最近、街を歩いていると、外国人観光客の姿をよく見かけるようになりました。彼らが日本で何を楽しみ、どんなものを買って帰るのか——その行動の裏には、SNSやクチコミが大きく関わっています。
今回は、中国・韓国・台湾・香港・タイからの訪日旅行者の「買い物旅」に焦点を当て、その行動の流れを読み解いてみましょう。
目次
旅の始まりはSNSから:情報収集のスタイル
訪日旅行者の多くは、旅の計画段階からSNSを活用しています。
- 中国:RED(小紅書)やDouyin(抖音)で「日本で買うべきもの」を検索。Ctripで旅程を組み、ブランド品の情報もチェック。
- 韓国:NAVERやInstagramで旅の目的地や買い物リストを作成。
- 台湾・香港・タイ:YouTubeやFacebookでクチコミ動画を視聴。Google検索も活用。
SNSや動画コンテンツは、旅先での「買い物体験」を想像させ、購買意欲を高める重要なきっかけになっています。
旅の途中での行動:移動・宿泊・買い物のスタイル
旅行中の行動にも、国ごとの特徴が見られます。
- 移動手段:中国や香港はタクシーやレンタカーを好み、韓国・台湾・タイは公共交通機関を活用。
- 宿泊施設:Prestige層は4つ星以上のホテルを選び、Premium層はコスト重視で3つ星以下のホテルを利用。
- 買い物場所:ドラッグストア、百貨店、空港免税店が人気。中でもドン・キホーテやマツモトキヨシは定番スポット。
買い物リストと衝動買い:何を、なぜ買う?
訪日旅行者の多くは、旅の前に「買うものリスト」を作成しています。SNSやクチコミを参考に、人気商品や話題のアイテムを事前にチェックしているのです。
事前に計画された購入品
代表的な購入品には以下のようなものがあります:
- 化粧品・スキンケア:Senka、CPB(クレ・ド・ポー ボーテ)、KATEなど、日本ブランドの品質と信頼性が評価されています。
- 健康食品・サプリメント:DHC、FANCL、明治の栄養補助食品などが人気。
- スナック・お菓子類:東京ばな奈、白い恋人、ロイズ、じゃがりこなど、パッケージの可愛さも購買動機に。
- 日用品・雑貨:無印良品、ダイソー、ロフトなどでのまとめ買い。
- ブランド品・ファッション:AN、Elなどのアパレルやバッグ類。
特に「多くの人に配るためのお土産」として、スナック菓子やフェイスマスクなどの小分け商品が好まれています。
衝動買いの実態ときっかけ
一方で、訪日中に「予定になかったものを衝動買いした」と答える旅行者も多数。衝動買いの対象として挙げられたのは:
- 店頭で見かけた限定商品
- POPやディスプレイに惹かれた商品
- 他の観光客が買っていたもの
- SNSで話題になっていたアイテム
衝動買いの前には、SNS(Instagram、RED、小紅書)やWebサイト、アプリなどで情報を確認するケースが多く、「その場で検索して買う」スタイルが定着しています。
決定打となったのは、「口コミの良さ」「限定感」「価格の手頃さ」「パッケージの魅力」など。特に、「日本でしか買えない」という希少性が購買意欲を高めています。
このように、訪日旅行者の買い物行動は、事前の計画と現地での発見が絶妙に組み合わさったもの。企業側としては、SNSでの情報発信や店頭での体験設計が、衝動買いを促す重要なポイントとなります。
旅のあとも続く関係:SNSでの共有とブランドフォロー
旅が終わった後も、SNSでの体験共有が続きます。
- InstagramやFacebookで購入品や旅の思い出を投稿
- ブランドの公式アカウントをフォロー
- 次回訪日時の「リピート購入」を計画
このように、旅の体験がブランドとの継続的な関係につながっているのです。
まとめ:インバウンド消費は“旅の体験”そのもの
訪日旅行者にとって「買い物」は、単なる消費行動ではなく、旅の一部であり、思い出のひとつです。
企業ができることは、旅の中に自然に溶け込むこと。SNSでの情報発信、店頭での体験設計、そして旅の後のフォローアップ——これらが、インバウンド消費の未来を形づくる鍵となるでしょう。