中国Z世代を虜にする新型セレクトショップ「The COLORIST」 クチコミから見える人気ポイントは?

世界でも重要な市場となった中国のコスメ業界。その主戦場はT-MallやJD.comなどがひしめくオンラインと目されているが、2019年ごろから必ずしもそうとは言えない状況が生まれている。

それは「セレクトショップ」の急拡大。

しかもそれは「SEPHORA」といったこれまでの店舗ではなく、急拡大した新しいブランドが業界を席巻している。

今回は現在、Z世代を中心に人気を集める中国コスメセレクトショップをクチコミ分析を合わせて見ていこう。

日本ブランドも新商品の販売ポイントに

中国でも人気の高い日本メイクアップが中国における新商品を販売するという報道がある。

ブランドは「Kissme」。

株式会社伊勢半によるメイクアップブランドで、アイライナーなどは中国の若者にも広く受け入れられており、中国国内でも手に入るが、同時に訪日時の買いたい商品にも数えられている。


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その報道によるとKissmeが中国市場参入9年にして初めて口紅を発売することになったのだが、その販売場所として選んだのが「The colorist」であった。


▼引用記事
进中国9年KISSME首推口红系列,全球首发敲定THE COLORIST调色师!


中国といえばすでにEC大国として、多くの小売の戦場もオンラインと目されているが、同ブランが選んだのはオフライン、コスメセレクトショップであった。

 

この場となった「The colorist」とは、2019年ごろから急激に拡大したコスメセレクトショップである。

その店舗数はすでに全国で200店舗を展開するまでになっている。

 

特に2020年はコロナ禍による外出制限で多くのオフライン店舗は苦境に立たされている。セレクトショップでいえば、中国でも人気の「SEPHORA」も業績悪化に伴い一部店舗のクローズを発表している。

セレクトショップ「The colorist」とは?

The coloristの運営元は通称「KK集団」、正式名称は「広東快客電子商務有限公司」。The colorist以前にも「KK館」や「KKv」といった、日本のLOFTにも似たセレクトショップを運営していた。

 

同社は社名からわかるように「ネットビジネス」を得意としており、オンライン×オフラインのニューリテールモデルの企業として知られている。

特に多くのデータを分析し、店頭商品やマーケティング施策を決定していくデータドリブン型運営に長けた企業として、小売業界で徐々に成長をしていたのである。

 

その同社の爆発的ヒット店舗となったのが「The colorist」である。

The coloristは国産ブランド以外にも2019年11月には「30もの世界著名ブランドとの戦略提携締結」との報道がなされており(出所:THE COLORIST调色师与全球30余家知名彩妆品牌达成战略合作)、6000を超えるSKUをそろえる店舗となっている。

特徴的なのはその店舗デザイン。

その名が示す通り「カラフル」デザインの店舗。なかでも色とりどりのメイク用スポンジが天井まで積み上げられた場所は、SNS映えがするスポットとして、それを背景にした自撮り写真が小紅書などに多数投稿されている。

また、コスメ商品「全商品のテストが可能」という点も人気ポイントの一つだ。

 

Perfect Diaryをはじめとした近年の中国メイクは、カラーバリエーションが豊富で、そのこと自体がZ世代女子の興味を引くのだが、同時に「どの色が似合うのか?」といった悩みも生じる。

その悩みも、The coloristでは多ブランド、数多くのバリエーションを1か所で試すことができることで解決している。

 

また「KOLは使い心地がいいというけれど、実際は?」と感じる中国消費者特有の意識に対して、それを実体験する場所を提供する場ともなっている様である。

 

もちろん価格帯も2020年7月までの客単価が「106~200元」と、ドラッグストアに比べれば若干高いものの、メイク商品に限定してみれば平均もしくはそれ以下と考えることができ、競争力を有していると見ることができる。

 

こうしたコンセプトで同店は現在、1線都市~2、3線都市へと拡大を見せている。

クチコミで見るThe colorist

では、こうした戦略、消費者の目にはどのように映ったのだろうか?

中国トレンドExpress編集部ではWeiboの簡易クチコミ調査を行った。その結果は以下の通り。

【表】The coloristのWeibo頻出キーワード上位30

これを見ると、4位に「打卡」というキーワードが登場する。

すでに理解されている読者も多いが、「人気スポットに行って写真を撮る」という意味のネット用語である。

すなわち、中国の消費者にとってはこの店に行く、そして店内で写真を撮るという事がトレンドとなっていることがわかる。

 

また9位以降には「アイシャドウ」や「リップ(口紅)」、「ネイル」、「チーク」などの人気商品群が並んでいる(5位から8位は店舗とは関係なく、職業としてのcoloristに関連するクチコミ)。

 

また「ブランド」(11位)というキーワードがあるのは、やはり店内のブランド数の多さが受け入れられていると見ることができるだろう。

 

15位には「平価」と、同店舗商品のリーズナブルな点を評価する声があるほか、19位に「首家」、すなわち「その都市における1店舗目」というキーワードが出現している。

Weiboや小紅書のクチコミでも話題性がある店舗だけに、「ついに私の街にもやってきた!」といった書き込みが見られ、それとともに上記の「打卡」が使われ、店内写真とともに投稿されている。

 

こうしたクチコミ、投稿状況を見てみると、同店の人気はしばらく継続しそうである。

しかし、同店にもライバルがいないわけではない。

2020年1月にはほぼ同様のコンセプトを持つコスメセレクトショップがお目見えしている。

次回はそのライバル店と、コロナ後のコスメセレクトショップの戦略をクチコミから見ていこう。

今回Global Compassでは、中国消費者に関する最新動向をレポートにまとめました。

変わり続ける中国のマーケティング環境のなかで、日本企業が確たる足場を築き上げるためには、その状況を正しく把握し、より確かな施策を展開していくことが肝要となります。

ぜひ当レポートを今後の施策策定のための材料としてお役立てください。

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