【市場分析】2022年中国のスキンケアは「オイル」で決まり! 新しいトレンドをSNSで見る

スキンケア意識の高い中国の消費者。そのスキンケア手法も常に変化をしている。

2022年に入っても昨年とは異なるスキンケアトレンドが中国のメディアで取りざたされている。

それは「オイル・スキンケア」。

今回は中国のSNSをチェックしながら見えてきた、2022年に新トレンドとなりそうな中国のスキンケア手法を見てみよう。

常に生まれるスキンケアトレンド。最新の注目ワードは?

毎年のように新しいトレンドが現れてくる中国のコスメ業界。

スキンケアに関しても、2019年ごろから「成分党」と呼ばれる消費層が成長、ヒアルロン酸やアミノ酸、ニコチンアミドなどの成分が一躍脚光を浴びた。

簡単に言えば、以前は「商品ブランド」に頼っていた中国の消費者も、より細かく、そして科学的なスキンケア効果を求めつつある。

すなわち「スキンケアのこだわり化」である。

 

そんなスキンケアで2022年に注目しておきたいのが「以油養膚」というキーワードである。

この「油」とは、中国語では「精油」とよばれるが、ようは「エッセンシャルオイル」のこと。

「以油養膚」とは中国で乾燥肌に悩む女性が多い中国にあって、エッセンシャルオイルを利用して皮膚の上にオイルの幕を作ることで、適度な保湿効果を得ようという、「オイル・スキンケア」なのである。

 

「小紅書(RED)」でも「以油養膚」で検索をかけると、トータルで3万件を超えるノート(投稿)が確認できた。

こうした投稿を見ていると、一口に「以油養膚」とはいうものの、その具体的な内容(手法)も実に奥が深いことに気づかされる。

ある投稿では、温めたタオルで顔の表面を蒸してからエッセンシャルオイルを塗り、マッサージする手法。

また別の投稿では、化粧水を浸したフェイスマスクを顔に貼り、その上からエッセンシャルオイルを加える方法など様々である。

 

ただいずれにせよ、エッセンシャルオイルを活用して、皮膚の状態を保つもしくは改善するために、中国の消費者があの手この手を尽くしていることをうかがい知ることができる。

スキンケアの新トレンドをクチコミチェック

このキーワードに関して、ウェイボーの簡易クチコミ分析を行ってみると、2021年9月ごろまでは多くても500件程度しかなかった投稿は、10月に入り一気に増加、1,000件を超え、12月には2,000件に迫っている。

【グラフ】「以油養膚」月次クチコミ件数の推移

出所:Trend Express China調べ

そのまま2022年に入っても1,000件の状況が推移している。

中国では10月~11月は最大商戦であるダブルイレブン(独身の日)シーズンに当たることから、商戦内において多くのブランドがこのキーワードで訴求していたと考えられるが、つまりはそれが消費者に受け入れられるキーワードであり、その熱が現在も続いていると考えられる。

 

またキーワードのポジティブとネガティブの比率を比べると、ポジティブ比率が25%を超えており、このスキンケア手法が効果的であると認める消費者が多いと推察できる。

【グラフ】「以油養膚」月次クチコミのポジティブ・ネガティブ比率

出所:Trend Express China調べ

クチコミキーワードを、より細かく見てみよう。

【表】「以油養膚」クチコミ頻出ワード

出所:Trend Express China調べ

「保湿」や「補水」に加え、「肌の引き締め」やさらに「アンチエイジング」という人気の効果、また「敏感肌」、「オイリー」など多くの女性を悩ませる肌質に関する言及がある。

ここから「以油養膚」には様々な効果を期待されていることが分かる。

そしてそれをもたらすものが使用するオイルの質。

キーワードにも「スクアラン」や「サザンカ」といった、異なるエッセンシャルオイルの原料が言及されている。

実際に小紅書(RED)の投稿を見てみても「毛穴の開きが気になるなら薔薇のオイルを…」というように、異なる肌質(肌の悩み)には異なるオイルと、自身にあったオイルを選ぶように訴える投稿、さらにはその選び方レクチャー投稿などが数多くみられる。

 

手法のみならず、使用するオイル選びにも「こだわり」が見えるのである。

クチコミキーワードで上がったローカルブラントとは?

気になるのはクチコミワードに出ている具体的なブランド名である。

今回の調査では「阿芙AFU」と「林清軒」の2ブランドの名前が挙がっていた。

 

林清軒はすでに中国スキンケア業界での知名度は高い。

特に2020年の第1四半期において、実体店展開をしていた同ブランドは新型コロナウイルスによる外出制限の影響を受け、経営状況が悪化。

その財政難からKOLが雇えず、「3.8婦女節」の商戦時には社長自らライブコマースを行った事で話題になったブランドである。

どうしてもその社長の話題に目が向いてしまうが、同ブランドは中国伝統医学の理念に基づき、サザンカのエッセンシャルオイルによる肌の修復機能で高い信頼を得ている。

実際に経営が持ち直してからは李佳琦や薇婭などもそのライブコマースなどで同ブランド商品を紹介しており、知名度また商品の信頼度などの面がより高まっていると考えられる。

サザンカオイルに特化している林清軒に対して、「阿芙AFU」は2003年に設立したブランドであり、多種多様なエッセンシャルオイルを専門にしている。

特にその原料ごとに海外の優秀農家と提携し、良質な原材料からハイレベルなエッセンシャルオイルを世に送り出している。

同ブランドは常に「厳格な品質管理」をキャッチコピーとしてマーケティング活動を展開している。

それに対し多くの商品を科学的な成分分析にかけ、その結果を公表している「評価型KOL」である「老爸測評」が、小紅書の自身のアカウント上で同ブランドの分析を行う動画を公開している。

結果は、同ブランド製品に含まれる成分などがすべて国の安全基準を満たしていることを証明した。

こうした点も、同ブランドへの信頼性を高める結果となっているといえるだろう。

クチコミ以外では、T-Mallで「精油(エッセンシャルオイル)」の商品検索をかけてみると、LOREALなども見ることができ、中国系ブランドに加えて欧米系の大手化粧品ブランドが加わっているのが市場構成のようだ。

ただ上述の2ブランドが上がっているのは、価格面においては欧米ほど効果ではないといった要因も考えうるが、両ブランドともエッセンシャルオイルに特化した商品を展開しており、かつその成分などが信頼できるという専門性、権威性を有している。

すなわち非常に「尖った」商品であるという事ができる。

 

これまで日本ブランドの多くはスキンケアでも化粧水、乳液、そしてクリームなどに力を注いできた。

そうしたスキンケアで信頼を勝ち得てきた日本ブランドにとって、この2022年の「オイル・スキンケア」の流行に注目し、どのような手を打っていくか、ぜひじっくりと見て行きたいところである。

今回Global Compassでは、中国消費者に関する最新動向をレポートにまとめました。

変わり続ける中国のマーケティング環境のなかで、日本企業が確たる足場を築き上げるためには、その状況を正しく把握し、より確かな施策を展開していくことが肝要となります。

ぜひ当レポートを今後の施策策定のための材料としてお役立てください。

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