次世代E-Commerce『TikTokShop』で売れる方程式 〜成功事例とその裏側を大公開〜 セミナーレポート

TikTok Shop Japan × NOVARCA共催セミナー|プラットフォーム・TSP・クリエイターの3視点から読み解く、日本市場の最前線

2025年11月19日、東京都千代田区のグロービス経営大学院 東京校にて、NOVARCA主催セミナー「次世代E-Commerce『TikTokShop』で売れる方程式 〜成功事例とその裏側を大公開〜」を開催しました。この記事では、セミナーの内容をほぼ全編ご紹介します。TikTokショップの日本市場における現状と可能性について、プラットフォーム・運用パートナー・クリエイターの3つの視点からお届けします。

目次

TikTokが作る新しい買い物体験

TikTokの現在地――もはや「若者の踊るアプリ」ではない

まず最初にTikTokについておさらいしたいと思います。皆さんはTikTokと聞いたときに、どのようなイメージを持っていらっしゃいますか。少し前だったら「若い人が使っているアプリ」「踊っている人が多い」という印象があったかもしれませんが、実際にはもっと幅広い年代の方に使っていただいていますし、商品を探す場所としても非常に多く利用されているのが実態です。

TikTokは現在150カ国以上・75言語で展開しており、世界的にも非常に強い影響力を持っています。SNSだけではなく、世界規模の情報インフラになりつつあります。

TikTok Japanの月間アクティブユーザー数は、2023年時点で3,900万人以上の方にご利用いただいています。日本の人口のほぼ半分を占めるような状況です。

もうひとつ重要なのは、TikTokが単に情報をキャッチする場所というだけでなく、検索エンジンとしての役割も果たしているということです。75.2%の人がTikTokの動画を見た後に商品を検索した経験があり、36.9%のユーザーが動画視聴後に実際に美容商品を購入しています。つまり、TikTokが購買の起点になっているのです。

日本経済へのインパクトも大きく、国内の名目GDP貢献額は4,850億円、消費額は2,375億円に達しています。雇用への影響は4.2万人、クリエイターの総数は226万人と、経済的にも社会的にも大きな影響を与えています。

TikTokショップのグローバル展開と日本上陸

TikTokショップは2021年にインドネシアとイギリスでスタートし、2022年に東南アジアとアメリカへ展開。2024年にはスペインとアイルランド、そして2025年にはドイツ、イタリア、ブラジル、フランス、メキシコ、サウジアラビア、そして日本で本格的にスタートしました。

すでに東南アジアではECシェア2位にまで成長しており、アメリカではローンチからわずか8カ月で+139%の成長を達成。ブラックフライデー期間中のピーク時には、1日で約150億円のGMVを記録しています。グローバルで成功しているモデルがあるからこそ、日本でもこれから同様のフェーズに入ると我々は考えています。

ディスカバリーコマース――従来のECとの決定的な違い

TikTokショップの最大の特徴は、ユーザーが商品と出会ってそのまま購入につながるという点です。動画やライブを見て気になったら、アプリ内でそのまま購入できる。これを『ディスカバリーコマース』と呼んでいます。

従来のECだと、SNSで商品を見つけてからECサイトに遷移し、検索して、カートに入れて決済するという複数のステップが必要でした。しかしTikTokショップでは認知から決済まで一つのアプリで完結できるため、高いエンゲージメントとコンバージョンレートを実現しています。

具体的には、おすすめフィードで動画やライブ配信を閲覧し、気になった商品があれば『イエローカード』と呼ばれる黄色の商品リンクをクリック。商品詳細ページに遷移してそのまま購入できます。さらに消費者は購入後に使用体験をコンテンツとして投稿したり、レビューを書いたりすることで、アプリ内で口コミが拡散していく仕組みになっています。

ちなみに会場で「TikTokショップで買い物したことがある」という方はどのくらいいらっしゃいますか?――やはりまだ少ないですね。ただ、購入体験は使ってみるとめちゃくちゃスムーズです。本当に吸い込まれるように買い物をする感覚なので、まだという方はぜひ一度体験してみてください。

TikTokショップの出店方法

EC店舗の開設には、まずTikTokアカウントが必要です。そこでショート動画やライブ配信を実施いただきます。ただし、それだけでは商品リンクは入れられません。もうひとつ、TikTokショップのセラーアカウントを作成していただく必要があります。セラーアカウントはバックオフィスのようなもので、商品登録や物流情報のアップロードを行います。

この2つのアカウントを連携することで、初めてショート動画やライブ配信に商品リンクを挿入できるようになります。自社アカウントで配信するのはもちろん、クリエイターとコラボしてクリエイターのアカウント経由で商品リンクを挿入していただくことも可能です。

TikTokショップ日本の成長実態

2025年ローンチ国で最速の成長スピード

日本をローンチしてからまだ数カ月しか経っていませんが、2025年にローンチした国の中で最も成長スピードが速いのが日本です。具体的な数字は非公開ですが、ローンチ当初から2,000%以上の成長をしています。

初月は、我々もめちゃくちゃ頑張ったんですが数十万円しか売れませんでした。どうしようと思っていたんですが、8月、9月、10月と進むうちに30〜40倍くらいの成長を実感しています。やればやるほど売上が上がっていくという手応えがあります。

カテゴリー別の売上動向

ビューティーカテゴリーはグローバルと同様にトップ2の主要カテゴリーになっています。パーソナルケアと合わせて全体の約20%以上を占めています。サブカテゴリーでは現在メイクアップが最も伸びており、次いでスキンケア、ヘアケア・スタイリングという順です。ただし、まだローンチから4カ月程度なのでSKU数が十分ではなく、今後変化が起きる可能性は大いにあります。

ファッションカテゴリーも順調に売上が伸びており、ローンチ1週目から約14倍の売上成長を達成しています。サブカテゴリーではウィメンズウェアが最も大きく、次いでアクセサリーとバッグという状況です。

日本市場の特徴――グローバルとの比較


日本のTikTokショップにはグローバルと比較して大きく2つの特徴があります。ひとつは、ライブコマースの比率が非常に高いこと。これはグローバルで見ても特筆すべき点です。もうひとつは、ショップタブ(検索)経由の売上比率が最初から高いこと。通常、各国ではフィード(おすすめ)経由の売上が先行し、検索は後から伸びてくるのですが、日本は最初から検索の数値が高い。日本のユーザーの比較検討行動が反映されているのではないかと見ています。

『日本ではライブコマースは流行らない』という下馬評がありましたが、それについてはどうでしょうか。

日本でライブコマースが流行らなかったのではなく、ライブコマースと出会える環境がなかったのだと考えています。TikTokならではの強みは、日常的にコンテンツを楽しんでいる最中に自然とライブコマースと出会えること。実際にTikTokショップをローンチしてみると、ライブでの購買は非常に伸びています。もうひとつ、日本のユーザーは以前からテレビショッピング等でコンテンツを見ながら消費する文化があり、抵抗が少なかったのではないかとも感じています。

TikTokショップ成功事例

事例1:ビューティーブランド――徹底した準備で先月比GMV11倍

スキンケアブランドで、成功の最大のポイントは準備の徹底でした。TikTokショップのセール期間に合わせて、事前に人気クリエイターとのマッチングを進め、セール期間中の限定コラボセットを企画。セール直前にはクリエイターによる紹介動画を複数本アップし、ライブ配信中にはクーポンを配布するなど、事前の仕込みと当日の展開を組み合わせました。

結果として、GMVが先月比で+11倍、ライブ配信時間も+10倍に。ヒーローSKUの構成比は69%と、売れる商品にしっかり集中できた好事例です。セール期間に売上の山を大きく作るという、TikTokショップのお手本のようなケースと言えます。

事例2:ファッションブランド――継続投資の積み上げで月商800万円

最初はオフィスの一角で小さい規模からライブを始めたファッションブランドです。毎週の配信を続けながら、ライバーの拡充と育成、ライブ台本の改善、広告と連動したライブへの送客強化、カメラの増設など、あらゆる面で改善を重ねました。

2〜3カ月の改善を続けた結果、同時接続が5,800人を突破。11月には1回の配信で800万円を達成しています。正しい方向に小さな改善を積み重ねていくことで大きく伸びるケースです。

TSP(TikTok Shop Partner)の視点――データから見る市場の実態

TSPとは何か

TSP(TikTok Shop Partner)とは、TikTokショップの運用代行・サポートを行うパートナーです。物流以外のほぼすべて――ライブコマースのサポート、ライバーとのやり取り、ショート動画での売上向上施策など、TikTokで物を売るためのあらゆるサポートを行っています。

FastMoss(サードパーティ分析ツール)から見えること

6月30日のオープン以降、データ上は7月から現在にかけてGMVが常に6倍以上に成長しています。記事等では7月〜翌6月で500億円を目指すという情報も出ていますが、2026年単年ではもっと上を狙えるのではないかという手応えがあります。

売れ筋店舗と商品のトレンド

10月の売れ筋店舗ランキングを見ると、開始当初は数千万円で珍しかったところが、今は1億円規模で売れている店舗が出てきています。ビューティーとファッションで全体の55%以上のシェアを占めています。

今一番売れている店舗は「トキバナ【公式】チャンネル」で、月間約1.3億円のGMVを記録しています。特徴的なのは、朝から晩までずっとライブを行う『量で稼ぐ』戦略。スワイプすると常にトキバナさんが出てくるような状態を作り上げています。さらに、ビューティーだけでなくファッション、食品と複数カテゴリーでスターアイテムを確立している点も注目です。

売れ筋商品のトレンドも変化しています。7月はスマホケースや充電器などのガジェット中心でしたが、8〜9月には麻辣担やバウムクーヘン等の食品が増加。10月にはリップグロスが売れたり、ふわふわブランケットが500円程度でバカ売れするなど、商品の多様化が進んでいます。11月に入ってからは食品トレンドが来ており、特にお米が好調です。

クリエイターの動向


クリエイターの売上も伸びており、上位トップ10に属する人たちは月間数千万円規模で販売しています。ただし、全体のクリエイター数はまだ数百名規模。7月からの増加率は約4倍ですが、この数が増えることが市場全体の成長を促す鍵になります。皆さん、今のうちにクリエイターとのパートナーシップを築いていただいた方がいいと思います。

中国の抖音(ドウイン)との違い

日本と中国の違いでいうと、まずショート動画の反応は日本のほうがハックしやすいという印象があります。ショート動画で当たるパターンを見つけると安定して売上が伸びていく状態を作りやすい。

もうひとつ重要なのが、自社ライブとインフルエンサー経由の比率です。インフルエンサーの売上比率が高くなると、マージンもどんどん上がります。日本では現在15〜20%程度ですが、中国では40%に達しているケースもあります。収益性を確保するためにも、自社ライブと自社ショート動画の比率を上げていく戦略は、今のうちから考えておくべきです。

クリエイター視点――マジクソファンカンパニーの挑戦

ショートドラマからTikTokショップへ

マジクソファンカンパニーは、職場の理不尽をテーマにしたショートドラマを制作するチャンネルです。フォロワーは約14.5万人、3本に2本は100万再生を超えるほどの実績があり、企業からの広告案件も多くいただいています。

このショートドラマの中で、さりげなく商品を登場させる手法を取っています。例えば、ルッキズムをテーマにしたドラマの中でさりげなく柔軟剤を見せる。すると、そこから実際に購買していただくケースが多数生まれました。

8月頃にTikTokショップへの本格参入を決断しました。『戦うすべての人へ武器を』というコンセプトのもと、ブランドの世界観を守りながらショップ運営を進めています。

ライブコマースの現実――ゼロからのスタート


正直に言うと、ショートドラマで100万再生しているからライブでもいきなり売れるだろうと思っていました。ところが最初の1週間、同時接続は5人。私とうちのスタッフ3人と、あと1人は誰だ、という状態でした。

フォロワー数でキャスティングするというのは完全にやめた方がいいです。インフルエンサー側も通常のPR案件と同じ感覚で『私は10万円です、20万円です』というスタンスでやったりしますが、ライブコマースではそれが売上に直結するとは限りません。

PDCAを回して月商100万円突破


質よりも量、そしていかに長時間やるか。これがライブの基本です。商品軸では、ライバーが商品をしっかり理解しているかどうかが極めて重要。さらに、ある日特定の商品を先に出し始めたら同時接続もエンゲージメントも急増するという体験がありまして、そこから「固定アイテム」という戦略に切り替えました。

最初はゼロ、1台も売れない日が続きましたが、PDCAを回し続けてようやく1回のライブで15万円以上売れるようになりました。月間100万円を超えるようになったのが現状です。トップコマーサーと比べたらまだまだですが、着実に積み上がっています。

ちなみに最長のライブ配信は何時間ですか?

6〜7時間くらいです。

クリエイター選定のポイント


ライバー・コマーサーを選ぶときのポイントは3つあります。まず、商品のことをしっかり勉強してくれるかどうか。ほとんどのライバーやコマーサーは、見た目やフォロワー数があれば売れると勘違いしている方が多い。2つ目は、なるべく多くのライバーを抱えること。セラーの立場からすると、売上を安定させるためにはこれが重要です。

3つ目は継続力。ライブは本当に体力も時間も使うので、すぐやめてしまう人が非常に多い。教育体制をしっかり整えておかないと、最初は良くてもいきなり落ちるということが起こります。

報酬の交渉では、固定費を渡す代わりに一定の売上を保証してもらうという形にすると、ブランド側のリスクを抑えられます。

TikTokショップ成功の方程式――4つのステップ


現段階でTikTokショップを成功させるための方程式は、4つのステップに集約されます。

ステップ1:オペレーション基盤の最適化

社内レギュレーションで壁にぶち当たる企業さんがすごく多い。薬事法の対応、ブランドガイドラインの整理、オープンコラボ(アフィリエイト)への対策など、ここを事前に潰しておくことが成功の第一歩です。

ステップ2:スターアイテムの確立

どの商品をスターアイテム化するかを戦略的に設計する。スターアイテムがあるとライブの同時接続数も上がる傾向が顕著に見られています。

ステップ3:質より量の徹底

ライブもショート動画も、質より量が非常に重要です。フォロワーが多い人を使っても全然売れなかった。トップライブコマーサーに依頼しても、数回やると数字が落ちてくる。結局、たくさんのインフルエンサーとたくさんの素材を量産して、何が売上につながるかをハックしていくことが鍵です。

ステップ4:ポートフォリオの改善(収益化)

収益性を高めるためには、インフルエンサー依存を下げ、自社ライブや自社ショート動画の比率を上げていくこと。今はインフルエンサーのマージンが15〜20%で済んでいますが、市場が成熟すると上がっていく可能性がある。今のうちに自社アカウントを育てておくことが重要です。

ショップを開設しただけで売れている企業はほとんどありません。開設した後をしっかりハックしていくことが大事です。自社でやるよりもTSPと組んだ方が角度が高いというのが、今のところのデータからの示唆です。損益分岐の目安としては、月商で約2,000万円程度を目指していく数値感になります。

Q&Aセッション

Q. TikTokショップの成長目標は? どのくらいの規模を目指しているのか

公表できる具体的な数値はありませんが、グローバルでは3〜4年で各国ECシェア2位にまで成長しています。日本でも皆様にとって重要なメジャープラットフォームを目指しています。

東南アジアの各国では2〜3年でShopee、TikTokショップがEC3位くらいまで来ています。日本でも楽天の次くらい、Yahoo!やZOZOあたりのグループを抜いてくるのが目標になるんでしょうね。

Q. TikTokショップのユーザー層は若年層が中心なのか

実はTikTokユーザーに関して、若年層中心というのは正確ではありません。35歳以上のユーザーが44%いらっしゃいます。投稿するユーザーは若年層が多いかもしれませんが、視聴者・利用者としてはECの主力消費層がすでに集まり始めています。逆に言えば、若いユーザーへのアプローチはまだまだ伸びしろがあります。

Q. 値引きは必須なのか

決してライブコマースは安売りの場所ではありません。ユーザーの立場で考えると、『今ここで購入する理由』があればいい。限定セットやチャンネル限定商品、そしてお得感の演出がコンバージョンにつながります。

安売りしないと買われないという感覚は最初はありましたが、今は全くないですね。一度買ってもらえば『よかった』というコメントがライブに入っていき、それが連鎖的に次の購買につながっています。

Q. TikTokショップで今後のプロモーション強化(テレビCM等)はあるのか

よくいただくご質問です。現時点ではまだ既存のTikTokユーザーへの浸透率を上げることが最優先です。その浸透率が一定水準に達してから、テレビCMやデジタル広告で『TikTokで物を買う』というメッセージを大々的に展開していく計画です。

これはどの国でも同じパターンで、テスト検証が終わってユーザー体験が磨かれた段階で一気に広告投資にかかるフェーズが来ます。TikTokは世界の3大プラットフォームと言われていますから、やるときはガンとやる。そのタイミングが来たら潮流の大きな変化だと思って良いと思います。

今回Global Compassでは、中国消費者に関する最新動向をレポートにまとめました。

変わり続ける中国のマーケティング環境のなかで、日本企業が確たる足場を築き上げるためには、その状況を正しく把握し、より確かな施策を展開していくことが肝要となります。

ぜひ当レポートを今後の施策策定のための材料としてお役立てください。

資料を申し込み