食べる美容に消費者は何を求める? 中国SNSクチコミ分析で見てみよう

内側からの美を追求しようとする中国の女性たち。そこで徐々に広がっているのが服用型の美容サプリメントである。

ではその服用型の美容に関して消費者はどのような意識を持っているのだろうか。トレンドExpressの有するクチコミ分析の簡易調査機能を用いて、その消費者のトレンド、注目ブランドを探ってみた。

少ないながらも安定件数。今後の動きにも期待

まずは「口服美容」のキーワードでどのくらいのクチコミがなされているのかを、簡易調査で見てみよう。

【グラフ】「口服美容」キーワード件数の月次推移

これを見ると「口服美容(服用型美容)」というキーワードは、毎月100件前後と熱狂的なクチコミではない。

しかし、同時に減少傾向というわけではなく、少ないながらも一定レベルのクチコミ蓄積ができていると考えられる。

 

そのなかで2020年9月にクチコミ件数が上がっているが、おそらくそれは天猫国際がどうセグメントのセールを行ったことが影響しているのではと思われる。

複数の美容サプリやパウダー、ドリンクなどを販売しているブランドを集め、9月24日、25日の二日間は「同商品の2つ目が無料」、いわゆる「買一送一」方式のキャンペーンである。

天猫国際のWeiboアカウントの告知を見てみると、中国健康食品大手のBy Healthや欧米大手のSwisseを始め、アメリカ、オーストラリア、日本など、各国の美容サプリメントブランドが参加していた。

そうした点から、同市場は一定のニーズは常に存在しており、何かしらのイベントにそのニーズが刺激され、クチコミ件数が上昇するという状況にあるといえる。

 

続いて、同じくクチコミ簡易分析から見える、服用型美容商品に関してのポジネガ意識を見てみよう。

【グラフ】「口服美容」キーワードのポジネガ比率

見てみると、非常にポジティブ比率が多く、逆にネガティブ比率は少ない。

多くの商品は健康食品として、体への負担がなく、美容効果が上げられる商品であって、安心感を得ていることが大きいと考えられる。

【グラフ】「口服美容」のおよび「服用コラーゲン」、「ヒアルロン酸」のクチコミ比較

さらに、今回は「コラーゲン」、「ヒアルロン酸」の2種類の人気成分についても、服用型商品のクチコミ件数を調べてみた。

 

それを見えると、やや安定したニーズがある服用型コラーゲンに対して服用型ヒアルロン酸は明らかに上昇傾向にある。

特に前回紹介したように、一般食品の原材料としての認可がなされた2021年1月以降は急上昇していることが見て取れる。

 

今後はヒアルロン酸食品や飲料が増加、定着していくのかがこの業界で注目されそうである。

服用美容で気になるのは?人気のローカルブランドも

続いて「口服美容」と同時に口込まれたキーワードを分析してみよう。

【表】「口服美容」関連キーワードランキング

No CN JP
          1 口服美容 内服美容
          2 品牌 ブランド
          3 玻尿酸 ヒアルロン酸
          4 美容品 美容品
          5 澳洲 オーストラリア
          6 谷胱甘肽 グルタチオン
          7 口服液 内服液
          8 风潮 トレンド
          9 胶原蛋白粉 コラーゲンパウダー
        10 原料 原料
        11 高端 ハイエンド
        12 保健品 サプリメント
        13 抗氧化 酸化防止
        14 食品 食品
        15 彩妆品 カラーコスメ
        16 大奖 大賞
        17 日本 日本
        18 蛋白粉 プロテインパウダー
        19 抗衰老 アンチエイジング
        20 女性 女性
        21 补水 水分を補う
        22 颜如玉 颜如玉
        23 成分 成分
        24 透明质 ヒアルロン酸
        25 软糖 ゼリー
        26 护肤品 スキンケア製品
        27 饮品 飲み物
        28 营养 栄養
        29 保养品 保養製品
        30 燕窝 ツバメの巣

これを見ると、まず「ブランド」というキーワードが上位に来る。

これは服用することで、皮膚に塗るといった商品よりも一段高い安全性を求めるもので、より大きな、知名度のあるブランドを求める傾向があるといえるだろう。

同時に、こうした大手ブランドにおいては研究開発に費やす人的、経済的余裕があるという見方から「より効果が高い商品を開発できる」という認識があるといえる。

 

また、認可が拡大したばかりの「ヒアルロン酸」が続いているが、同時に「グルタチオン」が続いている。

近年は美容ドリンクなどの業界ではペプチドをベースとした商品が開発されており、特にグルタチオンは「抗酸化」作用、つまりアンチエイジングへの効果が見込まれているため、中国でも注目されつつある様子である。

 

また、健康食品に関してはオーストラリアの研究開発が進んでいる関係で、同国からの商品も多く、クチコミに名前が挙がっている。

それよりも若干低い位置ではあるが、「日本」というキーワードも見え、美容メディアなどでは日本の美容サプリメントの開発、商品化状況を紹介している。

今後、ジャパンブランドとして市場開発の可能性を秘めているといえるだろう。

 

さて、この中で唯一挙げられた具体的なブランド名が「顔如玉」である。

同ブランドは広州市に拠点を持ち、2008年に立ち上げられた美容ブランドで、現在は美容ドリンクのほかスキンケア化粧品など、幅広い美容商品を展開している。

商品群を見てみると現在は、トップページに見られるような、ペプチドを使った美容効果の高いスキンケア化粧品を販売しているが、同時にペプチドやコラーゲンドリンクの展開も行っている。

その中にはお米から採取したペプチドドリンク商品1種類があるが、そこには「日本ペプチド研究所」との共同開発である旨やカタカナでの商品表記などもされており、「ジャパンルーツ」である部分が紹介されている。

同業界では直接的な商品の進出以外にも、こうしたブランドと日本の研究機関やメーカーなどとの技術提携なども可能性が出てきそうである。

 

特筆すべきは、同ブランドは美容ドリンクをバレー女子中国代表チームに提供している、オフィシャルサポーターであるという点である。

会社のホームページにも「中国女排(女子バレー中国ナショナルチームの略語)」のロゴ、さらにはWeiboの公式アカウントでもチームの写真が大きく使われている。

同ブランドの主力であったコラーゲン商品に関してのクチコミを簡易分析してみると、やはり「女子バレーボールチーム」のキーワードが上位に登場した。

【表】「顔如玉コラーゲン」のキーワードランキング

No CN JP
          1 颜如玉 顔如玉
          2 胶原蛋白 コラーゲン
          3 皮肤
          4 虫草 フユムシナツクサタケ
          5 吸收率 吸収率
          6 蓝莓 ブルーベリー
          7 中国女排 中国女子バレーボール
          8 女人
          9 青春 青春
        10 品牌 ブランド
        11 分子 分子
        12 内调 体内部の調子を整える
        13 玻尿酸 ヒアルロン酸
        14 口服液 ドリンク
        15 产品 商品
        16 打卡 人気商品の使用
        17 肌肤
        18 仙女 天女
        19 空瓶 空き瓶
        20 酵素 酵素
        21 透明质酸 ヒアルロン酸
        22 内分泌 内分泌
        23 补水 補水
        24 色斑 シミ
        25 由内而外 内から外へ
        26 身体 ボディ
        27 燕窝 ツバメの巣
        28 季节 季節
        29 真皮层 真皮
        30 水光 水光

こうしたオリンピアンマーケティングによって、その信頼度をより高めているといえるだろう。

今回Global Compassでは、中国消費者に関する最新動向をレポートにまとめました。

変わり続ける中国のマーケティング環境のなかで、日本企業が確たる足場を築き上げるためには、その状況を正しく把握し、より確かな施策を展開していくことが肝要となります。

ぜひ当レポートを今後の施策策定のための材料としてお役立てください。

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