2020年ダブルイレブン総まとめ クチコミから見るAfterコロナの最大商戦

多事多難だった2020年も残りあとわずか。最大商戦であるダブルイレブンが終了し、気たるべき2021年に向けての準備も大詰めになっている時期である。

新しい年とはいいながらも、新型コロナウイルスの影響、不安の残るオリンピック開催など、先が見えない部分も多い。

そうしたなか必要なのが、データをベースに戦略を考えること。一例として2020年ダブルイレブンをクチコミ調査から見ていこう。

2020ダブルイレブン、SNS上の反応は?

2020年のダブルイレブンが昨年までともっとも異なるのは2部構成となっていることであった。

2020年はスタートこそ同じであるが、11月1日~3日の3日間でいったん前半予約期が終了し、支払い。11月4日から後半予約期、そして11日に2度目の支払となったのである。

 

その2部制、QuestMobileが2000人を対象に行った調査では、前後半両方で買い物をしたという消費者は65%に達し、「前半のみ」、「後半のみ」という回答を大きく上回った。前後半分けたことで、双方で異なる商品を購入し、全体の消費を押し上げたことがわかる。

 

そんなダブルイレブンだが、SNS上の盛り上がりはどうだったのだろうか。

中国トレンドExpressでは2019年10月20日~11月19日と2020年10月20日~11月19日の2期間で、ダブルイレブンに関するクチコミ調査を行った。

 

まずは純粋にダブルイレブンに関するクチコミ調査の結果を見てみよう。

【グラフ】2019年と2020年W11関連クチコミ件数

出所:Trend ExpressとTrend Express China調べ

するとWeiboでは2020年は503万件あまりのクチコミが収集でき、約433万件程度、2019年を16%ほど上回る結果となった。

同様に小紅書(RED)でも2019年委116万ノートにたいして142万ノートと増加しており、SNS上でも2020年は前年以上の盛り上がりを見せていたことがわかる。

その年齢層を見てみると20代が昨年比で50%近い伸びを示したのに対して、40代は約10%の減少となった。

 

この背景にあるのは、今年は「Z世代」。すなわち95年以降に生まれた消費者が大きくクローズアップされ、新たな消費層としてマーケティングトレンドとなっていたこと。

その流れで、ダブルイレブンにおいても、ECプラットホーム、参加ブランドともに、こうした若者世代に向けたプロモーションを強化したと考えられる。

特にジェネラルな情報はWeiboで発信されることが多いため、同SNSでのZ世代による言及数が増えたと思われる。

【グラフ】2020年W11クチコミ年齢別構成比

出所:Trend ExpressとTrend Express China調べ

来年以降も、こうした20代層の巻き込みが焦点になると考えられる。

クチコミから見るダブルイレブン人気ブランド

では、どのようなブランドが人気だったのか、Weibo上で「W11×買った」というキーワードとともに見られたブランドを件数順にランキング化した。

【グラフ】微博W11×買ったブランドクチコミ件数ランキング

出所:Trend ExpressとTrend Express China調べ

これを見るとトップ2ブランドは変わらずだが、2019年とは異なりメイクアップブランド「Perfect Diary(完美日記)」そしてスキンケア部門1位のEstee Lauderが上位に食い込みを見せている。

28位に姿を見せた「元気森林」は無糖・ゼロカロリー飲料として登場し、Z世代を中心に瞬く間に拡大した、いわば「飲料界のPerfect Diary」ともいえる存在。

今年のダブルイレブンでもその存在感を見せている。

 

日本ブランドでは上位10ブランドにおいてはファストファッションのUNIQLO、そしてコスメブランドの化粧品のみであった。

また上位15ブランドの件数を2019年と比較してみると以下のようになる。

【グラフ】上位15ブランド2019年と2020年「W11×」買ったクチコミ比較

出所:Trend ExpressとTrend Express China調べ

やはりEstee Lauder、The history of Whoo/后のほか、スマホメーカーのVIVOなどの順位を上げたブランドは件数が大きく伸びている。

 

国別に見るとやはり2019年に比べ全体数は増える中で中国勢の伸長が欧米のそれを超え、同時に韓国ブランドが割り込んだ形になった。

【グラフ】2020年微博W11×買ったブランドクチコミ件数上位30国別比率

出所:Trend ExpressとTrend Express China調べ

中国ブランドが台頭し、韓国のコスメブランドが存在感を見せる中、日本ブランドがいかにして市場でのインパクトを残せるか、今後の課題といえるだろう。

2020年ダブルイレブンTopics

2020年のダブルイレブンでは、こうした販売合戦のほか、新たな「流行語」が生まれていた。最後にそんな流行語を2つ見てみよう。

尾款人

「尾款」とは「残金」のこと。つまりは「残金の払い込みをした人」というような意味合いである。

同時に「残金を支払ってしまって貯金がなくなった人」といった意味が含まれ、以前からあった「吃土(土を食べる。転じてW11で買い物をしすぎて食べるものを買うお金がなくなったの意)」などと合わせて使う。

 

この言葉は中国の文学雑誌『青年文摘』によって「2020年10大ネット用語」にも選ばれている。

 

これは今年のダブルイレブンが前後半2部体制となったことで、2回の支払いが生じる。1回で終わった時よりもより多くの買物をしてしまい、11月1日~3日と11月11日、2回の支払いで散財する消費者が多かったという背景があるだろう。

消費にとってはうれしくもあり、苦しくもあり、といった言葉であるともいえる。

 

退款

「退款」とは「商品のキャンセル」や「返品」による返金のこと。

今年のダブルイレブン直後には、この「退款」が微博などの検索ホットワードに上がった。

 

実際、今年のダブルイレブンでは返品やキャンセルが非常に多かったらしく、中国国内のメディアでもその様子を報じている。

 

その背景にあったのは天猫の複雑な割引キャンペーン。

一定金額を購入すると、決められた金額が総額から割り引かれるため、多くの消費者がその金額合わせのために商品を購入するが、あとから「やっぱりいらない」とキャンセルするケースも多いのだという。

 

またプラットホーム側が後半になって新しいキャンペーンを追加するため、「そちらで購入する方が得」と感じた消費者が、新キャンペーンで再購入。キャンセルが可能になる12日になってから先に買ったものを一気にキャンセルしたケースもあったようだ。

今回Global Compassでは、中国消費者に関する最新動向をレポートにまとめました。

変わり続ける中国のマーケティング環境のなかで、日本企業が確たる足場を築き上げるためには、その状況を正しく把握し、より確かな施策を展開していくことが肝要となります。

ぜひ当レポートを今後の施策策定のための材料としてお役立てください。

資料を申し込み