既に8月、日本でもまさに夏休み真っ盛りである。
ただ、夏休みに入っているのは日本だけではない。
中国メインランドは学年が9月はじまりで7月終了。6月上旬に大学入学試験が終われば、7月には本格的な夏休みとなる。
例年、7月8月に訪日数のピークを記録するのはこのためだ。
インバウンド本格回復の今年もそうなってほしいと思うのだが、その7月を前に不穏なうわさが飛び交った。
今回はその噂の影響と2025年に注目になりそうな日本のスポットに対する反応を交えつつ夏休みの訪日観光を小紅書(RED NOTE)の反応から考えてみよう。
目次
1年で訪日数が最も多い中国夏休みシーズンの7月、8月
まず、中国メインランドからの訪日人数の推移を見てみよう。
【グラフ】中国メインランドからの訪日観光客数の推移
出所::JNTOの発表をもとに株式会社NOVARCAで作成
見てわかる通り2019年と2024年、つまりコロナ前とコロナ後ともに7月と8月がピークになっているのがわかる。
中国には日本の様なお盆はないが、すべての人が学生時代に夏休みを経験していることから、「夏場=観光シーズン」という認識が高い。
また1週間限定の春節や国慶節とは異なり、2か月間、多くの人が「出入りする」ことで、月間で見ると最も多くなる。
また、この時期は「子どもの夏休み」という理由による観光が多く、観光庁のデータでも「子連れ」比率が高いのが特徴である。
小紅書の「夏休み×日本旅行」の状況を見ると、2024年以上の投稿がなされていることが分かり、同時に「親子(旅行)」というワードが上がってくることからもそれが見える。
【グラフ】小紅書「夏休み×日本旅行」月次投稿件数
出所:株式会社NOVARCA調べ
【表】2024年7月と2025年7月の小紅書「夏休み×日本旅行」キーワード
出所:株式会社NOVARCA調べ
2025年も家族連れでにぎわう可能性が高そうだ。
インバウンド最大シーズン「夏休み」前に、どうなった?「7月5日」の噂
さて、2025年夏休みインバウンドで漂った暗雲。それが「7月5日日本大震災」の噂だ。
多く報道されているが、その内容をもう1度確認しておこう。
噂の出元は漫画家・たつき諒氏の作品『私が見た未来』。
ネット界隈では「東日本大震災の発生日を予言していた」という、予言の書として話題となった。
その書籍の中で「2025年7月に日本を大災害が襲う」という内容があった。
それが日本のみならずインターネットを通じて東アジア圏内に拡散。
香港エリアの団体旅行がキャンセルされるなどの現象が起き、日本の気象庁も「科学的根拠のない情報に惑わされないでほしい」などの発信を行うほどの騒ぎとなった。
その後、「災害が発生するのは7月5日午前4時」との情報が流れ、特に信心深いエリアである香港地区などの消費者は日本渡航を控える動きが広がった。
JNTOが発表している訪日観光客数を見てみても、2025年6月は香港エリアからの観光客数は減少している。
【グラフ】主要10か国・地域の月次訪日客数の推移
出所:JNTOの発表をもとに株式会社NOVARCAで作成
中国メインランドでももちろん、同件は話題になっている。
小紅書の動きを見ると7月に近づくごとに関連投稿が増えているのがわかる。
【グラフ】「日本×予言」関連投稿の月次推移
出所:株式会社NOVARCA調べ
ただ見ると直前と、7月5日当日に大きく伸びているほかは、それ以外は大きくはない。
【グラフ】「日本×予言」関連投稿の日次推移
出所:株式会社NOVARCA調べ
実際に投稿を見てみると一部のアカウントが「日本壊滅」などのセンセーショナルなタイトルの投稿をしているが、
訪日観光」に関する投稿は、2025年5月に13万件を超えおり、そのうち「予言」「地震」「津波」などのワードを含む投稿はわずか200件程度。全体の1%にも満たない数字であった。
7月当月は訪日関連投稿全体は約14万2000件、予言系の投稿が1万5000件と、11%程度と上がっているが、大きな影響をもたらすほどではない。
中国本土では「科学的根拠のない話は信じない」という教育が浸透していたこともある、SNS上でも「これはデマだ」と断じる投稿が多く見られた。
また7月5日当日に訪日し、「何事もなかった」という投稿もあった。
全体としては冷静な判断が主流だったと見えるが、月末のカムチャツカ半島の地震と津波警報もあるため、7月の訪日者数を待ちたい。
注目の「ジャングリア」、この夏休み、日本国内で注目のスポットへの反応は?
予言の影響が決して大きくなかったということだが、2025年夏には日本にはイベントも多い。
前出のキーワードでは「沖縄」の文字が上がっているが、2025年の沖縄といえば「ジャングリア」のオープンである。
国内でも注目のテーマパークであるが、小紅書上はどうだろう?
【グラフ】小紅書「ジャングリア」関連投稿の推移
出所:株式会社NOVARCA調べ
これを見ると、やはり7月に入り投稿数が大きく伸びていることがわかる。
その多くが日本の情報発信をする日本情報を発信するKOLやKOC、または「ランドオペレーター」と呼ばれる旅行会社で一般ユーザーによる投稿はまだ少ない。
また「沖縄」キーワードで検索すると、ジャングリア関連キーワードははるか数件「恐竜」というものが見られるだけで、「美ら海水族館」や「宮古島」などへの関心の方がまだ高いのが実情だ。
【グラフ】小紅書「沖縄」関連投稿の推移
出所:株式会社NOVARCA調べ
果たしてこの施設が大阪のUSJの様な人気を博すことができるのか。
前出のように夏休みの訪日観光では「沖縄」が人気スポットであるために、この時期に体験者がポジティブな投稿を上げてくれるかカギになるだろう。
その推移は常にモニタリングしておきたい。
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