中国のオシャレ度はまさに日進月歩である。
もちろんスキンケアやメイクアップなどのコスメももちろんながら、ヘアスタイルにも非常に強いこだわりを見せつつある。
今回はこうしたヘアスタイルに関してのクチコミを見ながら、どのようにヘアスタイルを選んでいるのかを調べてみよう。
目次
オシャレの多様化の中でヘアスタイルにこだわりも
中国の女性も男性もオシャレになっている。
特に北京や上海の大都市では、男女の別なくオシャレ度が上がっている。というよりは、オシャレがこなれてきているというべきだろうか。
それと同時に95後世代とも呼ばれる「Z世代」の台頭が、中国のオシャレをより多様に、豊かにしている様にも感じられる。
自分の個性をより強く表現しようとしているZ世代たちは、メイクアップやアパレルファッションというものと同様に自身の髪も、自身のステイタスを示すものとして思い思いに楽しんでいる。
2020年に中国トレンドExpressでは「セルフヘアカラー」を特集した。
その際にも中国のSNS上で数多くのセルフヘアカラー剤や染め方に関するクチコミが数多くみられ、その色もブラウンからレッド、パープル、ブルー系、アッシュなどと極めて多様なカラーリングを見せていた。
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そうした中でより個性を表現するのが髪型である。
メイクの世界ではすでに目元を強調したメイク(日本では「チャイボーグメイク」などと言われた)ものから、きめ細かなファンデーションをベースとしたナチュラルメイクなど、個性化が進んできている。
そうなると、そのメイクに合わせた髪型というのも、より注目され、かつ多様化していくと考えられる。
ヘアスタイル情報は「動画」?クチコミから見るヘアスタイル市場
こうした中国のヘアスタイルニーズに対し、今回トレンドExpressではウェイボー上で中国語のヘアスタイルを意味する「髪型」というキーワードのクチコミを収集、分析を行った。
その結果、直近の12か月間(2021年4月から2022年3月まで)、月平均で13万5000件ものクチコミがなされている。
趨勢としては2021年に比べて若干の落ち着きは見られているものの、現在の中国消費者にとってヘアスタイルは関心の高い話題となっているという事ができるだろう。
【グラフ】Weibo「ヘアスタイル」クチコミの月次推移
出所:Trend Express China調べ
興味深いのは、そのクチコミの頻出キーワードである。
クチコミの中身を見てみると、「ヘアスタイリスト」や「スタイリング」といったキーワードよりも、「動画」というキーワードが上位、しかも2番目に多いワードとなっていることが見て取れる。
今回の調査では同時に「髪型×参考」というクチコミも分析を行ったが、こちらでも「動画」というワードが上位に上がっている。
【表】「ヘアスタイル」、「ヘアスタイル×参考」クチコミワード
出所:Trend Express China調べ
現代の中国消費者にとっては、髪型はヘアスタイリストなどに尋ねるよりも、まず先に関連動画を調べて、それを参考にするという姿が浮かびあがってくる。
実際に中国の女性から絶大な人気を得ている情報共有SNS「小紅書(RED)」においても、髪型参考用の動画が数多く上げられている。
さらには抖音(Tik Tok中国国内版)でも、同様に髪型の作り方動画が数多く上げられている。
こうした動画は個人(多くは女性)が自分の髪型の作り方を紹介するものと、ヘアサロンもしくはヘアスタイリストが店舗や個人のPRのために事例を紹介するものが混在している。
中国在住の大学生に話を聞いたところ、動画の良いところは、自身に似合う髪型を選ぶだけではなく、その作り方(過程)を詳しくみることができることにあり、正面しか見られない写真よりも、より実用的と言う。
さらにはメイクなどでもみられる「同款」、すなわち話題のアイドルなどと同じ髪型というのも注目されているようで、そうした髪型の作り方を動画を見て学んでいると考えられる。
同時に「かっこいい」、「かわいい」、そして「おしゃれ」といったイメージや、「メイク」、「コーデ」といったファッションコーディネートと合わせて髪型を楽しむというキーワードも上位に上がっており、メイクやアパレルファッションと同様に髪型を気にしている様子が見て取れる。
ヘアスタイルに見える韓国ブーム
こうした髪型づくりのための便利アイテムがドライヤーである。
特に「カールドライヤー(巻髪棒)」は2020年の新型コロナ移動自粛期など、気分転換用に人気となった。
今回はこの「カールドライヤー」のクチコミも収集してみた。
その結果を見てみると月平均で9000件を超える投稿が見られ、一定のニーズを保っていることがうかがい知れる。
【グラフ】Weibo「カールドライヤー」クチコミの月次推移
出所:Trend Express China調べ
カールドライヤーに関するクチコミから見ると、単純に巻くだけではなく、ストレートヘアを作る「ストレートドライヤー」など、複数の機能が備わる「兼用」型が好まれるようだ。
また「マイナスイオン」というキーワードもあるように、ドライヤーを使うことで髪型を決めるだけではなく、髪の艶などの効果も求めていることが見える。
興味深いのは下位ながら「韓国」というワードが見えることである。
実は「髪型」のクチコミにおいても、人気K-POPアイドル「blackpink」のメンバーにしてモデルとしても活躍する「LISA」の名前もランキングに上がっており、この分野では韓流ファッションの流れは強いようだ。
実際に前出の小紅書で「髪型」を検索すると「韓系」というセグメントが表示される。
このように人気SNSでセグメント化されるようになると、関連投稿も集まり、より大きなムーブメントへとつながるケースも存在する。
その面では韓流は中国のヘアスタイル市場においても一角を占めそうである。
とはいえ、日本にもヘアスタイル用の商材は数多くある。
中国展開を考えるのであれば、SNS上での動画、そして中国で受け入れられるファッションリーダーを活用する、という部分がポイントとなりそうである。