中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場~クチコミから見る中国カラーコンタクトニーズ

2021年に入って一気に人気と資本が増大しているのが中国の美瞳、カラーコンタクトレンズ市場。すでに中国のメディアもその動向を追いかけており、新鋭ブランドへの投資も活発化している。

では、中国の消費者はこの美瞳カラーコンタクトレンズという市場にどのようなニーズを持っているのだろうか?

トレンドExpressのクチコミ簡易分析の結果を見ながら、消費者のニーズを探ってみよう。


▼前回の記事はこちら
中国Z世代の「瞳」を彩る新たな市場に資本も注目


手軽なオシャレで大学生にも。拡大するカラーコンタクトを支える消費者とは

前回見てきたように、Weiboの「美瞳」に関するクチコミでも、2021年を境に大きく投稿数が増加しているのが見て取れる。

ちなみに中国では「美瞳」というと単純に「美しい瞳」という意味と同時に、それを演出する「カラーコンタクト(美瞳隠形眼鏡)」としてもつかわれることがあり、特に後者の用法が近年は一般的になっている。

【グラフ】「美瞳」に関する月次クチコミ件数推移

出所:Trend Express China調べ

これを見ても、中国の美瞳カラーコンタクト市場の伸びは目を見張るものがある。

 

この消費の中核を成しているのはもちろんZ世代といわれる、1995年以降に生まれた若者たちである。

さらにこの美瞳カラーコンタクト市場において大きな比率を占めるのは、「学生党」すなわち、大学生たちである。

 

中国では「メイク入門」は大学生から。それまでは親や教師が目を光らせており、自由にメイクやオシャレを楽しむ余裕は日本ほど多くはない。

それが大学に合格、入学を果たした時点で一気に解放されるのであるため、多くの大学生は待ちに待ったオシャレへと突き進むのである。

 

さらに昨今は小紅書(RED)や抖音などのSNSが膨大な量のオシャレ情報を発信している。アイドルもこうしたSNS上に公式アカウントを有し、情報発信を欠かさない。こうしたSNS上で発信されるオシャレ情報、特に人気アイドルが身に付けているものと同モデルの商品は、いわゆる「同款」と呼ばれ、Taobao上でも人気商品となる。

 

それが、この美瞳、カラーコンタクト市場でも発生しているのである。

小紅書(RED)上でも「学生党のためのカラコン入門」といった動画投稿が多くみられ、大学生をターゲットとに商品の比較や付け方、注意点をレクチャーされている。

さらに前回述べたように、中国の近眼率は高い。

子供のころから勉強の毎日を送り、かつゲームの普及、タブレット端末やスマホ画面の浸透など、近視をもたらす要因は増しているといっていい。

 

高校生までは眼鏡で過ごしていた女子も、大学に入れば上記のようにオシャレに目覚め、コンタクトレンズをつけ始める。

しかし、普通にコンタクトレンズでは自分自身の個性を生かせないし、面白くない。

結果、中国の学生たちは、いわば堂々と人気アイドルと同じモデルのカラーコンタクトを購入し、「瞳のオシャレにいそしむ」ことができるようになるのである。

ただ、それでも中国における美瞳、カラーコンタクトの浸透率は3%程度で、諸外国の30%前後と比べると極めて低い値。

それだけ大きな伸びしろが期待されている市場なのである。

色だけでなく潤いも欲しいカラーコンタクト。日本製の人気も。

では、この美瞳カラーコンタクトレンズ市場のニーズをクチコミデータから見てみよう。以下は、「美瞳」とともに検出されたクチコミキーワードのランキングである。

【表】「美瞳」クチコミキーワードランキング上位30

出所:Trend Express China調べ

これを見ると、まずはコンタクトレンズの様式、大きさや含水量などが気になっている様子がみられる。

特にコンタクトレンズ着用者は「瞳の乾燥」を感じることも多く、潤いのあるコンタクトレンズを好む。

15位に「保湿」とあるが、それも同じニーズによるものだと考えることができる。

またインバウンド華やかなりしとき、中国からの訪日観光客に日本の目薬が多く売れたが、その際でも「コンタクトレンズをつけたまま使える目薬」も多く購入されている。

また同時にそうしたコンタクトレンズをケアするためのトリートメント液にも気を使い、清潔さと同時に安全性に気を付けている様子がクチコミワードから見られる。

また「花色(デザイン)」とあるように、どういった色のカラーコンタクトがあり、実際にどのような効果(印象)をもたらすかという点も非常に重要だろう。

 

次回以降に述べるが、クチコミで上がっているmoodyというブランド、新鋭ブランドながら非常に多数のラインアップをそろえており、その多数の中から「自分に合ったものを探す」というのも、カラーコンタクトの楽しみの一つにもなっている。

 

さて、ランキングの半ば過ぎに「日本」というキーワードがあることに注目される。

実は美瞳愛好家にとっては日本のカラーコンタクトも非常に人気が高いのである。その背景にあるのは長く続いているアニメコスプレや近年広がるJKファッションなどの、ジャパンPOPカルチャーである。

 

こうしたコスプレイヤー(中国ではcoser)やJK、ロリータファッションなどのサブカルファンにとって、カラーコンタクトは無くてはならない必須アイテムなのである。

また上述にあるように安全面や快適さにおいても日本のコンタクトレンズは評価が高い。

6位に「正品(本物)」とあるように、低価格商品であるカラーコンタクトレンズは、一部の老舗眼鏡ブランドやジョンソンエンドジョンソンのような外資、そして新鋭の国産ブランドなどが存在しているが、多分にもれなくニセモノや劣悪品なども存在している。

 

そういった点においては「メイド・イン・ジャパン」の信頼度は高く、安心して使用できるという印象があるようである。

ただし、多くが正規ルートではなくソーシャルバイヤーなどのCtoCでの販売が多いというのが特徴にある。

 

今後は日本国内のカラーコンタクトブランドも、日本国内だけではなく中国市場を視野に入れ、ソーシャルバイヤー含めどのように中国消費者にアプローチしていくのかも考える必要があるだろう。

今回Global Compassでは、中国消費者に関する最新動向をレポートにまとめました。

変わり続ける中国のマーケティング環境のなかで、日本企業が確たる足場を築き上げるためには、その状況を正しく把握し、より確かな施策を展開していくことが肝要となります。

ぜひ当レポートを今後の施策策定のための材料としてお役立てください。

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