中国の若者を中心に拡大を続けているセルフヘアカラー市場。日本のブランドを含めて、すでに市場競争が展開されつつあるが、その市場で消費者たちはどんな色に自らの髪を染めているのだろうか?
今回は色のトレンドについて少し見てみよう。
目次
小紅書で投稿される「カラー」トレンド
中国のおけるセルフヘアカラーのクチコミ。
また小紅書でセルフヘアカラーや色に関するノート数を見てみると、色に関する投稿が非常に多くなっていることが見受けられる。
【グラフ】小紅書におけるセルフヘアカラー、色、ヘアケアのノート数
出所:数慧光(上海)商務諮詢有限公司調べに基づき中国トレンドExpressにて作成
よく見ると多いのは個人ももちろんながら、ヘアサロンなどの投稿も少なくない。
店側としても、カラーリングファッションニーズをとらえるマーケティングの一環として「この夏の人気カラー」や「人気色の仕上がりバリエーション」が写真とともに投稿されている。
クチコミから見る中国の人気カラー
では、中国消費者の髪の色についてのクチコミを見てみよう。
【表】Weiboにおけるヘアカラークチコミの上位キーワード
出所:数慧光(上海)商務諮詢有限公司調べに基づき中国トレンドExpressにて作成
まず、色に関して言えば最も人気なのはオーソドックスなブラウンカラーという事になる。気軽に失敗を恐れずに試せるカラーとして日本でも人気だ。
また「青」や「赤褐色」、「赤」といった色合いも人気色として挙がっている。Weiboでも最近の流行色として「レッド系」や「ブルー系」カラーが、複数のバリエーションとともに紹介されている。
またカラー系には「海王紅」と呼ばれるカラーがある。
これは2018年に公開されたアメリカのスーパーヒーロー映画『アクアマン』に登場する海底国の女王「メラ」の髪色のころ。
鮮やかな赤みが特徴で、アクティブなZ世代にも人気のカラー。小紅書にも数多く投稿されているが、女性だけではなく男性の同色カラーリングも混じっているのが興味深い。
色以外で見ると、ヘアカラーと同時に「ヘアエクステンション」が上がっている。
この背景は、主にヘアサロンなどの広告投稿によるもので、サービス紹介に「染髪接髪(カラーリング&エクステンション)」と並べて表記されるのが慣例となっているのである。
ここから見ると、中国女性にとっても髪の雰囲気を変える手法としてはカラーリングと同時にヘアエクステンションを利用するのが一般的であると考えられる。
また「前髪」や「短髪」など、髪の部位や長短によって仕上がりは変わってくる。特にヘアサロンがヘアスタイルとカラーをワンセットで紹介するケースが多く、「ボリュームを表現する際のカラーリングとヘアスタイル(前髪)」などがWeibo上に見える。
さらには「丸顔」の場合の注意点など、「顔の形」からも似合う色合いを探すなど、中国消費者もヘアカラーファッションへの探求心が非常に強い様子が見て取れる。
韓流ファッションから広がる韓国カラー
さてここで注目しておきたいキーワードがある。
それが「韓国風」というワードだ。
中国でも「韓流」ブームは続いている。
特にポップミュージックのようなコンテンツとファッションブランドやコスメブランドがワンセットで展開されることが多い。
つい先日はBTSが朝鮮戦争に関する言及でネガティブなキャンペーンがあったようだが、それも局地的なもので、韓国のガールズユニットほか、アーティストの人気も高い。
こうしたアーティストのファッションをマネする形で、髪の色を変える消費者が少なからず存在するようである。
これを見ると、ジャパンカルチャー、アーティストの影響力は韓流に比べれば小さく、現在の中国では日本のアーティスト発信によるファッションが広がるといった現象はほとんど見ることができない。
2020年に入っても日本のファッションブランドの中国市場撤退といった話を耳にする。
これはマーケティング手法や投資といった部分以外に、日本ファッションといったセグメントが完全に定着していないという課題がある。
同時に韓国のように自国コンテンツやカルチャーと企業のブランドが一体となっての中国展開ができないという部分も影響している。
もちろんこれには著作権や中国における政治的な外来文化寛容度など諸問題も大きく影響しているため、簡単に解決することはできない。
とはいえ、日本のポップカルチャーファンも中国で存在していることから、それらとヘアスタイル、カラーリングファッションと上手に組み合わせることで、その流行を広げていくという視点も必要だろう。
それ以外のキーワードを見てみると「グラデーションカラー」などのキーワードも登場しており、様々なカラーリングを楽しんでいる様子が見て取れる。