみよう。 JD. comが3,400億元の売上。スキンケアは上位陣が安泰 すでに日本の報道でも紹介されているように2021年618は、JD. comのオーダー金額が3,438億元と、W11越えとはならなかったが、2020年の2,692億元を上回る成果を達成している。 【グラフ】618とW11の交易額の推移 出所:それぞれの公式発表を基に中国トレンドExpressにて作成 T-Mall、そして今回の台風の目ともいえる抖音(Douyin)はオーダー金額数の発表はまだない。 ただ、抖音に関してはライブコマースにおいて、期間中に配信されたライブの総時間が2852万時間に達した事、累計で372億人が視聴し、1000万元以上のGMVを獲得したライブスペースが153あったことが公式に発表されている。 しかしながら、各プラットホームでの公式発表の度合いがまちまちで、全体像をとらえるには真は若干の時間を擁しそうである。 そうした中国の商戦において日本から見て気になるところがコスメ、特にスキンケアブランド。まずはそのT-Mallにおけるランキングを見てみよう。 中国のEC、小売媒体である「億邦動力(ebrun. com)」では、ECdatawayのデータを基に期間中のランキング推移を発表しており、それを参考にする。 【表】2021年天猫618スキンケアブランドの順位変動 出所:ECdataway 結果を見れば、期間を通じて「L`oreal」、「Estee Lauder」、「Lancome」、「Olay」、そして「The history of Whoo」など海外ブランドが上位を占める結果となった。 (さらに... ) --- ### 中国Z世代「美白」「クリーンビューティ」に続く 新しい勢力「アーリーアンチエイジング」とは?Vol.2~クチコミ分析から読む~ - Published: 2021-06-18 - Modified: 2021-06-18 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210618-chinacosme-earlyantiaging-2/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: コスメ, マーケティング, 中国, 社会トレンド分析 中国消費者の新たな爆買い聖地「海南島」で何が起こっているのか。 トレンドExpressの独自レポート「魅惑の海南島白書」 詳細はこちらから アフターコロナのトレンドとして、新勢力になっている“抗初老(カンチューラオ)”、いわゆるアーリーアンチエイジング市場。前回に続き、今回はトレンドExpressの有するクチコミ分析の簡易調査機能を用いて、消費者のトレンドや、注目ブランド、ブランドの施策などを探ってみた。 ▼前回の記事は 中国Z世代「美白」「クリーンビューティ」に続く 中国コスメの新しい勢力「アーリーアンチエイジング」とは? 商戦期にクチコミ増。人気ブランドはSK-Ⅱのみにあらず まずは「抗初老(アーリーアンチエイジング)」のみでクチコミ推移を見ていくと、3月、6月そして11月にクチコミ件数が緩やかに上昇していることが見られる。それは婦人節、618、W11といった商戦期にあたり、こうした商戦のマーケティング活動においても「抗初老」というキーワードが試用されていることが想像できる。 【グラフ】「抗初老」キーワード件数の月次推移 全体を見ると、通常時には1. 3万程度で推移し、商戦期には1. 5〜2万程度までクチコミ件数が増加することが見られる。 季節や温度に影響される市場ではないため、通年通して気になるテーマとして一定のクチコミが醸成されているといえるだろう。 またポジネガ比率ではニュートラルな内容が圧倒的に多く、抗初老を始めた報告や、抗初老に関するおすすめ商品を伺う投稿などが多いと考えられる。 【グラフ】「抗初老」キーワードのポジネガ比率 続いて、クチコミの具体的な中身に関して見てみよう。Weibo上で「抗初老」のワードと、関連があるワードランキングは下記のようになっている。 【表】「抗初老」関連キーワードランキング 各部分で網掛けになっているのは、赤が成分、青がブランド、緑が具体的なブランドや商品である。 まずランキング上位には、美容液の意味を示す「エキス」や「エッセンス」、保湿関連のワードのほか、「パック」、「クリーム」、「アイクリーム」と言ったワードが入っている。 抗初老のスキンケア方法として、「クリームやパックで保湿をしっかりしつつ、アドオンで美容液も使用して対策」を行なっていることが考えられる。 中でも具体的な商品は、韓束(中国のブランド)のパック、ロレアルのアイクリーム、SK-Ⅱの美容液が抗初老のアイテムとして上がっている。 SK-Ⅱは、中国ではアンチエイジングケアの走りとして有名なブランドであり、以前から根強く支持されている。アーリーアンチエイジングをする際も、購入ブランドの候補としてSK-Ⅱが検討されていることがわかる。 韓束は、アジア人の肌に適した専門的な商品を提供する中国のブランドである。ブランドの使命としてアンチエイジングも掲げており、アジア人の肌に合った商品で、かつアンチエイジングも両方とも専門的な研究をしていることから人気が出ている。 (さらに... ) --- ### 【column】618大型商戦に潜むファンマーケティング争奪戦 大型商戦の新たな戦略は? - Published: 2021-06-18 - Modified: 2021-06-18 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210618-chinamarketing-column/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: 618, マーケティング 上期最大商戦の618も佳境に入っている。2021年も例年と変わらず各ブランドのプロモーション合戦が展開されており、主戦場であるECプラットホーム、ライブプラットホームも賑わいを見せている。 しかしその裏側で、中国のブランドは静かに新たなマーケティング~販売モデルを構築しつつある。 華やかな商戦に隠れた新たな動きの片りんを除いてみよう。 ▼関連記事 【column】中国のマーケティングセオリーのこれからを考える 登場する新たなEC、新たなマーケティング 例えば抖音(Douyin)が提唱した「興趣電商(興味EC)」である。 これはショート動画プラットホーム、そしてデータ解析という強みを生かし、ユーザーの嗜好を解析し一人ひとりの好みに合わせた商品を登場させるという手法である。 ▼関連記事 【抖音分析】Vol. 0 中国はTikTokでショッピング 抖音ECは中国EC市場改革者となれるのか? これまでECプラットホームは、ライブなどによって消費を喚起し人が商品を探しやすい環境を作ってきたが、抖音はプラットホーム内に流れ込む大量のトラフィックから各ユーザーの嗜好を割り出すことで、「人が商品を探す」時代から、「商品が人を探す」というモデルへとECを変化させようという取り組みを行っている。 新たなモデルを引っ提げて618に正式参入した抖音。その結果は6月20日以降の発表を待ちたいと思う。 同時に2021年の618で議論が進んでいるのが「私域流量」。 ブランド独自のファン層を囲い込み、そのファン内部におけるリターン消費を創生させていこうという、ファンマーケティング構想である。 ▼私域流量(PrivateTraffic)についてはこちら 中国マーケ業界ホットワード「私域流量」を掴め! ~「私域流量」ってなに? これまでは、ECプラットホームやSNSプラットホームに集まるトラフィック(ユーザー・消費者)を各ブランドが呼び込み、購入してもらうという形が一般的だったが、。 では私域流量(PrivateTraffic)では、ファングループや会員という形で囲い込んだトラフィック群の中で、いかにして反復消費を生み出していくかがポイントとなるもの。 言い方を変えれば、ECプラットホームに依存しないマーケティングシステムである。 とはいえ、そのトラフィックは自然に集まるものではなく、主体的に集めていかなくてはならない。もちろんこれまで通りの そのトラフィックが、中国ではある一定のタイミングで一定の場所に集まるチャンスがある。 それが618などの大型商戦。 この日は多くの消費者がお得な商品を購入しようとECプラットホームに集まる。そこで消費をさせるのだが、買ってもらうことが最終目的ではなく、「買った客を会員として取り込む」という事を最終目的として戦略を立てるのである。 こうして徐々にではあるが、618を「販売の場」ではなく、「自社のファンを囲い込む場」として戦略を立てる動きが中国で進んでいるようなのだ。 618商戦の目標は売り上げにあらず? 新たな商戦の目的 商戦の最終目的を売り上げではなく、会員の獲得という動きを中国の業界メディアなどが紹介している。 紹介されているのはミキサーや豆乳機といったキッチン家電メーカー「九陽」であり、メディアに対して同ブランド天猫旗艦店の運営担当が2021年618の目的を「会員ユーザーの取り込み」と語っている。 メディアが伝えるところ、この戦略のメリットは長期的視野に立った客単価および購入回数だ。 1年間で九陽が獲得した会員数は70万人。 数百万フォロワーという数字が当たり前の中国では、やや少ない数字に思えるかもしれない。 しかし、九陽の話す内容によれば「会員の客単価は非会員の1. 5倍。また非会員の1年間の購入回数は1. 1回なのに対して、会員は平均で2回と倍になる」という。 つまり、会員化(ファン化)した後の消費者は、1回の消費金額も消費回数も、非会員よりも高まり、長期的に見ればより高い経済効果を生み出すというのである。 ▼参考記事 618多电商平台角力 私域会员制迎下一风口(中文) また別のメディアも同様にファン取り込みによる効果を語っている。 「例えば618で10万人のユーザーから15万件のオーダーを得た。客単価は100元。そうすると、618での売り上げは1500万元。 その60%のユーザーが会員になったと仮定すると6万人の会員を得たことになる。また、ユーザー寿命のLTVを500元と換算すると、1回の618における経済効果は3000万元と、単純に618に参加した事の倍の効果が得られる」 もちろん上記は、あくまでも仮説であって、実際にそこまでうまくは回らないかもしれない。しかし、中国国内のメーカーにとって、618のような大型商戦は単純に安く売る場、というよりも、自社の会員ユーザーを獲得するための場という認識が広がっていると考えられる。 ▼参照記事 给正在忙618的老板们算一笔账,为什么一定要做私域?!(中文) 「売場」からまさに「狩場」へ。 中国で展開されるファンマーケティングによって、商戦そのものもその性質が変わりつつあるようだ。 --- ### 【mini column】改めて考える中国の「3人っ子政策」と今後のベビマタ市場 - Published: 2021-06-11 - Modified: 2021-06-11 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210611-chinababy-column/ - カテゴリ: クチコミ分析, 注目ニュース分析 - タグ: ヘルスケア, 中国, 注目ニュース分析, 社会トレンド 2021年6月1日から「夫婦1組につき3人までの出産を認める」というお達しが、中国政府より発表された。 70年代から1人っ子政策という人口抑制政策を取り、2016年までは夫婦1組に1人の出産しか許されなかった政策が、また大きく転換することになる。 しかし、中国市民の反応は非常に冷淡。 その背景を中国のマクロデータを中心に振り返り、ベビマタ市場がどのようになっていくのかを考えてみよう。 「産んでよい」許可が必要な国情 筆者が中国における「計画生育」、いわゆる「1人っ子政策」というものを体感したのは、上海市在住時、自分の娘の戸籍登録に役所に赴いた時である。 その時の必要書類にあったのが 「准生証」 と呼ばれるものである。 日本語に直訳すれば「出産許可証」とでもなるだろう。 これが無いと娘は中国の戸籍が取得できない。生まれていても、中国の戸籍上は“存在しないこと”になってしまうのである。 当時はまだこの1人っ子政策のさなかであったが、幸いにも娘は第一子。准生証も取得しており、片親が中国国籍であったために順調に登録ができた。 しかし、もし第二子、三子であったらどうなっていただろう... ? この准生証を手に取ったとき、それまでは知識として知っていた中国の計画生育が、自分のものとして実際のものとして体感するに至ったのである。 同時に、「子供を産んで良いか否か」を国が判断するという点に、何となく腑に落ちない、モヤモヤしたものを感じたのも、この時である。 それが、大きく方向展開しようというのは、筆者個人にとっても感慨深い。 育生拡大も、かえって減少している出生数 では、中国の出生人口の推移を現代史とともに見ていこう。 1949年以降、大戦も内戦も集結し、中華人民共和国が成立したことで出生数も増加傾向に向いた。 しかしその後、大躍進政策が引き起こした「三年自然災害」によって一気に減少する。ただ、災害が一段落した後、リバウンド出産によって一転急増に。 1963年には建国後、最大の2900万人にまで達した。 【グラフ】中国出生数の推移 その後は緩やかに減少し、70年代末の1人っ子政策によって2000万~1500万人規模で推移してきた。 興味深いのは2016年、1人っ子政策が緩和され、2人目の出産を全国的に認めたのだが、それ以降、出生人口は急落。2020年には1290万人まで落ち込みを見せているのである。 負担の大きな中国における出産、育児 その背景にあるのは、一つは経済的な負担である。 さらには将来の大学受験を見越した早期教育の習い事、学校に入れば補講授業などの費用も少なくない。 その投資額も家庭同士での競争心が芽生える。他家よりも少しでも多くを投資し、子供を勝ち抜かせようとする意識が芽生えるのである。 また「子供が増えれば、その分広い家が必要」という悩みもある。 現在は大都市のみならず、その周辺の衛星都市でも不動段価格が上昇している。そこで1人子供が増えれば、1人分広い面積が必要になり、全体の購入価格も上がる。 経済的には大きな負担増となるのである。 また、女性の「負担」の大きさも問題である。 デロイトが行った、『職場女性調査報告』によると、オフィスなどで働いている女性の35%が「子供の面倒は自分が主に見ている」と回答しており、また61%が「家庭内で家事の主な担い手である」と回答。 オフィスで仕事をこなしながら、家事、そして育児に奮闘している姿が見て取れる。 中国では女性管理職比率などは日本よりも多いのだが、家庭家事に関しては保守的な傾向がみられ、それが女性にとっての負担になっている様子が見て取れる。 ここで子供が増ええれば、当然、手間も増え、負担増となる。 子供を増やすという選択の優先度が下がっても止むを得ないといえるだろう。 「夫婦2人で4人の父母を養いつつ、子供3人を養い、かつ将来的には9人の孫の面倒を見ることになる」 「3人子政策」発表後には、そんな冗談がSNS上で出回ったが、そこには笑ってすまされない現状があるのである。 少子化の反対に拡大する市場 国の政策とは相反して少子化が進む中国。そこで気になるのはベビマタ市場の状況である。日本の例でも見えるように、子供が減少すれば市場が縮小していくという結果がもたらされるからである。 しかし中国では若干様相が異なる。 ベビーマタニティ市場は拡大傾向にあるのである。 中国の調査会社iiMedia Research(艾媒諮詢)の調査では、2020年には4兆元、2024年には7兆6000億元超にまで達すると見られている 【グラフ】中国ベビーマタニティ市場規模の推移予測 (単位:億元) 出所:iiMedia Research(艾媒諮詢) 子供は少なりつつも、妊娠~出産~育児に関する投資は増加しているというわけである。 ▼関連記事 【日中文化考】中華圏独自の出産後文化「坐月子」~現代化に伴う悩みに商機が? ただ、こうした市場では消費者の心理も大きく変化している。 かつての「安心・安全」というニーズはすでに一般化しており、それが満たされているというベースの元、より高い品質の物や自身や子供のステイタスとなりえるものを求めていると見るべきだろう。 特に現在の90後や95後は成分にこだわりが強い。 子供だけではなく自分の肌に使うもの、服用するものなど、「どれがより高い効果がもたらされるか」という視点がある。 そうした消費者に、単純な「安心・安全」だけで心をひくことは不可能。より具体的に、「何がどのように良くなるのか、改善されるのか」を明確に伝えていく必要がある。 更に、妊娠から育児初期はどうしてもナイーブになる。 SNSを通じて多種多様な情報が一気に流れ込んでいる社会では、よりその使用する商品に対して慎重になりやすい。 そのため、サンプリングなどを用いて「まずは1回試してもらう」という場を設けることの重要度が増してくるだろう。 ▼参考記事 中国市場の勝ち組企業「ピジョン」が語る ターゲティング型サンプリングから見えたリアルな“声” そして同時に、家事育児をこなしつつ事業での成功をもたらす女性への配慮を忘れてはならない。 子育ての中にあっても自己実現を求める女性に寄り添い、サポートする姿勢を忘れると、一気にブランドそのものから離れて行ってしまう可能性もあるのだ。 ▼参考記事 2021年の3月8日「女王節」 プロモーションから見える現代中国の女性像とは? 少子化と同時に拡大を続ける中国ベビーマタニティ市場では、そのコミュニケーションの在り方に知恵をぼらなければならない。 --- ### 【抖音分析】Vol1.0 抖音と抖音マーケティングを基礎から考える - Published: 2021-06-04 - Modified: 2021-06-04 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210604-douyin-mark-2/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: マーケティング, 中国 2021年の中国商戦期も本格的にスタートした。T-MallやJD. comは例年よりも前倒しで618の予約期を開始させた。 その一因となっているのはショート動画サービス抖音の本格的な商戦参入であるだろう。当初はユーザーによる動画投稿・共有サービスとして登場した同アプリは、現在ではそれを超えてEC機能や「抖一抖」というコミュニティ機能を付随させ、新たなSNS像を作り上げている。 前回は抖音のECについての情報を紹介したが、今回は基礎的な内容も含めて、改めて抖音について振り返って見たい。 618でも引き続き台風の目に まずは、現在進行中の618である。 今年は大きな動きがあった。 それは中国EC業界トップ2の1つ、JD. comが抖音の持つEC機能である「抖音小店」へ正式に出店した事である。 JD. comは抖音小店内で、今年200億元のGMVを目指すことを表明しており、非常に強い意気込みを感じさせている。 その抖音による618、6月1日の結果がすでにデータ分析され、公表されている。 それを見ると京東1600万元余りを販売して、単日で2位につけている。 巨大ECプラットフォーマーとして人気のJD. comも抖音とのタイアップによる効果を求めているのが、現在のEC-SNSの関係図式なのである。 改めて考える。抖音はその他のSNSと何が違うのか。 まず抖音は小紅書(RED)などとは異なり、ユーザーが自分から情報を探しに検索していくものではなく、自動的に次から次へと動画が流れてくるSNSである。 そうした動画に「いいね」や「コメント」などを行っていく中で、AIがユーザーの嗜好を分析し、お薦めの動画を表示させていく。 それが「中毒性がある」などといわれる要因になっている。 こうしたシステムは、抖音を他のSNSと一線を画した存在としているといえるだろう。 (さらに... ) --- ### 中国Z世代「美白」「クリーンビューティ」に続く 中国コスメの新しい勢力「アーリーアンチエイジング」とは? - Published: 2021-05-28 - Modified: 2021-05-28 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210528-chinacosme-earlyantiaging-1/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: コスメ, マーケティング, 中国, 社会トレンド, 社会トレンド分析 中国のアフターコロナトレンドとして、化粧品業界では「成分党(化粧品に使用されている成分が安全であるかどうかを気にする勢力)」「肌への修復力の高さ(マスク荒れ防止)」が人気トレンドとして挙げられる。 最近、それに加えてじわじわと話題になってきているのが「抗初老(カンチューラオ)」である。 抗初老とは、20代から早期にエイジングケアを行うアーリーアンチエイジングのことだ。なぜ今アーリーアンチエイジングが人気なのか、理由や背景について探ってみよう。 アーリーアンチエイジングの担い手はやはりZ世代。流行の背景とは? アーリーアンチエイジングとはその名の通り、老化防止のため20代からシミ・シワ対策や、顔のコラーゲン・ハリを保つ対策を取ることだ。具体的な手法は、美容液やクリーム頼りにはなるが、美顔器や医療美容に頼る場合もある。 日本ではアーリーアンチエイジングと聞くとあまり馴染みのない言葉だが、中国では以前から、アーリーアンリエイジングに対してある程度の認識はあった。 例えば中国では20代の若者が、エイジングケアに注力した商品、例えばSKⅡなどに注目し、使用している点である。 これは「アーリーアンチエイジング」と呼べるものの、初期にはこうした定義や名称が確立しておらず、ニーズはあったが独立した市場としては形成されてこなかった。 だが最近、この「アーリーアンチエイジング」が市場として注目されており、更なる盛り上がりを見せている。 2018年から2020年にかけて、ECでのエイジング商品全体の消費比率は、Z世代を含めた90后や95后が約半数を占めるようになっている。 ▼参考記事 安全成分、强效修护、抗击初老,后疫情时代护肤消费有哪些新热点?(CBNDate)中文 つまり、エイジングケア商品の中でも、約過半数がアーリーアンチエイジング対策の化粧品の売れ行きで占められているということだ。 2021年時点では20代=Z世代となるが、そのZ世代が2020年に購入したスキンケア用品は下記のような構成になっている。 【グラフ】2020年にZ世代が購入したもの 出所:亿邦动力(ebrun)『“抗初老”热潮下 什么品类会成为新风向?』 単純な購入の多さだと保湿関連が一番多く、ついで美白が占めている。ここまでは巷で言われているトレンド通りである。 しかし伸び率に注目してみると、アーリーアンチエイジングが32%と一番と大きな伸びを見せている。先のエイジング商品の売り上げ構成比率のことも考慮すると、アーリーアンチエイジング市場の需要が高まっていることが理解できる。 ▼関連記事 変わる世界の「美」の概念と 変わらない中国の「美的意識」 (さらに... ) --- ### 【column】中国のマーケティングセオリーのこれからを考える - Published: 2021-05-28 - Modified: 2021-05-28 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210528-chinamarketing-column/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: マーケティング, マーケティング分析, 中国 コロナ禍から回復を見せている中国市場は、世界からも注目されている。 もともとプレステージから一般大衆ブランドまで、欧米、日本、韓国、そして急成長を見せる中国のブランドがひしめき、まさに消費ブランドの万国博覧会の様相を呈している。 そこで熱を帯びてくるのはマーケティング、プロモーション活動だ。 どの国のどのブランドも、より強い印象を消費者に刻み付け、そして購買へとつなげようとしている。 こうしたプロモーション戦争を眺める中で、ふとした疑問が頭をよぎることがある。そんな少し客観的な視点から中国プロモーションの課題を書き出してみた。 KOL、ライブ。中国マーケティングの今 本稿を執筆しているのは2021年5月28日。まさに中国2大商戦の一つ、「618」が開始され、Taobao・T-Mallのアリババ勢を始め、JD. com、PDD(拼多多)のECプラットフォーマー、家電大手のSuning(蘇寧)のといった小売り、そしてさらに抖音、快手の2大ショート動画APPが自営のECを展開し参入。 まさに群雄割拠となっている。 そのオンライン小売りの競争とともに過熱するのがブランドによるプロモーション活動。 大型商戦期はどうしても消費者の財布の紐が緩む時期であり、ブランドにとっては書き入れ時だ。 商戦期にはSNS上でのプロモーションや一般人投稿に加え、近年はKOLによるライブコマースが最も盛り上がり、売り上げ拡大を目指す。 今まさに、618では人気KOLによるライブコマースが、Taobao Liveや抖音など、膨大なトラフィックを有するライブプラットフォームから発信され、そこからECプラットフォームの旗艦店へと流入しているのである。 これが中国商戦期における通常のプロモーションである。 発信用プラットホーム(SNSやLive)から発信し、販売用のプラットホーム(EC)に誘導する。 それがセオリーなのである。 しかし、それで本当に中国市場で“継続的な事業発展”がなせるだろうか、と筆者は最近考えるようになっている。 ブランドのため込みがしずらい中国マーケティング では、中国マーケティング活動の現状を、特定のブランドではなくあくまでもイメージ図であるが、クチコミの醸成から見るブランドの浸透度という視点で見てみる。 理想的なのは下のようなグラフであると考える。 【イメージ】理想的なクチコミ推移 618やW11のような大型商戦を活用し、話題を作り出し認知を拡大。もちろん売り上げもあげるとともに、認知度・浸透度を「ワンランク上げる」。 そうすれば次回の商戦は、より大きな売上を期待することができ、さらにそれをもってもう一段高いレベルに自社のブランドを高めることができるのである。 これがサイクルしていけば、認知度・浸透度が高まっている土壌の上で戦うことができ、1回の商戦にかける労力が減るばかりか、長期に渡る売り上げが期待できる。 しかし、実際に多いパターンは下の図のような形式である。 【イメージ】よくあるクチコミ推移 これを見ると、商戦期には確かにプロモーションの結果としてクチコミ件数は上がっている。 しかしそれ以外は急落して、商戦前の状況に戻ってしまっており、結果的には中国の消費者に対してブランドは浸透していかない。 そのため、商戦の都度、プラットホームで大規模なキャンペーンを展開し続けなくてはならず、そこでの収益頼り、プロモーション投資と収益の追いかけっこ。際限ないマーケティングコスト投下による体力勝負に陥りかねないのである。 「連れてくる」ことから「居着かせる」マーケティングへ こうした理想と現実の乖離を引き起こしているのはなぜだろうか? それは、ブランド側の「受け皿」の不足があるのではないか、とも考えられる。 プロモーションは、消費者を大きなブランドの名を冠した筒の中に放り込むようなものである。 放り込まれた消費者はそのブランドを体験しながらも、時間が経つにつれ熱意が薄れてくる。 やがて筒の下に達し、筒の底へと落ちて行く、すなわちブランドから離れて行ってしまうのである。 しかし、その筒の底に、居心地のいい受け皿を用意して置いたらどうだろう。 そこでは消費者に対して常に至れり尽くせり、彼らを喜ばせる情報やサービスが提供される。 やがて消費者はその筒の底に“居着く”要になり、ブランドと長いお付き合いを始めていく... 。 すなわち、その消費者はブランドのファンであり、その受け皿こそが「ファングループ」というべき存在なのである。 これまでの中国マーケティング、プロモーションは「どれだけ多くの消費者を筒の中に投げ込むか・連れてくるか」が重要視された。 KOL、ライブコマースがまさにそれである。 しかし、今、その手法が普遍化した中、消費者は数多くの筒に同時に呼び込まれている状態。であるのであれば「居心地の良い筒」に収まりたいと願うのではないのだろうか。 そうした消費者の心理に、今中国のローカルブランドでは「ファンマーケティング」という概念が広がっている。 「消費者を多く連れてくる」から「消費者をより居着かせる」時代へと変化しているのである。 どこまでその流れをしり、順応できるかが、競争の激しい中国市場での生き残りを決めるといえるだろう。 中国ファンマーケティング施策に関しての資料はこちらまで。 --- ### 上半期の山場618始まる 2021年の見どころは? - Published: 2021-05-28 - Modified: 2021-05-28 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210528-618-1/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: 618, マーケティング 2021年も「618」が始まった。 中国2大商戦の一つであり、上半期の盛り上がり、そして下半期に訪れる最大商戦ダブルイレブンを占う意味でも重要な商戦である。 昨年はAfterコロナを印象付けるインパクトを与えた618。今年は若干の変更点が加えられ、またプレーヤーの面でも昨年までとはやや異なる雰囲気を醸し出している。 多方面から注目が集まる今年の618のスタート直後の様子をリポートしよう。 スタートダッシュ始まる。コスメ分野の様子はいかに? 2021年618が正式にスタートしているが、すでに中国のデータ調査機関などは今年の「戦績」をまとめ、発表している。 ここでは最も注目されるT-Mallスキンケアとメイクアップランキングを、EC Datawayが予約スタートの5月24日20:00から24:00(25日0:00)時点でまでをまとめたものを確認してみよう。 スキンケアではLoreal、EsteeLauderの欧米系大手が1位、2位を走っているが、荘後に続く3位にShiseidoが入っている。さらに4位にThe history of whooが続いており、昨年のダブルイレブンで業績を上げたブランドが上位を占める状況となっている。 しかしそれ以下を見ると、Lancome、Olayの常連ブランドに混じって、アメリカのSkinCeuticals、韓国のDr. Jart+、そして中国スキンケアブランドのDr. Yu(玉澤)の名前が見え、やや混戦模様となっている。 またメイクアップ&香水の分野では、YSL、Estee LauderそしてArmaniの欧米系大手ブランドがトップ3を占めている。 しかしそれに続くのは中国国産メイクブランドColor Key。同ブランドは、Hallo Kittyとのコラボによるリップグロスが、予約開始直後1時間で30万本余りの予約を受け付けるなど、スタートダッシュに成功している。 10位には同じく中国メイクブランドの代表格となっている花西子がはいっているが、現時点では完美日記(Perfect Diary)の名前は見えない。 618やダブルイレブンではスタートダッシュからゴールまで走りきる、というのが勝ちパターンになっているが、ここで完美日記がどのように巻き返してくるのか注目したいところである。 (さらに... ) --- ### 食べる美容に消費者は何を求める? 中国SNSクチコミ分析で見てみよう - Published: 2021-05-21 - Modified: 2021-05-21 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210521-china-beautysupple-2/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: ヘルスケア, 中国, 社会トレンド, 社会トレンド分析 内側からの美を追求しようとする中国の女性たち。そこで徐々に広がっているのが服用型の美容サプリメントである。 ではその服用型の美容に関して消費者はどのような意識を持っているのだろうか。トレンドExpressの有するクチコミ分析の簡易調査機能を用いて、その消費者のトレンド、注目ブランドを探ってみた。 少ないながらも安定件数。今後の動きにも期待 まずは「口服美容」のキーワードでどのくらいのクチコミがなされているのかを、簡易調査で見てみよう。 【グラフ】「口服美容」キーワード件数の月次推移 (さらに... ) --- ### 内面から美しく 中国で広がる「食べる」美容市場 - Published: 2021-05-14 - Modified: 2021-05-14 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210514-china-beautysupple-1/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: ヘルスケア, 中国, 社会トレンド, 社会トレンド分析 美しくありたい。 そう思うのは洋の東西、性別の如何に関わらず、誰もが思う事。中国では特にその意識と欲求は高く、常に新しい美容ニーズが生まれている。 その中で、2020年から徐々に注目を集めているのが「口服美容」、つまり経口服用によって得られる美容効果のこと。 2021年1月にはその新しい動きも見られた中国の服用型美容市場を俯瞰してみよう。 内面から美しく。「食べる」美容に注目 中国ではとにかく美容に関する市場が伸びている。 毎年5月に上海で開催される国際美容博覧会も年々規模が拡大しており、化粧品市場自体も世界でもトップクラスの規模となっている。 一般的なメイクアップはもちろんながら、美白、アンチエイジング、保湿といった機能性を持ったスキンケア化粧品も、いまだ高い人気を得ている。 さらに2020年には「医療美容元年」などともいわれ、医療美容(日本でいう美容医療)が大きくクローズアップされた。 なかでもヒアルロン酸注射や水光注射、ボトックスなど、比較的手軽にでき、高い美容作用のある成分を直接取り込むことで、よりよい美容効果を得ようとする若者が増加しているのである。 その中で、徐々に注目を受けているのが「口服美容」。 「口服」とは「服用(経口服用)」のこと。すなわち口から摂取する美容成分という事である。 最も分かりやすいものとしてはコラーゲンゼリーやコラーゲンドリンクなどが上げられる。同時に一時期ホットワードにもなった「美白丸」などの美白サプリなども入ってくるだろう。 この服用型美容については、2018年ごろからすでに注目が始まっていた。 中国のシンクタンクであるCBN DataとT-Mall Globalが2019年初に共同で行なった『2019口服美容消費趨勢報告』を見ると、オンラインにおける「顔値経済(美しく見せるための消費)」において、もっとも増加しているのが服用型美容商となっている。 一部のメディアでは、その市場規模は「2022年までに238億元に達する」とさえ言われており、ドリンクの世界的大手企業であるコカ・コーラ社も同業界への参入を行っているとされる。(出所:口服美容市场将达238亿元,新入局的可口可乐打算怎么做?) また服用する美容商材にはどのような効果を求めいているのだろうか? 同レポートのECプラットホームにおける検索状況結果を見てみると、「美白(シミ消し含む)」が最も多く、次いで「アンチエイジング」、そしてそれからだいぶ減少するが「補水保湿」といった効果を求めている。 特に「美白」、「アンチエイジング」、この2つの効果がずば抜けており、より透き通った肌、そして若々しい自分を求めていることが分かる。 (さらに... ) --- ### 【抖音分析】Vol.0 中国はTikTokでショッピング 抖音ECは中国EC市場改革者となれるのか? - Published: 2021-05-14 - Modified: 2021-05-14 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210514-douyin-mark-0/ - カテゴリ: 越境EC - タグ: マーケティング, 中国, 越境EC 若者を中心に世界的な「中毒」を巻き起こしているのがショートビデオアプリ「Tik Tok」。Z世代の求める“映え”る自己表現を可能にするアプリとして、多くの若者が自身の動画作品をアップしている。 しかし、中国国内における本家本元版の「抖音」は、世界とは異なる進化を見せている。 その新しい動きを見せているのが「抖音EC」だ。 今回はその抖音ECが目指している方向について考えていこう。 中国におけるTik Tok「抖音」とは 抖音。 日本では呼ばれ方が難しい。そのままカタカナを使って「ドゥイン」と呼ばれるケースもあれば「中国版TikTok」などと呼ばれることも多い。 そもそも基本機能は同じで、ともにバイトダンス社のサービスであることから、当初は「抖音の海外版(中国以外版)=TikTok」だったと言っていい。 しかし、現在その両者は全く異なるものであるといえるのは、中国事業に携わる者であれば周知の事実である。 そして、その進化によって抖音はSNSだけでなく、ECプラットホーム、中国消費者の消費習慣にまで大きな影響を及ぼす存在になっている。 そんな抖音の進化を見る前に、まずそれ自体が持つ強みを振り返ってみよう。 抖音が現在有している強みを総括すると「巨大なユーザー数」、「コンテンツ」、そして「ユーザー嗜好分析力」といえるだろう。 ユーザー数に関しては「DAU6億人」ともいわれるほどで、その膨大なトラフィックはかつてはT-MallなどのECプラットホーム旗艦店への流入口としても活用されてきた。 そしてコンテンツ。日々ユーザーによってアップされるショートビデオは、クオリティが高ければ高いほど注目度も上がり、拡散されていく。 もちろん企業の公式アカウントの動画に関しても同様。なかでも、そのコンテンツを活用したマーケティングパッケージ「全民任務」は、ユーザーを巻き込んだ形でブランドの認知拡大が可能となる。 よりクリエイティブなイメージによるブランド確立・拡散が可能になるのだ。 そしてユーザー嗜好分析力。 もともと抖音および海外版のTik Tokには非常に精密なリターゲティング機能が付加されている。 ユーザーが視聴したりアカウントフォローしたりといった動作から、そのユーザーの興味嗜好を分析。それに合った動画が常に表示される仕組みだ。 抖音およびTik Tokではその精度が高く、それによってユーザーの「中毒性」を高めているといえよう。 拡大する「抖音EC」施策。あらたなECモデルの形成へ 2021年5月、バイトダンス社が、こうした抖音の強みにEC機能を組み合わせる形で提唱したのが「興趣電商」という概念である。 分析されるユーザーの興味に合わせたECサービスを大規模に展開しようというもので、バイトダンス社が発表したレポート『抖音電商生態報告』でも、それに触れられている。 (さらに... ) --- ### オフライン消費から新たな旅行モデルまで 2021年の労働節を見る - Published: 2021-05-07 - Modified: 2021-05-07 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210507-51-travel/ - カテゴリ: インバウンド - タグ: インバウンド, マーケティング, 中国 2021年も5月1日の労働節、メーデー休暇を迎えた。 前年は新型コロナの外出規制が緩和されたばかりという事もあったため、人出・消費ともに落ち込みが見られた。 では、一定の落ち着きを見せている2021年の労働節はどうだったのだろうか? 公開されている情報からその様子を見てみよう。 ▼無料会員に登録すると記事の更新情報や過去セミナー(一部)の視聴が可能に 無料会員登録はこちら ▼2020年の労働節の模様は 中国Afterコロナの動向は? 初の大型連休から考える 2020年を大きく超える2021年労働節観光 「携程(C-Trip)」と新華社の経済メディア「新華財経」が共同で発表した『2021“五一”旅行大数据报告』では労働節休暇中の旅行予約は2020年同期比で270%増。2019年比でも30%以上の伸びが見えているという。 また日本でも報道されているデータとして、今年の中国労働節(メーデー)の人出は、5月5日の夜時点で、観光に出かけた延べ人数は2. 3億人、全国の国内観光収入は1132. 3億元と発表されている。 新型コロナウイルスに見舞われた2020年は国内旅行を楽しんだ消費者は1. 15億人、国内観光収入も475. 6億元。 また2019年の休暇は4日間であったが、旅行人数1. 95億人、観光収入1176. 7億元であった。 これらの数字を比較してみると、人数においては新型コロナ禍以前を上回り、観光収入においては新型コロナ以前には達していないが、徐々にその規模に近づいている様にも見える。 ただ客単価の面ではやはり2019年のレベルには達しておらず、観光に対する消費に関しては完全には回復しきっていないようにも見える。 こうした旅行消費データに関しては、国慶節の観光状況などを合わせて継続的に見ていく必要があるだろう。 上海ではオフラインショッピングイベントも 中国最大の経済都市である上海では、4月30日から5月4日までの期間中、上海におけるオフライン消費は196. 5億元。2020年の同時期に比べ30. 4%の伸び、さらに新型コロナウイルスに見舞われる前の2019年の同時期比でも9. 6%の増加を見せている。 特に上海市は経済都市であるだけでなく、国内では有数の観光地でもあり、上記期間中に延べ447万人が上海市を訪れ、68. 5億元のオフライン消費を行っていた。 上海外からの消費金額は期間中のオフライン消費の34. 9%を占めており、労働節観光の恩恵を浴びていたことになる。 この労働節、上海市では地元メディアと地元の小売業大手である百聯集団とのタイアップで、「55購物節」と呼ばれる「ライブ×リアル店舗」のショッピングイベントを展開した。 5月5日に市内各所のショッピングモール、百貨店とラジオ・オンラインライブ会場をつなぎ、10時間に渡るライブを配信。 各店舗のキャンペーンなどをライブで紹介していくというもので、主にはオフライン店舗での消費を促すというものであった。 ライブイベントがオフライン店舗と共同でキャンペーンを展開している点は興味深い。 おそらくは新型コロナウイルスによって少なからぬ打撃を受けたオフライン店舗の回復を加速させようという施策の一環と考えられるが、同時に近年では上海を含めた大都市で、Z世代を中心としてオフライン消費がトレンド化している、いわばオフライン消費が再評価されている一つの現象とも考えることができる。 そのオフライン消費の復権としては2020年から広がっているコスメセレクトショップや「美しい書店」、「カフェ」などが一例として挙げられる。 そこにはもちろん新型コロナ対策の巣ごもり生活から解放された、リベンジ消費という一面もあるだろうが、そうした巣ごもり生活の中で、オフライン消費でしか得られない充実感が再確認されたという点もあるように見受けられる。 ECプラットホームの台頭によりオンラインに押されてきたオフライン店舗であるが、こうした「ライブ×オフライン店舗」のコラボレーションは、オフライン店舗の巻き返し手法となるのか注目される。 中国でもキャンプ熱?若者を中心に浸透する新たな旅 もう一つ注目しておきたいのが、若者の新たな旅行モデルである。 中国では近年、若いホワイトカラー層を中心にアウトドアが注目されているのだが、その中でも「ハイエンドキャンプ」といったものが人気になりつつある。 もともと観光というと高級ホテルに泊まる傾向が強かった中国消費者であったが、「露営」とよばれる草原などでのキャンプ、特にグランピングに近いハイエンドキャンプの投稿が小紅書(RED)上でも見られるようになっている。 主にはキャンプグッズの紹介や経験の共有だが、その中には「1万4000元のテント」などもあるとの報道もある。 これは若者世代が従来とは異なる、個性的な旅を求めていること、その方向性として普段のオフィス街から離れ、大自然に囲まれることでリラックスするという事をステイタスとして見始めていると考えられる。 徐々に回復傾向にある中国の観光産業。その中で生まれる新たな動き。 やがて復活するであろう訪日観光のためにも、その動きは注視しておきたいところだ。 --- ### 運動、漢方 中国の不眠症状解消法のあれやこれ - Published: 2021-04-28 - Modified: 2021-04-28 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210428-china-sleep-3/ - カテゴリ: ヘルスケア, 越境EC - タグ: ヘルスケア, 中国, 社会トレンド 眠れない、眠れないと嘆いていても問題の解決にはならない。 中国の「眠れない消費者」たちはあの手この手で睡眠障害に立ち向かっている。今回はクチコミ調査で行なった想定される不眠対抗手段を見つつ、中国の消費者たちがい介して不眠と戦っているかをみていくことにしよう。 ▼これまでの記事 春眠できない消費者たち 「不眠大国」中国の状況は? 原因は意外な飲み物? 中国不眠事情クチコミ分析 不眠解消法は運動。スポーツ愛好家も睡眠との関連性を認知 トレンドExpressでは中国の不眠事情を知るべくクチコミ調査を実施した。そのなかで、おそらく不眠解消法とされているであろう「サプリメント」、「中薬(漢方)」、そして「運動」の3つについても調査をおこなった。 まずは不眠(中国語では失眠)とそれぞれのキーワードの掛け合わせによるクチコミ件数を比較してみよう。 【グラフ】直近1年の不眠とサプリ、中薬(漢方)、運動のクチコミ数 出所:Trend Express China調べ これを見ると、「不眠×運動」のクチコミ件数が最も多く、次いで「中薬」、最後が「サプリメント」であった。 不眠に関して服用するものは「睡眠薬(睡眠導入剤)」という認識が強く、サプリメントのような補助食品に関するクチコミは若干少なくなっているように見える。 運動に関しては、2021年3月18日の「国際睡眠デー」に中国睡眠研究会が『2021睡眠と運動白書』という研究レポートを発表。中国国内で約1万4000人に睡眠と運動に関連したアンケートを取っている。 レポート自体は公開されていないが、それをベースにした新聞報道などを見ると、中国では運動している人の27%が「睡眠促進のため」と回答しており、同時に「適量の運動は睡眠の質を向上させる」という問いには、ハイレベルな運動を行っている消費者うち「非常に同意」と「やや同意」がそれぞれ36%と46%と高い値を示している。 これを見る限り、中国では運動が吸民改善に役立つという認識が非常に高く、少なくない比率で睡眠の質向上のために運動をしているという一面が見えてくる。 また、それぞれのクチコミのポジティブ、ネガティブ比率を見てみよう。 【グラフ】不眠とサプリ、中薬(漢方)、運動のポジネガ比較 出所:Trend Express China調べ ここでもポジティブ率が最も高いのは「不眠×運動」であった。その分ネガティブ率が若干高い傾向がある。 ネガティブ率に関しては「中薬(漢方)」で、原因は運動のネガティブ内容も同様で、即効性に薄いというものであるようだ。 (さらに... ) --- ### ライブマーケティングも新しいレギュレーション ライバーの責任も明文化 - Published: 2021-04-28 - Modified: 2021-04-28 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210428-live-regulation/ - カテゴリ: クチコミ分析, マーケティング分析 - タグ: マーケティング, マーケティング分析, 中国, 法規制 4月23日、中国では「中国互聯網信息弁公室」、「公安部」、「商務部」、「文化和旅游部」、「国家税務局」、「国家市場監督管理総局」、「国家広播電視総局」の7部門連名で新たなレギュレーションが発表された。 それが『網絡直播営銷管理弁法(試行)』、すなわちライブを使った販売宣伝行為に関する管理指標である。 3月15日「中国消費者権益の日」に発表されたオンライン交易全般に関する法律から一歩踏み込んで、拡大加熱する中国でのライブコマースの健全な発展を促す目的があると思われる。 今回はその中のポイントだけ見ていこう。 ▼3月15日に発表された規定に関してはこちら 中国ECプラットホームへの制限 ライバーの責任の所在も明文化へ ~『網絡交易監督管理弁法』~ 5月1日からの「網絡交易監督管理弁法」 ライブに与える影響はいかに? ライブでも広告法の適用を明記 まず見ておきたいのは第一条である。 ここでは明確にこのレギュレーションのベースとなる既存の法律が上げられている。中でも注目は『中華人民共和国広告法』が上げられている点だ。 第一条 为加强网络直播营销管理,维护国家安全和公共利益,保护公民、法人和其他组织的合法权益,促进网络直播营销健康有序发展,根据《中华人民共和国网络安全法》《中华人民共和国电子商务法》《中华人民共和国广告法》《中华人民共和国反不正当竞争法》《网络信息内容生态治理规定》等法律、行政法规和国家有关规定,制定本办法。 <筆者訳> インターネット上におけるライブマーケティング管理の強化、国の安全と公共利益の保護、公民・法人及びその他の組織の合法的権益の保護、インターネットライブマーケティングの健康的かつ秩序のある発展を促すため、『中華人民共和国網絡安全法』、『電子商務法』、『広告法』、『反不正当競争法』、『網絡信息内容生態治理規定』などの法律に基づき本弁法を定める。 この一文で、ライブコマースでの表現も広告法の規定対象になる事が明確化され、国の広告に関するレギュレーションを順守することが求められるようになった。 ライブは見終わったら終了となるため、いろいろ手法を凝らして広告法のレギュレーションを避ける手法も見受けられたが「最も~」、「最高の~」などの表現は広告法に基づき使えなくなる。 そのため、ライブコマースマーケティングを考える場合、もう一度『広告法』の内容や、当局から発せられている禁止表現を読み込んでおいたほうがいいだろう。 (さらに... ) --- ### 原因は意外な飲み物? 中国不眠事情クチコミ分析 - Published: 2021-04-22 - Modified: 2021-04-22 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210416-china-sleep-2/ - カテゴリ: ヘルスケア, 越境EC - タグ: ヘルスケア, 中国, 社会トレンド 中国で増えている「不眠」人口。常にスピードアップする社会の中で、消費者は「眠りたくても眠れない」という悩みを抱えている様子。 では、そんな不眠に関連するクチコミからは、どんな原因が見えてくるだろうか?眠らない国中国の眠れない背景、Weiboでのクチコミ簡易調査から見てみよう。 ▼前回記事 春眠できない消費者たち 「不眠大国」中国の状況は? 年末は眠れない日々 クチコミから見える中国の不眠規模 前回見てきた不眠人口約3億人ともいわれる中国。「眠り」に関する市場も注目を集めている。 ではそうした不眠を感じている中国消費者は、その思いをどのようにSNS上で発しているのだろうか?そこで「不眠」をキーワードにトレンドExpressではWeiboの簡易調査を実施した。 見ると、毎月平均で17万3,000件に上る不眠に関するクチコミが上げられており、年間の件数は200万件を超える。 もちろんこの中には医師から「不眠」と診断されたケースと、自身で「不眠気味」というケースの双方が含まれていると考えられるが、それにしても膨大な量である。 【グラフ】「不眠」に関するクチコミ件数月ごとの推移  source:Weibo Trend Express China調べ 月別に見ると、年末11月12月がやや突出しているように見られる。 この時期はまさにダブルイレブンやダブルトゥエルブなどの下期の商戦が続く時期である。特に前者は慣例として深夜0時から商戦がスタートし、最もお得な商品を求めて深夜まで商品を買い物かごに入れるというものが残っている。 商戦による徹夜が名物化しているのである。 それと同時に、多くの企業では12月を期末としている。その年末までの最後の追い込み業務などが続き繁忙期となるケースが多い。 深夜残業をするケースも増える時期なのである。 そうした中で仕事の忙しさや商戦への“参戦”によって深夜まで起きていることが続き、不眠の症状が現れてしまう。 結果、病気としてではないが不眠気味のクチコミが増えるという次第である。 【グラフ】「不眠」クチコミのポジネガ比率 source:Weibo Trend Express China調べ クチコミのポジネガを見てみても、「ニュートラル」すなわち「まぁ仕方がない」というレベルが約半数。またネガティブも42. 31%と非常に高いが、当然の結果である。 むしろ10%のポジティブがいることにやや驚きを感じるほどである。 不眠の原因1位はあの人気ドリンク? 不眠のクチコミあれこれ 続いて、「不眠」というキーワードとともにつぶやかれている言葉を整理してみよう。 (さらに... ) --- ### 【Column】新しい世代に新しい旅を 新型コロナから変わる中国の観光業 - Published: 2021-04-22 - Modified: 2021-04-22 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210422-trip-report/ - カテゴリ: インバウンド - タグ: インバウンド, 中国, 人気スポット インバウンド、訪日観光客が日本から消えてすでに1年余りが過ぎた。いまだ新型コロナの猛威は収まらず、訪日観光客がやって来るのも日本におけるワクチンの普及、新型コロナの落ち着きを待つほかない。 中国の大手旅行予約サイトが、そんな2020年における中国の若者の観光事情に関するレポートを発表した。 主に盛り上がりを見せたのは国内観光だが、そこから将来の中国での観光業の形と訪日観光の可能性を考えてみよう。 大きく低迷した2020年の中国観光業界 中国では2020年、新型コロナウイルスの影響によって、観光業も少なからぬ打撃を受けた。 中国政府の公式発表によると、2020年に中国国内の旅行を楽しんだ観光人口は延べ28. 79億人で、2019年から延べ30. 22億人も減少しており、大きな落ち込みを見せている 旅行収入においても2兆2300億元と20219年比で61. 1%の下落。 日本同様、中国の観光業界の厳しい現状が浮き彫りになった。 そんななか、2020年の観光に関するレポート『2021年年軽人品質旅游報告(2021年若者クオリティトラベルレポート)』を発行したのは馬蜂窩(Ma feng wo)。中国では携程(C-Trip)と並ぶ大手観光予約、レビューサイトである。 レポートの冒頭では中国旅游研究所の調査結果として「2021年は延べ41億人が国内観光に出かけ、3兆3000億元規模の観光収入が見込まれる」と予想を紹介、20201年の観光業の復活に期待を寄せている。 この中国の観光業で注目されるのは、非常にアクティブかつ新しい感性を持ったZ世代の動向であり、同社は自社の旅行予約動向などのデータを解析し、主に2020年「Z世代」の観光状況を分析している。 Z世代の旅は「文化」と「ハイエンド」 このレポートによると、2020年の中国Z世代観光の特徴は、「文化」、「ハイエンド化」であるという。 文化旅行とは中国国内におけるさまざまな風土、文化を感じとれるスポットへの観光である。 例えば、数百年前の街並みが残った「古鎮」であったり、もしくはそうした土地の文物の集まる博物館であったりと、とにかく文化的な雰囲気に浸る旅に心動かされている様子である。 同社の予約システムのデータを見ると、国内の入園チケットが必要な観光スポット売上の内、いわゆる文化体験スポットのチケット売上比率が2019年比で11. 3%上昇。 なかでも古い街並みを楽しむ(例えば日本の川越や白川郷のような)スポットのチケットにおいては21. 4%増、また「城壁や城門、楼門」などのスポットのチケット売上も9. 6%上昇している。 単純に風景がキレイや気分がいいのではなく、古き時代の中国を実感し、それを写真に収められる場所、文化的SNS映えのする場所が人気を集めているようだ。 馬蜂窩でZ世代の人気となっている江西省の「婺源(上)」と「篁嶺(下)」 また高級化、という点においては、客単価8,000元以上の旅行商品の予約が、2019年に比べて86. 2%も増加しており、より多くのお金をかけて旅行を楽しもうという意識がZ世代には見えるようだ。 ただ、購入といっても、もちろん高級ホテルの宿泊のような物的な購入感ももちろんながら、「トレーラーハウスを使った雪山や草原での宿泊」や「チベットやゴビ砂漠のような特殊なエリアの探検旅行」、「気球やクルーザーを使ったイベント」、「氷原体験」など、コンテンツ化されたアクティビティに積極的に費用を投じている様子がデータに表れている。 単純に人の集まる観光地を見に行くのではなく、特別な体験を求めるZ世代の観光意識が見える。 中国の新しいライフスタイルも観光業に こうした観光の中、もう一つ注目されているのが「云旅游」、すなわち「クラウドトラベル」というキーワードである。 中国では2020年年初からの新型コロナウイルスの蔓延、同時にその抑え込みのための外出規制が敷かれた。 その中でも消費者は黙っていることをせず、新たに「オンラインで、自宅にいながら何かをする」という文化が一気に花開いた。 その代表的なものが、ご存知の通り「ライブコマース」なのだが、同時に「ライブフィットネス」など、専門家と個人をライブで結び、自宅で楽しむという娯楽の形が生まれていった。 そうした中で徐々に生まれていったものが「クラウドトラベル」である。 これは「オンライン上で観光地を楽しみ、行ったつもりになる」というもの。 このキーワードは2020年2月ごろからネット上で使われ始めた。当初はこうした観光地のPRビデオを動画サイトで流すことによって、コロナ終息後の観光を誘致するものであった。 そこから徐々に、観光地の専用直播放送を行うといったものも増えてきた。 例えば貴州省の貴安新区では桜園が新型コロナの影響で2020年は閉園となっていたが、当地のメディアの技術を使って、VR360度映像によって、自宅に居ながらにして貴安新区の」桜園を体験できるサービスを展開している。 それ以外に、馬蜂窩では「チベットの秘境探検」、「京劇の神髄」、「広東省の隠れたグルメ」など、テーマ性を持った観光ライブイベントを企画、実行し人気となっている様である。 こうしたサービスを、いわば「疑似訪日」として活用できないだろうか。 「中国からの訪日観光における最大の魅力は爆買いではないか?」という声もあるだろう。 もちろん、「見ているだけ」ならあまり旨味は少ない。 しかし、中国消費者はすでに「ライブコマースで物を買う」という事に慣れている。物流の問題さえクリアできれば、こうした「クラウドトラベル」と「ライブコマース」を組み合わせることもできないものかとも感じる。 もしろん技術面や人員(言語人員)、また資金などの課題も多いが、新型コロナの前にため息をつくよりも、こうした中国の新たな旅行、消費モデルを参考にしつつ、何かできることを模索するのも必要なのではなかろうか。 --- ### 春眠できない消費者たち 「不眠大国」中国の状況は? - Published: 2021-04-15 - Modified: 2021-04-15 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210416-china-sleep/ - カテゴリ: ヘルスケア, 越境EC - タグ: ヘルスケア, 中国, 社会トレンド 春眠不覚暁(春眠暁を覚えず)。 日本は現在、気候も良く、ついウトウトとしてしまいそうな季節である。まさに仕事をさぼって昼寝するにはまたとない季節である。 しかし、お隣の中国ではこの「眠り」が問題になりつつある。 今回はまず、中国の公開されているデータから、中国の「眠り」に関連した問題についてみていこう。 対象人口「3億人」? 眠りに問題を抱える中国社会 中国の「眠りの問題」とは、いわゆる「不眠」である。 医学的に「不眠症」と診断されている人や「不眠気味」など、睡眠の質に問題を抱えている人たちを合わせると、その人口はなんと3億人に達するといわれている。 中国のリサーチ企業「艾媒諮詢(iiMedia Research)では、中国の睡眠状況についての調査を実施、その結果を発表している。 【グラフ】年齢ごとの「不眠」状況 出所:艾媒諮詢(iiMedia Research) 『全国超3亿人在失眠!数读正被撬动的万亿级“睡眠经济”』 このデータを見ると、18歳以下と20代後半、そして51歳以上が「つねに不眠状態にある」と回答している。 艾媒諮詢の不眠レポートでは、その不眠の原因の53. 6%が「仕事のストレス」という回答があった。 【グラフ】不眠の原因に関する意識調査(複数回答) 出所:艾媒諮詢(iiMedia Research) 『全国超3亿人在失眠!数读正被撬动的万亿级“睡眠经济”』 上記の不眠率でも26~30歳という社会にでて活躍する層の不眠率が高いが、それとこの結果は無縁ではない。 中国では、一時期「996(午前9時から夜9時まで、週6日働く)」という、残業や休日出勤の常態化を示す言葉が流行したことがあった。 経済発展によって多くの資産を持つ消費者も増え、爆買いなどで「お金持ち」のイメージが付いた中国の消費者だが、それを維持するのは容易ではない。 もともとスキルアップ意欲が高く、その職位や待遇の変化によって自身の市場価値を図っていく傾向が強い。 それを得るためには若いうちに必死に働き、成果を出す。また企業側もそれを求めており、企業と労働者の間の残業の悪循環が生まれていた。 同時に不動産所有によって安定を感じる中国にとって、結婚前の20代後半から30代というのはまさに勝負の時期。 その不動産価格も年々上昇傾向にある。「憧れのマイホーム」という言葉はかつての日本でも聞かれたが、中国では憧れでなく必然。それを満たすために寝る間を惜しんで働き、ローンを返すという人も少なくない。 今でも「不動産が変えないから結婚ができない」という声もあるのである。 更にはSNSを開けば、まさに「リア充」写真集。 投稿者の実際の生活はいざ知らず、不動産に車、ブランド品や高級化粧品などが目に入る。自身との現実の差を埋めるべく、空いた時間を副業に費やしたり独立して自身で経営に乗り出すのである。 ちなみに、新型コロナウイルス後にはリモートワークによる在宅業務の増加によって出勤退勤の区別がなくなり、「007(午前0時から翌午前0時まで、週7日間働く)」等という言葉もささやかれた。 こうした、決して生活にひっ迫したわけではないものの、よりよい生活を得るために仕事に打ち込み、ストレスを抱える姿が想像できる。 また、不眠率の高い18歳以下では「学習にプレッシャー」というものも大きいだろう。 大学受験のための勉強地獄は日本でも広く知られている。 さらには1人っ子ゆえに、親や祖父母の期待を一身に受け「受験で失敗するわけにはいかない」と悩み大きなプレッシャーを抱える若者の姿が見えてくる。 不眠の原因、年齢層を見ていくと、その世代が抱える悩みが見えてくる。 (さらに... ) --- ### 【日中文化考】中華圏独自の出産後文化「坐月子」~現代化に伴う悩みに商機が? - Published: 2021-04-15 - Modified: 2021-04-15 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210415-china-maternity-1/ - カテゴリ: クチコミ分析, 社会トレンド分析 - タグ: マーケティング, 中国, 社会トレンド, 社会トレンド分析 中国と日本では文化的な違いがいくつか存在するが、出産、子育てに関しては習慣や考え方には大きな差異があり、双方で驚くことが多い。 その一つに「坐月子(ヅォユエズ)」と言う、出産を終えた女性がのんびり過ごす週間がある。 日本人にとっては聞きなれない習慣だが、日本にない習慣となれば、同時にその裏には日本人にはない新しい価値観があるはずだ。 今回は坐月子とは何か、坐月子を迎える中国人がどんな心理状態なのかを探ってみよう。 中華圏にある独特の出産後文化「坐月子」とは? 「坐月子(ヅォユエズ)」と言う言葉を初めて聞いた方も多いだろう。 坐月子とは、出産という大仕事を終えた女性が1週間〜1ヶ月ほど体を休め、栄養満点の食事や薬膳スープなどを飲んで静養する期間のことだ。 出産後の身体的にも心理的にもデリケートな時期の女性をストレスから守り、一説では更年期のホルモンバランスの乱れを和らげる効果があるとも言われている。 坐月子の期間、古くは自宅で家族や産婆さんのサポートのもとで過ごすことが多かったが、90年代後期に入り「月嫂(ユエサオ))」と言う坐月子をサポートしてくれる専門のヘルパーを雇うようになった。それでも、自宅で過ごす場合が一般的であった。 しかし現在では「月子中心(ユエズチョンシン)」と言う病院のようなセンターで過ごすことが主流となっている。 中国には数多くの「月子中心」が運営されているが、人気の月子中心は妊娠がわかった後すぐに予約を取らなければ部屋が確保できない場所もある。 坐月子の期間の食事。薬膳スープなど、栄養満点でバランスよく、温かい食べ物が用意される。 月子中心の部屋の様子。部屋のグレードにもよるが、個室が与えられ、ホテルのような空間でゆったりと過ごす。 月子中心ではホテルのような部屋で、かつ専門スタッフが常駐し、時には豪華な、そして栄養バランスが配慮された時間が もちろん新生児のケアも専的な知識を持ったスタッフがフォローしてくれており、慣れない初期育児によって新米ママにかかる心理的負担も極限抑えられている。 まさに至れり尽くせりの環境だが、出産という大仕事を終えた女性に対しては、当然の待遇といってもいいかもしれない。 時代とともに変化していく月子の過ごし方 さて、この月子中心、先の述べたように、以前、坐月子を迎える際は月嫂を雇い自宅で過ごすことが一般的であったが、現在ではこの月子中心が人気となった。 実はこの坐月子には、月子を過ごす新米ママと、その体を心配する母親や姑との間で世代間の認識ギャップ、トラブルが存在するためだ。 坐月子の期間では伝統的に「体を冷やさない、労る」「外敵のストレスから女性を守る」と言うことがざっくりとしたコンセプトになっている。 それを具体的なアクションとすると「冷たいものを食べない・飲まない」、「髪を洗わない」、「お風呂に入らない」、「スマートフォンなど電子機器のブルーライトや電波を浴びない」などなど... といった制約があるのである。 出産後の肌はホルモンバランスなど含めてデリケートになっており、少しの外部からの刺激でもストレスになると考えられ、そこから守るという意識があるためだ。 実はそこに多くのトラブル源が隠れている。 例えば出産を終えた新米ママは長期に渡って入浴を我慢しなければならないが、やはり不快感が生じてしまい「入浴したい」と言い出す。しかし、その母親は少しでも刺激になるようなことは避けて欲しいと入浴を避け安静にしているよう口出しする。 また現代中国人、特に若者にとって抖音(douyin)やweiboなどSNSを見ることは呼吸することに等しいが、新米ママがそれをしようとすると「スマホの電波やブルーライトが体に良くない」と母親にスマホを取り上げられる。 そういった争いが続くと、新米ママやの母親だけでなく、新米ママの夫までもが疲弊する。そうしたトラブルを避ける避難所として、月子中心が重宝されたのである。 坐月子に商機はあるか? 坐月子という日本にない特殊な期間やその心理は前述の通りだが、何かこれを商機として生かせるチャンスはあるだろうか。 例えば、「入浴したい・いやダメ」のトラブルは頻発する。そんな時に入浴できない代用として汗拭きシートや、水を使わない(髪をぬらさない)ドライシャンプーなどはニーズが見込めそうだ。 またブルーライトや電波が気になる事を考えれば、それらをカットするスマホ保護ケースなども、喜ばれる可能性が高い。 また体を冷やさずに美味しく飲め、かつカフェインの心配がない(カフェインは胎児や母乳で育てる乳幼児に悪影響があるため避けられる)デカフェコーヒーや、その他お湯でとける粉末飲料の差し入れも喜ばれるだろう。 坐月子の現代化と伝統とのギャップを埋め、寄り添ってくれる商品が受け入れられるように思われる。 余談ではあるが、坐月子は中国の他に、台湾、マレーシア、シンガポールなど中華圏で実施される独特な文化である。 どの地域も現代化に伴って都市部を中心に簡易化されてきてはいるものの、“出産後は坐月子の期間を過ごす“と言う意識はまだまだ根強く残っている。 日本在住の中国人も坐月子を過ごす意識は存在し、東京でも月子中心は2箇所ほど存在するほか、日本で活動している月嫂も少ないながら存在する。 それだけ中国消費者にとって「坐月子」という習慣は身近で、離れられないものなのである。日本とは異なる習慣やそこに存在する消費者心理をきちんと把握、分析することで、まだまだ挑戦できる市場は存在しているのである。 --- ### 中国独禁法でアリババに3000億円強の罰金 今後のEC商戦に与える影響は? - Published: 2021-04-12 - Modified: 2021-04-12 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210412-alibaba-legal/ - カテゴリ: クチコミ分析, 注目ニュース分析 - タグ: 中国, 注目ニュース, 注目ニュース分析 すでに日本でも報道されているように、中国の「反壟断法(独禁法)」違反によって、中国のEC業界最大手であるアリババに罰金処分が決定した。 その金額は182億元余り、日本円にして3000億円超という、中国の独禁法違反においても最高額の処分となった。 この処分によって、中国のEC業界には何か変化が起こるのだろうか?簡単に考察してみた。 客流をすべて握っていたアリババの支配的地位 今回、アリババが処分を受けた容疑は「二者択一の強要」である。 今回の処分、もちろん市場の健全化に向けた独占禁止という一面もあるが、タイミングを考えると、5月1日から施行される『網絡交易監督管理弁法』のための「見せしめ」という一面も否定できないだろう。 カギとなったのは、「アリババが市場の支配的地位にあったか否か」と「それを背景にした不当な要求である二者択一を強要したか」であった。 確かにJD. comやPDD(拼多多)の台頭によって以前ほどの絶対的な地位を得ているとは言い難いアリババグループであるが、特にダブルイレブンなどはアリババ色が強く、市場ではNo1の地位を持っている企業といえる。 当然そこには膨大な量の消費者が集まる、巨大な人気ショッピングモール。ここに出店することで、出店商は売上向上を見込める。 ネットの世界でいえば巨大な「Traffic」の塊である。 しかしその会員の管理、データ、さらにデータを基にしたマーケティングサービスなどはアリババが一手に引き受けており、店側としては店舗にお客を誘導したり見つけてもらうためにはアリババのサービスを使用しなければならず、そのための一定の費用をアリババに支払う必要がある。 もしそれを断れば、店舗は開けても宣伝もしてもらえず、検索でも引っかからない... といった状況が生まれる。 さらに商戦期、特にダブルイレブンにおいては「最安値(他店より安い)」、「他のプラットホームのキャンペーンに参加しない」などの条件が求められ、それに応じないとつまはじきにされてしまう。 大量に訪れるであろうTrafficを分けてもらえなくなってしまうのである。 特にライブコマースの時代、TaobaoLiveからもたらされるTraffic、すなわち客量は膨大な量なのだが、店側としてはその源泉をアリババグループが握っていた。 極めて不平等な関係だったのである。 こうしたアリババの支配的な地位を背景にした出店商に対する要求に、個別のメーカーがアリババ(もしくは天猫)を相手取って裁判を行った例はあるが、行政として大規模な処分を下したのは、初めての事であった。 商戦時の出店商の動きはどう変わる? 5月1日に施行される『網絡交易監督管理弁法』では、プラットホームがその力を利用して出店商に対して圧力をかけることを禁止し、各店舗の経営権は出店商にあることが明記されている。 (さらに... ) --- ### 変わる世界の「美」の概念と 変わらない中国の「美的意識」 - Published: 2021-04-09 - Modified: 2021-04-09 - URL: https://gc.novarca.jp/blog/20210409-cosme-skincare/ - カテゴリ: コスメトレンド, 越境EC - タグ: コスメ, コスメトレンド, マーケティング, 中国 世界の美容・化粧品業界がその消費に注目し、多くの労力を費やしているのが中国市場である。同時に中国市場に注力しながらも、世界の流れも気になる今日この頃。 今回は2020年の中国化粧品市場の様子を簡単に振り返りながら、中国の「美」の概念と世界の潮流を合わせて考えてみよう。 コロナの影響なんのその。伸びる化粧品消費 中国のコンサルティング会社「聞道網絡」によるレポート『2020小紅書面膜市場洞察』では、2020年の小紅書への投稿を基に、中国のフェイスマスク市場の状況を分析している。 【グラフ】2020年小紅書月ごとの美容関連ノート数 出所:2020小红书面膜市场洞察(聞道網絡) それによると、小紅書の美容関係の全般のノート数は増加傾向が続いているという。 月ごとに見てみると、新型コロナウイルスの影響を受けた1月、2月に関してはノート数の落ち込みが見られたが、3月の婦人節から上昇に転じ、商戦618がある6月に上半期のトップに、そしてその後ダブルイレブンのある11月から年末にかけて非常に高い水準を保っていることが見て取れる。 長い新型コロナ対策で外出もできず鬱屈した気持ちを、外出解禁となりかつEC商戦を迎えたことで、もともと多い小紅書の美容・コスメ系投稿も一気に増加。 中国社会消費品小売総額における「化粧品類」の伸びを見ると、2020年1-2月~3月こそコロナ禍の影響を受ける前の前年を下回ったが、それ以降は前年を上回る推移で消費されており、2020年6月、11月の商戦期は大きく前年を上回る結果となっている。 【グラフ】社会消費品小売総額「化粧品類」消費額推移 出所:中国統計局 SNSを見ても実際の化粧品消費金額の面でも、中国では依然として高い人気を誇っていることが見てとれる。 やや保守的な中国の「美」の概念 さて、こうした化粧品の伸びはすなわち、中国消費者の「美」への追究の高さなのだが、中国の女性たちはどのような美を求めているのだろうか、振り返ってみたい。 (さらに... ) --- ---