2026年5月11日、NOVARCAは「Alibaba天猫国際と語る 中国越境EC×日本ヘルスケア市場〜ブランド育成に向けた天猫探物の活用〜」と題したセミナーを開催しました。中国最大級のECプラットフォームを擁するAlibabaグループから天猫国際「探物」のゲストを迎え、NOVARCAヘルスケアソリューション本部長の神林珠希とともに、中国越境EC市場のリアルとブランド育成の手法を語り尽くした2時間。本記事ではその内容を再構成してお届けします。

目次
登壇者のご紹介
<モデレーター>
神林 珠希 株式会社NOVARCA 執行役員 ヘルスケアソリューション本部 本部長
日本のヘルスケア商品は世界的に見ても珍しい
神林 私たちNOVARCAは一昨年の夏ごろからヘルスケアカテゴリーのビジネスを始めました。日々ブランド様と向き合うなかで強く感じるのは、日本のヘルスケア商品は世界的に見ても極めて珍しい構造を持っているということです。
まず、SKU数が極めて多い。OTC医薬品だけでも国内で1万SKU近くあると言われています。次に、高度に細分化されている。プレミアム処方、小児用、女性用、夜用、即効型、マイルド型といった細分化は、日本では当たり前ですが海外ではまだ一般的ではありません。
そして「慢性軽症ニーズ」への対応が非常に深い。病気を治すというより、肩がつらい、目がつらい、胃腸が弱い──そうした日々の不調に応える商品群が非常に豊富です。これは高齢化先進国である日本ならではの市場進化と言えます。
一方、グローバル市場では依然として「効く/効かない」という二元論的な評価が中心で、日本商品のきめ細やかさが十分には伝わっていない。だからこそ、日本のヘルスケア商品をグローバルに正しく届けることに大きな価値があると考えています。

第一部:中国消費市場の変化と天猫国際のいま
中産階級が牽引する中国消費──「情緒価値」と「健康価値」
ゲスト 中国の消費市場は大きく変わりました。その中心にいるのが中産階級です。可処分所得20万元前後の中産階級世帯は、2020年から2030年にかけて+68%という規模で拡大していきます。
そして中国消費はいま大きく2つの方向へ進んでいます。1つは「情緒価値」消費。単に物を買うのではなく、楽しい・癒される・気分が上がるといった感覚に対してお金を払う傾向です。旅行、ペット、ライフスタイル消費がその代表です。
もう1つは「健康価値」消費です。特に80后(1980年代生まれ)世代は、40代に入り、所得が高く、健康への不安を持ち始め、自分で必要なものを判断できる世代になっています。中国では半分冗談で「老登(ロウデン)」とも呼ばれますが、実際には最も購買力を持つ層です。
88VIP──中国最強の中産階級消費者
天猫国際は中国の越境ECで市場シェアNo.1、40,000以上のブランド、110以上の国・地域をカバーしています。この強さの源泉が、Alibabaの有料会員「88VIP」です。
88VIPは中国最大規模の有料EC会員で、2024年5月の3,500万人から、現在は6,200万人へと急成長しています。月間平均25日アクセスし、購入する品目の幅は非会員の5倍、年間消費額は9倍。要は中国で最もよく買い、最もお金を使う人々が88VIPに集まっています。
そして天猫国際の高純資産ユーザーの約70%、女性ユーザーの約70%、Z世代の約67%が88VIPに属しています。中国で最も購買力のあるユーザーが、天猫国際に集まっているのです。

天猫国際の3つのビジネスモデル
天猫国際には大きく3つのモデルがあります。1つ目が出店型店舗、つまりブランド旗艦店。これは天猫国際の中核事業で、いわばブランドの「中国における唯一の公式オンライン旗艦店」です。会員管理や新規獲得、新商品のテスト販売など、ブランドの主要拠点として機能します。
2つ目が直営型。Alibabaが商品を仕入れて販売するモデルで、ここに「TDI(Tmall Direct Import)」と「探物」の2つがあります。TDIは爆品中心、探物は新商品やロングテール商品を扱います。3つ目はアフィリエイト/分销で、商品をAliExpressやLazadaなど海外プラットフォームへも展開できます。
つまり、ブランド旗艦店は「フラッグシップ=権威性を示す場」、TDIは「爆品を効率よく回す場」、そして探物は「新しい商品を育成する第一歩の場」ということですね。
ヘルスケア二大カテゴリーの成長戦略①:サプリメント
中国サプリ市場は「巨大だが未成熟」
中国のサプリ市場は世界と比べて、率直に言えばまだ非常に遅れています。一人あたり摂取量は26米ドルで、米国の14%、日本の3分の1にすぎません。だからこそ、市場の伸びしろは極めて大きい。
中国消費者には特有の行動パターンがあります。例えば、ビタミン、カルシウム、コラーゲン、NMN、NAD+などを一気に大量購入する。しかし、飲み合わせがわからない、何が効いているかわからない、継続習慣がない、ということで結局飲まなくなり期限切れになる。需要は巨大ですが、教育の余地も極めて大きい市場です。
成長率50%超の9大トレンドカテゴリー
天猫国際は消費者の意思決定プロセスに基づき、「サプリメント」を18のセグメントに分類し、その中から高成長が見込まれる9つの重点セグメントに注力しています。
売上規模も大きく成長率も高いのは「心血管ケア」「基礎栄養」「経口アンチエイジング」の3つ。高成長カテゴリーは「骨・関節健康」「腸内マイクロバイオーム」「メンタル・睡眠ケア」「免疫機能サポート」「脳機能向上」「女性ヘルスケア」「特別用途食品」です。

「第四餐」というIP──サプリメントは4回目の食事
天猫国際では保健品を「第四餐(第四の食事)」と呼んでいます。朝・昼・晩の食事に加え、サプリメントも日常摂取する食事の一部として位置付けるという独自IPです。毎年このIPを使った大型マーケティング施策を展開しています。
骨・関節領域──日本の研究開発力が活きる分野
特に強調したいのが骨・関節領域です。高齢化、運動人口の増加、デスクワーカーの増加、産後ケア需要──複数の社会背景から拡大しています。従来のグルコサミンだけでなく、非変性II型コラーゲン、卵殻膜抽出物、乳香エキスなど、より細分化された新素材が伸びている。日本はこの領域の研究開発力が非常に強い。これは大きなチャンスです。
経口美容──「外用」から「内側からのケア」へ
中国の女性消費者は美容のために、スキンケアの3倍のコスト──化粧品・医美(美容医療)・経口美容──を使うようになっています。「引内養外」と言って、内側から美しさを養うという考え方です。
従来の経口美容はコラーゲンが主流でしたが、今はNAD+、PQQ、ウロステロールAなど「科学的実証」に基づく成分が次々と登場しています。「経口美白」「経口育毛」「経口抗糖化」「子宮温めアンチエイジング」「漢方美容」「美肌用魚油」「バストアップ・ボディシェイプ」など、用途も急速に多様化しています。
中国市場では「五个女博士(5人の女性博士)」というブランドが、5年で売上ゼロから約30億元規模にまで急成長しました。女性向け健康食品は、市場の幅が非常に広いカテゴリーです。
ヘルスケア二大カテゴリーの成長戦略②:OTC市場
OTCは中国で保健品と同等以上の巨大市場
中国国内では、OTC・医療機器・健康機器は近接カテゴリーとして捉えられており、保健品市場と同等またはそれ以上の規模を持ちます。両方を合わせると、ヘルスケア全体の60〜70%を占める巨大市場です。
中国OTC市場の規模は2018年から2025年にかけて年平均5.7%で成長を続けており、ECチャネル比率は2020年の12%から2024年には37%に拡大しました。今後さらに成長余地が大きい領域です。
日本OTCは中国で圧倒的に信頼されている
中国の消費者は日本の薬局を非常に信頼しています。湿布、目薬、鼻炎薬、胃腸薬、漢方、医療用パッチ、小児用薬。実際、当社プラットフォーム上のOTC越境売上に占める日本商品の割合は40〜50%にのぼります。
OTC6大コアカテゴリー
中国OTC市場の主要カテゴリーは6つに整理できます。「骨と経絡」(湿布・クリーム・漢方系パッチ)、「スキンケア」(皮膚炎・湿疹・ニキビケア・育毛剤)、「天然成分」(精神安定・脾健胃・補気補血・婦人科調理・肝保護)、「小児用医薬品」、「医療機器」(血糖管理・体温計・医療用軟膏・創傷被覆材)、そして「五官健康」(鼻炎・目薬・のど薬)です。

天然成分・漢方への信頼が高まる
中国消費者は近年「化学っぽい成分」への不安を強めています。逆に、植物由来・天然抽出・漢方系への信頼は急速に高まっている。例えばNAD+のような最先端成分は原理がわかりにくく不安を感じる人もいますが、漢方や植物抽出物は「天然なら安心」と直感的に受け入れられます。
日本の漢方薬はそうした文脈で大きなチャンスがあります。八味地黄丸、救心、防風通聖散など、日本で完成度の高い処方の漢方薬は、中国市場でも非常に大きな機会があると見ています。
医療機器──医美リカバリー需要が急拡大
医療機器市場も成長余地が大きい。中国国内のトップは湿布、血糖測定器ですが、越境市場では傷跡除去製品、創傷ドレッシング、体温計、鼻洗浄器など、家庭で使うプロフェッショナルケア用品が伸びています。特に注目しているのが医美(美容医療)後に使うリカバリー系フェイスマスク。中国の女性消費者は通常の化粧品マスクから医美用マスクへと急速にシフトしており、年間数十億元規模の市場が形成されています。
Q&Aセッション(第一部)
Q. 偽物・並行輸入品への対応は?
法的に偽物と認定されたものは厳しく対応します。プラットフォーム内では毎日大量のサンプル抽検を行い、AIによる認証システムで取り締まっています。
ただし複雑なのは、香港生産品やOEM品など「ブランドのオリジナルではないが法的には合法」というケース。これは商標権の問題で、本質的にはブランド側の法的対応が必要になります。プラットフォームとしては、品質・合法性・サプライチェーンの3点を重視して管理しています。
Q. 低価格販売者への対応は?
正規品である以上、すぐに掲載を止めることはできません。ただし、プラットフォームとブランドが連携して価格を健全に保つことは可能です。私自身、阿里健康時代に多くの日本ブランドと一緒に価格コントロールに取り組んできました。ブランド側の主導と、プラットフォーム側の協力。両者が組まなければ解決しません。
「探物(Tanwu)」とは何か──ブランド育成の入り口
天猫国際で「最低コスト・最速」の中国進出ルート
探物は、海外ブランドが中国市場へ参入する「最低コスト・最高効率の入り口」と位置付けています。人を雇う必要もなく、商品リンク1本から中国市場で販売を始められる。新商品の市場テスト、ブランドの中国展開の第一歩、ロングテール商品の販路開拓──こういった目的に最も適しています。
探物消費者──88VIP比率80%・客単価880元
探物のユーザー規模は累計3,000万人、その80%が88VIP会員です。会員数は400万人で、その70%以上がプラットフォームの88VIPユーザー。客単価は880元と、天猫国際全体平均の2〜3倍に達します。要は「中国で最もお金を使う層」がさらに濃縮されたユーザーベースです。
前年度のGMVは30億元を超え、医薬・ヘルスケア業界は爆発的な成長を遂げており、新会計年度において重点的に支援する重要カテゴリーになっています。
運営マトリックス──4つのブランド育成コーナーで日次100万トラフィック
探物には4つの主要なブランド育成チャネルがあります。①プライベートドメイン・マトリックス(6+1プラットフォーム、3,000万のアクティブユーザー基盤)、②タオバオモバイル版の主要チャネル(KOLライブ、新商品、88VIP)、③ライブ配信コンテンツ(探物公式ライブ、海外原産地追跡ライブ)、④サイト内外のリソース宣伝(CPC・CPS投入、RED/動画アカウントでのコンテンツ紹介)。これらを通じて日次100万のトラフィックを集約しています。
ブランド育成事例①:香港医薬品ブランド
8カ月の取り組みで、中国本土市場に63商品を立ち上げ、月間平均GMV50万元を達成。探物が同ブランドにとって中国における第一の販売チャネルとなり、オンライン販売シェアの50%を占めるまでに成長しました。
プロセスは3段階。①立ち上げ期:商品タイトル最適化、画像差し替え、動画追加、画像付きレビュー管理。②成長期:自社ライブ・KOLライブ・小紅書投稿200本以上で外部認知を作り、各チャネルでの宣伝とコンバージョン検証。③急成長期:D11期間中に「Proven」「Hold body」「Globa lab」など主要ブランドのメイン画像動画カバー率100%達成、訪問者数40%増、ブランド売上前月比100%増を記録しました。
ブランド育成事例②:米国iHerbとの4年間連携
米国を代表する健康食品小売プラットフォーム「iHerb」とは4年間にわたり提携。1,000件以上の新商品SPUを立ち上げ、月間平均GMVは100万ドル規模に到達しました。新規顧客獲得、セグメント別商品展開、サイト内外のマーケティング投資、海外原産地ライブ配信──統合的な施策で、3万点の商品を発売と同時に売上化することに成功しています。
小紅書(RED)を避けて通れない──種草と購買の連動
中国消費者の購買行動を理解する上で、小紅書を避けて通ることはできません。今日の中国では、ユーザーは小紅書で検索し、口コミを確認し、比較検討してから淘宝で購入する。これが標準的な動線です。
つまり「小紅書で種草(興味形成)し、天猫で購入する」のが現在の基本構造。ブランド側からの公式発信より、KOL/KOCによる第三者目線の発信のほうが影響力が大きい。新商品を立ち上げるなら、小紅書と天猫探物の連動は不可欠です。
第二部:日本ヘルスケアブランド育成の重要性
「この10年、日本の医薬品から新しい爆品って生まれてないよね」
神林 今年3月に中国出張に行った際、複数の取引先から異口同音にこう言われ、正直ショックを受けました。「この10年、日本の医薬品から新しい爆品(バオピン)って生まれてないよね」。
10年以上前──2015年の記事を例に挙げます。中国のメディアが「日本で買わなければいけない12の神薬」として紹介したリストです。サンテボーティエ、アンメルツヨコヨコ、サカムケア、熱さまシート、イブクイック、サロンパス、ニノキュア、ハイチオールC、ビューラックA、口内炎パッチ大正A、命の母A、龍角散──。
最近の売れ筋データを見ても、これらは今なお人気商品です。素晴らしいことでもあるのですが、裏返せば「新しいヒット商品があまり出ていない」とも言える。日本国内に1万SKU近くあるOTCのポテンシャルを考えると、伸びしろは大きいはずです。
中国越境市場における日本OTCの「爆品偏重」構造
中国越境市場における日本OTCの構造を整理すると、いわゆる爆品が100SKU前後、準爆品が400〜500SKU前後、その他商品が6,000〜10,000SKUと、極めて偏った構造になっています。
この爆品偏重は、複数の課題を生んでいます。爆品サイドでは、人気集中による価格競争・値崩れ、そして望まぬ流通によるブランド毀損。爆品ではない商品サイドでは、そもそも越境EC店舗に掲載されない=棚にない状態が続き、商品認知・理解が永遠に浸透しない。

爆品偏重が生む悪循環
この構造は3つのステークホルダーすべてに悪循環をもたらします。メーカーは新商品が浸透せず爆品も値崩れする。リテールは爆品しか売れず差別化できない、競争激化で売っても薄利。消費者は選択肢が増えず、本当に自分に合う商品に出会えない。
だからこそ、新たな爆品を育成することの価値が極めて高い。一方で、医薬品をはじめとするヘルスケア商品は法規制ハードルにより、広告宣伝手法が極めて限定的です。消費者が信頼できる買い場──ECモール内で適切に商品を露出し、認知・理解を浸透させる必要があります。

NOVARCAの商品育成事例
実際の育成事例をご紹介します。
【事例①:大手メーカーの中国未認知口腔薬】
日本市場ではロングセラー、中国市場では未認知の口腔薬。月間平均成長率150%、越境店舗の取扱数は0から11店舗へ拡大。大口での在庫仕入れ店舗も発生し、現在は越境店舗の注力商品として継続的に取り扱われ、別SKUの取扱いも増加しています。
【事例②:中小メーカーのフェムケア商品(管理医療機器)】
日本市場ではECカテゴリーNo.1、中国市場では未認知のフェムケア商品。国内オフライン免税店導入数0→12店舗、越境店舗取扱数0→4店舗。小紅書(RED)での口コミも増加し、新規店舗からの取引問い合わせも多数受けています。
NOVARCAの「オールバウンド戦略」
中国消費者にとって越境ECは、圧倒的かつ定常的な「旅マエ」のタッチポイントです。日本に旅行に来る前から越境ECで日本商品を日常的に目にしており、すでに知っている・良さを理解している商品は、訪日時のお土産想起もしやすい。
私たちNOVARCAはこの循環を「オールバウンド戦略」と提唱しています。越境ECで知る→日本旅行で出会う・購入する→帰国後も越境ECで継続購入する。越境流通とインバウンドプロモーションを分断せず、シナジーを最大化できるよう統合的に支援しています。

「天猫探物」はブランド育成にマッチしたプラットフォーム
ご紹介いただいた通り、天猫探物は「高品質で新しいものを発見する」というコンセプトで、ユーザーの7割が88VIP会員、客単価は天猫国際平均の2〜3倍です。すでにスター商品を持ち旗艦店があるメーカーにとっては、ネクストスター商品を育成する場として非常に適しています。
また、出品価格を指定できるため値崩れの恐れが低い。ブランドを守りながら、新しい商品を中国消費者に届けることができます。私が今年3月に探物チームの皆様と初めてお会いしたとき、まさにこのブランド育成という思想で意気投合し、今日のセミナー開催に至ったという経緯があります。
天猫探物 vs ブランド旗艦店の使い分け
すでに旗艦店を運営しているメーカー様も多いと思いますので、両者の違いを整理します。ユーザー層では、探物は日本商品・新しいものに興味関心が高い層が中心、旗艦店はプラットフォーム全体のユーザー。ブランディングでは旗艦店に分があり、企業ブランディングというより単品の露出には探物が向いています。
コスト・リソース面が最も実務的な違いです。探物は1SPUからの出品が可能で、運用作業もNOVARCAに全委託で完結します。少額からトライアルできるため、新商品のテストや認知形成の第一ステップとして非常に使いやすい。
商品出品フロー──メーカー様の作業は商品納品のみ
出品プロセスは極めてシンプルです。メーカー様からNOVARCA日本倉庫に商品を納品いただければ取引完了。それ以降、商品登録・消費者への発送・広告配信などはすべてNOVARCAが出品業者として実施します。越境ECの「日本直送モデル」による販売方式で、新たな物流インフラ構築も不要です。
質疑応答
Q. 自社で出品していないのに探物に当社商品が並んでいるのはなぜ?
ゲスト よくいただく質問です。探物には現在1,100万SKUの商品があり、その多くがAPI接続業者、海外通販代行、個人パートナー、貿易商など多様な事業者からの出品です。彼らが正規ルートで仕入れた商品を販売しているケースで、すべてサプライチェーン審査を通っています。
ただ、私たちとしてはブランド側との直接の連携を最優先したい。旗艦店・TDI・探物のどこにどう配分するかはブランドの戦略次第ですし、第三者出品をやめてほしいというご要望にも対応可能です。
Q. 通関政策の変更により、保税仓モデルでの販売が難しくなった商品があります。海外直送なら可能でしょうか?
はい、保税仓と海外直送(自由貿易)では政策の幅が異なります。多くの大手ブランドが今、自由貿易モデルへの布陣を進めています。全球探物は基本的に海外直送モデルで運用していますので、保税仓で制約のある商品でも対応できるケースがあります。
Q. 海外直送だと配送に1週間程度かかります。中国消費者は許容しますか?
中国消費者にとって最も重要なのは「正規品かどうか」です。日本からの直送なら7日程度で届きますので、十分許容範囲です。むしろ天猫国際では商品の本物保証を一物一鑑(1点1鑑定)で行っており、ユーザーはこの安心感を高く評価しています。
Q. 探物で実績を積んだ後、いつ旗艦店にステップアップすべき?
明確な数値基準はなく、ケースバイケースです。旗艦店運営にはマーケティング能力、ユーザー運営能力、TPまたは自社チーム、そして広告投資が必要です。これらの準備が整ったタイミングが目安になります。
実際には、探物で実績を作りながら旗艦店を並行して開設するブランドも多く、必ずしも「探物→旗艦店」と順を踏む必要はありません。
神林 ブランドのお考え次第で、適したプラットフォームを選んでいく必要があるかなと思います。一方で共通して言えるのは、探物は気軽にトライできて、しかもユーザーの質が非常に良いという点ですね。
Q. これから越境ECに取り組むメーカーが、まず何から始めるべきか?
ゲスト 3つ重要な点があります。第1にサプライチェーンと法規制の理解。中国の政策は港湾ごと・時期ごとに変わるため、信頼できる物流パートナーの確保が必須です。第2に、新商品の研究開発と既存商品の活用。第3に、マーケティング先行・販促後追いの順序を守ること。いきなり安売りに走らず、まず「なぜこの商品が良いのか」を消費者に伝える施策を打つべきです。
そして繰り返しになりますが、誰かが「あなたのブランドの良い話」を中国の場で発信し続ける必要があります。それは小紅書のKOL/KOCでも、Alibaba内のタオケ(淘客)でも、私域コミュニティでも構いません。
Q. 廉価販売者への具体的な対策は?
天猫国際としては、ブランドと連携して価格を健全に保つことは可能です。ただし他の競合プラットフォームでの低価格販売については、ブランド側で管理いただく必要があります。お互いに協力して解決していく問題と捉えていただきたい。
Q. 今後成長が見込まれるカテゴリーは?
個人的に強く期待しているのは「漢方」と「女性美容」の2領域です。中国の若年層は中医を見直しており、漢方薬は越境ECで非常に大きな機会があります。日本の漢方処方は完成度が高く、しかも中国国内の中成薬よりマーケティングの自由度がある。
そして女性美容関連は「ユーザー心理のトレンド」自体が長期的な追い風です。「引内養外」──内側から美しさを養うという価値観は当面続きますから、関連するカテゴリーすべてに大きな伸びしろがあります。
まとめ──新しい爆品を育成するという選択肢
本セミナーで一貫して語られたのは、「既存爆品の消耗戦から、新しい商品を育成する戦いへ」というメッセージでした。
中国の中産階級は今後さらに拡大し、消費は「情緒価値」と「健康価値」へ向かいます。日本のヘルスケア商品──高度に細分化された品質、慢性軽症ニーズへの対応力、そして強い研究開発力──は、まさにこの市場が求めるものです。
一方で、日本OTCの中国越境市場における「爆品偏重」構造は、メーカー・リテール・消費者すべてに悪循環を生んでいます。価格競争・ブランド毀損・選択肢の停滞。この構造を打破する唯一の方法は、新しいヒット商品をきちんと育成することです。
天猫探物は、その第一歩を踏み出すのに最適なプラットフォームです。88VIPが80%を占める質の高いユーザーベース、客単価880元という購買力、Alibaba自営の信頼性、出品価格指定によるブランド保護、そして月額12.5万円から始められる気軽さ。
NOVARCAは越境EC、インバウンド、モール外プロモーションを統合した「オールバウンド戦略」で、日本ヘルスケアブランドのグローバル成長を支援しています。新しい爆品の種を持つメーカー様、ぜひお気軽にお声がけください。
■ セミナー概要
タイトル:Alibaba天猫国際と語る 中国越境EC×日本ヘルスケア市場〜ブランド育成に向けた天猫探物の活用〜
開催日:2026年5月11日
主催:株式会社NOVARCA
ゲスト:淘天集団-天猫事業部 天猫国際「探物」より
※本記事は、セミナーの内容をもとに編集・再構成したものです。発言内容は要旨を正確に伝えることを目的に一部編集しています。
※本記事内の数値・情報はセミナー開催時点のものです。市場環境・プラットフォーム仕様等は変動する可能性があります。
