【インバウンド】 訪日リピーターアンケート Afterコロナの日本観光ニーズはいかに?

日本の街角から訪日中国観光客の姿が消えてから2年ほどが経過している。

この期間、中国消費者において日本への観光旅行への興味はどのように変化しているだろうか?

トレンドExpressでは2021年12月に、訪日リピーターに向けて訪日観光の興味関心についてのアンケート調査を実施した(プレスリリースはこちら)。

そこには変わらない訪日観光への興味、そして変わりつつある訪日ニーズの姿が見られた。今回はその調査から一部を抜き出して見て行くことにしよう。

強い訪日意欲。その旅先には

今回紹介するのは、トレンドExpressが依然としてコロナ禍にある中で中国消費者の訪日意欲、日本における消費意欲の状況を知ることを目的として、ウェブアンケート方式による調査を行った結果である。

 

同調査においては、対象者の訪日経験の有無を優先し、直近3年間において毎年最低1回は日本を訪れていることを条件に設定。また訪日消費においては男性より女性の比重が高いことから女性に絞り実施をしたものである。

 

対象者居住都市の選出基準にあたっては、より消費力のある対象者に設定するために、中国国家統計局発表の「2020年都市部住民1人当たりの消費支出ランキングTOP10」の都市を選出している(参考:https://www.afpbb.com/articles/-/3328252)。

※以降の円グラフは単一回答項目、棒グラフはすべて複数回項目。

【調査項目】

◆サンプル数:600人

◆訪日経験:2017年~2019年の期間、毎年訪日旅行をしていた

◆性別:女性

◆年齢:20代~40代

◆居住都市:以下の10都市

・上海市 ・北京市 ・広州市 ・杭州市 ・天津市 ・蘇州市

・福州市 ・青島市 ・長沙市 ・重慶市

 

年齢層と属性(婚姻状況)を調査した。年齢でいえば20代後半から30代前半がボリュームゾーンとなっている。日本に観光・ショッピングに来ることを考えれば、一定の収入が必要であり、それを満たす世代、かつアクティブに活動する世代が多くなるためである。今後はいわゆるZ世代もこの年齢層に入り、訪日観光の主力へと移っていくことになるだろう。

あなたの年齢について、あてはまるものを選択ください。

本調査では「直近3年間で毎年日本を訪問していた」消費者を対象としていたために全員に訪日経験がある。その頻度は基本的に「1年に1回程度」だが、「半年に1回」、「3か月に1回」という消費者も約20%弱存在している。

コロナ前(2017年~2019年まで)、日本旅行にどのくらいの頻度で行っていましたか?

訪日目的としては観光目的のほか、ビジネス目的また日本在住の友人訪問という目的といったものが多く、かつて「メディカルツーリズム」として注目された日本での治療・健康診断を目的とした訪日も12%程度存在していた。

コロナ前(2017年~2019年まで)日本を訪問する主な目的は?

こうした消費者にとって、海外旅行が行けるようになった場合、その渡航先としての日本はどのような位置づけになっているのだろうか。

訪日旅行の優先度について、あなたの気持ちに近いものをお選びください。

「最も優先度が高い」、「トップ3に入る」が大多数を占めた。対象が訪日観光のリピーターであることも影響しているが、そうしたリピーターでも訪日観光への熱意は冷めていないことを示している。

コロナ終息後に日本を旅するとしたらどこへ行きたいと考えているのだろうか。「行ったことがある」スポットと対比させて見てみると、総じて「日本の地方観光ニーズ」が見て取れる。

日本が観光客受け入れを再開した際、行ってみたい日本の場所はどこですか?

東京および東京近郊、関西への意欲は若干下がり、変わってその他の地方、特に中部地方や北陸という「昇龍道」といわれるルートへの関心が高まっている。

比較してみると中部地方への観光者が増えていることからその評判(SNSなど)が広まり、「次の行先」としての関心の高まりを招いていると考えられる。また「北海道」ニーズも継続して伸びている。

依然として高い「訪日ショッピング」。そのニーズは?

コロナ禍によって渡航ができない状況が続いているが、中国消費者の日本ブランド購入頻度はどうなっているだろうか。

コロナ前(2019年12月以前)と現在で、日本ブランド商品(化粧品・日用品・サプリメントなど)の購入頻度は変わりましたか?

アンケート回答を見ると「頻度が上がった」「どちらかといえば上がった」という回答は全体の4割強いる。

その「上がった」の回答者比率を都市別でみると北京、年齢別でみると20代が多く10%を超えている。

その理由となっているのは「お気に入りブランドが増えた」ことで、越境ECなどで中国進出を図る日本ブランドが増え、消費者との接点が増えたことがあるのではないかと考えられる。

「購入頻度が上がった」「どちらかといえば購入頻度が上がった」という回答理由について教えてください。

「日本への観光が解禁された場合」の予算について聞いたが、半数以上が「上がる」傾向を示した。その用途を見てみると、依然として「買い物重視」の傾向はあるが、約4割の回答者が「買い物とそれ以外をバランスよく」という回答を示した。単純に買い物目的の訪日観光から、徐々に買物は抑えつつもそれ以外に体験も上手に楽しむ旅へと姿を変えている様にも感じられる。

日本が観光客受け入れを再開した際、日本旅行をする際の予算は上がりますか?

コロナ前(2017年~2019年まで)の訪日時と、今後の日本旅行の目的を比較した場合、「日本で買い物すること」について、あなたの気持ちに近いものをお選びください。

相変わらず高い日本でのショッピングニーズ、その理由についての設問を行った。

日本で買い物をしたい理由として、あなたの気持ちに近いものをお選びください。

最も多い理由は「偽物がない・品質が安心」で、日本商品、買い物環境への安心感であった。

それに次いで多かったのは「接客サービス」であり、単純に購入することだけではなく日本での購入体験に価値を見出す傾向が見て取れる。

また「限定商品、中国未発売商品」といった日本でしか購入できない商品の購入も、その意欲を高めているものと考えられる。

「コストパフォーマンス」については、「安い」というよりも、「価格価値よりも高い品質が手に入る」という日本商品の付加価値を感じ取っている傾向があるといえるだろう。

 

ショッピングで気になるのが「どこで購入するか」である。

アンケートでは「コロナ以前に日本で何を楽しんだのか」と「解禁後、日本で何を楽しみたいのか」について聞いているが、その結果のなかからショッピングに関わる部分だけを抜き出した。

日本が観光客受け入れを再開した際、訪日してやってみたいことは?

これ見ると、コロナ以前は「ドラッグストア・ディスカウントストア」が最も多く、「百貨店」、「その他(アウトレットモールなど)」という順序になっていた。

「楽しみたい」という願望でも順位は変わらないが、上位2つの回答比率は下降し、「その他」の部分が上昇している。

すでにドラッグストアや百貨店、ショッピングモールなどは訪日観光においては必ず立ち寄る場所となっており、その情報もSNS上にあふれている。

本調査の対象のようなリピーターにとっては、これらのショッピングスポットは既に当たり前になっており、それよりも「それ以外の新しいショッピングスポット」を求めている様にも考えられる。

調査では美容院などの体験ニーズが増えている傾向がみられているが、それと合わせてみると「これまでとは異なる、体験型の売場」の創造が必要なのかもしれない。

今回Global Compassでは、中国消費者に関する最新動向をレポートにまとめました。

変わり続ける中国のマーケティング環境のなかで、日本企業が確たる足場を築き上げるためには、その状況を正しく把握し、より確かな施策を展開していくことが肝要となります。

ぜひ当レポートを今後の施策策定のための材料としてお役立てください。

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