上半期の山場618始まる 2021年の見どころは?

2021年も「618」が始まった。

中国2大商戦の一つであり、上半期の盛り上がり、そして下半期に訪れる最大商戦ダブルイレブンを占う意味でも重要な商戦である。

昨年はAfterコロナを印象付けるインパクトを与えた618。今年は若干の変更点が加えられ、またプレーヤーの面でも昨年までとはやや異なる雰囲気を醸し出している。

多方面から注目が集まる今年の618のスタート直後の様子をリポートしよう。

スタートダッシュ始まる。コスメ分野の様子はいかに?

2021年618が正式にスタートしているが、すでに中国のデータ調査機関などは今年の「戦績」をまとめ、発表している。

ここでは最も注目されるT-Mallスキンケアとメイクアップランキングを、EC Datawayが予約スタートの5月24日20:00から24:00(25日0:00)時点でまでをまとめたものを確認してみよう。

 

スキンケアではLoreal、EsteeLauderの欧米系大手が1位、2位を走っているが、荘後に続く3位にShiseidoが入っている。さらに4位にThe history of whooが続いており、昨年のダブルイレブンで業績を上げたブランドが上位を占める状況となっている。

しかしそれ以下を見ると、Lancome、Olayの常連ブランドに混じって、アメリカのSkinCeuticals、韓国のDr.Jart+、そして中国スキンケアブランドのDr.Yu(玉澤)の名前が見え、やや混戦模様となっている。

 

またメイクアップ&香水の分野では、YSL、Estee LauderそしてArmaniの欧米系大手ブランドがトップ3を占めている。

しかしそれに続くのは中国国産メイクブランドColor Key。同ブランドは、Hallo Kittyとのコラボによるリップグロスが、予約開始直後1時間で30万本余りの予約を受け付けるなど、スタートダッシュに成功している。

10位には同じく中国メイクブランドの代表格となっている花西子がはいっているが、現時点では完美日記(Perfect Diary)の名前は見えない。

618やダブルイレブンではスタートダッシュからゴールまで走りきる、というのが勝ちパターンになっているが、ここで完美日記がどのように巻き返してくるのか注目したいところである。

4時間繰り上げてのスタートは何を意味するか

さて、今年の618、本来は6月25日0:00から予約が始まるはずであった。

しかし、直前になってT-Mallを含むTaobao系列では4時間早め、20:00から予約開始との発表がなされた。

その理由として説明されたのが「ライブの効果をより高めるため」とされる。

 

これはどういうことか?

 

そこには、現在中国消費者、特に若者世代の生活リズムの変化があった。

 

20:00台というのは日本でも中国でも、テレビの「ゴールデンタイム」に位置する。

1日の仕事や学校を終え、夕食も終わりホッと一息つく時間で、かつてはテレビ視聴に当てられてきた時間だ。

 

しかし今、そうしたくつろぎの時間を占めているのはショート動画。すなわち抖音と快手の2大アプリである。

特に消費の主力となりえる90後世代や95後などのZ世代はいずれも抖音のハードユーザーである。

 

この抖音が今年は正式に618に参入しているのである。

T-Mallとしては、この「抖音でくつろぐ時間帯」も618商戦に含むことで、抖音に集まっているトラフィックを李佳琦や薇婭によってTaobao Liveへと巻き込みたいという意識が強かったのではないかと予測する。

 

その施策が正解か否かは、618のライブ事情の推移を見守りたいところである。

スタートの状況を見ると、5月25日0:00までの時点で、李佳琦は自身のライブで849.86万件の商品、25.65億元を売り上げ、ライブ閲覧者は合計1.06億人。

対する薇婭は617.42万件の商品、23.79億元を売り上げ、閲覧者数も1.04億人に達したと発表されている。

 

この流れが続くのかは注目だ。

注目の抖音。5月25日の滑り出しは?

2021年の618、特に抖音の本格的参加は、他のプレーヤーにも戦略的な調整が求められる。

同時に、618直前になって発表された「JD.comの抖音小店出店」というニュースも、驚きをもって迎えられた。

JD.comは抖音小店で今年200億元のGMVを目標に掲げているが、618はその提携後の初の大型商戦ということで、その結果にも注目が集まっている。

 

その抖音、5月25日の成果が分析発表されている。

ブランドにおいてはT-Mallほどの大手ブランドはまだ少ないが、順調な滑り出しを見せており、ファッション小物やキッチン用品のほか教育トレーニングなど幅広い業界が出店している様子が見て取れる。

またライブコマースにおいては、トップにはジュエリー・アクセサリーを専門に販売しているライバー呉震が、抖音のトップライバーとなっている羅永浩も7位に位置し、これから上位を狙う。

従来のプラットホーム以外にも、このショート動画をベースに膨大なトラフィックを有する抖音、そして快手がどこまで検討するのか、今後の中国市場開拓の戦略を考えるうえでも見逃せない商戦となっている。

今回Global Compassでは、中国消費者に関する最新動向をレポートにまとめました。

変わり続ける中国のマーケティング環境のなかで、日本企業が確たる足場を築き上げるためには、その状況を正しく把握し、より確かな施策を展開していくことが肝要となります。

ぜひ当レポートを今後の施策策定のための材料としてお役立てください。

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